更新日 2013.09.30

これから電子申告に取り組む皆様へ

第2回 電子申告の業務フローと事前準備

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税理士 岡田淳

TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員
税理士 岡田 淳

法定調書等の電子提出の義務化にともない、これから電子申告に取り組む方々のために、事前準備から実務の流れまでをわかりやすく解説いたします。

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 第2回では、電子申告の業務フローと事前準備について具体的に確認していきましょう。

 電子申告の業務フローは以下のとおり、「準備」・「開始手続き」と、実際の「電子申告」で大きく2つのプロセスに分けられます。今回は、電子申告の初年度に必要となる事前準備として、「準備」と「開始手続き」を、実際にどのような手続きをするのか確認していきましょう。なお、電子証明書は、第3回にて詳しく紹介させていただきます。

電子申告の業務フロー

1.電子証明書の取得

 電子証明書とは、電子申告を安全に行うために、本人確認や改ざんの防止等の目的で使用するもので、書面手続でいう「印鑑」に相当するものです。
 電子証明書の種類、取得方法については、第3回「電子証明書の種類と取得方法」(平成25年10月14日掲載予定)にて改めて解説いたします。

2.ICカードリーダライタの購入

 ICカードリーダライタとは、ICカードに記録された電子情報を読むための機器です。公的個人認証サービスでは、様々な機関に電子申請・届出等を行う際に、住民基本台帳カード(ICカード)に記録された電子証明書を利用して手続きを行います。
 なお、ICカードリーダライタは公的個人認証サービスに対応しているものと対応していないものもあるので、購入にあたっては利用する電子証明書に対応した機種の購入が必要です。公的個人認証サービスのポータルサイトにて、対応した正しい機器をご確認できます。

3.ICカード関連ドライバ等のインストール・動作確認、パソコン環境の整備

(1) ICカードリーダライタのドライバの登録

 ICカードリーダライタ専用のドライバを、パソコンに登録します。ご利用のICカードリーダライタに付属のCD-ROMやメーカーのホームページ等からダウンロード・登録をしてください。

(2) 利用者クライアントソフトの登録

 電子署名する場合は、使用するパソコンに、電子証明書用のソフトウェアを登録します。登録方法は、各電子証明書に添付の説明書をご参照ください。
 公的個人認証サービスの電子証明書を利用する場合には、利用者クライアントソフトが必要です。
 利用者クライアントソフトとは、公的個人認証サービスを利用した行政手続き等を行うときに住民基本台帳カード(ICカード)に記録された電子証明書を利用するためのソフトウェアです。
 ご利用のパソコン環境に合った利用者クライアントソフトをダウンロードする必要があります。
 「利用者クライアントソフト」は、「公的個人認証サービス ポータルサイト」からダウンロード、インストールします。

(3) 電子申請にあたって

 行政手続き等の電子申請を行うにあたり、利用者クライアントソフトの他に申請先の各機関に固有のソフトウェアやJRE(Java実行環境)が必要になる場合があります。

  1. 申請先の各機関の固有のソフトウェア

    電子申請をする場合、固有のソフトウェアが必要となる場合があります。電子申請を行う前に必ず各機関のホームページ等を確認し、必要となるソフトウェアのダウンロードおよびインストールを行ってください。

  2. JRE(Java実行環境)とは?

    JRE(Java実行環境)とはJavaという言語で作られたプログラムを実行させるためのソフトウェアです。電子申請を行う機関によっては、このJRE(Java実行環境)が必要になります。電子申請を行う前に必ず各機関のホームページ等を確認し、必要に応じてJRE(Java実行環境)のダウンロードおよびインストールを行ってください。

4.国税:開始届出書の提出

 国税の電子申告を利用開始する法人は開始届出が必要です。開始届出の方法は、次の2通りです。

  1. 国税庁のホームページからオンライン届出
  2. 「電子申告・納税等開始(変更等)届出書」を税務署へ持参または送付による届出

ここでは、オンライン届出の流れを確認しましょう。別紙1「国税:開始届出書の提出方法」よりご確認ください。

別紙1「国税:開始届出書の提出方法」はこちら

5.国税受付システムへの事前登録

 国税の開始届出を行った後、国税受付システムに「納税要確認番号」や「電子証明書」を登録します。e-TaxソフトやTKC電子申告システム「e-Tax法定調書」を利用して登録することができます。
 e-Taxソフトを利用する場合は、e-TaxのHPからご確認ください。

6.地方税:利用届出の提出

 地方税の電子申告を行う法人は、地方税eLTAXのホームページ内の「WEBdesk(ウェブデスク)」へアクセスして利用届出を行います。
 なお、地方税の電子申告では、国税と異なりオンラインでの届出のみとなります。また、メールアドレス(携帯電話のメールアドレスは不可)の登録が必須となっていますので、あらかじめ用意しておく必要があります。
 また、利用届出を行う前にあらかじめ電子証明書を取得しておきます。利用届出時に電子署名を行うことにより、付与した電子証明書が地方税ポータルシステムに登録されます。
 利用届出後、届出団体にて受付手続きが行われます。受付手続きには数日程度かかるものとされています。そのため、利用開始時期よりも前に、十分な余裕をもって利用届出を行ってください。
 実際の利用届出の提出方法は別紙2「地方税:利用届での提出方法」よりご確認ください。

別紙2「地方税:利用届での提出方法」はこちら

7.地方税ポータルシステムへの登録

 「手続き完了通知」メールに記載されている有効期限までに「仮暗証番号」を変更します。期限を過ぎると仮暗証番号が無効になってしまうため注意が必要です。PCdeskなどのeLTAX対応ソフトウェアからeLTAXへログインし、暗証番号を変更します。

 第2回の電子申告の業務フローと事前準備は以上となります。次回は、電子証明書の種類、取得方法について、解説します。

プロフィール

税理士 岡田 淳(おかだ じゅん)

TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員

ホームページURL
久徳会計事務所(くのりかいけいじむしょ)

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