更新日 2013.10.15

これから電子申告に取り組む皆様へ

第3回 電子証明書の種類と取得方法

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税理士 岡田淳

TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員
税理士 岡田 淳

法定調書等の電子提出の義務化にともない、これから電子申告に取り組む方々のために、事前準備から実務の流れまでをわかりやすく解説いたします。

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 今回は、電子申告の事前準備でポイントとなる「電子証明書の種類と取得方法」についてご紹介いたします。

1.電子申告開始・利用届出時の電子証明書の要否

 前回ご案内のとおり、電子申告を開始するには、国税の「開始届出」、地方税の「利用届出」を提出する必要があります。オンラインでの届出時に電子証明書を付与するか否かについては、以下の通りとなっています。

<会社で電子証明書を取得し電子申告する場合>

【国 税】
電子証明書付与は不要(届出後に登録する)
【地方税】
電子証明書付与が必要(届出時省略し、後から登録することも可)

<税理士の電子証明書で電子申告する場合>

【国 税】
電子証明書付与は不要
【地方税】
電子証明書付与は不要

※税理士の電子証明書による電子署名の付与のみで申告書等が送信できる「税理士による代理送信」の場合は、「税理士自身が電子申告を開始する」という旨の届出を行います。国税・地方税ともに提出し、税理士の電子証明書を登録する必要があります。

 電子証明書は「後から登録する」、または「後から登録できる」ため、「後で取得すればよい」と思いがちですが、電子証明書をはじめて取得される場合は、届出前に取得されておくことをお薦めします。

2.電子証明書の種類と取得方法

 電子申告で使用できる電子証明書の種類は、おおよそ10種類あります。その中には新規発行を停止しているものもありますので注意しましょう。

国税e-Taxで使用できる電子証明書の種類
地方税eLTAXで使用できる電子証明書の種類

 実務的に多く利用されている電子証明書は以下の通りです。

(1)会社代表者の電子証明書

 「商業登記に基づく電子認証制度」の電子証明書

 登記所が会社・法人の代表者等に対して発行する電子証明書です。公的機関から発行されること、会社・法人の登記情報に基づき発行されること、取得コストが比較的廉価ということから多く利用されています。
 この電子証明書の特徴は、「電子ファイル」で提供されるという点です。他の電子証明書は、カードに電子証明書を格納する「ICカード」という形をとっています。電子ファイルであるがゆえ、会社内部での管理方法を整備する必要があります。
 この電子証明書の取得方法については、法務省のホームページ「電子証明書取得のご案内」でわかりやすく案内されていますのでご確認ください。

(2)経理責任者の電子証明書

 地方公共団体による「公的個人認証サービス」に基づく電子証明書

 これは電子証明書が格納された住民基本台帳カード(ICカード)です。電子申告する税目によっては、代表者の電子証明書だけでなく、経理責任者の電子証明書も必要とされる場合があります。その場合に、こちらを取得されることが多いです。
 この電子証明書は、「個人」を証明するものであるため、経理責任者が在住する地域の市区町村窓口で手続きを行う必要があり、基本的には個人が保管することとなります。また、「ICカード」という形で交付されますので、ICカードの電子情報を読み取る「ICカードリーダライタ」を準備する必要があります。

 この電子証明書の取得方法については、公的個人認証サービスポータルサイトでわかりやすく案内されていますのでご確認ください。特にご注意いただきたい点は、住民基本台帳カード自体の有効期間(10年間)とそこに格納される電子証明書の有効期間(3年間)が異なることです。カードに記載されている有効期間はカード自体のものです。電子証明書の有効期間は別途管理されることをお薦めいたします。

 個人ではなく会社で経理責任者の電子証明書を取得される場合には、民間企業が発行する電子証明書の取得を検討しましょう。

(3)日本税理士会連合会が発行する電子証明書(税理士の場合)

 私たち税理士が取得する電子証明書です。「税理士による代理送信」を行う場合に利用しています。「税理士による代理送信」で電子申告を行う場合は、「顧問税理士が電子証明書を取得しているか」、「税理士自身が電子申告を開始するという旨の届出を提出しているか」を確認する必要があります。対応が難しい場合は、代理送信に対応できる税理士を探すことになりますので、早めに確認されることをお薦めいたします。

3.電子証明書の有効期限にご注意を

 住民基本台帳カードの電子証明書に限らず、電子証明書には有効期限があります。有効期限を経過した電子証明書は失効となり、電子申告に利用できなくなりますので、電子申告の際には、事前に有効期限を確認し、必要があれば忘れずに更新手続きを行いましょう。

4.まとめ

(1)自社で電子証明書を取得して電子申告を行うのか
(2)税理士の代理送信で電子申告を行うのか

 この選択によって事前準備の内容は異なります。どちらを選択するかは、はじめに決定しておくべき事項です。そして(1)を選択される場合は、「だれの電子証明書が必要なのか」「どの種類の電子証明書を取得するか」「取得までどれくらいの期間を要するのか」を確認しましょう。

 第3回「電子証明書の種類と取得方法」は以上です。次回は、「事例にみる電子証明書取得・管理のポイント」をご紹介します。
 電子申告を行われている企業様に教えていただいた内容をレポートしますので是非ご覧ください。

プロフィール

税理士 岡田 淳(おかだ じゅん)

TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員

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久徳会計事務所(くのりかいけいじむしょ)

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