注目の判例

環境法

2017.12.19
協定遵守請求事件
「新・判例解説Watch」H30.2月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25449049/名古屋地方裁判所 平成29年10月27日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第3609号
漁業協同組合である原告が、電気事業を営む株式会社であり、火力発電所を保有、運転している被告に対し、火力発電所の運転による水温の上昇等の影響で、原告の漁獲量が減少し、損害が発生しているなどとし、原告と被告との間で締結された協定書に基づき、主位的に、原告と別紙協議目録記載の事項について協議することを求め、予備的に、被告が原告に対し同協議に応ずる義務を負うことの確認を求めた事案において、本件協定書に基づく協議対象は、本件協定書締結当時に建設が予定されていたA火力発電所5号機及びB火力発電所4・5号機の建設及び操業に関する事項に限られると解されるところ、次期石炭灰処分場建設計画は、B火力発電所4・5号機の操業に関する事項に当たり、本件協定書に基づく協議の対象に当たると解するのが相当であるとし、予備的請求を一部認容した事例。
2017.09.26
障害補償費不支給決定取消等請求事件
「新・判例解説Watch」H29.12月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448889/最高裁判所第二小法廷 平成29年 9月 8日 判決 (上告審)/平成28年(行ヒ)第371号
水俣病の認定を受けた被上告人(原告・控訴人)が、公害健康被害の補償等に関する法律(公健法)に基づく障害補償費の支給を請求したところ、熊本県知事から、被上告人の健康被害に係る損害は損害賠償請求訴訟の結果、原因者により全て填補されているとして、障害補償費の不支給処分の決定を受けたため、上告人(被告・被控訴人。熊本県)を相手に、その取消し等を求め、原審が、第1審判決を取り消したため、上告人が上告した事案において、被上告人は、原因者であるチッソに対して、被上告人の水俣病による健康被害に係る損害につき損害賠償請求訴訟を提起したものであるところ、前訴確定判決は同損害の全てについての賠償をチッソに命じたものと解されるから、被上告人がこれに基づく損害賠償金を受領したことにより、熊本県知事は、被上告人に対する公健法に基づく障害補償費の支給義務の全てを免れたものであり、本件不支給処分が公健法13条1項に違反するものということはできないとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼす明らかな法令の違反があるとし、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、公害健康被害認定審査会の意見を聴かないことにより本件不支給処分が違法になる旨の被上告人の主張に理由がないことも明らかであり、被上告人の同処分の取消請求は理由がないから、これを棄却した第1審判決は是認することができ、被上告人の控訴を棄却した事例。
2017.07.18
玄海原子力発電所3号機再稼働差止仮処分申立事件(第1事件)、玄海原子力発電所4号機再稼働差止仮処分申立事件(第2事件)
LEX/DB25448731/佐賀地方裁判所 平成29年 6月13日 決定 (第一審)/ 平成23年(ヨ)第21号 等
第1事件債権者らが、人格権又は環境権に基づき、債務者(電気事業会社)が設置している玄海原子力発電所3号機の運転の差止めを命ずる仮処分命令を申し立てた事案(第1事件)、第2事件債権者らが、人格権又は環境権に基づき、債務者(電気事業会社)が設置している玄海原子力発電所4号機の運転の差止めを命ずる仮処分命令を申し立てた事案(第2事件)において、債務者が、基準地震動の合理性及び配管の安全性について相当の根拠、資料に基づき疎明したということができ、債権者らの疎明を検討しても、本件各原子炉施設の安全性に欠けるところがあるとは認められないから、債務者が本件各原子炉施設を運転することにより、債権者らの人格権を侵害するおそれがあるとは認められず、本件各申立てに係る被保全権利の疎明があるということはできないなどとして、第1事件及び第2事件の本件各申立てをいずれも却下した事例。
2017.07.04
伊方原発3号機運転差止仮処分命令申立事件(第1事件、第2事件)
LEX/DB25545650/広島地方裁判所 平成29年 3月30日 決定 (第一審)/平成28年(ヨ)第38号 等
伊方原発3号機の運転差止仮処分命令を申立てた第1事件及び第2事件の各債権者らにおいて、債務者が設置、運転している発電用原子炉施設である伊方発電所3号炉及びその附属施設は、地震、火山の噴火、津波等に対する安全性が十分でないために、これらに起因する過酷事故を生じる可能性が高く、そのような事故が起これば外部に大量の放射性物質が放出されて債権者らの生命、身体、精神及び生活の平穏等に重大かつ深刻な被害が発生するおそれがあるとして、債務者に対し、人格権に基づく妨害予防請求権に基づき、本件原子炉の運転の差止めを命じる仮処分を申し立てた事案において、基準地震動の策定、耐震設計における重要度分類、使用済燃料ピット等の安全対策、地すべりと液状化現象による危険性の評価、制御棒挿入に係る危険性の評価、基準津波の策定、火山事象の影響による危険性の評価、テロリズム対策、シビアアクシデント対策のそれぞれにつき、新規制基準の定めが不合理であるということはできないし、本件原子炉施設が上記の各点につき新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断が不合理であるともいえないなどとし、第1事件及び第2事件の各債権者らの申立てをいずれも却下した事例。
2017.07.04
仮処分命令認可決定に対する保全抗告事件
LEX/DB25545751/大阪高等裁判所 平成29年 3月28日 決定 (抗告審)/平成28年(ラ)第677号
滋賀県内に居住する相手方(債権者)らが、原子力発電所を設置している抗告人(債務者。電力会社)に対し、各原発が耐震性能に欠け、津波による電源喪失等を原因として周囲に放射性物質汚染を惹起する危険性を有する旨主張して、人格権に基づく妨害(予防)排除請求権に基づき、各原発を仮に運転してはならないとの仮処分を申し立て、これを認容する原決定をがなされたため、抗告人が保全異議の申立てをし、原審が原決定を認可したのに対し抗告人が保全抗告をした事案において、各原発の安全性が欠如していることの疎明があるとはいえないとして、原決定を取り消し、相手方らの仮処分申立てを却下した事例。
2017.06.27
補償協定上の地位確認請求事件 
「新・判例解説Watch」H29.9月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25545811/大阪地方裁判所 平成29年 5月18日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第11819号
水俣病の認定を受けたd及びeの各相続人である原告らが、水俣病を発生させた企業である被告と水俣病患者東京本社交渉団との間で昭和48年7月9日に締結された水俣病補償協定に基づき、被告に対し、本件協定に基づく補償を受けられる等の協定上の権利を有する地位にあることの確認を求めた事案において、本件協定の本文第三項の「認定された患者」に該当するためには、その文言のとおり水俣病の認定を受けたことのみで足り、それ以外の要件は付されていないというべきであるとし、dらは、本件協定の本文第三項の「認定された患者」に該当し、dらの権利義務を承継した原告らは、受益の意思表示をしていることから、被告に対して本件協定に基づく補償給付を求めることができる地位を有すると認め、原告の請求を認容した事例。
2017.06.06
嘉手納基地爆音差止等請求事件 
「新・判例解説Watch」H29.6月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25545477/那覇地方裁判所沖縄支部 平成29年 2月23日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第245号
本件飛行場の周辺に居住し、若しくは居住していた者又はその相続人である原告らが、本件飛行場において離着陸するアメリカ合衆国の航空機の発する騒音により健康被害を受けていると主張して、日米安保条約及び日米地位協定に基づいてアメリカ合衆国に本件飛行場を提供している被告に対し、人格権、環境権又は平和的生存権に基づき、毎日午後7時から翌日午前7時までの間における本件飛行場における航空機の離発着禁止等を求めた事案において、本件飛行場の航空機の運航等によって、原告らは相当に大きな騒音に曝露され、少なくとも本件コンター上、W75以上を超える区域に居住する原告らについては法的保護に値する重要な利益の侵害があると認められること等、特に本件コンター上W95以上の地域については、航空機騒音対策緊急指針において緊急に対策を講じるべきとされた強度の騒音曝露状況が現在も続いている等として、原告の請求を一部認容した事例。
2017.04.04
損害賠償等請求事件 
「新・判例解説Watch」H29.6月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448466/神戸地方裁判所 平成29年 2月 9日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第1195号
被告の運営する保育園の近隣に居住する原告が、園児が園庭で遊ぶ際に発する声等の騒音が受忍限度を超えているなどと主張し、被告に対し、不法行為による損害賠償を求めるとともに、人格権に基づき、保育園の敷地境界線上において保育園からの騒音が50dB(LA5)以下となるような防音設備の設置を求めた事案において、原告が保育園からの騒音により精神的・心理的不快を被っていることはうかがえるものの、原告宅で測定される保育園の園庭で遊戯する園児の声等の騒音レベルが、未だ社会生活上受忍すべき限度を超えているものとは認められず、不法行為を基礎づける程度の違法があるということはできないとして、原告の請求を棄却した事例。
2017.02.21
環境権等に基づく差止請求事件(第1事件、第2事件) 
「新・判例解説Watch」H29.4月中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25544858/大分地方裁判所 平成28年11月11日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第29号 等
大分県由布市湯布院町の塚原地区に居住し又は旅館等の経営をする原告らが、被告会社らの太陽光発電事業計画の実施により、当該土地上にメガソーラー設備が設置されるなどすると、原告らの有する人格権(塚原地区の景観を含む自然環境を享受する権利)及び塚原地区の景観に対する景観利益並びに営業権が侵害されると主張して、被告会社らに対し、それらの権利に基づき、メガソーラー設備の設置等の開発行為等の差止めを求めた事案において、上記開発行為は景観利益を違法に侵害するもので、差止められるべき旨の原告らの主張は理由がないとし、また、原告らの営業権に基づく上記開発行為の差止請求には理由がないとし、原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2016.12.27
地方自治法251条の7第1項の規定に基づく不作為の違法確認請求事件 
LEX/DB25448341/最高裁判所第二小法廷 平成28年12月20日 判決 (上告審)/平成28年(行ヒ)第394号
日本国とアメリカ合衆国との間で返還の合意がされた沖縄県宜野湾市所在の普天間飛行場の代替施設を同県名護市辺野古沿岸域に建設するための公有水面の埋立事業につき、沖縄防衛局が、前知事から公有水面の埋立承認を受けていたところ、被告(上告人。県知事)が本件埋立承認は違法であるとしてこれを取り消したため、原告(被上告人。国土交通大臣)が、沖縄県に対し、本件埋立承認取消しは違法であるとして、地方自治法245条の7第1項に基づき、本件埋立承認取消しの取消しを求める是正の指示をしたものの、被告が、本件埋立承認取消しを取り消さず、法定の期間内に地方自治法251条の5第1項に定める是正の指示の取消しを求める訴えの提起もしないことから、地方自治法251条の7第1項に基づき、被告が上記指示に従って本件埋立承認取消しを取り消さないことが違法であることの確認を求め、原審は、被告が、適法な指示に従わず、本件埋立承認取消しを取り消さないのは違法であるとし、原告の請求を認容したため、被告が上告した事案において、被告が上記指示に係る措置として本件埋立承認取消しを取り消さないことは違法であるとし、原告の請求を認容した原審の判断は、結論において是認することができるとして、上告を棄却した事例。
2016.12.20
各航空機運航差止等請求事件 
「新・判例解説Watch」H29.2月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448308/最高裁判所第一小法廷 平成28年12月 8日 判決 (上告審)/平成27年(行ヒ)第512号 等
神奈川県内に所在し、海上自衛隊及び米海軍が使用する施設である厚木海軍飛行場の発する騒音により精神的及び身体的被害を受けていると主張して、上告人(1審被告)に対し、行政事件訴訟法に基づき、主位的には厚木基地における一定の態様による自衛隊機及び米軍機の運航の差止めを、予備的にはこれらの運航による一定の騒音を被上告人(1審原告)らの居住地に到達させないこと等を求めた事案の上告審において、1審原告らの自衛隊機に関する主位的請求(運航差止請求)は,理由がないから棄却を免れないところ,これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決中、1審原告らの主位的請求の認容部分は破棄し、1審原告らの自衛隊機に関する予備的請求に係る訴えは、いずれも主位的請求に係る訴えと実質的に同内容のものを当事者訴訟の形式に引き直して予備的に併合提起したものにすぎず、このような訴えを許容することは相当でないから、予備的請求に係る訴えのうち、原判決における主位的請求の認容部分と予備的併合の関係にある部分は、いずれも不適法として却下し、1審原告らのその余の請求に関する上告については、上告受理申立て理由が上告受理の決定において排除されたので、棄却した事例。
2016.08.23
水俣病認定申請棄却処分取消等請求事件(第1事件、第2事件、第3事件)
「新・判例解説Watch」H28.10中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25543242/新潟地方裁判所 平成28年 5月30日 判決 (第一審)/平成25年(行ウ)第26号 等
新潟市長が、原告q13の公害健康被害の補償等に関する法律5条、4条2項及び3項の規定に基づく水俣病認定申請並びに原告q13を除く原告らの公害健康被害の補償等に関する法律4条2項及び3項の規定に基づく水俣病認定申請をいずれも棄却した各処分に対し、原告らが、被告(新潟市)に対し、上記各処分の取消しを求めるとともに、原告q13が、同法5条,4条2項及び3項に基づき、亡q4が、かかっていた疾病が公害健康被害の補償等に関する法律施行令1条に基づく別表第2の1の新潟県の区域のうち、新潟市の区域に係る水質の汚濁の影響による水俣病である旨の認定を受けることができる者であった旨の決定をすることの義務付けを、原告q13を除く原告らが、同法4条2項及び3項に基づき、同原告らがかかっている疾病が上記区域に係る水質の汚濁の影響による水俣病である旨の認定をすることの義務付けを求めた事案において、〔1〕原告q5、原告q6、原告q7、原告q8、原告q10、原告q11及び原告q12の請求を認容し、〔2〕それ以外の原告らの訴えのうち、公健法上の水俣病認定の義務付け請求に係る部分はいずれも不適法であるとして却下し、その余の請求を棄却した事例。
2016.06.28
県営路木ダム事業に係る公金支出差止等請求控訴、同附帯控訴事件 
「新・判例解説Watch」H28.8下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25542900/福岡高等裁判所 平成28年 4月25日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第17号 等
熊本県の住民である原告(被控訴人)らが、治水及び利水の必要を欠くなど路木川河川総合開発事業路木ダム建設事業は違法であり、同事業に係る契約の締結又は債務その他の義務の負担行為並びに公金の支出も違法であると主張して、熊本県の執行機関である被告(控訴人)に対し、〔1〕地方自治法242条の2第1項1号に基づき上記支出等の差止めを求めるとともに、〔2〕同法242条の2第1項4号本文に基づき、熊本県知事は本件支出等をしてはならない財務会計法規上の義務を負っていたにもかかわらずこれを怠って上記事業を継続し、その結果、平成20年4月1日から同25年11月20日までの間に上記事業に係る事業費として計19億9037万0293円を支出させ、同額相当の損害を熊本県に被らせたとして県知事に対し損害賠償請求をすることを求めた住民訴訟で、原判決は、上記差止請求のうち、原審の口頭弁論の終結日である平成25年11月20日までに終了した上記支出等の差止めを求める部分を不適法として却下し、判決確定時までに支払義務が生じた公金の支出を除く部分の差止めを認め、損害賠償請求を含むその余の請求をいずれも棄却したため、被告が上記差止請求の敗訴部分を不服として控訴し、他方、原告らが原判決中の敗訴部分のうち上記損害賠償請求に係る部分を不服として附帯控訴した事案において、原告らの請求のうち、当審の審判対象である判決確定後の事業支出に係る上記差止請求は訴えの利益を欠くから不適法であり却下を免れないとし、また、上記損害賠償請求は理由がないので棄却すべきであり、これと一部異なる原判決は失当であるとして、被告の本件控訴に基づき原判決中被告の敗訴部分を取り消し、他方、原告らの本件附帯控訴をいずれも棄却した事例。
2016.05.31
原発再稼働禁止仮処分申立事件
「新・判例解説Watch」H28.6下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25542439/大津地方裁判所 平成28年 3月 9日 決定 (第一審)/平成27年(ヨ)第6号
滋賀県内に居住する債権者らが、福井県大飯郡において原子力発電所である高浜発電所3号機及び同4号機(本件各原発)を設置している債務者に対し、人格権に基づく妨害予防請求権に基づき、本件各原発を仮に運転してはならないとの仮処分を申し立てた事案において、債務者の保全段階における主張及び疎明の程度では、新規制基準及び本件各原発に係る設置変更許可が、直ちに公共の安寧の基礎となると考えることをためらわざるを得ないなどとして、本件各原発の運転差止めを命じた事例。
2015.11.17
開門等請求控訴事件
「新・判例解説Watch」H27.12下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25541157/福岡高等裁判所 平成27年 9月 7日 判決 (控訴審)/平成23年(ネ)第771号
〔1〕国営諫早湾土地改良事業の施行、特に、同事業において諫早湾干拓地潮受堤防が建設され、同湾の湾奥部の海洋部分が締め切られたことによって漁業被害を受け、漁業行使権(漁業法8条1項にいう「漁業を営む権利」)を侵害されたとする開門請求1審原告らが、その漁業被害を最低限度回復させるために必要があるとして、1審被告(国)に対し、上記権利から派生するとされる物権的請求権に基づき、上記潮受堤防の北部及び南部に設置されている各排水門について、同堤防で締め切られた調整池内に諫早湾の海水を流入させ、海水交換が行われるような開門操作をするよう求めたほか、〔2〕開門請求1審原告ら及び大浦1審原告らが、1審被告において上記事業を実施したこと及び上記開門操作を行わないことは、1審原告らに漁業被害を及ぼしその漁業行使権を侵害するものとして国家賠償法上違法であり、また、1審被告が上記開門操作を行わないことは、上記事業の実施に先立って漁業補償契約が締結された際に1審原告らと1審被告との間で成立した、同事業の実施後も1審原告らが漁業を営めるようにするという合意に反する行為であって、これにより1審原告らの漁業行使権が侵害されている旨主張し、1審被告に対し、国家賠償法1条1項又は債務不履行による損害賠償として1人につき605万円、及び上記開門操作がされるに至るまで年50万円の割合による金員、並びに上記605万円に対する遅延損害金の支払を求め、原判決は、1審原告らの請求中、一部却下、一部認容、一部棄却したため、開門請求1審原告らと控訴人大浦1審原告ら及び1審原告Z1並びに1審被告が、上記各敗訴部分を不服として双方が控訴した事案において、原判決中、被控訴人大浦1審原告ら及び1審原告Aの請求を認容した部分(1審被告敗訴部分)は不当であるから、1審被告の控訴に基づいてこれを取消した上、この部分に係る被控訴人ら及び1審原告Aの請求をいずれも棄却するとともに、控訴人ら並びに1審原告Aの控訴をいずれも棄却するとした事例。
2015.11.17
内海ダム再開発事業公金支出差止等請求住民訴訟事件(第1事件、第2事件)(内海ダム訴訟)
LEX/DB25541113/高松地方裁判所 平成27年 6月22日 判決 (第一審)/平成22年(行ウ)第7号等
香川県の住民である第1事件原告らが、香川県及び小豆島町が起業者である「二級河川別当川水系別当川内海ダム再開発工事並びにこれに伴う県道及び町道付替工事」は治水、利水目的に鑑みても不要であり、安全性にも問題がある上、周辺の景観・環境を損なうことにより失われる利益は重大であるから、同事業に係る公金の支出は違法であるとして、香川県の執行機関である第1事件被告に対し、地方自治法242条の2第1項1号に基づき、同事業に係る公金の支出の差止めを求めるとともに、同項4号本文に基づき、同事業に係る公金の支出を行った香川県の前知事及び現知事に対する不法行為に基づく損害賠償請求を求め(第1事件)、小豆島町の住民である第2事件原告らが、上記と同様の理由で同事業に係る公金の支出は違法であるとして、小豆島町の執行機関である第2事件被告に対し、同項1号に基づき、同事業に係る公金の支出の差止めを求めるとともに、同項4号本文に基づき、同事業に係る公金の支出を行った小豆島町の前町長及び現町長に対する不法行為に基づく損害賠償請求を求めた(第2事件)住民訴訟において、原告らは、本件事業が治水及び利水目的に鑑みても不必要である上、安全性にも問題があり、周辺の景観・環境を損なうことにより失われる利益は重大であるとして、このような合理性を欠く本件事業に係る本件各公金の支出は地方財政法4条1項、地方自治法2条14項に違反し違法であると主張しているが、本件全証拠によっても原告らの主張を認めるには足りないとし、また、本件整備計画についても上記と同様の理由で違法であり、その違法性が本件各公金の支出に承継されるとの第1事件原告らの主張や、本件事業に係る請負契約(支出負担行為)には上記と同様の理由で違法があり、当該契約を解消できる特殊な事情があったにもかかわらず、香川県知事及び小豆島町長が行った各支出命令は財務会計法規上の義務に違反し、違法であるとの原告らの主張についても、上記と同様に本件整備計画あるいは本件事業に係る請負契約(支出負担行為)が違法であることを認めるに足りる証拠がないとして、第1事件原告ら及び第2事件原告らの各請求をいずれも棄却した事例。
2015.11.17
損害賠償請求事件(普天間騒音訴訟)
LEX/DB25541171/那覇地方裁判所沖縄支部 平成27年 6月11日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第290号等
日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に基づき、被告(国)がアメリカ合衆国に対して同国軍隊の使用する施設及び区域として提供している沖縄県宜野湾市所在の普天間飛行場の周辺に居住し若しくは居住していた者又はその相続人である原告らが、普天間飛行場において離着陸する米軍機が同飛行場周辺において発する騒音により各種の被害を受けている旨主張して、被告に対し、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う民事特別法2条に基づき、第1事件原告については平成21年7月31日、第2事件原告については同年10月1日、第3事件原告については平成22年3月18日、第4事件原告については同年11月20日(各事件の訴え提起日の3年前の応当日)から、それぞれ平成26年12月11日(口頭弁論終結の日)までの損害の賠償及び遅延損害金の支払を求めた事案において、原告らの賠償対象期間の最始期である平成21年7月31日から現在に至るまでの普天間飛行場の供用は、当該期間内にコンター内に居住し、又は居住していた原告らに対する関係において、違法な権利侵害ないし法益侵害と評価されるものであるから、その限りにおいて、普天間飛行場に民事特別法2条の設置又は管理の瑕疵があるものということができるとし、また、危険への接近の法理による免責又は減額に関する被告の主張は、いずれも採用することができないとして、原告らの本訴請求については、主文1記載の金員の支払を求める限度で理由があるから、これを認容し、その余の請求はいずれも理由がないから、これを棄却するとした事例。
2015.10.27
各航空機運航差止等請求控訴事件
「新・判例解説Watch」H28. 1下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25540973/東京高等裁判所 平成27年 7月30日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第284号
厚木基地周辺に居住する原告(控訴人兼被控訴人)らが、厚木基地に離着陸する航空機の発する騒音により身体的被害及び精神的被害を受けていると主張して、被告(控訴人兼被控訴人)国に対し、主位的に、厚木基地における自衛隊機及び米軍機の一定の態様による運行の差止め等を求め、予備的に、音量規制等を求めたところ、原審は、米軍機差止めの訴えを却下し、米軍機に関する予備的請求のうち人格権に基づく妨害排除請求権としての差止請求等の給付請求を棄却し、確認請求に係る訴えをいずれも却下し、転居原告の自衛隊機差止めの訴えをいずれも却下した一方で、厚木飛行場における自衛隊機の運航のうち夜間に行われるものは、これを差し止める必要性が相当高いとし、転居原告を除く原告らの自衛隊機差止請求を一部認容したため、原告ら及び被告が双方控訴した事案において、主位的請求に係る自衛隊機差止請求について、厚木飛行場に離着陸する航空機による騒音の発生状況が大きく変わる可能性があるとして、一定期間の差止めを認容してその余の請求を棄却し、予備的請求を却下し、その余の控訴を棄却した事例。
2015.10.20
間接強制決定変更決定に対する執行抗告事件(諫早制裁金 国の抗告棄却)
LEX/DB25540981/福岡高等裁判所 平成27年 6月10日 決定 (抗告審(執行抗告)/平成27年(ラ)第149号
諫早湾干拓地潮受堤防の排水門の開門に係る間接強制について、佐賀地方裁判所が抗告人(原審債務者)国に命じた現行の間接強制金の額では心理的な強制を加えるには不十分だとして、45名の相手方(原審債権者)ら(佐賀、長崎両県の漁業者ら)が間接強制決定の変更(強制金の増額)を求める申立てをした事案(原審は、間接強制決定のうち、各相手方に対し、遅延の期間中1日につき抗告人が支払うべき金員(1万円)を、原決定送達の日の翌日以降はそれぞれ2万円の割合による金員と変更した)の抗告審において、民事執行法172条2項の「事情の変更」については、支払予告命令発令後に生じた事情の変更に限らず、既に発した支払予告命令の不奏効の場合も含まれ、本件開放義務の内容は、防災上やむを得ない場合を除き一定期間本件各排水門を開放することだけであるから、それ自体、性質上抗告人の意思のみで履行することができるものであり、抗告人の指摘する事情によって本件開放義務を履行することが不可能であるということはできず、本件開放義務を履行することができるにもかかわらず、これを履行しない事実をもって「事情の変更」に当たるといわざるを得ないとし、また、民事執行法172条所定の間接強制金の額は、債務の履行を確保するために相当と認める一定の額であり、それは執行債権の性質、不履行により債権者が受けるべき不利益、債務者の資力、従前の履行の態様及び債務の性質に照らして、債務名義上の執行債権を実現させるため、執行裁判所が合理的裁量により決するものと解され、単に不履行によって債権者が受ける損害額のみによって決せられるものではないとして、抗告をいずれも棄却した事例。
2015.09.02
(上関原発入会権訴訟 反対派住民 敗訴確定)
LEX/DB25540653/最高裁判所第二小法廷 平成27年 6月12日 決定 (差戻上告審)/平成26年(オ)第530号等
被告会社(被控訴人・被上告人兼相手方。電力会社)は、山口県熊毛郡A町に原子力発電所を建設することを計画しており、山林(本件土地)は、同発電所の建設予定地であるところ、同町のB地区の住民であるとする原告(控訴人・上告人兼申立人)が、本件土地は、B地区の住民が入会権を有する土地であるとして、(1)被告会社及び被告住民らに対し、原告及び被告住民らが本件土地に入会権(主位的請求として共有の性質を有する入会権、予備的請求として共有の性質を有さない入会権)を有することの確認を求めるとともに、(2)被告会社に対し、入会団体の構成員が有する使用収益権に基づく本件土地の現状変更行為の差止め及び入会権に基づく原告の本件土地の使用収益行為に対する妨害禁止を求めたところ、第一審では、建設予定地について入会権の成立は認められないとして、請求をいずれも棄却したため、原告が控訴し、控訴審では、原判決は相当であるとして控訴を棄却したため、原告が上告した事案において、上告棄却及び上告不受理の決定をした事例。