合同会社Vivantグループ様

合同会社Vivantグループ

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例

介護ソフトとの仕訳連携で
事務作業の負担を軽減

「きずなステーション」等の名前で、訪問介護・障害者支援のサービスを相模原市(神奈川県)や町田市(東京都)のエリアで展開しているのがVivantグループだ。3年前に会社を立ち上げた渡辺芳美代表と渡辺哲也統括本部長に、TKC『FX4クラウド』を導入した決め手などを聞いた。

「社会貢献」を理念に介護福祉サービスを展開

──高齢者や障害者のための介護福祉サービスを手がけているとお聞きしました。

渡辺芳美代表

渡辺芳美代表

渡辺芳美代表(以下代表) 訪問介護・障害者支援の「きずなステーション」、居宅介護支援の「きずなケアプランセンター」、放課後等デイサービスの「あんじゅ」を展開しています。あんじゅについては現在、①鹿沼台(相模原市中央区)②南台(同市南区)③相武台(同)の3施設があります。

──放課後等デイサービスとはどのようなものですか。

渡辺哲也統括本部長(以下本部長) 障害のある子ども(小学1年生から高校3年生まで)を放課後や夏休みなどに受け入れる、学童保育に似たサービスです。うちでは主にソーシャルスキル(社会技能)を身に付けてもらうことに重きを置いた療育を行っています。

──介護福祉の仕事をしていくうえでのモットーをお聞かせください。

本部長 人との出会いを大切にしながら、仕事を通して社会に貢献していくことです。このあたりは企業理念としても掲げています。

代表 社名の「Vivant(ヴィヴァン)」とは、フランス語で「生き生きとした」との意味。利用者とその家族が、私たちとの出会いによって生き生きとしてほしい。そんな願いが社名に込められています。

──会社の特徴・強みといえば?

本部長 移動支援(ガイドヘルプ)のサービスも一体的に提供することによって、幅広いニーズに対応している点が当社の特徴といえます。特にあんじゅでは、集団での支援に加えて、移動支援による個別の支援も行えるので、障害を持つお子さんの可能性がかなり広がります。

──会社設立は今から3年前だったそうですね。

本社内にある事務室と「あんじゅ鹿沼台」

本社内にある事務室と「あんじゅ鹿沼台」

代表 以前、介護施設で働いていた私が起業しようと思ったのは、主に2つの理由があります。長年勤務するなかでヘルパーなどを管理する「主任」の仕事をまかされるようになって、利用者と直接ふれあえる機会が減ってしまったことがまず一つ。私は利用者の笑顔を見ることに働きがいを見つけるタイプでしたので、今のままでいいのかと疑問を抱くようになったのです。
 そしてもう一つの理由が、施設内での介護ではなく、在宅介護サービスを提供する担い手になりたいと思ったからでした。介護施設で働いていたとき、「夕暮れ症候群」といって、夕方になるとそこが今の住居であるにもかかわらず「帰りたい、帰りたい」と言い出す入居者が何人もいました。みんなそれくらい「帰宅願望」が強いのです。こうした理由から、訪問介護の会社を自分で立ち上げることにしました。

本部長 障害者支援もスタートしたのは、その翌年のことでした。さらに昨年、あんじゅを開所。事業の幅を少しずつ広げていきました。

──現在の職員数は。

本部長 ヘルパーが50名弱、あんじゅのスタッフが50名弱います。

──職員のやる気を高めるための工夫といえば何でしょうか。

代表 利用者に喜んでもらえることが、みんなのやる気に直結します。そのためにはスキルを高めたり、知識を増やすなどしてさまざまな〝引き出し〟を用意し、それによって柔軟なサービスを提供することが要求されます。ベッドや車いすを置いた研修室を設けて、必要に応じて研修を受けられるようにしているのは、引き出しを少しでも増やしてもらいたいとの配慮からです。

本社以外の2つの拠点で「分散入力」をおこなう

──『FX4クラウド』導入の経緯を教えてください。

渡辺哲也統括本部長

渡辺哲也統括本部長

本部長 TKCのシステムを使うようになったのは、銀行からの紹介で顧問税理士になってもらった森(正雄)先生の推薦からでした。最初は『e21まいスター』を導入。約2年使った後に、部門別管理ができる『FX2』に切り替えました。さらに今年3月、『FX4クラウド』に移行しました。

──その決め手となったのは?

本部長 一番は、「仕訳連携」の機能がある点です。当社では、介護福祉事業者向けのソフトを使って介護保険の請求業務などを行っていますが、仕訳連携の機能を使えばその数字をそのまま『FX4クラウド』側に仕訳データとして読み込むことができる。従来はすべてこの作業を手入力で行っていたので、だいぶ効率化が進みました。

森税理士 まさにそのあたりのメリットを享受してもらおうと、『FX4クラウド』を推薦しました。

本部長 それと、「分散入力」ができる点も高く評価しました。昨年、あんじゅを南台と相武台に出したことで、拠点が全部で3つとなりました(本社の建物内にきずなステーション、きずなケアプランセンター、あんじゅ鹿沼台がある)。本社以外の拠点からもデータを入力できれば、よりリアルタイムの業績管理ができるようになる。『FX4クラウド』の導入に踏み切ったのは、それも一つの理由でした。

──部門別管理はどのような形で行っていますか。

本部長 ①きずなステーション②きずなケアプランセンター③あんじゅ鹿沼台④あんじゅ南台⑤あんじゅ相武台⑥本社の6部門体制で管理しています。それぞれの拠点の売上高や限界利益率、固定費などがタイムリーに把握できるので、さまざまな経営判断に役立っています。

──御社の場合、収入と支出の項目にはどんなものがありますか。

ベッドや車いすのある研修室

ベッドや車いすのある研修室

本部長 収入は、介護保険料や自費(保険外)サービスからの収益など。支出については、その多くが人件費で、ほかに車両リース代、地代家賃などがあります。

──労働分配率については意識されていますか。

本部長 同業他社の労働分配率の平均値などをガチガチに意識しているということはありません。いまは可能な限りヘルパーやスタッフの頑張りに報いたいという気持ちのほうが強いです。ちなみに当社では、正社員以外のパートの職員についても、毎月の給料のほかにボーナスを支給しています。働き手を確保するうえでも、それが必要なのです。

──人材の確保という点では、どこの介護事業者さんも苦労されているようですね。

代表 盆暮れ正月といえども会社を閉めるわけにはいかない仕事ですから……。難しい課題ではありますが、介護福祉関係の専門学校の協力を仰いだり、求人広告や人材紹介のサービスを利用するなどして、十分な数の職員を確保するようにしています。

──今後の展開はいかがでしょう。

本部長 障害者支援の事業をより強固なものにしていきたいと考えています。年齢的にあんじゅでお預かりできなくなったお子さんの行き場がなかなかないのが今の実情です。作業所や施設の数が絶対的に少ないのです。そうしたところを当社が支援できれば、社会貢献につながるのは間違いありません。

代表 障害者のお子さんが持つ可能性はたくさんあります。その可能性を花開かせる道をたくさんの人との出会いの中で模索していきたい。休耕地を使った農作業など、新しい取り組みを始めていけたらいいなと思っています。

企業情報

合同会社Vivantグループ

合同会社Vivantグループ

設立
2012年4月
所在地
神奈川県相模原市中央区鹿沼台2-19-13
売上高
2億4000万円
社員数
約100名(うち正社員15名)

顧問税理士 森 正雄
森会計事務所

所在地
神奈川県相模原市中央区千代田3-1-17
TEL
042-758-1933
URL
http://www.tkcnf.com/morikaikei/

『戦略経営者』2015年9月号より転載)