2018年1月号Vol.109

【寄稿1】2019年10月サービス開始予定
地方税共通納税システムへの取り組み

一般社団法人地方税電子化協議会 システム部システム企画グループ 桑嶋修吾氏

 一般社団法人地方税電子化協議会(協議会)は、地方団体の相互協力を基本理念とし、納税者等の利便性の向上と地方税務行政の高度化および効率化に寄与することを目的として設立されました。2005年1月には、「地方税ポータルシステム」(eLTAX)のサービスを開始しました。
 08年3月にサービスを開始した「eLTAX電子納税」は、地方団体単独でのマルチペイメントネットワーク(MPN)の導入、これに伴う基幹システムの改修コストや事務の見直しなどが普及拡大のネックとなり、22団体でしか提供していません。実施団体が少ないことから利用も進まず、納税者の多くは紙の納付書による納付が必要な状況が続いています。
 このような中、電子納税への社会的な要請が高まり、「平成29年度 税制改正大綱」(16年12月8日)や「規制改革推進会議行政手続部会取りまとめ」(17年3月29日)、「行政手続コスト削減のための基本計画」(17年6月30日 総務省)などにおいても、重点的に取り組むべき分野とされました。
 これを受け、協議会では一度の操作で複数団体への電子納税を可能とする「地方税共通納税システム」構築の検討を進め、19年10月のサービス開始を目指して開発に取り組んでいます。

1.共通納税システムの概要

地方税共通納税システムで取り扱い対象となる税目

 地方税共通納税システムには、三つの特色があります。第一に、全国の地方団体が共通して利用可能な税金の収納チャネルとなることです。既存の電子納税の収納チャネル(オンライン方式と情報リンク方式。ともにATMやインターネットバンキング等による支払い)に加え、「ダイレクト方式」(詳細は後述)を導入予定です。
 第二に、納税者が複数の納付先に対し、税目ごとの合計額を一括で納付できるようにすることです。これにより、複数団体へ個人住民税(特別徴収)や法人関係税などを納付する法人では、納付先ごとの納付書作成や、地方団体の指定・収納代理金融機関等に持ち込むといった事務負担から解放されます。
 第三に、電子収納に関する地方団体と金融機関等との個別の取り決め手続きが不要となることです。当システムにおいては、協議会が金融機関等と地方団体の間に立ち、それぞれと取り決めを交わします。

2.対象税目と支払い方法

 サービス開始時(19年10月予定)には、現行のeLTAXの取り扱い税目を対象とします(表参照)。地方税共通納税システムはこれまでにない新たな仕組みであり、まずは着実に推進させることが重要です。賦課税目への対応は、課税情報の管理に伴うシステムの規模や情報セキュリティー、地方団体側の基幹システムの改修等に十分配慮した今後の検討が必要です。
 また、支払い方法は「電子申告データと連動させる方法」と「税額通知に基づき納税者等が金額を入力する方法」の二つを予定しています。
 前者は法人関係税などの申告税目です。地方税共通納税システムは納税者の申告データから納付情報を生成するため、税額等を反映した形で納付操作が可能です。後者は個人住民税(特別徴収)など地方団体が税額を通知するものです。これらの税目は税額等の情報をeLTAXから取得できないことに加え、従業員の退職や転勤等により年度途中で特別徴収税額の変更があることから、税額等納付に必要な項目を納税者自身が入力・納付する方法としています。
 なお、いずれの方法でも、資金移動や地方団体の納付情報の受け取りの流れは同じです。収納結果は共通納税システムのMPN通信サーバに集約され、その後、eLTAXから各地方団体へ送られます。

3.特別徴収税額決定通知の電子化に対応した地方団体のメリット

 特別徴収税額決定通知の電子化(正本通知)に対応した地方団体が、電子署名ありの特別徴収税額通知を行っている場合、「月額」や「通知された日」などを初期表示することで、特別徴収義務者に最新の情報であるかどうか確認を促す仕様とします。これにより地方団体では、正本通知に対応することで、地方団体が送付した〝精度の高い情報〟に基づく納付情報を得られ、消込処理におけるエラー減少が期待できます。

4.地方団体とのデータ連携

 地方団体と地方税共通納税システム間のデータ連携には審査サーバを活用します。基幹システムへの連携方法は以下の3通りで、その方法により基幹システムの改修規模が異なります。
(1)帳票印刷=納付情報を印刷し、職員が基幹システムに入力する。
(2)ファイルダウンロード=クライアント端末上にダウンロードした納付情報をUSBメモリ等の媒体経由で基幹システムと連携する。
(3)サーバ間連携=審査サーバと基幹システム間に納付情報授受用サーバを設け、基幹システムに自動連携する。
 また、連携する納付情報データは、「納付日ベース」(納税者が納付した翌日に提供)と「入金日ベース」(協議会から地方団体指定口座への振込日に提供)の2種類です。
 地方団体は、協議会から送信された納付情報データを用いて消込処理を行います。なお、地方税共通納税システムの取り扱いデータ項目は協議会から地方団体に通知済みであり、地方団体はこれらの資料をもとに消込キーとする情報に関する検討や基幹システムの改修等の準備が必要です。
 地方税共通納税システムに関するインターフェース仕様は、暫定版を18年3月頃に、確定版を19年1月頃に提示する予定です。サービス開始までに基幹システムの更改・改修が間に合わない場合は、帳票出力機能を用いた消込処理やデータ作成の外部委託などの検討が必要となります。

5.地方団体への税金の振り込み

 納税者等が納付した税金はMPNを通じて協議会口座に入金されます。協議会は入金状況を確認の上、原則午前中に各地方団体の指定金融機関口座へ振り込みます。また地方団体では地方税共通納税システムから納付情報を取得し、指定金融機関口座への入金状況を確認します。なお、指定金融機関との入金確認作業は個別調整が必要です。

6.ダイレクト方式による収納

 ダイレクト方式とは、納税者等が事前に地方税共通納税システムに口座を登録し、その後、納税者等の指示により同システムから金融機関に対して口座振替の依頼を行う方式です。これにより、税理士等の代理人による納付手続きが容易になるメリットがあります。なお、地方団体はダイレクト方式にかかる口座情報を保有しません。

◇   ◇   ◇

 地方税共通納税システムは「納税者等の利便性向上」と「地方団体の事務効率化」に大きく貢献するものです。
 将来的には対象税目の拡大、コンビニ収納やクレジット収納との連携も考えられ、地方税収納のインフラとして中心的役割を担うことが期待されます。システム本稼働に向け、協議会としても地方団体と連携し、金融機関や関係するシステムベンダー等に対する周知を含め、引き続き準備作業を進めてまいります。

※掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、取材当時のものです。

※掲載団体様への直接のお問い合わせはご遠慮くださいますようお願いいたします。

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