株式会社寒風

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例

主体性を引き出す業績管理で
「男鹿石」を全国に広める

秋田県男鹿市にある標高355メートルの寒風山。そこで産出した「男鹿石」を全国に広めているのが、菅原廣悦社長(67)が代表を務める寒風だ。採掘から加工、施工までを一貫して手掛ける同社では、6部門の業績管理をTKCの『FX4クラウド』を活用して行っている。

70年もの長期にわたり「石文化」を創造し続ける

──石材業からスタートした会社だとお聞きしました。

菅原廣悦社長

菅原廣悦社長

菅原 1946年に私の父が「菅原石材」として創業し、石材の採掘・販売をするようになりました。地元の寒風山に採掘場をもち、最初は主に墓石をあつかっていました。それから徐々に、道路などに使用する「砕石」の出荷もするようになり、その延長線上で1959年に知事登録をして土木部を新設し、土木・管工事・造園など建設分野の仕事にも進出するようになりました。

──地元で採れる石の特徴は?

菅原 当社では、寒風山から産出される安山岩に分類される石を「男鹿石」と呼んでいます。以前は、採掘場のある寒風山にちなんで「寒風石」と呼んでいましたが、東京などの県外の人には寒風山といってもあまりピンとこない人が多いことから、男鹿石と称するようになりました。男鹿のほうが、なまはげのイメージと重なって認知してもらいやすかったのです。男鹿石の特徴は硬くて熱に強く、されど柔らかみがあるといったところ。自然に溶け込む独特の味わいがあります。

──石工事の代表的な施工事例をご紹介ください。

菅原 首相官邸工事をはじめ、皇居や小田原城の石垣工事、男鹿水族館の石壁、曳舟川親水公園(東京都葛飾区)の石畳など、さまざまな施工実績があります。秋田県のみならず、関東方面の仕事も数多く手がけてきました。

──場所が離れた東京からも仕事の依頼が来るのはなぜですか。

菅原 設計コンサルタントの方からのお呼びがかかるからです。実は、石材の採掘から加工、施工までを一貫して行っている会社は全国でも数少ない。「どの石材をどんなふうに加工して、工事をすればよいか」をトータルで相談できるのが私たちなんです。そうしたところが評価され、複数の設計コンサルさんと懇意にさせてもらっています。
 余談ですが、皇居の石垣工事の仕事が来たのは、江戸城で使われている石垣が男鹿石と同じ安山岩だったことも、一つの理由でした。いずれにしても、歴史ある建造物の修復に当社が携われたのは光栄でした。

──特許を取得した独自の天然石舗装工法があるとか。

菅原 日本大学生産工学部と共同開発した「B─ロック工法」がそうです。基層となる下地はアスファルト舗装でもコンクリート舗装でも可能で、下地・目地材に粒状材料(アルミナボール)を使用することで透水性を向上させた点などが特徴です。たとえば秋田県小坂町にある「明治百年通り」の石張舗装工事に、この工法が用いられています。

──「石工事」と「土木」の二枚看板で事業展開しているメリットといえば何ですか。

菅原 石工事が好調で土木が不調なときもあれば、逆に石工事が不調で土木が好調なときもある。つまりリスク分散が図れることが一番のメリットです。むかし父親に「石工事部と土木部を別々の会社にしたほうがいいのでは」と進言したことがありました。そのとき父親は頑として首を縦に振らなかったのですが、今にして思えば持続的な会社経営を行っていくうえでそのほうがメリットがあると考えていたのでしょう。

──昨年11月、創業70周年を迎えました。

菅原 50周年のときと同様に、70周年史を作成したり、男鹿市の市民文化会館で記念式典を開きました。落語家の桂米助師匠をお招きして、社員のみならず、大勢の地元のみなさまにも楽しんでもらいました。最高に面白かったですね。

滝の頭ため池(男鹿市)の工事も手掛けた

小田原城の石垣を修理

採掘、加工、施工をトータルで行う

「MR設計ツール」を活用し自社独自の帳表を作成

──『FX4クラウド』を導入したのは昨年3月だったそうですね。

菅原 以前は、独自開発した会計ソフトを使っていました。それを顧問税理士の武田先生からの提案もあって、『FX4クラウド』に変えたのです。

武田亨顧問税理士

武田亨顧問税理士

武田 寒風さんが外注して作ったシステムは、会計ソフトというよりも、数字を集計して自分たちが必要とする書類だけを作成する〝エクセル集計機〟のようなものでした。でも、菅原社長が「こういうフォームで会社の数字を見たい」という希望に合致した帳表を出力できて、そこに満足されていたことから『FX2』の導入は断念していました。とはいえ、間違った仕訳をしてもエラーにならないし、消費税改正(5%→8%)の対応も完全とは言えず、このまま使い続けていてはダメだろうという気持ちはずっとありました。そうした中で新たに出てきたのが、オリジナル帳表がエクセル(スプレッドシート)で簡単に作成できる機能を備えた『FX4クラウド』でした。「マネジメントレポート(MR)設計ツール」を利用すれば、それが可能となります。これなら菅原社長に不便をおかけすることはないし、税務・会計システムも格段に進歩すると、導入を提案いたしました。

──MR設計ツールで作ったオリジナル帳表がどのようなものか教えてください。

菅原 簡単にいえば、①総務部、②土木部、③石材部(石採取)、④加工部(石材加工)、⑤石工事部(施工)、⑥秋田営業所(墓石や仏壇などの販売)の6部門それぞれの損益を一覧で比較検討できるシートです。「当期」の数字のほか、「前期」の数字や「前期比」についても、『FX4クラウド』から引っ張ってきたデータをもとに表示されるようにしています。

──6部門の部門別管理をしていることが、オリジナル帳表を作成するうえでの前提条件になっていそうですね。

菅原 はい。緻密な部門別管理ができるところも『FX4クラウド』の魅力です。以前の会計ソフトでは、部門ごとの前期比などは自動的に出てこなかったので、去年と比較する作業は大変でした。

部門長クラスに財務データをオープンにする

──日々のデータ入力はどのような体制で行っていますか。

安田千恵美・経理担当 本社の総務部に所属する経理担当者3人がそれぞれのパソコンを使ってデータ入力しています。『FX4クラウド』に変えて一番良かったのは、出来上がった試算表を見て「この科目は何でこの数字になった?」と疑問を感じたら、すぐにドリルダウン機能を使って伝票までさかのぼって調べられるところですね。

──限界利益(売上高-変動費)を改善するために心掛けていることはありますか。

菅原 外注費(変動費)を抑えるためにも、工期をできるだけ伸ばさないように努めています。普段から段取り良く仕事をして、いかに早く仕事を終わらせられるかが利益に直結すると考えています。

──従業員に会社の業績を公開しているとお聞きました。

菅原 部門長クラスには、《変動損益計算書》の数字をオープンにしています。会社全体の損益、あるいは各部署の損益を部門長クラスに示しているのは、賞与の公平感のためでもあります。たとえ自分の部署が利益を上げていたとしても、会社全体として見たらどうかや、他部署では継続的な取引のために赤字覚悟でやっている仕事があるなどの事情がわかれば、ボーナスの金額に納得してもらえるのです。

──人材教育にも並々ならぬ情熱を注いでいるそうですね。

菅原 「モノづくりは、まずヒトづくりから」をモットーに、「挨拶(あいさつ)」と「掃除」を大切にしています。挨拶と掃除による社員交流を通じて得られる自信と信頼感は、間違いなく日々の活動に生かされます。
 いまは多くの中小企業が人手不足に悩まされていますが、うちも例外ではありません。当社で成長できる素地をもった人材を積極的に採用し、「石文化」を創造し続ける経営のパートナーたる社員を少しでも増強させていくことが今後の課題だと考えています。

企業情報

株式会社寒風

株式会社寒風

創業
1946年11月
所在地
秋田県男鹿市脇本脇本字前野
1-1
売上高
11億円
社員数
60名
URL
http://www.kanpu.co.jp/honsha/

顧問税理士 武田 亨
税理士法人RINGS

所在地
秋田県秋田市広面字碇1番地7
TEL
018-838-7107
URL
http://rings-accounting.jp/

『戦略経営者』2017年2月号より転載)