コラム

大震災を乗り越え復活する企業と経営者の姿勢とは

税理士 丸岡 美穂
平塚善司税理士事務所副所長。津波で宮城県女川町の自宅が流され、避難所生活を経験。隣の石巻市にある勤務事務所は床上浸水ですんだが、石巻市・東松島市、そして女川町にある多くの関与先企業が深刻な被害を受けた。

 東日本震災からすでに半年以上が経過しました。被災地では、生活の復旧と事業の再開に向けて、少しずつ前進を見せています。
 全国、そして世界中から、多くのご支援を頂き、本当にありがとうございます。被災者の1人として、厚く御礼申し上げます。
 また、震災で犠牲になった方とご遺族の方々のご心中を察し、心よりお見舞申し上げます。

 ここまでの道のりを、私たちは関与先企業とともに歩んできました。

 多くの企業が、支援を受けながらも、自力で事業を再開しようと取組んでいます。また、状況が回復するまで、その準備に余念のない企業もあります。どちらのケースも、事業を復活させようと意気込みをもっている企業です。そのような企業はどんな特徴があるか、掲げてみたいと思います。

経営者と従業員が一体となって働いている

 経営者と従業員が、お互いに「使う側」「使われる側」という意識のみで働いている場合には、震災という非常時になると、本来お互いが支えあって企業が成り立っている、ということを忘れてしまいがちです。

 会社の方向性とそれぞれの役割が明確になっていて、全社員に浸透し行動に表れている企業は、震災に遭遇しても揺らぐことはないでしょう。一時的に解雇や休業にせざるを得ない場合でも、それぞれの状況を理解し、トラブルになることはないようです。

行政等の支援だけに依存していない

 震災では、多くの経営資源が被害に遭いました。個々の企業のものだけでなく、魚市場等の公的なインフラも甚大な被害を受けました。一部は使用できるようになってはいるものの、完全に復旧するのはいつなのか、見通しのつかない状況が長く続いています。

 個々の企業の資産も、流失しているにもかかわらず債務は残っています。しかしながら、消費者や取引先からの問い合わせが多い企業は、早期の再開が望まれ、復興計画や企業への支援策などを待っている時間はありません。

 事業の中の一部については、行政や同業者等の支援があれば、企業はスムーズに事業ができるのは間違いありませんし、また、実際に、多くの支援を頂いて復旧・復興がなされていますが、自社が取引先のためにできることは何なのか、従来のインフラがなくてもできることは何なのかを考え、行動する企業は、支援策の情報を貪欲に獲得し採用しようとしながらも、それだけに依存することはないようです。

地元そして全国にネットワークがある

 旺盛なコミュニケーション力でネットワークをつくってきたところはお互いに協力し合いながら元気を取り戻しつつあります。たとえば、ある住宅メーカーでは、全国各地の仲間から職人や資材を調達し、自宅の復旧を急ぐお客様の要請に応えていますし、また、地元での協力体制という点では、津波で壊滅的な被害を受けた同業者から従業員を受け入れて災害復旧の需要に対応しているところもあります。そのような取組みは、決して自社だけのメリットを考えているわけではなく、Win-Winの事業となっています。

 地域に活かされているということを認識し、また、視野が広く全国に同じ価値観をもつ仲間がいる企業には、お互いの存在があっての自社だということが暗黙の了解となっています。震災だから支援してほしい、ということではなく、むしろそのようなことを期待しない、日頃からの信頼関係やコミュニケーションが、このような状況下で顕在化するのではないでしょうか。

価値観の変化に対応できる

 震災で価値観が非常に変化してきている、と感じる方は多いと思います。それが生き方や企業のあり方に大きな影響を与えています。本当は、震災があってもなくても経営を変革していかなくてはならない状況にあったはずなのですが、震災により、それが決定的になった感があります。

 その際、これまでの常識や経験にとらわれずに柔軟に対応できる企業が生き残っていけることと思います。常に先手で学ぶ企業は、現場のスキルだけでなく、組織としての方向性を、全社的に考え行動し、柔軟に経営を革新しています。
 また、そのために必要なのは、経営者自身が学びを忘れないことではないかと思います。

 

 その他、経営資源としての情報のバックアップや、全社的に震災時の避難場所を決めておく等々、震災時のリスクを最小化する方法はたくさんあります。
 しかし、大局的には、上記のような要素をもつ企業が、事業再開を実現し、これまで以上に発展していけることと思います。そして、実は、そのことは震災の被害の有無にかかわらず、企業に必要なことではないか、と思えるのです。

 

(本稿は、月刊『戦略経営者』2011年9号の掲載記事を転載したものです。内容は、あくまで雑誌掲載当時のもので、その後、状況等が変化している場合もあります)

 

会計事務所概要◎平塚善司税理士事務所
●所在地:宮城県石巻市開北1-8-61
所長:平塚善司
●URL:http://homepage2.nifty.com/Hiratsuka/

 

 

※免責事項
当ホームページに掲載するコラム、記事には筆者の私見等も含まれており、その内容の完全性・正確性・相当性等について、また利用者が当該情報等に基づいて被ったとされるいかなる損害について、株式会社TKC、TKC全国会及び筆者は一切の責任を負いません。

目標は年商50億円突破! FX4クラウド ―すべての支店から最新業績が確認できます。

セミナーのご案内

TKC経営支援セミナー2011
中小企業経営者に、経営改善、経営革新の取り組みによる業績向上のヒントを得ていただくためのセミナーです。

税理士ご紹介コーナー

  • 自分で検索する
  • 無料紹介を依頼する

TKC経営指標(BAST)

TKC全国会会員の関与先企業22万社超の決算書を集計した中小企業の経営指標。
TKCグループホームページのユーザ登録により無料で要約版をダウンロードいただけます。

  • 黒字企業の最新業績順位表

戦略経営者

戦略経営者表紙年商50億円を目指す中堅・中小企業経営者の戦略思考と経営マインドを鼓舞し、応援する経営戦略情報誌です。

  • 戦略経営者ホームページ

TKC税務Q&Aデータベース

TKC税務研究所の編集による9,500件以上の税務事例をQ&A形式で収録。
TKCグループホームページのユーザ登録により無料でご利用いただけます。

  • 税務Q&Aへ

相続税・贈与税の試算コーナー

家族状況や所有財産、将来の贈与案を入力し相続税・贈与税の総額を試算できます。

  • 試算コーナーへ

創業・経営革新アドバイザー事務所一覧

TKC計算書類公開データベース

  • TVCM