連結会計とは
連結決算とは、親会社および子会社など支配従属関係にある企業集団を単一の組織体とみなし、その経営成績および財政状態を親会社が把握するために連結財務諸表を作成する決算のことです。
連結会計に関する知識・ノウハウがない状況で、新たに連結決算の担当となった方のために連結会計について基礎的内容をご紹介します。
まず、連結会計に関する基礎知識を理解していただくために、連結会計制度の概要と連結財務諸表の作成手続きを簡単に説明します。
Ⅰ 上場会社の連結会計制度
連結決算の種類とその内容は次の表のように定められています。
決算の種類 | 東京証券取引所等への開示 (取引所からの要請による開示) |
金融商品取引法 (第24条) 企業内容等の開示に関する内閣府令 |
---|---|---|
年度決算 | 決算短信 遅くとも期末後45日以内 (さらに30日以内が望ましい) |
有価証券報告書(第3号様式) 当該事業年度経過後3か月以内 |
四半期決算 | 四半期決算短信 30日以内 |
四半期報告書(内国会社 第四号の三様式) 当該各期間経過後45日以内 (一部の事業会社60日以内) |
中間決算 | 半期報告書(有価証券報告書提出会社のうち、非上場の会社等が該当) (第5号様式) |
Ⅱ 作成する財務諸表等
金融商品取引法の第193条では、「この法律の規定により提出される貸借対照表、損益計算書その他の財務計算に関する書類は、内閣総理大臣が一般に公正妥当であると認められるところに従って内閣府令で定める用語、様式及び作成方法により、これを作成しなければならない。」とされており、様式等が、「連結財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(連結財務諸表規則)」「四半期連結財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(四半期連結財務諸表規則)」に定められています。
- ・連結貸借対照表
- ・連結損益計算書
- ・連結株主資本等計算書
- ・連結キャッシュフロー計算書
- ・セグメント情報
- ・注記情報(セグメント情報以外)
Ⅲ 個別財務諸表の作成とどう違うのか?
連結財務諸表はいったいどのように作成するのかというと、連結財務諸表は、連結グループ全体を1つの会社とみなして作成します。
連結会計制度では、企業会計基準委員会(ASBJ)が公表する会計基準等や公認会計士協会から公表される実務指針等によって、詳細にその処理内容が決められており、非常に複雑です。個別財務諸表の作成とは違い、決められた手順にしたがって作成することになります。
例えば、連結財務諸表のうち、連結貸借対照表・連結損益計算書・連結株主資本等変動計算書は、次のプロセスで作成します。
-
連結対象となる子会社を決める。
-
親会社と連結対象となった子会社の財務諸表を合算します。
-
以降、各会計基準等にしたがって、グループ会社間の取引を消去します。
-
子会社を新規に連結するにあたって、子会社の全ての資産及び負債を時価評価します。
-
親会社の子会社に対する投資とこれに対応する子会社の資本を相殺消去します。
-
子会社の資本のうち、親会社に帰属しない部分を少数株主持分とします。
-
連結会社(親会社及び子会社)間の債権と債務を相殺消去します。
-
債権と債務の相殺消去に伴い貸倒引当金を調整します。
-
連結会社相互間における商品の売買その他取引にかかる収益と費用を相殺消去します。
-
連結会社相互間の取引において取得した棚卸資産に含まれる未実現損益を消去します。
-
連結会社相互間の取引において取得した固定資産に含まれる未実現損益を消去します。
Ⅳ システム利用の必要性
Ⅲの処理を行うためには、グループに含まれる会社を選定し、会社から様々な情報を収集する必要があります。そして、収集した情報が正しいかどうかを確認した後、数多くの会計基準等にしたがって、グループ会社間の取引を消去しなければなりません。
特に、会計基準等の連結会計制度は頻繁に改正され、それぞれの会計基準をそのつど正確に理解していくのは困難な状況です。
とてもシステムの利用無しでは、連結決算を実施することはできません。連結会計システムの利用をおすすめします。