TKC全国会活動のご紹介
社会的使命を果たす書面添付の拡大
TKC全国会では、会員が遵守すべき業務実践基準として、巡回監査の履行と、その誠実な履行を通して税理士の責任(税理士法第45条)を果たしたことを書面添付によって明示し、税理士に対する社会の期待と信頼に応えることを求めています。
書面添付制度の意義と目的
税理士法(第2条第1項)が定める税理士の本来業務は、①税務代理、②税務書類の作成、③税務相談であり、これらの業務は、たとえ無償であっても税理士ではない者は行ってはならないとされています(税理士法第52条)。このような無償独占の権利の付与は、税理士業務の履行には高度な専門性が求められること、ならびに税理士には公共的使命が与えられていることに基づいています。
また、書面添付制度とは、税理士法(第33条の2第1項)に基づき、税理士が税務申告書(税務書類)の作成に際し、「計算し、整理し、または相談に応じた事項」を明らかにし、「申告書の適正性を表明」する書面を添付する制度です。
その目的は、税務申告書を作成する過程において、税理士が租税法規に従い、独立した公正な立場において高度の注意義務を果たしたこと、さらに誠実義務と忠実義務(説明責任)を尽くしたことを明らかにすることにあります。したがって、虚偽の記載をした場合は懲戒処分を受けることになります。
一方、税理士が書面添付を実践し、国民の義務である納税(憲法第30条)を適正に導くとともに、職業法上求められる高度の注意義務に基づいて、委任者(納税者)に対してその責任を果たしたことを自ら立証しておくことは、会計事務所の法的防衛にもつながります。
中小企業を取り巻く経営環境が厳しさを増すなかで、これまでTKC会員が積極的に実践してきた、税理士法第33条の2に定める書面添付の重要性がより一層高まってきています。
書面添付の3つの視点
第一の視点は、国税当局の視点です。国税職員の定員減により、税務調査の実調率が法人・個人ともに大きく低下している現状において、税務当局には「税務執行の円滑化と簡素化」を図るため、税理士に対する書面添付実践への期待が高まっています。平成21年から実施されている「意見聴取結果についてのお知らせ」(いわゆる「調査省略通知」)は、その期待の高さを表しているといえるでしょう。この期待に応えるためには、「書面添付」の量だけではなく高い質の確保が欠かせません。「巡回監査」に裏打ちされ、記載内容が充実した質の高い書面添付の実践が求められています。
第二の視点として、「融資審査の適正性と簡素化」が求められている金融機関等の視点です。関与先企業への円滑な融資を実現するためにも、私たち税理士の業務に対する理解を促進する必要があります。
第三にお客様の視点として、税務当局や金融機関等からの決算書への社会的な信用が高まることが挙げられます。巡回監査の過程で早くて正確な月次決算と適切な経営助言などを受け、また円滑な融資が実現していくことは関与先企業にとっても価値のあることです。
TKC全国会の基本方針
TKC全国会では、会員が遵守するべき業務実践基準として、巡回監査の履行と、その誠実な履行を通して税理士の責任(税理士法第45条)を果たしたことを書面添付によって表明し、税理士に対する社会の期待と信頼に応えることを求めています。
この書面添付の実践について、『TKC全国会会則』に定めた『TKC会計人の行動基準書』において、次のように規定しています。
「22.会員は、税理士法第33条の2に定める書面添付制度が、税理士の職業専門家としての信頼に基礎を置くものであることを理解し、会員が計算し、整理し、または相談に応じた事項を記載した書面を申告書に添付することを積極的に実践しなければならない。」
この行動基準の特長は、添付書面に記載する内容は「申告書を作成したとき」に係るものだけでなく、その課税所得計算の基礎となる「会計帳簿および決算書を作成するとき」に係るものを含めていることにあります。そのため、行動基準書においては、次の規定を設けています。
「23.会員は、巡回監査を忠実に実施することが、申告書の基礎となる課税所得及び消費税の課税取引の正確さを保証する条件となることを理解し、添付書面の信頼性を確保するために巡回監査基準を遵守して、巡回監査を履行しなければならない。」
このように私たちが実践する書面添付は、毎月、関与先企業に出向いて行う巡回監査を前提とし、さらに決算事務および申告書作成までのすべての業務プロセスにわたって、計算し、整理し、または相談に応じた事項を記載することになっています。
すべては巡回監査から始まる
私たちが実践する巡回監査については、『TKC全国会会則』のもとに定めた、『TKC会計人の行動基準書』において次のように規定しています。
「巡回監査とは、関与先企業等を毎月及び期末決算時に巡回し、会計資料並びに会計記録の適法性、正確性及び適時性を確保するため、会計事実の真実性、実在性、完全網羅性を確かめ、かつ指導することである。巡回監査においては、経営方針の健全性の吟味に努めるものとする。
巡回監査は、毎月行う月次巡回監査と期末決算時に行う決算巡回監査とに分けられる。」
ここでは、決算において貸借対照表や損益計算書を作成する基礎となる会計記録、および原始証憑等の正確性を担保するために実施する月次の巡回監査について規定しています。
巡回監査は、関与先企業が適時に起票した会計伝票等に仕訳および摘要が適正かつ明瞭に記載されており、その他の記載事項についても適正であることを確認して、税理士法が求める「相当注意義務」(第45条)を完全に履行することを目的として実施するもので、このためのツールとして「巡回監査支援システム」を利用しています。
また、巡回監査はこのような会計と税務に関連する目的にとどまらず、関与先企業における経営方針の健全性を吟味するため、企業経営者との面談を必須の条件としており、そのためのツールとして「継続MASシステム」や「戦略財務情報システム(FX2)」等を利用しています。
会計記帳の適時性を証明する「記帳適時性証明書」
平成18年に施行された改正商法および会社法において、「適時に、正確な会計帳簿の作成」が明文化され、私たちが長年実施してきた巡回監査の重要度が増しています。
そこで、TKC会員は、巡回監査の実践を客観的に証明する書面として、「会計帳簿作成の適時性(会社法第432条)と電子申告に関する証明書(記帳適時性証明書)」を関与先企業へ提供しています。
この記帳適時性証明書は、関与先企業の円滑な資金調達を支援するため、当該企業の会計帳簿および決算書、法人税申告書の作成に関して、①会計帳簿が会社法第432条に基づき、適時に作成されていること、②TKC会員が毎月、企業を訪問して巡回監査を実施し、月次決算を完了していること、③決算書は会計帳簿の勘定科目残高と完全に一致しており、別途に作成したものではないこと、④法人税申告書が決算書に基づいて作成され、申告期限までに電子申告されていること──を証明するものです。これは、過去の会計データの遡及処理(追加・修正・削除)を行うことができないというTKC財務会計システムの特長を活かして発行されるもので、第三者である株式会社TKCが、会計帳簿と決算書、法人税申告書の作成に関する適時性と計算の正確性を証明するところに意義があります。
いま、全国の金融機関において月次巡回監査を実践し、その信頼性を「記帳適時性証明書」によって証明することのできるTKC会員への期待感が高まっています。
































