用語集

売上高と限界利益

売上高から、売上高と比例して増減する費用である変動費を引いたものが、限界利益です。企業は、この限界利益をより大きくするために、売上高の増大を図りますが、売上高の増大が必ずしもそのまま限界利益の増大につながるわけではありません。

例えば、限界利益率の低い商品ばかりが売れると、かえって会社の限界利益は下がってしまうケースがあるからです。そのため、製品グループ別の業績管理を行う際には、製品グループごとの売上高と限界利益率に注目することが大切です。限界利益率の高い製品グループの売上高を拡大したり、あるいは、売上高は大きいが限界利益率の低い製品グループの限界利益率の改善を図るなど、全社の限界利益を増加させるための打ち手のヒントを発見することができます。

対前年売上高比率

●対前年売上高比率(%)=今期純売上高÷前期純売上高×100

企業の成長性を分析するのに最も一般的に使われるのが、対前年売上高比率です。この比率によって全社の売上がどの程度変化したかが分かりますが、同時に限界利益の対前年の伸び率にも注目する必要があります。限界利益の伸びが売上高の伸びに追いついていない時は、限界益率の低い商品の販売が多くなってきているなど、限界利益の獲得力が落ちてきていることになります。重要な点は、比率の変化を商品別、得意先別、部門別に分析してその要因がどこにあるのかをつきとめることです。

また、従事員1人当り売上高の伸び率など単位当りの伸び率と比較することが大切です。例えば、前年から従事員が増えた場合、両比率を参照することで1人当りの生産性を維持しつつ成長してきているのかをチェックすることができます。

限界利益率

●限界利益率(%)=限界利益÷純売上高×100

限界利益とは、売上高から売上高に比例して増減する費用、つまり変動費を控除したものをいいます。限界利益率とは、限界利益が売上高に占める割合をいいます。限界利益率は市場・商品戦略(ポートフォリオ)の結果を示しており、企業経営者にとっては売上高とともに最も注目と関心を寄せるべき、重要な比率といえます。

固定費

売上高の増減に関係なく発生する費用が固定費です。固定費の管理で重要な点の1つは、固定費と限界利益の対前年伸び率に注目することです。適正な経常利益を確保するためには、固定費の伸びを限界利益の伸びの範囲内に収めることがポイントです。

また、固定費の中でも大きなウエイトを占める人件費については、人件費の限界利益(付加価値)に占める割合である労働分配率の変化に注目するとともに、従事員の昇給原資を確保するために、従事員1人当りの限界利益の伸びを大きくする努力が必要となります。

労働分配率

●労働分配率(%)=人件費÷限界利益×100

労働分配率は、限界利益に占める人件費の割合を示します。なお、人件費には、1.製造原価中の賃金・賞与・雑給・法定福利費・厚生費・退職金、2.販売管理費中の従業員給与・事務員給与・役員報酬・従業員賞与・厚生費等が含まれます。

通常、労働分配率は人員増や昇給等により上昇し、企業の収益力を圧迫する場合があります。しかしながら、人件費は通常社会的な相場に基づいて決定されるため、労働分配率を一定の比率内に収めて行くために人件費の枠を抑えることは困難です。このため、労働分配率を一定の比率内に収めて行くためには、むしろ人件費の増加を与件として、限界利益を増加するための経営計画を作成することが必要です。

売上高経常利益率

●売上高経常利益率(%)=経常利益÷純売上高×100

収益性分析のひとつに、売上高と利益を対比することにより企業の収益力を見る方法があります。売上高経常利益率は、売上高に占める経常利益の割合を表した比率です。

経常利益は、市場/商品戦略の結果である限界利益固定費の管理との総合的な経営成果です。そのため、売上高経常利益率に変化があったときは、その原因が売上高の増減なのか、限界利益率の変化なのか、あるいは固定費の増減なのかを、時系列に対比して、分析する必要があります。

損益分岐点比率

●損益分岐点比率(%)=損益分岐点売上高÷純売上高×100

損益分岐点売上高とは、売上高と費用の額がちょうど等しくなる売上高を示します。つまりそれ以下であれば損失が生じ、それ以上であれば利益が生じる採算点での売上高を意味します。この損益分岐点売上高の実績の純売上高に対する割合を示したものが、損益分岐点比率です。

損益分岐点比率は低ければ低いほど売上減少に耐える力が強く、経営安全度が高いと判断できます。

生産性分析

●1人当り売上高=純売上高÷従事員数

●1人当り限界利益=限界利益÷従事員数

●1人当り人件費=人件費(当期労務費+販管人件費)÷従事員数

上記3つの指標は、労働生産性を分析するための指標です。労働生産性とは、従事員の収益に対する貢献割合を意味します。

「1人当り売上高」「1人当り限界利益」は企業活動(生産や販売)の効率を示します。「1人当り人件費」は高過ぎれば利益を圧迫し、低ければ従事員の士気が下がります。以上3つの指標のバランスをとることが大切です。

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