会計・税務

[TKC医業会計データベースMX2・MX3活用事例] データを基にした業績検討会が適切な意思決定を可能にする

img_b0296_01.jpg■   守谷駅前りんご歯科
■   院長 盛 晋作(もり しんさく)

茨城県守谷市にある「守谷駅前りんご歯科」は平成 20 年の開業からこれまで、患者への徹底した情報提供に取り組み、地域の人々の信頼を積み重ねてきた。競合医院がひしめく激戦区でありながら年々、患者数は増え続けている。「厳しい経営環境のなか、これからも健全な経営を進めていくためには業績検討会による適切な経営管理が欠かせない」と語る院長の盛晋作氏に、これまでの自院の取り組みや、「 TKC 医業会計データベース( MX2 )」の活用法について話をうかがった。

DATA 守谷駅前りんご歯科 img_b0296_02.jpg
常磐線、つくばエクスプレス線「守谷駅」より徒歩2分の場所に位置する
所在地 茨城県守谷市守谷甲 2544-3 共立ビル 1C
http://clinic-1.jp/web/apple/pc/
診療科目 歯科・歯科矯正・小児歯科・歯科口腔外科・歯科予防
診療時間 月・火・木・金・土;
9:30 〜 13:00
14:00 〜 19:00
※ 水曜、日・祝日は休診
スタッフ 歯科医 2 、歯科衛生士 3 人、受付 2 人、医療事務 1 人

1人ひとりの患者に満足してもらうサービス提供が重要

──「守谷駅前りんご歯科」の開業経緯からお聞かせください。

 歯科医を志した時から、「地域に根差した歯科医療を行いたい」という想いがありましたので、東京歯科大学を卒業後、大学病院などではなくインプラント指導医のいる一般の歯科クリニックに勤務し、そこで予防や一般歯科、外科手術、インプラントなどの現場でのスキル、ノウハウを学ばせていただき、平成20年に開業しました。医院名の「りんご」には、「患者さんがいつまでも“りんご”をかむことができる健康な歯でありますように」という願いが込められています。

──どうしてこの場所を開業地として選定されたのですか。

 この地域は、若い世代から高齢者まで幅広い層の方々が住んでいるところです。勤務医時代は、さまざまな年齢層の方々の治療を行ってきましたので、その経験を生かすことができる場所ということで選定しました。

 また、駅前での開業以外は考えていなかったということもあります。駅前なら、そこに医院があるだけで地域の方々の目に留まるので、あえて広告などを出さなくても周知することができます。実際、工事が始まった段階から、地域の皆さんに「ここに歯科医院ができる」ということをわかっていただけたようです。

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「笑顔」と「配慮」をモットーに患者と接するスタッフたち

──歯科医院は競争が厳しくなっていますが、この地域ではいかがですか。

 この地域も例に洩れず、市内に約35件、当院の半径5キロ圏内に約18件の歯科医院があります。ただ、どこを見ても激戦区なので、開業するに当たって、競合医院の件数はあまり気にしませんでした。それに、「激戦区だから」ということ自体、個人的にはあまり好きではありません。そういう場合こそ、1人ひとりの患者さんに満足していただけるサービスを提供することが大切だと考えています。

──どれぐらいの患者さんが来院されていますか。

 事業計画では1日の平均患者数を20人と設定しました。実際、1年目の平均は約15人と計画を下回りましたが、2年目から少しずつ増えはじめ、現在は約45人となっています。

 患者層を見ると想定外に女性が多く、特に小さい子どもを持つお母さんがメーンとなっています。また、地域の保育園医と中学校医を1件ずつ行っているので、その先生や園児、生徒の方々にも比較的多く来ていただいています。

「診察ファイル」の活用で患者への情報提供を徹底する

──厳しい経営環境のなか、順調に患者数を伸ばしているわけですが、その要因をどのように考えておられますか。

 開業からこれまで、「患者さんへの徹底した情報提供」を重視してきました。

当院では、診察券の代わりに「診察ファイル」をお渡ししています。これは、一般の診察券と同じ役割を果たすとともに、どこの歯が虫歯になっているのか、どこが歯周病になっているかなど、患者さんの口腔内の情報や、これからの治療計画などを綴じています。また、レントゲン写真にコメントを入れたものや、治療、予防に関する情報などをファイリングしています。こうした資料をお渡しして、それを見ながら十分な説明を行うことで、患者さんは自分の病気のことや自宅での対応などをしっかり理解することができます。

 また、1歳半検診や3歳半検診など、地域の保健活動を行う際も、お母さん方には、口頭で丁寧に説明するだけでなく、子どもの歯磨きの仕方や、虫歯をつくらないための日常生活上の留意点などに関する資料をお渡しし、その理解に努めています。

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患者への配慮から全4台のユニットはすべて個室化されている

──院内外での情報提供の徹底が、地域の人々の信頼につながっているのでしょうね。

 情報提供に力を入れているのは、患者さんに自分の歯の健康について高い意識を持ってほしいという想いがあるからです。これまでの歯科医療は、痛みが出てきてから治療する、歯がなくなったところに入れ歯をつくるといった“敗戦処理”的な対応が中心でした。でも、近年では、虫歯や歯周病にならない方法が科学的に明らかにされています。痛くなる前に、悪化する前に、その方法を実践していただければ、そのほうが患者さんにとっては幸せです。実際に予防に取り組むとともに、そうした情報をわかりやすくしっかり説明するのは歯科医師の責務だと考えています。

──貴院で取り組んでいる予防は、どのような流れで進んでいくのでしょうか。

 歯周病については、歯と歯茎の溝を測定すれば、症状が出る前に発見できますので、軽症の段階から定期的に通っていただき治療をしていきます。

 虫歯に関しては、歯の汚れや細菌の塊を「プラークチェッカー」という液で染め出し、日頃のブラッシングでどれだけ磨き残しがあるのかを患者さんに自覚していただくことからスタートします。そして、正しい磨き方や歯間ブラシの使い方などをお伝えして、実際にやっていただき、自宅でもしっかり実践してもらいます。それでもエラーは必ず出てきますので、はじめは3か月に1回を目安に来院していただき、メンテナンスやフォローをしていきます。予防のために来院する方も少しずつ増えています。

MX2は病医院と会計事務所を結ぶ1つの共通語の役割を果たす

──どのようなスタッフ体制になっておられますか。

 歯科医は私と妻の2人で、歯科衛生士が3人、受付スタッフが2人、医療事務スタッフが1人の計8人です。みんな経験豊かなスタッフで、1人ひとりが、「患者さんに満足してほしい」という気持ちで患者さんと接しています。妊婦さんや高齢者の方が来院した際は、「ブランケットをお持ちしましょうか」などと進んで声をかけたり、長くお待ちになっている患者さんがいればお茶を出したりと、気遣いができるスタッフばかりです。今の当院があるのは、スタッフの協力のおかげだと感謝しています。

──現在、課題などはありますか。

 開業から約3年が経過し、徐々に患者数も増えてきましたが、厳しい経営環境であることは変わりません。そうしたなか、これからも順調に経営するためには、しっかりと経営管理をしていくことが重要になります。そのツールとして、当院では「TKC医業会計データベース(MX2)」を導入しています。

MX2は、医業収益や患者数、経費などの毎月の業績をタイムリーに把握することができ、適切な経営管理を行う上で欠かせないシステムだと思います。

 特に気をつけて見ているのは経費です。たとえば、前年や前月と比べて材料費が増えていることがわかれば、なぜ今月は増加しているのかをみんなで話し合い、その原因を明らかにし、軌道修正を行います。問題点をすぐに発見することで、傷口が広がらないうちに対応策を講じることができるのは大きいです。

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写真右から、歯科医で院長夫人の盛玉実さん、盛晋作院長、原田伸宏公認会計士、監査担当の尾見喜信

──経営上の問題解決に活用しているのですね。

 最近では、患者数や医業収益、経常利益にも着目するようになりました。というのも、当院では、原田公認会計士・税理士事務所の指導の下、半年に1回、「業績検討会」を実施しているのですが、前回の検討会で、会計事務所から「患者数や医業収益、経常利益などの伸びを考えるとユニットを1台増やしてもいいのではないですか」という提案をいただいたのです。私もユニットを増設するかどうかを迷っていたのですが、その判断基準や、タイミングがわかりませんでした。

そうしたなか、MX2のデータを基に的確なアドバイスをいただき、導入することでどれだけの収益増が見込まれるのかというシミュレーションもしてもらいました。一歩踏み出すよいきっかけになり、先日、新たに1ユニットを導入したところです。同時に、設備投資などを行う際は、患者数だけではなく、医業収益も経常利益も合わせて考えた上で、意思決定をしなければならないのだと改めて実感しました。

──MX2は適切な意思決定に役立つということですね。

 会計・税務については素人なので、会計事務所と密に連絡をとり、いろいろなアドバイスをいただいているわけですが、当初は、会計などの専門用語がわからず、そのアドバイスの内容を明確に理解できないことがありました。でも、MX2で日々の業績を入力し、確認していくことで少しずつ、専門用語が理解できるようになってきました。そういう意味では、会計事務所と当院を結ぶ1つの“共通語”のような役割を果たしていることも、MX2の魅力だと思います。

──これからの抱負などをお聞かせください。

 最近、人々の健康志向が高まっています。オーガニックのものを買ったり、無添加の食品を選んだりしています。でも、口腔の健康に対する意識はまだ低い傾向にあります。口腔内が汚れていては、どんなに身体によいものを摂取しても意味がありません。

今後はさらに情報提供に力を入れて、予防の重要性、そして口腔内の健康を維持していくことの大切さを、1人でも多くの方々に伝えていくことが当院の役割だと考えています。そして、近い将来、地域の人々の歯科医院に対する怖いイメージを払拭し、気軽に楽しく当院に来ていただけるようになれば嬉しいですね。

(平成22年7月21日/「TKC医業経営情報」2010年9月号より)

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医業データ分析表

財務データと医事データの両方を適切に把握することが安定経営の要点

安定経営を実現するためには財務データだけでなく、外来患者数や平均通院回数などの医事データも同時に把握し、それらに基づいた経営上の意思決定を行うことが大切です。

TKC医業会計データベース(MX2)では、財務情報の医業収益と、患者数、診療点数、通院回数などの医事データを統合した経営情報を1画面で簡単に把握することができます。

※TKC医業会計データベース(MX2)画面サンプル(取材病院とは関係ありません)

医業経営コンサルタントからの一言

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理念の実現・医院の発展のため 会計・税務面から全力でサポート

原田公認会計士・税理士事務所
所長 原田 伸宏

 盛晋作先生とは、守谷駅前りんご歯科の開業準備からお付き合いをさせていただいております。開業から患者様への情報提供、丁寧な治療を徹底し、地域の方々の信頼を獲得してこられました。経営面に対する意識も高く、MX2を活用し経営管理に取り組むとともに、何冊もの経営書をお読みになり勉強するなど、安定経営の実現のための努力も行っております。これからも、先生の理念実現、医院の発展のために、会計・税務面から全力でサポートします。

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TKC全国会医業・会計システム研究会 (略称:TKC医会研) は、TKC全国会の中でも特に医業・会計に精通した約1,800名の会員により構成されており、約23,000件の病院・診療所の健全経営をご支援させていただいております。