株式会社シンセイ 様

株式会社シンセイ

右は、財務を担当する添田和也・取締役部長

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例

中期計画に基づく設備投資で
魅力的な農業資材を商品化

田園風景が広がる福島県石川町に本社を置くシンセイ。約1300アイテムの農業資材を自社商品として開発してきた太楽進社長(52)が業績管理に役立てているのがTKCの『FX4クラウド』だ。5カ年計画をもとにした会社経営をする太楽社長にとって欠かせないツールになっている。

約1300アイテムの農業資材を取り扱う

──農業資材がメイン商品だとお聞きしました。

太楽進社長

太楽進社長

太楽 防獣ネット、ビニールハウス資材、薪(まき)割り機、コンプレッサー、農薬の散布機……など、さまざまな農業資材を「シンセイ」ブランドで企画開発しています。実際の製造は中国の工場にOEM生産してもらい、それを日本に輸入して農業資材専門店、大手ホームセンター、ベンダー(卸業者)に販売しています。

──現在の商品アイテム数は?

太楽 約1300アイテムあります。それでもまだまだ足りないと思っていて、できれば3000~5000アイテムくらいまで増やすことを目指しています。国内市場においては、たとえばハウス部材が強い会社だったり、ネット関係が強い会社など、それぞれ得意とするカテゴリーを持っているライバル企業が多いのですが、その中でうちはオールマイティーな業者になることを目標としています。

──豊富な品ぞろえ以外にブランドとしての強みを挙げるとしたら何でしょう。

太楽 価格面の訴求力もありながら、それでいて品質がよいところでしょうか。たとえ競合他社の同じ製品よりも値段が安かったとしても、それと同等かそれ以上の品質を有しています。
 当社では新商品を企画開発する際に、まず「この品質レベルのものを作りたい」というところから入ります。そのうえで、製造から物流までを含めたコストがどのくらい掛かるかを計算して、投資をするかどうか判断します。結果として、できあがる商品はどれも価格的に競争力のあるものに仕上がるわけです。安さだけでは消費者はついてきません。品質もともなわなければ、ブランドとして成り立たないと考えています。

──シンセイの名前が全国に広まったのは、そうした考え方が多くの人に受け入れられたからなのでしょうね。

さまざまな農業資材が並ぶシンセイのショールーム

さまざまな農業資材が並ぶシンセイのショールーム

太楽 おととしの秋に九州営業所を開設したこともあり、北海道から沖縄まで販路が広がっています。関東、東北、北陸エリアなら、半数以上のホームセンターに当社の製品が入っていると思います。また最近、売り上げが増えているのが、インターネットでの販売です。取引先の業者さんが運営するオンラインショップを通じて、うちの製品が農家さんたちに売れています。ネットで注文すると、農業資材を田畑や果樹園などに直接運んでもらえるので便利なようです。

──2004年に創業し、今ではグループ全体で約28億円の売上高を計上するまでになりました。なかなかの成長ぶりです。

太楽 最初のうちは、特売の目玉商品となるような、風よけの防風ネットや園芸用の土のうえに敷くシートなどで卸・小売業者さんとの関係を築いていきました。ディスカウントの商品として扱える価格であるにもかかわらず、ある程度の品質をクリアした商品を提供していくことで評価を得ていったのです。そうするうちにやがて「定番商品も扱ってほしい」と声が掛かるようになり、商品のアイテム数をだんだん増やしていきました。それに伴い、会社の売り上げも伸びていった感じですね。

「5カ年計画」をもとに予実管理をおこなう

──TKC会員の益子秀一税理士と顧問契約を結んだきっかけを教えてください。

太楽 農業資材関係の会社で輸入業務などをしていた私が独立して起業したとき、最初に事務所を構えたのが、益子会計が入っている建物と同じだったんです。以前からTKCシステムが入っている会社は財務がしっかりしているイメージがありました。益子先生の人柄に加え、TKCに加盟していることが決め手となって、すぐに税務顧問になってもらいました。TKCの財務会計ソフト『FX2』を導入して、自計化をスタートしたのはそれからすぐのことです。当時、事務所の中には机ひとつとパソコンがあるだけ。誰も仕訳データを入力してくれる人がいないので、私がすべて数字を打ち込んでいました。

──会社の成長過程において、『FX2』をどのように活用されていましたか。

太楽 私は「5カ年計画」にもとづいた経営を大事にしており、新商品の開発やそのための設備投資などはすべて5カ年計画に沿って実行しています。その計画と実績との間にどのくらいのギャップ(かい離)があるかはいつも気になるところで、それを確かめるうえで『FX2』は非常に役立ちました。

益子秀一税理士

益子秀一税理士

益子 太楽社長が策定した5カ年計画と単年度予算をもとに『継続MAS』を利用して予算登録を行い、それを『FX2』に月別登録するかたちで予実管理を実践していきました。5カ年計画にもとづき商品アイテムをどんどん増やしていったことにより、会社の売り上げは順調に伸びていきました。

太楽 5カ年計画を作って2年過ぎたら、また5カ年計画を作る。これを繰り返していきました。実効性のある計画を作るうえでも、日々の業績管理を通じて会社の現状を把握しておくことは大事。「月次決算」を実践し、タイムリーに数字をつかめるようにしていたのは、そのためでもあります。

──4年前に『FX2』から『FX4クラウド』に移行したのは、どんな理由からだったのでしょうか。

太楽 上位機種である『FX4クラウド』には、『FX2』にはない魅力的な機能がたくさんあります。「より便利になるから切り替えた」というのが一番の理由で、なかでもクラウドシステムならではの利便性を強く感じています。

益子 長野県にある「農家の店ひまわり」という小売店の経営に参入したり、新たに九州営業所を開設したりと、太楽社長が地方に出張に出掛ける機会も多くなりました。クラウドシステムである『FX4クラウド』なら、ノートパソコンがあればどこからでも最新業績を知ることができます。この点を太楽社長は高く評価してくれています。

部門別管理を駆使し詳細データを入手する

──子会社にも『FX4クラウド』が入っているそうですね。

太楽 「農家の店ひまわり」を運営するリープコーポレーションと、物流業務を行うシンセイプロロジスティクスの2つの100%子会社があり、そのどちらにも『FX4クラウド』を導入しています。

──グループ全体でどのような業績管理体制を敷いているか教えてください。

太楽 部門別管理機能を使って、より細かい「単位」で数字を把握できるようにしています。シンセイについては、①営業本部②九州営業所③長野営業所の3部門で管理。リープコーポレーションでは、①飯田店②中村店③南箕輪店と、店舗別の管理をしています。そしてシンセイプロロジスティクスにおいては、保有する11台のトラックをそれぞれ部門に見立てて管理するとともに、傭車(ようしゃ)(他社への外注)に関しても一つの部門として数字がわかるようにしています。
 ちなみにシンセイと、それ以外の100%子会社との間には内部取引があり、お互いに売りと仕入れの関係があります。

──とりわけ意識して見ている数字は何ですか。

太楽 販管費や利益率ですね。利益率を気にしているのは、少しでも利益率を伸ばしたいという意図からではなく、「適正」な利益率で販売していくことをモットーとしているからです。適正な利益率で、なるべく多くの数量を売っていきたいと思っています。

──より多く売るための工夫は?

あえて豊富な在庫を持つのがモットー

あえて豊富な在庫を持つのがモットー

太楽 他社ができないことをあえてすることです。年商16億円を越えたあたりから銀行からよく「在庫が多いですね」と言われるようになりましたが、私はそれに対して「うちは在庫を持つことが仕事なので……」と反論しています。いまの日本市場では、回転率やキャッシュフローの問題を考えたら小売業者は在庫を持ちにくい状況にあります。一方で、メーカー側も在庫を抱えたくない。しかしどこかに在庫が滞留していなければ、日本の流通はおかしくなってしまいます。もちろん在庫はいろいろな意味でリスク要因となり得ますが、それを承知でうちは在庫を持ち、「いつでもどうぞ買ってください」という姿勢で商売をしています。
 その代わり、毎月の棚卸しは徹底しています。いわゆる「実棚(実地棚卸し)」のかたちで倉庫内にある現物在庫を調べていきます。ここは私たちの誇れる部分です。

──今後の目標は……。

太楽 5年後に年商36億円にするという目標があります。人・物・金がそろって、商品開発に力を入れていけば、自(おの)ずと売り上げは伸びていきます。実現の可能性は十分にあると見込んでいます。

企業情報

株式会社シンセイ

株式会社シンセイ

設立
2004年7月
所在地
福島県石川郡石川町字大橋2-10 西部工業団地内
売上高
28億円(グループ全体)
社員数
約80名(同)
URL
http://trading-shinsei.co.jp/

顧問税理士 益子秀一
益子秀一税理士事務所

所在地
福島県石川郡石川町塩沢広畑44-1
TEL
0247-56-1476
URL
http://www.bizup.jp/member/masuko/

『戦略経営者』2017年8月号より転載)