税務官公署出身会員に聞く

お客さまとの信頼関係を結び税理士として地域社会に貢献していく

税理士法人ONE桑野会計事務所 桑野統臣会員(北陸会福井県支部)
桑野統臣会員

桑野統臣会員

税務署時代の同期の呼びかけに応じ、平成26年に中途退官して税理士としての人生を歩み始めた桑野統臣会員。「自計化+巡回監査でお客さまとの信頼関係をつくりたい」と語る。

国税局の査察応援で大きな緊張感

 ──「税理士法人ONE」は全部で3事務所あり、伊藤会計事務所(福井県大野市)の伊藤公一先生、木谷会計事務所(福井市)の木谷愛一先生は税務署時代の同期だそうですね。

 桑野 そうなんです。木谷にいたっては小学校の同級生です。高校は別でしたが、税務署の試験会場で再会して、すごい縁だなと思いました。

 ──退官前のご経歴や、印象に残っていることがあれば教えてください。

 桑野 期別は普通科37期です。最初の赴任地として福井署に配属されて以来、福井県外は石川県の小松署に6年いただけで、それ以外はずっと県内の税務署勤務でした。この間、法人課税も経験しましたが、主に個人所得税に従事していました。
 印象深い仕事としては、金沢国税局の査察官を併任して国税局の査察の応援を2回経験したことです。査察は脱税犯罪の摘発で、起訴するための証拠集めですから現場にはかなりの緊張感が漂います。早朝から現場に入り、指紋がつかないように手袋をはめて作業にあたり、集めた証拠書類を段ボールにまとめて搬入するのですが、作業は深夜までかかっていました。2回とも、業務が終わった瞬間にお腹が痛くなりましたね。やっぱりそれだけ気を張っていたんだと自分でも驚きました。お腹が痛くても、その後意地になって飲みに行きましたが(笑)。

 ──退官のきっかけは?

 桑野 伊藤と木谷が「早く来い」と言うので(笑)、小浜署を最後に平成26年6月末に中途退官しました。伊藤はお父さんの事務所を継ぐために平成18年に、木谷は平成23年に退官してそれぞれ事務所を経営していましたが、平成24年に2人で「税理士法人ONE」を組織していました。実は、法人設立直後にも声を掛けてもらっていましたが、2年間悩んでいたんです。でも、いつかは税理士になりたいと思っていましたし、「どうせやるなら早いほうがいい」と決意。平成26年8月に税理士登録した後、木谷事務所に入所し、TKCにも入会しました。

関与先からの感謝にやりがいを感じる

 ──その後、ご自分の事務所を出そうと思われたのはなぜでしょうか。

 桑野 やっぱり税理士になったからには自分のお客さまが欲しいですよね。「税理士の桑野です」と名刺交換をしても、「あ、自分の事務所じゃないんだね」という感じで反応も薄いし。「やっぱり自分の事務所を出してこそかな……」という思いが強くなった平成26年の年末、思い切って2人に相談したところ、快く賛成してくれました。ところがせっかちな2人なので、その場でTKCのセンターやOA機器業者に電話をかけ始めたんです(笑)。あれよあれよと事務所開設の段取りが進んでいき、平成27年2月に桑野会計事務所を開設することとなりました。正直確定申告期と重なって本当に大変でしたが、2人からはお客さまも分けていただき、ありがたかったですね(笑)。

 ──所長として実感されていることは。

 桑野 税理士になってみて思うのは、お客さまから信頼していただいたり感謝されたりするのが、税務署勤務時代との大きな違いですね。やっぱりうれしいですし、大きなやりがいを感じます。
 ただ、お客さまは月次関与ではありますが創業したての個人事業主が多く、また一部記帳代行先もあるので、今後の課題は法人関与先の拡大と自計化の推進です。自計化で日々の数字が分かればもっと成長していただけるはずですし、毎月の巡回監査でも悩み事などをお聞きできる時間が増えます。信頼関係が何より大事だと思っているので、「自計化+巡回監査」は大事にしていきたい。そして、ゆくゆくは書面添付もきちんと実践していきたいなと思っています。事務所経営の安定のためにも安さを事務所の売りにはしたくないので、きちんと会計の重要性を伝えていきたいと思っています。

 ──TKCの長所についてはどのように感じていらっしゃいますか。

 桑野 支部例会や委員会等で、幅広い世代の人と交流ができること。いろいろな情報や刺激が得られるのでありがたいですね。特に、北陸会NMS委員長の松岡茂先生は自計化も巡回監査もきっちり徹底されていて、お客さまに対してもこびたりしない。松岡先生の事務所経営はすごく参考になるので、密かに目標にしています。
 それからSCGもありがたい存在です。最初の確定申告は慣れないシステムで四苦八苦しましたが、きめ細かくサポートしてもらったおかげで、何とか乗り切ることができました。今でも分からないことがあると、しょっちゅう電話しています。SCGの勧めで事務所の業績管理のためにe21まいスターを入れましたが、システムを覚えるのに役立ち、お客さまにも提案・説明がしやすくなりました。

誠意を持ってお客さまに寄り添っていきたい

 ──開業をお考えの方にアドバイスするとしたら、どんなことがありますか。

 桑野 税務当局にいると、どうしても威圧的にならないといけない部分もあると思います。でも税理士になるとそうはいかない。私自身、最初の頃は「あんたの態度、よくないよ」とお客さまや先輩からさんざん指摘されました。今でも、「あぁ、さっきの言い方はよくなかったな」と後で反省することがあります。数十年来の感覚や言葉の使い方、立ち居振る舞いを変えるのは難しいかもしれませんが、立場が変わるわけですから、そこは絶対に変えた方がいいと思います。だからずっと威張っていたい人には税理士は向いていないかもしれませんね(笑)。税務署時代の知り合いと会った時に「前と雰囲気違うね」と言われたら成功かなと思うので、これからも誠意を持ってお客さまに寄り添っていきたいと思います。

(TKC出版 篠原いづみ)


桑野統臣(くわの・もとしげ)会員
平成26年6月退官、同年8月税理士登録、TKC入会。趣味は魚釣り、ゴルフ。
税理士法人ONE桑野会計事務所
 住所:福井県福井市板垣3-1516 ダイワエステートビル2F
 電話:0776-43-0184

(会報『TKC』平成28年10月号より転載)

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