6月2日に改正社会福祉法(2018年4月施行)が公布され、市区町村に対し、地域共生社会を実現するために「包括的な相談支援体制の整備」と「地域福祉計画の策定」が努力義務とされました。
このうち包括的な相談支援体制については、「地域住民が地域生活課題を自ら把握し、解決を試みる体制」(住民側)と「地域の課題を受け止め、関係機関が連携して支援を行う体制」(行政側)の二つの整備が求められます。
そこで、TKCでは行政の相談支援業務をサポートするため、四つのコンセプトに基づく「福祉相談支援システム」(仮称)の開発を進めています(来春提供予定)。
業務の効率化・標準化を実現
市区町村は、これまでも関係部門・機関と連携して相談支援業務を実施してきました。しかし、現状の課題として「相談内容など関係情報はそれぞれに紙や電子データで管理しており、情報共有が困難」「担当職員の知識や経験により、応対業務の水準に差がある」などが挙げられ、包括的な相談支援体制を整備するにあたり、これらの課題がより顕在化してくることも予想されます。
そこで福祉相談支援システムでは、相談支援業務を①福祉サービスの案内など窓口で完結するもの②継続的な対応が必要となる複雑なもの──に分け、それぞれに有効な機能を搭載します。
窓口で完結する業務については、児童手当や障害者手帳、要介護認定、市区町村独自の福祉サービスの受給状況などを世帯単位で確認できる機能や、質問に答えるだけで福祉サービスの受給可否を判定できる機能を搭載します。これにより住民への案内漏れを防止し、担当職員の知識や経験によらず誰でも一定水準の相談応対ができるようになります。
また、継続的な対応が必要となる複雑な業務については、相談内容や支援経過を一元管理できる機能に加え、ケース会議等の資料作成機能を搭載します。これにより、関係部門・機関や職員間の情報共有の円滑化と、業務効率の向上が期待できます。一方で、相談内容には機微な情報も含まれることから、共有範囲をきめ細かく設定できるようにするなど適切な情報管理も同時に実現します。
その他にも、アウトリーチを支援する機能や相談内容の集計機能などを搭載する計画です。
システムの開発にあたっては、包括的な相談支援体制の構築に関するモデル事業実施団体をはじめ、多くの原課職員の皆さんの意見を伺い、その成果を反映しています。
業務の効率化と事務作業の負荷を軽減し、これまで以上に相談者支援へ注力できるようご支援する新たなシステムにご期待ください。