会計・税務

[図解!"税"の豆知識(1)]「寄附金」にかかる税の仕組みってどうなっているの?

田島 隆雄 医業経営コンサルタント 税理士

 今号から15回にわたり、院長先生の日常生活、医業経営に関連する「税」について、図解でわかりやすく紹介していきます。今号では、特に質問が多い「寄附金」がテーマです。

そもそも「寄附金」って何?

 よく病医院の院長先生から「出身大学への寄附金は経費として認められますか?」「町内会や子ども会への寄附金は経費にしていいのですか?」という質問を受けることがあります。

  寄附とは“善意の行為”ですので、それを助長する意味でも、寄附金は全額、経費として認められるべきなのかもしれません。しかし、税法上は、一定の制限が設けられており、すべてを経費にすることはできません。そこには、寄附金をすべて経費として容認すると、税収が減少し国の財政基盤が脆弱なものになってしまうと考えられていることが背景にあります。

  身近な寄附金というと「赤い羽根募金」や「年末助け合い募金」「被災地への支援金・見舞金」などがあげられます。最近では「ふるさと納税」が創設されましたがこれも寄附金の一種です。

  法人税法上、寄附金は「金銭その他の資産の贈与又は経済的な利益の無償の供与等」と定義されており、社会通念上の寄附金の概念より、その範囲は広いものとなっています。

  寄附は、「困っている人を助けたい」「慈善事業のために使ってほしい」といった社会貢献のために行われます。つまり、個々の“自発的な行為”として尊重されてきたところがあります。

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日米の違いは「国を介する」かどうか

 アメリカを見てみると、日本よりも寄附の文化が根づいています。それはなぜでしょうか。

  日本では寄附金を、事業活動とは直接関係なく支出されるものと位置づけられています。つまり、事業上の経費としての性格が弱いのです。

  日本の「税」に対する考え方の根本には「所得の再配分」があります。納税義務者から一旦、国に納税し、その財源を使い、国から自治体や学校法人、社会福祉法人、NPO法人を援助するという考え方です。

  一方、アメリカでは、国を介さず、個人などから自治体などへ直接、寄附をすることが習慣化されています。そこには、寄附金控除を推進し、寄附をしやすくする環境を整えてきた背景があります。そもそも、アメリカの寄附の文化は1900年頃に根づいたようです。当時、税率が非常に高かったことから、「税金を払うより慈善事業に使ってほしい」という考え方が浸透していきました。

  両国の寄附金の制度の大きな違いは、政府を介するか否かというところにあります。

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貢献したい地域への寄附金「ふるさと納税」

 近年、地方の過疎化が進むなど自治体ごとの税収格差が顕著になってきました。こうした地域格差を是正するため、平成20年に創設されたのが「ふるさと納税」です。これは、“ふるさと”(自分が貢献したいと思う都道府県・市区町村)への寄附金のことで、個人が一定額を超える寄附を行った場合、所得税と住民税から一定の控除を受けることができる制度です。自治体によっては地元の特産品をプレゼントするなど、独自の特典を設けるところもあります。

  この制度に対して、慢性的な財政赤字に悩む自治体では賛成意見が多い一方、たくさんの税収がある大都市からは反対、慎重意見が多い傾向にあります。

  寄附金の具体的な運用のあり方については、それぞれの自治体の条例で指定されることになります。教育や社会福祉、環境、子育てなどに選択できるものと、指定なしとされているものがあるので、その点に留意したいところです。

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(「TKC医業経営情報」2010年10月号より)

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