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情報提供 TKC税務研究所

件名

退職金の損金算入時期と経理処理

質問

 A社は役員及び従業員に対する退職金の支払に充てるために各事業年度で引当金を設定しており、前期末での残高は、役員退職引当金が2,000万円、従業員退職引当金が3,000万円となっています。これらの引当金は有税で引き当てていますから申告書別表5(1)の利益積立金額に同額が記載されています。
 定時株主総会で退任した役員甲に対する退職金については、その総会決議に基づく1,000万円を退職の日に支払いました。また、役員乙が病気で期中に退任しましたので、規程による退職金300万円が取締役会で承認され支払いました(株主総会での承認決議は翌期の定時株主総会で行う予定です。)。
 さらに、期中に従業員2名が退職しましたので、就業規則による500万円が退職の日に支払われました。
 以上の場合における退職金の損金算入時期と経理処理についてご教示ください。

回答

1 法人が役員に支給する退職金で適正な額のものは、損金の額に算入されます。その退職金の損金算入時期は、原則として、株主総会の決議等によって退職金の額が具体的に確定した日の属する事業年度となります。
 ただし、法人が退職金を実際に支払った事業年度において、損金経理をした場合は、その支払った事業年度において損金の額に算入することも認められます(法法34、法令70、法基通9-2-28)。
(1)株主総会の決議日の属する事業年度で損金算入する役員甲の場合
 退職した役員に対する退職金は株主総会の決議等により具体的に確定した日の属する事業年度において損金の額に算入されます。この場合、損金経理は要しません。
 なお、株主総会の決議等とは、株主総会、社員総会その他これらに準ずるものの決議又はその委任を受けた取締役会の決議をいいます。
 役員退職引当金を設定している会社は、当該引当金を取り崩して支払う経理処理で損金算入することができ、その場合の処理は次のようになります。
(会計処理)役員退職引当金 1,000万円/現金 1,000万円
(申告調整)申告書別表4で役員退職金1,000万円を減算し留保として、別表5の役員退職引当金を同額当期減少と記載します。
 なお、次のように処理しても問題ありません。
(会計処理)
 役員退職金   1,000万円/現金         1,000万円
 役員退職引当金 1,000万円/役員退職引当金戻入益 1,000万円
(申告調整)申告書別表4で役員退職引当金戻入益1,000万円を減算し留保として、別表5の役員退職引当金を同額当期減少と記載します。
(2)支払日に損金算入する役員乙の場合
 期中に病気等で退職した役員に対し取締役会で内定した退職金を支払う場合や株主総会の決議等によってその額が具体的に確定したものの短期的な資金繰りから翌期に支払うといったような場合には、原則である債務確定日(株主総会の決議等によりその額が具体的に確定した日の属する事業年度)に代えて、支払った退職金につき損金経理することを要件にその支払日の属する事業年度で損金算入することができます(法基通9-2-28)。
 役員退職引当金を設定している会社がその引当金を取り崩して支払う場合には、次の経理処理(損金経理が必要)を行うことで損金算入できます。
(会計処理)
 役員退職金   300万円/現金         300万円
 役員退職引当金 300万円/役員退職引当金戻入益 300万円
(申告調整)申告書別表4で役員退職引当金戻入益300万円を減算し留保として、別表5の役員退職引当金を同額当期減少と記載します。
2 使用人に対する退職金の損金算入に係る規定は法人税法にありませんが、損金算入の時期は基本に戻って、法人税基本通達2-2-12に定める「債務の確定の判定」によることとなります。
 次に掲げる要件のすべてに該当する時期に損金算入となります。
(1)当該事業年度終了の日までに当該費用に係る債務が成立していること。
(2)当該事業年度終了の日までに当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
(3)当該事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することができるものであること。
 したがって、使用人(従業員)が退職し、就業規則に基づいて退職金が合理的に算定できれば、退職日の属する事業年度で損金算入となります。
 従業員退職引当金を設定している会社は、当該引当金を取り崩して支払う経理処理で損金算入することができ、その場合の処理は次のようになります。
(会計処理)従業員退職引当金 500万円/現金 500万円
(申告調整)申告書別表4で従業員退職金500万円を減算し留保として、別表5の従業員退職引当金を同額当期減少と記載します。
 なお、次のように処理しても問題ありません。
(会計処理)
 従業員退職金   500万円/現金          500万円
 従業員退職引当金 500万円/従業員退職引当金戻入益 500万円
(申告調整)申告書別表4で従業員退職引当金戻入益500万円を減算し留保として、別表5の従業員退職引当金を同額当期減少と記載します。

関連情報

《法令等》

  • 法人税法34条
  • 法人税法施行令70条
  • 法人税基本通達9-2-28

収録日

平成25年 5月23日

注1:
当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
注2:
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