税務官公署出身会員に聞く

黒字化支援と笑顔でお客様に満足を与えたい

松田純一税理士事務所 松田純一(東北会山形県支部)
松田純一会員

松田純一会員

平成22年に退官し、出身地である山形県米沢市の事務所を承継した松田純一会員。TKCシステムを積極的に活用した黒字化支援と「元気な企業づくり」への取り組みについて聞いた。

50年続く事務所を親族外承継

 ──国税当局の勤務から入会までの経緯について教えていただけますか。

 松田 採用は東京国税局の普通科41期です。東京で10年ほど勤めましたが、米沢市に住んでいた父が体調を崩したため、平成3年に米沢税務署に異動させてもらいました。その後は仙台国税局管内で勤め、盛岡税務署法人課税第一統括国税調査官を最後に、平成22年7月に退官しました。
 当事務所は昭和30年代に開業しており、私で4代目です。先代の所長も国税出身だったのですが、後継者がいなかったため、米沢出身の元国税勤務者ということで私に声を掛けていただきました。
 初代の頃からTKCに入会している事務所ですので、私も入会しました。

 ──入会前と入会後でイメージが違うことなどはありますか。

 松田 国税勤務時代も『TKC会報』でTKC会員の取組みを見ており、e-Taxや書面添付では大きな推進力となっていましたから、行政の施策に歩調を合わせてくれる部分があるなと感じていました。入会のきっかけは承継でしたが、もともと漠然と開業したらTKCに入ろうと考えていたのも確かです。税務調査をしていたときも、経営者に月次決算や未来会計が大事だということを言っていて、それを実現するにはシステムや研修をパッケージとしてサポートしてくれるTKCに入るのが手っ取り早いと思っていましたから。ただ費用だけはいくら掛かるのかよくわからなくて若干不安でしたね(笑)。
 いま世間で「利他のこころ」をテーマとした書籍やセミナーなどが増えてきて、うちのお客様でも「利他のセミナーを受けてきた」と私に教えてくれる方がいらっしゃいます。いまは変革の時代といわれ、従前の資本主義から次の考え方・価値観に移る過渡期であり、そこに苦しんでいる経営者も多いのではないでしょうか。TKCが早くから「自利とは利他をいう」という言葉を掲げていたことに改めて感心しています。国税にいたときからこの言葉自体は耳にしていましたが、税理士になって初めてこの言葉の持つ意味が実感できました。

四半期業績検討会で黒字化率がアップ

 ──事務所経営で力を入れていることはなんでしょうか。

事務所の執務室。職員8名中監査担当者は7名

事務所の執務室。職員8名中監査担当者は7名

 松田 昨年から継続MASシステムによる四半期業績検討会のサービスを始めました。当初は10社のお客様で実施することを目標にお声がけをしたところ、予想よりも反応がよく、いまでは23社で実施しています。その効果もあってか、私が事務所を引き継いだ時は黒字のお客様は全体の3割程度でしたが、いまは4割を超えています。
 現状では黒字化支援を求めるお客様と従来型の申告書や元帳の作成サービスを求めるお客様に二極化されていますが、申告書や元帳を成果物として料金をいただくという従来型のサービスはこれから縮小していくだろうと考えています。
 また、黒字化支援だけでなく、巡回監査で笑顔や安心・癒しを提供することも社長や奥さんに元気を与える一つのツールだと考えています。社長が元気な顔になればその会社の社員も元気になるし、その社員が街で気持ち良く買い物をすれば街も元気になる。根底にあるのは元気な人づくりだととらえ「元気な人づくり、元気な企業づくり、元気な街づくり」を事務所の経営理念としています。

税務調査の経験が経営支援に活きる

 ──国税出身であることの強みを感じることはありますか。

 松田 関与先の業績を見ていく上で、税務署時代に税務調査で行っていた経営分析の経験が活きています。調査では複数期の決算書を時系列で比較したり月次での推移を追ったりして調査するポイントを絞り込みます。調査は不審な数字等を発見するという視点ですが、関与先の業績検討会等においてはそれが改善すべきポイントを発見するという視点に変わるわけです。これがTKCシステムで管理会計的な支援を行う際に非常に役立っています。

 ──研修やシステム以外でTKC会員のメリットと感じることはありますか。

 松田 TKC全国会のCMを観た経営者からああいうサービスをしてほしいと言われたり、銀行からTKCの税理士にお願いしたいと言われたりと、いろいろなニーズに応えなければいけないので大変です(笑)。
 SCGが月1回訪問してくれるのが、ありがたいですね。情報を提供してくれて、それについての質問や相談にも応じてくれるので助かっています。
 また会員同士の集まりがあることでコミュニティが一つ増え、情報が入りやすくなるというのも良い点だと思います。
 私は自分の描く事務所の理想像とマッチしていましたが、TKCにもまだ不足しているところもあると思いますし、人それぞれ求めるものは違うので、TKCの良い部分をいかに自分の業務に取り入れていくかが大事なのではないでしょうか。

(TKC出版 蒔田鉄兵)


松田純一(まつだ・じゅんいち)会員
平成22年8月税理士登録、TKC全国会入会。「元気な人づくり、元気な企業づくり、元気な街づくり」を経営理念とし、本業以外でも地域貢献に取り組む。50歳。
松田純一税理士事務所
 住所:山形県米沢市太田町5丁目575-10
 電話:0238-38-2411

(会報『TKC』平成25年7月号より転載)