中央油化株式会社 様

中央油化株式会社

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例

緻密な原価管理で黒字を継続する
潤滑グリースのスペシャリスト

6月に創業58年を迎える中央油化は、「顧客満足第一」を経営理念に培われた研究開発力や品質管理に定評のある潤滑グリースメーカー。同社が経理業務の効率化と緻密な原価管理に活用しているのが、TKC財務会計システム『FX4クラウド』である。森廣志社長、塩沢隆一取締役、藤原義彦総務経理部課長、顧問税理士の大橋博晶氏に話を聞いた。

東京、茨城の2工場体制で品質管理と現実対応に注力

──事業概要を教えてください。

森廣志社長

森廣志社長

 グリース、さび止め油、特殊潤滑油の製造販売を手がけていて、主たる製品は潤滑グリースです。グリースは半固体状で流動性が小さく、一般的な潤滑油に比べ特殊な取り扱いが必要ですが、五十有余年の歴史のなかで培ってきた製造ノウハウの蓄積が当社の最大の強みになっています。一口に潤滑グリースといっても、低温から高温、低荷重から高荷重まで使用環境によって要求される性能はさまざまです。そうしたお客さまのニーズに応えるため、製品の種類は500を超える数に達しています。また本社には研究開発機能を有しており、独自の製品開発による特許も複数取得するなど、新規製品の開発も積極的に進めています。

──生産体制は万全のようですね。

 1958年の会社設立以来、東京板橋区の本社工場で生産を続けてきましたが、1991年に茨城県北茨城市に第2工場を立ち上げました。業況の拡大にともない生産量を増やす必要があったのと、1カ所だと万が一の場合に納入安定性を確保できなくなる可能性があると取引先から懸念の声が上がっていたからです。現在はこの2工場体制で、主に新規開発品や小ロット品が本社・東京工場、大ロット品や汎用品が茨城工場と役割を分担しています。両工場とも品質管理や環境対応には力を入れており、1996年には業界で初めて全社でISO9001認証を取得、2004年にはISO14001を取得しています。

──潤滑グリースというと自動車や機械関連向けがメーンですか。

製品ラインアップは500を超える

製品ラインアップは500を超える

 そうですね。金属が摺動(しゅうどう)するところ、回転するところでは摩耗を防ぐために何らかの潤滑剤が必要になります。たとえば自動車ではエンジンオイルが一番分かりやすい例ですが、オイルは液体なので漏れを防止するシール機構が不可欠です。その点、半固形のグリースはオイルほど漏れを気にする必要がありません。グリースをベアリングに給脂すれば簡易的なシールでも長期間にわたり潤滑性を保持できるうえ、機械を小型化できるといったメリットがあります。こうしたグリースの特性を生かし、自動車や鉄鋼、各種産業機械など幅広い分野のさまざまな機器で当社の製品が使われています。

──新規商品の開発力にも定評があるようですね。

茨城工場

茨城工場

 たとえば今でこそポピュラーになりましたが、低温に強い合成炭化水素油の潤滑グリースを他社に先駆けて販売しました。深海ザメから抽出するスクワランを配合したグリースを工業用で初めて上市したのも当社です。ほかにも耐熱性の極めて高いものや、特許を取得した油分離の少ない潤滑グリースなど、汎用品とは一味も二味も違うオリジナリティーのある高付加価値製品もお客さまから評価していただいています。最近では食品添加物を原料とし、万が一口に入ってしまっても健康に影響を及ぼさないグリースの開発に成功、一部商品化が実現しています。

日々の入力から電子申告まで一気通貫システムで効率化

──税理士法人大橋会計と顧問契約を結ばれた経緯について教えてください。

工場内

 2007年に社長に就任し、経理にあまり詳しくなかった私は以前の会計顧問の先生にいろいろとお会いして質問をしたかったのですが、事務所が遠方なことと、かなり高齢になられていたこともあり、事務所が近くで、より気軽に相談できる先生に新しくお願いしようと思ったのがきっかけですね。CMでTKCの活動に関心を持ち、ホームページに掲載されていた大橋先生の事務所に電話してみたところ、対応された女性が非常に感じが良かったのでここで間違いないだろうと。実はその女性は大橋先生の奥さまでした(笑)。

大橋 当時社長は電子申告の導入を検討されており、日々の業務から電子申告まで一気通貫で処理できるシステムへの切り替えを要望されていました。しかし以前の税理士先生がご高齢だったということもあり電子申告への対応ができなかったのも、TKCシステムに決めた大きな理由だとお聞きしています。顧問契約させていただいた4年前に旧システムの稼働を始め、1年後に『FX4クラウド』を導入しました。現在はマイナンバー管理に対応するため『PX4』の導入を進めているところです。

塩沢隆一取締役

塩沢隆一取締役

──システムを導入されて感じたメリットは?

塩沢 まずは電子申告を実現できたのがとても大きな業務効率の改善につながっています。以前は手作りの書類で申告を行っていましたが、減価償却の方法がどんどん変わり、別表16などは複雑になりすぎてもはや手書きでできるような範囲を超えてしまい困っていました。それが今では本当に楽になりましたね。またスプレッドシートで行っていた手形管理などもウィンドウズがバージョンアップするたびに対応する手間が生じていましたが、『FX4クラウド』にすればそれらの作業が不要になります。さまざまな過程で二度手間やロスがなくなりました。

藤原 今まで一般的な市販ソフトを使っていたのですが、決められた勘定科目にただ入力するだけでした。一方TKCのシステムは経営戦略に活用するためのデータを確認できるところが大きく違うところです。毎月大橋先生が来社され、詳細な説明をしていただけるので非常に勉強になります。

藤原義彦総務経理部課長

藤原義彦総務経理部課長

大橋 それまでは普通の損益計算書を確認されていましたが、変動損益計算書で数字を把握するようになったのが最も変化した点ですね。中央油化さまの場合固定費は毎月ほぼ一定ですが、原材料の価格変動が原価率や粗利率に影響を与え、業績変動の大きな要因になります。毎月20日ごろに会社に伺い、午前に2時間くらいかけて業績検討会、午後にその月の監査を行うという流れで行われますが、やはり話の中心は原価率の変動分析になりますね。

 特に前年との比較がはっきり確認できるようになったのがかなり参考になっています。昔はそのあたりが曖昧なままでしたからね。原価率が通常より高くなってしまった場合は原因を突き止め、改善策を実行に移すというプロセスがスピーディーに行えるようになりました。大橋先生からはその都度的確なアドバイスをもらえていることもあり、おかげさまで黒字決算を継続できています。

価格変動の影響を会社全体で意志共有

──やはり原価で一番大きいのは原材料費になりますか。

大橋博晶顧問税理士

大橋博晶顧問税理士

 そうですね。基本的には購入価格が上下すればその分販売価格に反映させていくことになりますが、そう簡単に値上げするわけにはいきません。従来はその部分が「何となく」で、営業に「値上げはうまくいっているか」と聞いても「やってます」と返ってくるだけでそのままズルズルいってしまったりと(笑)。『FX4クラウド』を導入してからは、購入価格の変動でどのくらい利益に影響が出ているかきちんとした数字を営業会議で示すことができるようになったので、どういう方向に進むべきか会社全体で意思を共有することができるようになったと思います。

──今後の抱負を。

大橋 当事務所で力添えができるのはやはり数字の部分です。導入から日が浅くまだ十分に活用されていない部分もありますが、しっかり使いこなせるようにアドバイスさせていただき、「会計で会社を強くする」サポート役を今後も継続できればと思っています。

 まずは極力クレームが出ないよう品質管理や納期の順守に万全を期して、既存顧客からのさらなる信頼獲得に努めたいですね。加えて、営業活動での積極的な情報提供を通じた新規顧客の開拓、グリース製造のノウハウを生かした新製品の研究開発にも力を入れていきたいと思います。

企業情報

中央油化株式会社

中央油化株式会社

設立
1958年6月
所在地
東京都板橋区坂下1-34-22
社員数
85名
売上高
34億円
URL
http://www.chuo-yuka.co.jp/

税務顧問 大橋博晶
税理士法人 大橋会計

所在地
東京都板橋区小豆沢3-6-7
NK志村坂上ビル7階
TEL
03-3966-0826
URL
http://www.1-oohashi.com/

『戦略経営者』2016年5月号より転載)