受動喫煙対策を強化する健康増進法の改正が予定されていると聞きましたが、法案の中身を具体的に教えてください。(居酒屋店)

 飲食店を禁煙とし、違反者には罰則も適用されるという厚生労働省案が報道され、対策等に不安を感じている経営者の方も多いのではないでしょうか。

 受動喫煙(他人のたばこの煙にさらされること)については、健康に悪影響を与えることが明らかになっています。このため以前から、多くの人が利用する施設の管理者や事業者は、受動喫煙を防止するための措置を講じるよう、努力義務が課されていました。公共施設や職場における受動喫煙対策は改善傾向にありますが、依然として十分な対策が施されているとはいえません。

 また、2020年に東京五輪・パラリンピックの開催を控えており、世界保健機関(WHO)と国際オリンピック委員会(IOC)は、「たばこのないオリンピック」を共同で推進しています。こうした状況を踏まえ、事業者は早急に受動喫煙対策を強化する必要があります。

 3月1日に厚生労働省が発表した規制強化案では、施設の用途や主な利用者、利用者による施設の選択の可否等を勘案して、対策内容を次の3つに分類しています。

①官公庁や社会福祉施設等、多数の人が利用し、他の施設の利用を選択することが難しいものは「建物内禁煙」とする
②学校や医療機関等、特に未成年や患者等が主に利用する施設は、より厳しい「敷地内禁煙」とする
③飲食店など、利用者側に選択の機会があるものや、娯楽施設のように嗜好(しこう)性が強いものは「原則建物内禁煙」とした上で、「喫煙室」の設置を可能とする

違反者には過料も

 次に飲食店に義務付けられる具体的な対策について述べます。

①喫煙室の設置
 飲食店は、小規模のスナック・バー以外は建物内禁煙となり、別途喫煙室を設置しなくてはいけません。喫煙室もスペースをただ区切るのではなく、喫煙室の設備、構造を受動喫煙対策のための技術的基準に適合させる義務があります。

②喫煙禁止場所等の掲示
 飲食店には喫煙禁止場所の範囲や、喫煙室の位置等を掲示する義務が課されます。また、喫煙禁止場所において、喫煙器具等を使用できる状態で置かないよう義務付けられます。

③喫煙に対する対応
 喫煙禁止場所で喫煙者を発見した場合、喫煙をやめるよう求めることが努力義務とされています。また、未成年者の喫煙室立ち入りを防止する努力義務も課されます。

 そして、違反時の罰則についてですが、法案では違反喫煙者に対して30万円以下の過料が、違反施設管理者に対しては50万円以下の過料が検討されています。

 法案の内容については、喫煙者や事業者側から強い反発が予想され、今後の調整は難航すると思われます。たばこを吸う人も吸わない人も、お互いが気持ちよく共存できる社会を目指して、より良いルールを作っていくことが肝要です。

掲載:『戦略経営者』2017年4月号