TKC全国会会長メッセージ

いまこそクライアントのために立ち上がろう!

2011.12.01  (1/3ページ) 大武健一郎会長講演

福島で行った講演の記録(第32回TKC東北会秋期大学)

東日本大震災が教えるもの

TKC全国会会長 大武健一郎

 昨年に続いて、今年も秋期大学にお呼びいただいてありがとうございます。こんなにもたくさんの方が、あの大震災の中から立ち上がって今日を迎えておられることを心から嬉しく思います。今、司会の方からお話があったとおり、私は東日本大震災復興構想会議の検討部会の委員を引き受け、宮城県と岩手県には何度も入らせていただいているのですが、残念ながら福島県のほうにはまいりませんでした。原発事故の対象は私どもの埒外とされており、「一緒に解決する議論をすればいいのでは?」と随分申し上げたのですが、残念ながらそれには科学技術の専門家が対応するということでした。

 そうした中で法律とは関係なく、我々は実務家としていくつか取り組んだことがあります。その一例が、被災地の子供たちが工業専門学校や農業専門学校に行けるように育英資金について専門学校も対象にすること、私学助成のなかに専門学校を入れることなどです。やはり人あっての地域ですから、少しでも子供たちが地元に残って、仕事に携われるように応援することは、これからもしていきたいと思っています。もしお気づきの点がありましたら教えてください。

 昨年の講演では、世界も日本も大きな変化の中にあって、そのような状況に対応できる者にとっては逆にチャンスにもなりうると申し上げたつもりですが、大きな変化の波は、その勢いをさらに増しているのが実態だと思います。まさに日本においては、その上に大震災が重なりました。

 明治維新(1867年)から74年経って太平洋戦争(1941年)に突入し、戦後66年目に今回の大震災が起こりました。そういう意味では、太平洋戦争で日本が廃墟となった時と同じような状況に、東北地方を中心とする地域が直面しているのだと思います。このような機会に、戦後に築いてきた文明が本当に正しかったのか、国のあり方まで本気で考えなければいけないのではないかと思います。その反省なくして21世紀の日本の未来はないというのが私の気持ちです。TKC全国会の活動だけではなく、日本自体が原点にもどらないといけないのでしょう。

 宮城県の方はよくご存知でしょうが、いまから千年以上前に貞観津波(注)が東日本を襲いました。その到達地点を伝える「浪分神社」に行ってまいりました。まさにそのときに「先人の知恵というものは本当に凄いな。自分たちさえ良ければいいのではなくて、将来の人たちにもこうして警告を与えようとしたのだな」と思いました。事実、今回の大津波でも神社のある場所はほとんど被害を受けていないそうです。これは明らかに日本人の知恵と言えるでしょう。((注)貞観津波:西暦869年に三陸沖を震源とする貞観地震が発生した際、陸奥の国を襲ったという大津波のこと。平安時代の歴史書・日本三代実録に記録されている。)

 最近、「想定外」という言葉がよく使われていますが、欧米の近代科学だけを信じた人にとって大震災は「想定外」の出来事だったのかもしれません。しかし、歴史をしっかりと紐解いて、例えば古地図と今の地図を併せ見れば、被災地が元は沼地だったことなども見えてきます。つまり、もう一度歴史をしっかり踏まえた生活にもどることを、あの大震災は我々に突き付けているのかもしれません。

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