事務所経営

「巡回監査士+KFS」が高付加価値経営の出発点!

ニューメンバーズ会員座談会

とき:平成29年3月28日(火) ところ:TKC東京本社

「TKC全国会重点活動テーマ・ニューメンバーズ部門表彰」(平成27年7月~平成28年6月)の各項目で受賞したニューメンバーズ会員3名が集い、KFS推進が事務所にもたらすメリットやこれからの会計事務所経営について語り合った。

出席者(敬称略・順不同)
【FX2純増件数第1位】
 上廣良隆会員(平成27年6月入会・中部会)
【継続MAS純増件数第2位】
 高木英樹会員(平成25年11月入会・神奈川会)
【翌月巡回監査率90%超達成第1位】
 松居雅洋会員(平成26年2月入会・城北東京会)

司会/TKC全国会ニューメンバーズ・サービス委員会
   ニューメンバーズ・フォロー部会委員 橋本真一会員(関東信越会)

ニューメンバーズ会員座談会

「納税は成長に必要不可欠」と継続MAS活用で堂々と言える

 ──まずは皆さんが税理士を志したきっかけや事務所の概要について教えてください。

高木英樹会員

高木英樹会員

 高木 神奈川県相模原市に事務所を構えています、高木です。父が税理士でしたので、平成10年に父の事務所に入所し、平成24年に税理士登録しました。もともと独立志向が強く、自分流の事務所経営をやってみたいと思い、平成25年4月に独立開業しました。現在、職員はパート1名、正社員3名です。関与先は法人17件・個人8件です。最近は資産税に力を入れています。立地にはこだわりがあり、「JR相模原駅から徒歩5分」という利便性を事務所HPでもうたっています。
 経営理念は「お客様と共に繁栄の道を歩み続けます/お客様の繁栄が、私たちの繁栄です!」を掲げ、「お客様の経営体質を強くし、黒字決算を支援・持続させること」が行動指針です。

 上廣 三重県四日市市で開業している上廣です。いま33歳です。22歳のときに税理士試験に合格しました。商業高校で簿記を教えてくれていた臨時の先生が税理士で、「やってみたら」という誘いに乗ったのが税理士を目指したきっかけです。高校卒業後は専門学校に進み、TKCの会計事務所に6年間お世話になった後、平成24年に独立開業しました。28歳のときです。
 最初は税理士法人を組織していたのですが、一昨年分割して個人事務所になりました。現在、職員は正社員3名で、関与先件数は法人50件・個人50件でちょうど100件です。
 経営理念は職員と一緒に考えたもので、「お客様とともに成長し、夢の実現を応援しよう!」を掲げています。若い事務所なので、お客さまに呼ばれたらフットワーク軽くすぐに行く、コミュニケーションを大事にする、ということを重視しています。

 松居 東京都練馬区で開業している松居です。大学時代、税理士を目指していた友達に触発されて税理士試験の勉強を始めました。卒業後はTKC会員の故・谷野勝之先生の事務所で5年ほど修行させていただき、平成26年2月に独立開業。迷わずTKCに入会しました。
 現在職員は2名、関与先件数は法人34件・個人20件の54件。いま35歳なので、私も上廣さんと同様にフットワークの軽さをウリにしています。経営理念は「お客様とともに考える」です。一番身近で親身な相談相手として、何でも相談できるような事務所でありたいと思っています。

 ──高木さんはどこでTKCと出会ったのでしょうか?

 高木 開業から半年ほどは他社システムを使っていましたが、その頃からお客さまを月次で訪問し、翌月には財務や納税予測の報告を行っていたんです。ところが予測税額を伝えると経営者の意識は節税に向いてしまい、「税金安くして」と言われる。「会社の成長には納税が不可欠」というのをどう説明すれば腑に落ちてもらえるか悩んでいたんです。そのうちに、経営計画がその解決策になると気付きました。目標を掲げてもらい、その目標を達成するにはきちんと黒字化して、税金を差し引いた後にどれだけ利益を確保すればよいか、という視点から経営者に話をすればいいんだと。
 でも、どうやって経営計画を作ればいいか分からない。そんなとき税理士会の会合でTKCの先生と出会い、「TKCには継続MASシステムがあるよ」と聞いて「これだ!」と。平成25年11月に入会しました。いまは継続MASで作った経営計画があるおかげで、「納税は成長に不可欠です」と堂々と言えるようになりました。TKCは「巡回監査+KFS」という業務品質を高めるビジネスモデルができているので、入会して本当によかったと思っています。

TKCのフィンテックは自計化推進の営業トークに

 ──皆さんが表彰を受けた項目の推進方法についてうかがいます。まずFX2純増件数1位の上廣さん、推進のポイントや効果的な営業トークはありますか。

上廣良隆会員

上廣良隆会員

 上廣 原則、新規顧問契約時には①記帳はお客さま自らが行う、②TKCシステムを利用する──の2点を条件にしています。契約時に「他社システムを買ったばかり」という方はしばらく様子を見ますが、数年以内に必ず切り替えてもらいます。
 いまはTKCのフィンテックがすごくいいですね。FX2シリーズの銀行信販データ受信機能や二重計上の防止機能などは他社もまだ追いついていないので、優位性を感じます。
 まだ半分くらい他社システムが残っていますが、消費税が10%に上がるまでには完全に切り替えてもらう方針です。

 ──翌月巡回監査率90%超達成第1位の松居さんはどうですか。

 松居 ポイントは日を決めること。巡回監査を終えたら、次月の日程をすぐにおさえてルーティン化するようにしています。
 勤務時代、谷野先生はよく「信金さんを見なさい」と言われていました。「信金さんたちは毎月集金に行っているからお客さまのことがよく分かる。だからお客さまも気さくに何でも相談できるんだよ」と。だから私も巡回監査を大事にしていますし、職員もこだわってくれています。たまに伝送忘れで90%台になることはありますが、基本的には100%を原則としています。

 ──巡回監査の徹底には自計化もポイントになりますね。

 松居 現在の自計化割合は8割超で、新規契約時はTKCシステム利用が条件です。何より遡及訂正を禁止しているところがいいですよね。安心感と信頼感が違います。お客さまも、FX2のデモ画面を見ると「TKCのほうが見やすいね」とおっしゃる。MR設計ツールや勘定科目の配置などが好評です。

 ──継続MAS純増件数2位の高木さんは、どのような工夫をしていますか。

 高木 2年前に職員に向けて「オールTKC化宣言」をして、去年9月に全て自計化しました。自計化推進の過程で、継続MASで全件予算を作るという方針にしたので、それが今回表彰いただいた要因かなと思います。
 ポイントはざっくり作ること。精度は徐々に上げていけばいいと思っています。具体的には、前年の財務データを基に売り上げを微増か同じと仮定して職員がたたき台を作ります。そして利益が確保できるかどうか、資金はショートしないかどうかを私がチェックした上で、最終的に社長とコミュニケーションをとってすり合わせしていきます。
 このときは社長の思いや夢を聞くことを大事にしています。「工場を拡張したい」「従業員を増やしたい」なんて話が出てきたら、「その夢を計画に乗せてみましょう。利益を出して納税できる成長企業になれるように一緒に頑張りましょう」と言えばやる気になってくれます。
 先日、関与時に債務超過になっていた会社の業績検討会がありました。5カ年計画を立てていたところ経常利益は、ほぼ達成。1年目で債務超過が解消できる見込みでした。社長が本気になって改善した結果ですが、「経営計画のおかげだね」とすごく喜んでくれました。それだけでもうれしかったのですが、新たにお客さまを紹介してくださったんです。事務所の業務品質を上げると拡大につながるというのを実感した出来事でしたね。

相続のご相談のときは書面添付をPRして成約率アップ

 ──拡大の話が出ましたが、皆さんはどのような関与先拡大方法をとってきましたか。

 上廣 私は「何人の経営者と会うか」を大事にしていて、JCや朝のビジネス交流会(朝会)に行っています。そこからのつながりが多いですね。「朝会」は毎週火曜日の朝6時からあります。「法人成りを検討している方がいればぜひご相談ください」といった、紹介してほしい人の概要を各自50秒間でプレゼンしていくのです。

 ──すごい会ですね。何人くらい参加されるのですか。

 上廣 40名ほどです。「朝会」は3回休んだら除名なので結構厳しい。JCも「朝会」も参加して1年ほどですが、金額でいうとそれぞれ約300万円、計約600万円の売り上げ増につながっています。

 高木 私は事務所HPからの引き合いが結構あります。2~3日おきに更新していたら「相模原税理士」で検索すると上位に表示されるようになりました。最近はHP経由で相続のご相談を多くいただくのですが、相続の場合は書面添付をPRすると成約率がぐっと上がります。「書面添付を実践すると、意見聴取で調査が省略される可能性が高くなります」と言うと安心感が増すようで、相見積もりになっても選んでいただける場合が多いです。

 松居 私は士業交流会やお客さまからのご紹介が多いです。紹介サイトに登録したこともありますが全然ダメでした(笑)。
 ありがたいのは、金融機関との交流です。繁忙期の3月を除いてTKC練馬支部では毎月支部例会を開いているのですが、そこに地元の信用金庫の方が毎回来てくださるので、情報交換したり紹介し合ったりしています。あとは金融機関向けの事務所見学会を開催してTKCシステムを実際に見てもらったり、試算表の中身を説明したりしています。この事務所見学会がきっかけで、紹介いただいたこともあります。

金融機関が言いにくいことを代わりに関与先に提案する

 ──金融機関との関係は大事ですね。お二人はどういったお付き合いをされていますか?

司会/橋本真一会員

司会/橋本真一会員

 高木 私も金融交流会でお会いした地銀の方とのネットワークを大事にしています。また定期積み立てをしている信金の方は毎月事務所に来てくれるので、そのときに情報交換したり紹介し合ったりしています。
 また毎年開催する「経営支援セミナー」には、必ず金融機関の方にもご参加いただいています。昨年は講師もお願いしたところ、関与先の前で事務所の業務内容をほめてくださり、よいPRの場になりました。

 上廣 お客さまには、「融資が必要なときは自分で銀行に行かず、まずうちの事務所に相談してください」と必ず事務所を通すようにお願いしています。
 三重県には地銀が三つありますが、1行とのお付き合いを深くするのがモットーです。また異動の多い支店の法人担当ではなく、本店の新規開拓の部署の方とお付き合いするようにしています。新規融資額や紹介実績がポイント制になっているといった金融機関側の事情を教えてもらい、例えばお客さまが融資の額で迷っていたら、ポイントが入りやすい融資金額を提案するなど、金融機関が言いにくいことを事務所から言うようにしているんです。
 もちろん無理に融資額を引き上げたり、取引銀行を強引に替えさせたりはしません。そのあたりのルールは守りつつ、金融機関の事情を考慮しながら、皆がハッピーになれるよう意識しています。

早めの人材確保を心掛け高い業務品質を提供し続けたい

 ──関与先が増えると、今度は人材採用や組織づくりが課題となりますが、いかがですか。

松居雅洋会員

松居雅洋会員

 松居 私は大原簿記学校の後輩を雇いました。もともと繁忙期に業務委託というかたちで手伝ってもらっていたのですが、前の事務所を辞めるということだったので来てもらいました。

 高木 いまでも反省しているのですが、最初の職員を雇ったときは余裕がなくなってしまい、業務がうまく回らずに当時の売り上げ1位・2位だった関与先が離れていってしまったという経験があります。ですから、いまでは少し早めの人材確保を心掛けて、高い業務品質を維持できるようにしています。職安経由で採用した2人の男性職員が切磋琢磨しながら育ってきてくれているのでありがたいです。
 これからはパートの方を増やしたい。曽根隆寛先生(西東京山梨会)の事務所ではパートの方も巡回監査に行っていると聞いて、衝撃を受けました。これからは女性を含めいろいろな方に長く勤めてほしいと思っているので、ある程度子育てが落ち着いた方や、扶養の範囲で働きたいという女性の方にも来ていただきたいと思っています。

 上廣 基本的には縁故採用で、お客さまや知り合いに紹介してもらっています。ただ、組織づくりは本当に悩みますよね。私が直接指導していた職員が2人辞めてしまって。1人は事情があったのですが、もう1人は厳しくしすぎたのが原因かなと反省しています。この春からは所長直轄にせず、事務所全体のことを見てくれる女性職員を中間管理職とする体制にしました。

ビジネスの原則では小事務所ほど高付加価値の提供が必要に

 ──最近、安価なクラウド会計が市場に多く出回っています。

 高木 新規のお客さまで、「他社クラウド会計を入れたい」という方がいました。でもその会社は融資が必要だったので、「融資を受けるなら遡及訂正ができないTKCシステムで自計化して、経営計画を作って、月次決算をしながら予実管理していかないと無理です。金融機関側の安心感が圧倒的に違います」と言ったら納得いただけました。「融資がおりてよかった」と社長からも喜んでいただけました。

 上廣 どんなビジネスでも、基本的に大きい会社ほど大量仕入・大量提供できるので単価が安くなりますよね。でも小さい会社はそれができないので、付加価値を上げて単価を上げるしかない。だから小さい事務所なのに安い顧問報酬でいくというのは、単純に経営として厳しいと思うんですよね。
 それに月次で顧問報酬をいただこうと思ったら、月次で何か提供しないといけない。ビジネスとしてもサービスとしても、「自計化+巡回監査」で単価を上げるほうがいいと思っています。

 松居 クラウド会計は流行っているようですが、それが浸透してしまうと税理士業務は顔の見えない「作業」になってしまう。そうすると税理士の存在価値が薄まってしまいますよね。
 巡回監査は親身な相談相手としてのサービスの一つですし、事務所側としても、現場に行けば「社長、最近元気がないな」というような、数字に表れない情報を把握できます。企業防衛や資産活用の提案もできるので、なくてはならない業務です。

 高木 『TKC会報』等で、TKCの飯塚真玄名誉会長が「なぜTKCシステム以外で作られた財務諸表は信頼性が低いか」といったことを発信されていますよね。いまは過渡期だと思いますが、巡回監査でTKC会員のチェックを経て作成された財務諸表とそうでないものとはまったく別物だというのがいずれ周知されていき、金融機関からの評価ががらっと変わるはず。実際に金利でも差が出ているわけですから、近い将来に勝負が見えてくるだろうと思っているところです。

道のりは長くても職員と一緒に付加価値アップを目指したい

 ──皆さんの夢や今後のビジョンをお聞かせください。

 高木 TKC入会前と比べると格段に業務品質が上がっていると感じます。KFSを徹底すれば事務所の業務品質が上がり、お客さまが喜んでくれる。これは間違いないので、業務品質の向上を事務所の差別化戦略と関与先拡大につなげていきたいと考えています。
 そのときキーになるのは組織だと思うので、職員を大事にして、職員が働きやすく、やりがいの持てるような事務所をつくりたい。夢は1000万円プレイヤーの職員を出すこと。売り上げを上げて給与体系を改善しながら、職員と一緒にやっていきたいと考えています。

 松居 関与先が急に増えたこともあり、私は1月2日からずっと働き通しの状態なので早くこれを解消したい(笑)。3月に職員が2人になったので、まずは事務所の安定を目指します。そして今年中に関与先を70件まで増やしたいと考えています。

 上廣 私もこれまでは関与先拡大に軸足を置いてきたので、これからは単価アップや業務品質の向上など、付加価値を高める経営にシフトしていきます。まずは報酬体系通りにできていないところを改善したい。例えば、月次契約でない個人のお客さまを月次契約にしたり、システムサポート料をきちんといただいたり。「売り上げ1億円」が開業時の目標なので、道のりはまだ長いですが、職員と一緒に付加価値アップと単価の積み上げを目指していきます。

 ──NM会員や、入会を検討中の方へ一言お願いします。

 松居 毎月巡回監査に行くというのは、結構しんどいことだと思うのです。でもお客さまから信頼していただけるし、それが事務所の成長につながるのは間違いないと思います。ぜひTKCを選んでいただければと思います。

 上廣 TKCは、税制改正等の情報が早いことと、先輩方が親身になって助けてくれることが最大の特徴だと思います。同じ地域だとバッティングする可能性があるのに、先輩方は関与先拡大方法を教えてくれたり、金融機関担当者を紹介してくれたりして、本当に感動しました。
 先輩方の教えを実践すれば伸びるはずなので、あとはやる気次第。事務所を成長させたいと考えている方はTKCが合うと思います。先輩方への恩返しとして、私もこれから後輩たちへ伝えていこうと考えています。

 高木 TKC全国会のビジョンは業界全体のことを考えて設定されているので、全国会の方針に則って事務所経営をしていけば、必ず未来を拓くことができると確信しています。

 ──「売り上げを上げて事務所経営を安定させたい」「お客さまに高品質のサービスを提供したい」という二つの願いをかなえるならどうすべきか、という問いに対する一つの結論が見えた座談会だったと思います。皆さん、ありがとうございました。

(構成/TKC出版 篠原いづみ)

(会報『TKC』平成29年5月号より転載)

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