TKC法律事務所実務セミナー2016 フロンティア精神で道をひらく 開催のご報告

 平成28年4月20日(水)、元日弁連会長の本林徹先生(井原・本林法律事務所)を講師にお招きし、「TKC法律事務所実務セミナー2016」を開催しました。本林先生は司法制度改革に尽力された他、森・濱田松本法律事務所の前身となる森綜合法律事務所の創設メンバーであり、企業法務全般・各種紛争解決や社外取締役などに豊富なご経験をお持ちの先生です。
 2013年から本林先生が主宰されていた「本林塾」は大好評を博し、この度その講演録が出版されたことを記念して、どのような志を立て、努力と苦労を重ねて新しい道を切り拓いてきたか、その生き様などについて本林先生の豊富なご経験と多くの活動事例を交えてご講演いただきました。

弁護士業のコアは「交渉」と「説得」 ~交渉術と成功のポイント~

井原・本林法律事務所 本林徹 弁護士

 契約交渉や和解交渉、その他どんな交渉でも成功させる最大の秘訣は、「どれだけ周到な準備をしたのか」ということに尽きると思います。

 まず、交渉で何を獲得するのか、最終獲得目標を明確にすることが大切です。そして重要な点については優先順位を付け、戦略を立てた上で交渉に臨んでください。その際、交渉でどのような論点が出てくるのか予め想定できるものについては徹底的に依頼者と議論し、答えを用意しておくことも不可欠です。さらに、相手側に関する情報については、その背景も含めて正確に持っておくことが重要です。このとき、事実の把握が不十分であったり、情勢分析の思い込みや期待感を持っている場合は交渉を失敗するリスクが高くなるため、事実関係と情景を客観的に分析できる「クールさ」を持って対応するよう心がけてください。

 交渉が決裂した時のことを想定して「どのような代替案が提示できるのか」まで考えておくとよいでしょう。柔軟性を持って対応することも交渉においてはとても重要になります。

 交渉では、①相手との信頼関係を築きながら、②情熱と人間的魅力をもって説得する、これがうまくいくことで成功する可能性が非常に高まるでしょう。

これからの弁護士としてどう活動すべきか

「本林塾講演録-新時代を切り拓く弁護士」(商事法務刊・定価2,500円/税別)

【サブテキスト】
「本林塾講演録-新時代を切り拓く弁護士」
(商事法務刊・定価2,500円/税別)

 今の時代、社会経済ニーズや法規制増加による複雑化によって弁護士の業務の幅は広がっています。最近では、法化社会の進展により、企業におけるコンプライアンスの重要性が高まってきたことで消費者や投資家からの眼が厳しくなり、不祥事を起こすと企業の存亡にまで係わる時代になってきました。
 そのため、弁護士は企業の顧問として、または企業内弁護士、社外役員として「経営者にとっては耳の痛い勇気あるアドバイス」が求められています。

 また、弁護士の活躍の場が広がる一方で、法律の一般的な情報は誰でも手に入る時代となり、依頼者はより高度なアドバイスや付加価値を弁護士に求めるようになりました。弁護士は現状に甘えることなく、依頼人の要望や期待に真摯に向き合って、能力の向上と適応性を高めていかなければなりません

 弁護士に必要なものは、高い能力、鋭い人権感覚、厳しい職業倫理、何事にも挑戦するフロンティア精神だと考えています。弁護士は新たな分野を切り拓ける、豊かなポテンシャルを持っています。決して内向きにならず、高い志と視野を持ち、努力を積み重ねることで、「弁護士は法廷の専門家」という従来の社会からの見方を、これから先も大きく変えていけると期待しています。

参加者の声

  • 将来的、中長期的な視点を持って行動し続けてきたことがエピソードの端々から垣間見えてきて、その点が最も刺激となりました。
  • 弁護士駆け出し時代から今に至るまでのお話、心がけてきたこと、実例を伺えてとても勉強になりました。
  • お話の中で多くの印象に残るキーワードを聴き取ることができました。交渉・説得の際には、相手に合わせてメッセージ・キーワードを熱意を持って伝えられるようになる必要があると思いました。
  • 新たな業務・取り組みにチャレンジする意欲が湧いてきました。
  • 自ら新業務を開拓されてきた方の経験、考え方を受けて、私も現状を見直し、今後進むべき(進みたい)方向性を考えたいと思います。