税務官公署出身会員に聞く

自然体の事務所運営で顧客満足度を高めていく

日髙貞昭税理士事務所 日髙貞昭会員(九州会宮崎支部)
日髙貞昭会員

日髙貞昭会員

思わぬところから他の会計事務所を承継し、TKCに入会することになった日髙貞昭会員。入会して分かったTKCシステムの良さは「訂正の履歴が残るところ」だと語る。

国税で労働組合の委員長を経験

 ──国税で勤務されて印象に残っていることはありますか。

 日髙 私はもともと宮崎県日南市の出身で、熊本国税局の普通科25期です。個人課税課長、課税総括課長、首席監察官などを務めましたが、ちょっと変わったところでは国税連合組合総連合の中央執行委員長も経験しました。組合の仕事をしていた関係で全国に友人ができたことが印象深いです。最後は鹿児島税務署長で平成18年7月に退職し、税理士の道を歩むこととしました。

 ──事務所の概要を教えていただけますか。

 日髙 関与先数は法人が約50件、個人が約30件の合計80件程度です。巡回監査を担当する男性職員が2名、入力作業などをしてもらう内勤の女性が2名、私を含めて5名で、「仲良く楽しく」を目標にしている事務所です。個人的なつながりのある知り合いを自分で数件担当しているだけで、ほかは職員に任せています。システムは自分では全然使いこなせないのですが、次男が事務所に入っていまして、パソコンに強いものですから頼りにしています。ときどきSCGをやりこめたりもしているようです(笑)。今度、店舗が複数あるスーパーにFX4クラウドを導入することも決まっています。

他の会計事務所を承継、毎年10件増やす

 ──独立開業して8年弱になりますが、ここまで事務所はずっと順調にきたのでしょうか。

 日髙 独立した当初は自宅の4.5畳ぐらいの部屋でスタートして、しばらくは、紹介を受けたお客さま中心に業務を行っていました。特にその先のことを計画していたわけでもないのですが、ある事務所を承継してほしいという話が来て、承継することになりました。特に血縁関係もなく、こちらは相手のことを知らなかったのですが、事情があって後継者を探していたようでした。
 承継した事務所は法人・個人合わせて40件ぐらいのお客さまがありました。ところが承継した後、その承継した事務所にずっと勤めていた女性事務員が、20数件のお客さまを引き連れて他の事務所に移ってしまいました。
 そんなこともありましたが、その後は毎年10件前後お客さまが増え、今に至っています。

 ──お客さまを増やすためにどんな取り組みをされていますか。

 日髙 特別なことではありませんが、市で主催する納税相談や商工会の青色申告指導の担当をしたことがよかったかと思います。また、今の事務所は交通量の多い市道に面していて、確定申告をする人も通る道でよく目立つのです。確定申告の時期に駆け込みで「申告だけお願いします」という人も来るのですが、そこから月次関与につながるケースもありました。立地の良さというのもお客さまが増える一つの要因だと思います。

遮るものもなく、市道から事務所がよく見える

遮るものもなく、市道から事務所がよく見える

訂正履歴が残る機能は絶対に必要

 ──TKCに入会する前と入会した後で印象が異なる点はありますか。

 日髙 入会前もTKCのことを知ってはいましたが、非常に堅いというイメージがある程度で、詳しい仕組みなどはよく分かっていませんでした。入会したのも承継した事務所がTKC会員事務所だったからです。それまでは他社のシステムを使っていました。事務所を承継したときに職員も引き継いでおり、前の税理士のやり方を継続していたので、入会当初から特に困るようなこともありませんでした。
 システムで一番違うなと思うのは、やはり履歴を残さずに訂正ができないという点です。入会前に使っていたシステムは、いつでも訂正ができて、しかもその訂正の履歴が残らないシステムでしたから。TKCシステムも慣れれば非常に便利ですし、人間は間違いを起こす動物ですから、訂正の履歴が残るという機能は必要だと思いますね。これは絶対に無くさないでいただきたいです。

 ──事務所経営で力を入れていること、今後の方向性について教えてください。

 日髙 巡回監査率が80%前後ですが、これが70%を切らないように「巡回監査率分析表」を使って検討しています。また可能な限り自計化を推進しています。
 方向性としては、会計事務所に不足しがちな「顧客満足度の向上」を目指しています。息子も資格取得に向けてチャレンジすると言っていますので、今しばらくは精一杯頑張らないといけないと思っています。

 ──これから開業される方へのアドバイスをお願いします。

 日髙 TKCはサポート体制が確立しているので助かるのではないかと思います。また、いまは独立開業してもすぐにお客さまが増える時代ではありませんので、例えば、TKC会員の事務所で実務を勉強させてもらうようなことがあってもいいのではないかと思います。

(TKC出版 蒔田鉄兵)


日髙貞昭(ひだか・さだあき)会員
平成18年8月税理士登録、平成19年4月にTKC全国会入会。「お客様第一主義」が基本方針。67歳。
日髙貞昭税理士事務所
 住所:宮崎県宮崎市永楽町64-1
 電話:0985-27-8681

(会報『TKC』平成26年6月号より転載)