注目の判例

刑事訴訟法

2018.08.07
再審請求事件(日野町事件第2次再審請求開始決定)
LEX/DB25560764/大津地方裁判所 平成30年 7月11日 決定 (再審請求審)/平成24年(た)第1号
被告人が、かねて客として出入りしていた酒類小売販売店経営者(当時69歳)を殺害して金品を強取しようと企て、同店内で、客として飲酒した際、応対していた同女の背後からいきなり頸部を両手で絞め付け、頸部圧迫に基づく窒息により即死させて殺害した上、同女所有の現金5万円及び手提金庫等を強取したとして起訴され、第1審判決は無期懲役を言い渡し、第2審判決も第1審判決に違法はないとして控訴を棄却し、上告審でも上告棄却したことで、有罪を確定した強盗殺人事件で、被告人である申立人が再審請求をしたが、申立人の自白は、その任意性に疑いはなく、信用性も十分あり、さらに、申立人が犯人であることを示すいくつかの間接事実が存在し、また、申立人のアリバイは成立せず、その他、申立人が犯人ではないことを示す事情は存在せず、確定判決の認定した犯罪事実は優に認められ、その他、弁護人の主張をすべて検討しても、これを覆すことはできないとして、再審の請求を棄却したため、申立人が抗告したが、申立人の死亡により終了した。その後、再度、申立人の遺族が請求人として再審請求をした事案において、当審で取り調べた各新証拠が確定審の審理中に提出されていたならば、被告人を本件犯行について有罪と認定するには、合理的な疑いが生じたものと認められ、本件再審請求は、刑事訴訟法435条6号所定の有罪の言渡しを受けた者に対して無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したときに該当するとして、再審を開始する決定をした事例。
2018.07.17
検察官による証人等の氏名等の開示に係る措置に関する裁定決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件
LEX/DB25449567/最高裁判所第二小法廷 平成30年 7月 3日 決定 (特別抗告審)/平成30年(し)第170号
検察官は、被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときには、条件付与等措置も代替開示措置もとることができず、さらに、検察官は、条件付与等措置によっては加害行為等を防止できないおそれがあるときに限り代替開示措置をとることができるとし、裁判所は、検察官が条件付与等措置若しくは代替開示措置をとった場合、加害行為等のおそれがないとき、被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるとき、又は検察官が代替開示措置をとった場合において、条件付与等措置によって加害行為等を防止できるときは、被告人又は弁護人の裁定請求により、決定で、検察官がとった措置の全部又は一部を取り消さなければならないとし、裁定請求があった場合には、検察官は、裁判所からの意見聴取において、刑事訴訟法299条の5第1項各号に該当しないことを明らかにしなければならず、裁判所は、必要なときには、更に被告人又は弁護人の主張を聴くなどすることができるということができ、裁判所の決定に対しては、即時抗告をすることができるとし、刑事訴訟法299条の4、299条の5は、被告人の証人審問権を侵害するものではなく、憲法37条2項前段に違反しないとした事例。
2018.07.17
(袴田事件第2次再審請求(即時抗告審))
LEX/DB25560605/東京高等裁判所 平成30年 6月11日 決定 (抗告審(即時抗告))/平成26年(く)第193号
請求人(有罪の言渡を受けた者)が、深夜、静岡県清水市(当時)商店の専務方に侵入して金品を物色中、同人(当時41歳)に発見されるや金品強取の決意を固め、同人方裏口付近の土間で、所携のくり小刀(刃渡約12cm)で殺意をもって同人の胸部等を数回突き刺し、さらに、物音に気付いて起きてきた家人に対しても、殺意をもって、同家八畳間で同人の妻(当時39歳)の肩、顎部等を数回、専務の長男(当時14歳)の胸部、頸部等を数回、同家ピアノの間で専務の次女(当時17歳)の胸部、頸部等を数回、それぞれ前記くり小刀で突き刺し、次いで,専務が保管していた商店の売上金20万円余り、小切手5枚等を強取し、さらに専務ら4名を住居もろとも焼いてしまおうと考え、同商店第一工場内に置いてあった石油缶在中の混合油を持ち出して、これを専務ら4名の身体にふりかけ、マッチでこれに点火して放火し、専務らが現に住居に使用しかつ現在する木造平家建住宅1棟を焼損し、上記被害者の専務らを死亡させて殺害したする請求人へ確定判決が出て、請求人が、再審請求(第1次再審請求)をし、同再審請求を棄却する決定をし、これに対する即時抗告及び特別抗告もそれぞれ棄却され、さらに、請求人と再審請求人(有罪の言渡を受けた者の保佐人・請求人の実姉)が、地方裁判所に本件再審請求(第2次再審請求)を行い、無罪であることを認めるべき新たな証拠として種々の書証等を提出したほか、職権によるDNA型鑑定を求め、同裁判所は、これら書証のほか、DNA型鑑定の結果等に基づき、「再審を開始する」との原決定をした。これに対して検察官が即時抗告を申し立てた事案において、5点の衣類に関する新旧証拠及びその余の新旧証拠を総合評価しても、5点の衣類が犯行着衣であり、かつ、それが請求人のものであるとする確定判決の認定に合理的な疑いを生じさせるような事情は見出せず、そのほか、弁護人が種々指摘する点を踏まえても、捜査機関が、5点の衣類をねつ造したことを示す明白な証拠はうかがわれず、5点の衣類を根拠として、請求人を本件の犯人とした確定判決の認定に合理的な疑いが生じていないことは明らかであるとし、原決定を取消し、本件再審請求を棄却した事例。
2018.07.10
強姦未遂、強姦、強制わいせつ被告事件
LEX/DB25449552/最高裁判所第一小法廷 平成30年 6月26日 決定 (上告審)/平成29年(あ)第530号
被告人が経営するマッサージ店で敢行された、アロママッサージを受けに来た女性合計4名に対する強姦1件及び強制わいせつ3件のほか、被告人からアロマに関する指導を受けていた女性に対する強姦未遂で起訴された被告人が、暴行及び脅迫、被害者の同意、強姦又は強制わいせつの犯意を争い、第1審判決は、全事件が有罪であるとして懲役11年を言い渡し、控訴審判決も、強姦罪の成立を認めた第1審判決に事実誤認があるとは認められないなどとし、控訴を棄却したため、被告人が上告した事案において、被告人は、本件強姦1件及び強制わいせつ3件の犯行の様子を被害者に気付かれないように撮影しデジタルビデオカセット4本に録画し、被告人がこのような隠し撮りをしたのは、被害者にそれぞれその犯行の様子を撮影録画したことを知らせて、捜査機関に被告人の処罰を求めることを断念させ、刑事責任の追及を免れようとしたためであるとし、さらに、本件デジタルビデオカセットは、刑法19条1項2号にいう「犯罪行為の用に供した物」に該当し、没収することができるとして、上告を棄却した事例。
2018.07.03
覚せい剤取締法違反、建造物等以外放火、非現住建造物等放火未遂、火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反、窃盗被告事件
「新・判例解説Watch」刑事訴訟法分野 9月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25560354/さいたま地方裁判所 平成30年 5月10日 判決 (第一審)/平成28年(わ)第1038号 等
暴力団関係者との交友関係のある被告人の覚せい剤取締法違反、窃盗の罪においては、被告人が所持していた覚せい剤は6グラム以上と多量である上、被告人は18歳頃から断続的に覚せい剤を使用してきたものであり、覚せい剤に対する常習性、親和性は高いとし、また、窃盗の点をみると,被告人は第三者に指示されるがままに自動車を窃取したものであり,被害額は110万円以上と高額であり、被害結果は重大であるなどとし、懲役2年に処したが、建造物等以外放火、非現住建造物等放火未遂及び火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反の各罪においては、検察官が証拠とした本件撮影(〔1〕平成27年10月4日から平成28年5月19日までの間、被告人方近隣の私人管理場所の中にビデオカメラを設置し、データを保存する外付けハードディスクの交換時を除いて24時間連続で撮影を行ったこと、〔2〕撮影範囲は、主に被告人方前の公道及び被告人方玄関であったが,被告人方玄関ドアが開いた際には、ドアの内部の様子が映り込んでおり、ドアの内部の様子が撮影されていた時間が連続約25分間に及ぶこともあったこと、〔3〕警察官は,外付けハードディスクを交換した後,人や車の動きのある部分をパソコンにダウンロードして保存しており,この際明らかに無関係な郵便配達人等の映像は除いていたが,事件と関係のない人や車等の映像でも残されていたものがあった)が、類型的に強制処分に当たるとまではいえないものの、少なくとも平成28年の初め頃以降はその撮影の必要性が相当程度低下していたことは明らかで、それにもかかわらず長期間にわたって撮影を継続したこと自体不適切であった上、しかも本件撮影方法は他の類似事案と比べるとプライバシー侵害の程度が高いものであったと評価できることを考慮すれば、本件放火事件当時の撮影は、任意捜査として相当と認められる範囲を逸脱した違法なものであったと認められるとし、被告人に無罪を言い渡した事例。
2018.06.26
再審請求事件(恵庭OL殺人事件第2次再審請求棄却決定)
LEX/DB25449442/札幌地方裁判所 平成30年 3月20日 決定 (再審請求審)/平成29年(た)第1号
殺人、死体損壊被告事件(申立人が、2000年3月に北海道千歳市、恵庭市又はそれらの周辺で、当時24歳の被害女性を殺害し、死体に灯油をかけ火を放って焼損しもって死体を損壊したというもの)について、申立人が、第二次再審を請求した事案において、確定判決等は、本件の犯人として想定し得る人物を絞り込み、これを請求人と特定するに至る間接事実が各々独立した形で少なからず存在し、そのようにして特定された請求人が犯行やそれに関連する一連の行動に及ぶことは不可能であるなどといった事情が認められないことから、請求人を本件の犯人と認定・判断したものであるところ、本件再審請求審において弁護人が提出した各証拠は、確定判決等が判断の根拠とした間接事実等の認定や評価に影響を及ぼすようなものではないから、請求人を犯人であると認めた確定判決等の事実認定に合理的な疑いは生じ得えないとして、本件再審請求を棄却した事例。
2018.06.05
間接強制申立却下決定に対する執行抗告事件
LEX/DB25560121/東京高等裁判所 平成30年 3月26日 決定 (抗告審(執行抗告))/平成30年(ラ)第216号
抗告人(死刑確定者として拘置所に収容されている者)が、平成26年4月17日及び平成28年3月30日、相手方(国)に対し、再審請求の打合せを目的とする弁護士との面会につき、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律121条に基づき、職員を立ち会わせる措置を執る旨の処分をすることの仮の差止め等を申し立てたところ、東京地方裁判所は、平成28年12月14日、各基本事件について、再審請求の打合せを目的とする抗告人と弁護士との面会につき、仮に,職員を立ち会わせる措置を執る旨の処分をしてはならない旨の決定をしたが、本件は、抗告人が、東京拘置所長において、前記決定が相手方に送達された後である平成28年12月16日、同月22日、平成29年2月15日、同年3月2日、同月27日及び同年4月3日、同決定に反して、抗告人と再審請求の打合せを目的とする弁護士との面会につき、職員を立ち会わせる措置を執った旨主張して、間接強制の裁判を求める旨の申立てをしたところ、原審は、抗告人の本件申立てを不適法であるとして却下したことから、これに不服の抗告人が抗告をした事案において、抗告人の本件申立ては不適法であるからこれを却下すべきであるところ、これと同旨の原決定は相当であるとして、抗告を棄却した事例。
2018.05.22
邸宅侵入、公然わいせつ被告事件
LEX/DB25449452/最高裁判所第一小法廷 平成30年 5月10日 判決 (上告審)/平成29年(あ)第882号
被告人は、正当な理由がないのに、他人が看守するマンションに、1階オートロック式の出入口から住人に追従して侵入し、1階通路で、不特定多数の者が容易に認識し得る状態で、自己の陰茎を露出して手淫し、引き続き、2階通路で、同様の状態で、自己の陰茎を露出して手淫した上、射精し、公然とわいせつな行為をしたとした事件で、被告人は犯人との同一性を争ったが、第1審判決は、本件現場で採取された精液様の遺留物(本件資料)について実施されたDNA型鑑定(鈴木鑑定)を踏まえ、以下のとおり被告人を犯人と認めて、公訴事実どおりの犯罪事実を認定し、被告人を懲役1年に処したため、被告人が事実誤認を理由に控訴し、原判決は、被告人と犯人との同一性については合理的疑いが残るとして、第1審判決を破棄し、被告人に対し無罪を言い渡し、検察官が上告した事案において、原判決が、本件資料は1人分のDNAに由来し、被告人のDNA型と一致する旨の鈴木鑑定の信用性には疑問があるとし、被告人と犯人との同一性を否定したのは、証拠の評価を誤り、ひいては重大な事実の誤認をしたというべきであり、これが判決に影響を及ぼすことは明らかであり、原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認められるとして、原判決を破棄し、本件控訴を棄却した事例。
2018.04.10
大崎事件第3次再審請求開始決定に対する即時抗告棄却決定
「新・判例解説Watch」刑事訴訟法分野 7月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25549643/福岡高等裁判所宮崎支部 平成30年 3月12日 決定 (抗告審(即時抗告))/平成29年(く)第19号
請求人が、殺人、死体遺棄被告事件(いわゆる大崎事件)で懲役10年に処せられた確定判決について、第3次再審請求をし、請求審における新証拠である鑑定及び新鑑定は、確定審、第1次再審請求及び第2次再審請求において提出された全証拠と併せて総合評価すれば、請求人の本件犯行への関与を認定した確定判決の事実認定には合理的な疑いがあるとし、原決定の再審開始決定に対し、検察官から即時抗告をした事案において、P2鑑定が確定審において提出されていた場合、その立証命題に関連する旧証拠に及ぼす影響により、確定1審判決の事実認定は維持し得なくなり、新旧全証拠をもってしても確定1審判決の認定した殺人、死体遺棄の事実を認定するに十分な証拠はないこととなり、新証拠であるP2鑑定は、新旧全証拠との総合判断により、確定1審判決の認定した殺人、死体遺棄の事実認定に合理的疑いを生じさせるに足りる証拠であると認められ、刑事訴訟法435条6号所定の「無罪を言い渡すべきことが明らかな証拠」に該当し、検察官の本件即時抗告を棄却した事例。
2018.04.10
覚せい剤取締法違反被告事件
(かばん無断で捜索 違法認定し逆転無罪 覚醒剤所持を巡る事件)
LEX/DB25549551/東京高等裁判所 平成30年 3月 2日 判決 (控訴審)/平成29年(う)第1845号
被告人が、営利の目的で、千葉県富里市内の駐車場で、覚せい剤10.078グラムを所持したとの事実を認定し、被告人を懲役4年及び罰金50万円に処した第1審判決に対し、被告人が控訴した事案において、本件における無令状捜索の違法の程度は重大であって、将来の違法捜査の抑制の見地からしても、本件覚せい剤等の証拠能力は否定されるべきものであり、本件覚せい剤に関する本件鑑定書も同様に証拠能力を欠くものであるとし、そうすると、本件覚せい剤及び本件鑑定書の証拠能力を肯定した原審の訴訟手続には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があるとして、原判決を破棄し、被告人に無罪を言い渡した事例。
2018.03.27
LEX/DB25549506/仙台高等裁判所 平成30年 2月28日 決定 (抗告審(即時抗告))/平成26年(く)第24号
准看護師であった請求人が、当時勤務していた医療法人クリニックで、診療を受けていた5名の患者に対し、それぞれ点滴が行われていた際、未必の殺意をもって、点滴ルートを介して、呼吸抑制を引き起こす筋弛緩剤マスキュラックス溶液を各体内に注入して容体を急変させ、うち1名を死亡させて殺害し、他の4名については殺害に至らなかったという、殺人1件及び殺人未遂4件からなるとした事件で、第1審で無期懲役の有罪判決となり、控訴審、上告審も棄却され、第1審の確定判決に対する再審請求をしたが棄却決定となったため、請求人から即時抗告の申立てをした事案において、新証拠の大学教授(当時)医師作成の意見書が、刑事訴訟法435条6号所定の無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たらないとした原決定の結論に誤りはないとして、即時抗告を棄却した事例。
2018.03.13
現住建造物等放火被告事件
LEX/DB25549403/東京高等裁判所 平成30年 2月 9日 判決 (控訴審)/平成29年(う)第1510号
被告人が、bほか4名が現に住居に使用する鉄筋コンクリート造陸屋根倉庫併用住宅(延べ床面積約141.78平方メートル)に放火しようと考え、同住宅倉庫内で、何らかの方法で点火して火を放ち、その火を同倉庫の木製窓枠に燃え移らせ、前記倉庫併用住宅の一部を焼損(焼損面積合計約0.85平方メートル)したとして、原判決は有罪としたところ、弁護人は、本件放火の犯人は被告人ではないのに、原判決が、被告人が犯人であると認定している点で、事実誤認があるなどとして控訴した事案において、被告人の服装や使用自転車の特徴が特異とはいえず、被告人の居住場所付近で自転車を止めたとはいっても、同所での行動が明らかでない以上、偶然、被告人と似た服装をし、被告人使用自転車と同様の特徴を有する自転車に乗った第三者が、被告人の居住場所付近で自転車を止めた可能性を払拭できず、このほか、原審記録を精査しても、被告人が犯人でないとしたならば合理的に説明することができない、あるいは、少なくとも説明が極めて困難である事実関係を認めることはできないとし、被告人を犯人と認めた原判決の判断は、証拠の評価を誤ったものであり、論理則・経験則等に照らし、著しく不合理なものというほかなく、原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認があるといわなければならないとして、原判決を破棄し、被告人に対し無罪を言い渡した事例。
2018.03.13
再審請求棄却決定に対する即時抗告事件
(飯塚事件再審請求棄却決定に対する即時抗告棄却決定)
LEX/DB25549362/福岡高等裁判所 平成30年 2月 6日 決定 (抗告審(即時抗告))/平成26年(く)第56号
亡死刑囚に対する死体遺棄、略取誘拐、殺人被告事件について、同人は死刑に処する旨の有罪判決を受け、控訴及び上告はいずれも棄却され、一審判決が確定し、同人に対し、既に死刑が執行されたものであるが、申立人(再審請求人)が再審を請求したところ、弁護人が提出した証拠はいずれも明白性が認められないとして再審請求が棄却されたため、申立人が即時抗告した事案において、論理則、経験則等に照らして不合理な点はなく、当裁判所も正当なものとして是認することができるとし、本件再審請求には刑事訴訟法435条6号の再審事由があるとはいえないとした原決定の判断に誤りはなく、即時抗告を棄却した事例。
2018.02.20
再審請求棄却決定に対する即時抗告申立事件
(人工呼吸器を外し入院患者殺害、大阪高裁が再審開始決定)
LEX/DB25549194/大阪高等裁判所 平成29年12月20日 決定 (抗告審)/平成27年(く)第411号
申立人(再審請求人)が平成17年11月29日に大津地方裁判所で殺人被告事件で懲役12年に処せられた確定判決(申立人に対する確定判決が認定した犯罪事実の概要は「被告人は、医療法人社団A会B病院に看護助手として勤務していたものであるが、同病院C階D号室において、慢性呼吸不全等による重篤な症状で入院加療中であった被害者(当時72歳)に対し、そののど元に装着された人工呼吸器の呼吸回路中にあるL字管からこれに接続するフレックスチューブを引き抜いて酸素供給を遮断し、被害者を呼吸停止の状態に陥らせ、同病室で、被害者を急性低酸素状態により死亡させて殺害した」というもの)に対する再審請求をし、原決定は、刑事訴訟法435条6号に規定する証拠には該当しないとして請求を棄却したため、申立人が即時抗告した事案において、弁護人提出の新証拠により、被害者の死因が酸素供給途絶にあるとする確定判決が依拠したd鑑定等の証明力は減殺され、被害者が自然死した合理的な疑いが生じたというべきであり、原決定は、d鑑定等の証明力の程度に関する判断を誤り、その結果、新証拠等の証明力の評価を誤って事実を誤認したものといわざるを得ないとし、弁護人が原審に提出した新証拠のうち死因(致死的不整脈)に関する証拠に明白性を認めなかった原決定の判断を是認することはできず、当審に提出された証拠も併せて検討すると、申立人が本件の犯人であると認めるには合理的な疑いが残っているとして、原決定を取消し、本件について再審開始を決定した事例。
2018.01.16
傷害、銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件
LEX/DB25548218/仙台高等裁判所 平成29年10月31日 判決 (控訴審)/平成29年(う)第130号
被告人が、〔1〕駅のプラットホームにおいて、見知らぬ女性の背後から千枚通し様の先端が鋭利な凶器でその背中を1回突き刺して傷害を負わせたといういわゆる通り魔的な傷害の事案、及び〔2〕折りたたみ式ナイフ2本をトートバッグ内に入れて携帯したという銃砲刀剣類所持等取締法違反の事案の控訴審において、被告人は、本件犯行当時、広汎性発達障害の影響を受けてはいたもののその影響は大きいものではなく、善悪を判断する能力や自己の行動を制御する能力が著しく低下していたとはいえないから、完全責任能力を有していたと認められ、原判決に事実の誤認はなく、また、広汎性発達障害に罹患しており、行動の前の緩衝材ともいえる想像力や共感性の欠如が傷害の犯行に影響を与えていた可能性があることなどの原判決が説示するところの酌むべき事情や、その他所論が主張するところを十分考慮しても、本件は刑の執行を猶予するのが相当な事案であるとはいえず、被告人を懲役3年6月に処した原判決の量刑は刑期の点も含めて相当であって、これが重過ぎて不当であるとはいえないとして、被告人の控訴を棄却した事例。
2018.01.16
国家賠償請求控訴事件(面会不許可訴訟 第2審も国が敗訴)
LEX/DB25547531/名古屋高等裁判所 平成29年10月 5日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第480号
岐阜刑務所長が岐阜刑務所に収容中の受刑者である控訴人P1とそれ以外の控訴人ら8名との間の各面会を不許可としたことについて、控訴人らが、これらの処分は、いずれも岐阜刑務所長の裁量権の範囲を逸脱し又は裁量権を濫用した違法なものであると主張して、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、それぞれ損害賠償を請求した第1事件と、控訴人P1との信書発受を禁じた処分によって生じた損害について、控訴人P1及び控訴人P4らが国賠法1条1項に基づく損害賠償を求めた第2事件からなる事案の控訴審において、本件面会不許可処分は、1審原告P7との面会を除き、刑事収容施設法111条2項に関する岐阜刑務所長の裁量権の範囲を逸脱又は濫用したものであり、少なくとも1審原告P1との関係では、国家賠償法1条1項の適用上も違法な処分というべきであるなどとして、1審原告P7を除く1審原告らの請求を一部認容した事例。
2018.01.09
殺人未遂幇助被告事件
LEX/DB25449154/最高裁判所第一小法廷 平成29年12月25日 決定 (上告審)/平成28年(あ)第137号
オウム真理教による平成7年の東京都庁郵便小包爆破事件に関与したとして、元信徒の被告人が、殺人未遂と爆発物取締罰則違反の幇助罪に問われたところ、第1審判決は、爆発物製造及び爆発物使用の罪については幇助の意思が認められないから、その幇助罪は成立せず、殺人未遂罪については、幇助の意思が認められ、同罪の幇助罪が成立するとして、被告人に対し懲役5年に処したが、原判決は、被告人が本件当時、本件殺人未遂幇助の意思を有していたとの原判決の認定は、経験則、論理則に反する不合理な推論に基づくものであり、原判決の認定した幇助行為を被告人が行った際、正犯者らが人を殺傷するテロ行為を行うことを認識してこれを幇助したものと認めるにはなお合理的な疑いが残るといわざるを得ず、第1審判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認があるとして、第1審判決を破棄し、被告人に対し無罪を言い渡したため、検察官が上告した事案において、原判決は、間接事実からの推論の過程が説得的でないなどとして、第1審判決が説示する間接事実の積み重ねによって殺人未遂幇助の意思を認定することはできないとしたものであり、第1審判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認があり、控訴審で破棄を免れないものであったことに照らすと、第1審判決を破棄し,被告人に対し無罪の言渡しをした原判断は、結論において是認することができるとして、上告を棄却した事例。
2018.01.09
再審請求棄却決定に対する即時抗告の決定に対する特別抗告事件
LEX/DB25449157/最高裁判所第一小法廷 平成29年12月25日 決定 (特別抗告審)/平成27年(し)第587号
a社の実質経営者A及び友人Bと共謀の上、同社の財産に対する徴収職員からの滞納処分の執行を免れる目的で,真実はBに譲渡した事実はないのに,同社が経営する風俗営業店5店舗の営業をBに譲渡したかのように装って同社の財産を隠蔽することを企て、〔1〕4回にわたり,不動産賃貸借契約に関し同社が返還を受け得る賃借保証金債権をBに仮装譲渡し、〔2〕本件店舗の営業主体が同社からBに変更されたかのように装って、79回にわたり、クレジット会社の係員をして、aに帰属すべきクレジット売上金をB名義の口座に振込入金させ、滞納処分の執行を免れる目的で財産を隠蔽した事件で、第1審で、請求人は、A及びBとの共謀の事実を否認し、A公判廷供述やB捜査段階供述の信用性等を争ったが、神戸地裁は、請求人から財産隠蔽のやり方を教えてもらい仮装譲受人としてBを提案された旨のA公判供述、請求人から仮装譲受人になる話を持ち掛けられ了承した旨のB捜査段階供述の信用性を肯定し、共謀の事実を認定した上、請求人を懲役1年6月,執行猶予3年に処したため、請求人は控訴したが、大阪高裁は、控訴棄却の判決を受け、最高裁でも上告棄却の決定を受け、第1審判決は確定(確定判決)したが、請求人は、無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したとして、確定判決に対する再審を請求し、新証拠として、Aの陳述書等を提出したが、無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したとは到底認められないとして、再審請求を棄却する旨の決定(原々決定)をしたため、請求人からの即時抗告を受けた原審は、事実の取調べとしてAの証人尋問(新証人尋問)を実施した上で、原々決定を取消し、再審を開始する旨の決定(原決定)をしたため、最高裁に特別抗告した事案において、A新供述は、A公判供述の信用性を動揺させるものではなく、その余の新証拠を考え併せてみても、確定判決の事実認定に合理的な疑いを抱かせるに足りるものとはいえず、A新供述等の新証拠が、請求人に対し無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たるとした原判断には、刑事訴訟法435条6号の解釈適用を誤った違法があるといわざるを得ず、原決定を取り消し、即時抗告を棄却した事例。
2018.01.09
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律による医療の終了の申立て及び退院の許可の申立て各棄却決定に対する各抗告棄却決定に対する再抗告事件
LEX/DB25449158/最高裁判所第一小法廷 平成29年12月25日 決定 (再抗告審)/平成29年(医へ)第20号 等
検察官は、対象者が夫と共に居住していた自宅を焼損したが、その際心神耗弱の状態にあったと認めて公訴を提起しない処分をし、地方裁判所に対し、前記行為を対象行為として対象者について医療観察法33条1項の申立てをし、今後服薬を継続するとともに心理社会的な治療を受けることによりその改善の見込みがあり、対象者に対しては手厚い医療が必要であるなどとし、通院による医療の確保は困難であるとして、対象者に対し、入院による医療を受けさせる旨決定し、その後、原々審に対し、対象者から医療観察法による医療の終了の申立てがされ、翌日には指定入院医療機関の管理者から退院の許可の申立てがあり、各申立てを棄却したが(各原々決定)したため、対象者及び指定入院医療機関の管理者がそれぞれ抗告を申し立てたが、原審は、各原々決定と同旨の判断を示して各抗告を棄却した(各原決定)ため、対象者及び指定入院医療機関の管理者がそれぞれ再抗告を申し立てた事案において、各原々決定には、医療観察法51条1項の解釈適用を誤り、本件意見の合理性・妥当性の審査を尽くすことなくこれを排斥した点で、審理不尽の違法があり、これを維持した各原決定にも同様の違法があるというべきであり、この違法は各原決定に影響を及ぼし、各原決定を取り消さなければ著しく正義に反するものと認められるとして、医療観察法71条2項により、各原決定及び各原々決定を取消し、現在の対象者の状態や治療可能性等に関する審理を尽くした上で同法による医療の終了等の可否を判断させるため、各事件を原々審である地方裁判所に差し戻した事例。
2018.01.09
医療を受けさせるために入院をさせる旨の決定に対する抗告棄却決定に対する再抗告事件
LEX/DB25449140/最高裁判所第三小法廷 平成29年12月18日 決定 (再抗告審)/平成29年(医へ)第16号
医療を受けさせるために入院をさせる旨の決定に対し、抗告したが棄却決定となったため、再抗告した事案において、医療観察法の目的の正当性、同法の規定する処遇及びその要件の必要性、合理性、相当性、手続保障の内容等に鑑みれば、医療観察法による処遇制度は、憲法14条、22条1項に違反するものではなく、憲法31条の法意に反するものということもできないとして、抗告を棄却した事例。