注目の判例

2019年

2019.10.15
覚せい剤取締法違反、詐欺未遂、詐欺被告事件 new
LEX/DB25570468/最高裁判所第二小法廷 令和 1年 9月27日 判決 (上告審)/平成30年(あ)第1224号
被告人は、覚せい剤取締法違反の罪(使用・所持)のほか、(1)架空の老人介護施設の入居権譲渡に関する問題を解決するために必要であるように装って現金をだまし取ろうとし、A(当時71歳)に対し、現金350万円を東京都江東区内のマンションのB宛てに宅配便で2回に分けて送付する必要がある旨うそを言い、B宛てに現金合計350万円在中の荷物を宅配便で発送させ、被告人が、マンションに設置された宅配ボックスに預けられた荷物を取り出してAから現金合計350万円の交付させた詐欺事件、(2)被告人は、同様な手口で、被害者C(当時77歳)に対し、現金150万円を東京都北区内のマンションのD宛てに宅配便で送付する必要がある旨うそを言い、D宛てに現金150万円在中の荷物を宅配便で発送させ、被告人が、マンションに設置された宅配ボックスに預けられた荷物を取り出してCから現金をだまし取ろうとしたが、Cが警察に相談して荷物の中に偽装紙幣を入れていたため、その目的を遂げなかった詐欺未遂事件において、第1審判決は、各事件を有罪としたため、訴訟手続の法令違反、事実誤認を理由に被告人が控訴し、原判決は、第1審判決を破棄し、詐欺既遂事件について無罪を言い渡したため、検察官が上告した事案で、被告人は、自己の行為が詐欺に関与するものかもしれないと認識しながら本件各荷物を取り出して受領したものと認められるから、詐欺の故意に欠けるところはなく、共犯者らとの共謀も認められ、詐欺既遂事件について被告人に詐欺の故意を認めることができないとした原判決は、詐欺の故意を推認させる事実の評価を誤り、重大な事実誤認をしたというべきであり、これが判決に影響を及ぼすことは明らかであるとして、原判決を破棄し、詐欺既遂事件について被告人に詐欺の故意及び共謀を認めた第1審判決の判断は、その結論において是認することができるとし、第1審判決を維持するのが相当であり、被告人の控訴を棄却した事例。
2019.10.15
損害賠償請求事件 new
「新・判例解説Watch」財産法分野 12月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25563968/東京地方裁判所 令和 1年 5月16日 判決 (第一審)/平成30年(ワ)第7998号
被告(居酒屋チェーン)の店舗において段差につまずき転倒して傷害を負った原告(当時74歳)が、被告に対し、被告の従業員には段差の存在について原告に注意を促さず漫然と原告を席まで案内した過失があると主張して、不法行為に基づき、原告に生じた損害の賠償を求めた事案で、本件事故と相当因果関係を認めることのできる原告の損害額は、260万円と認める内容で、一部認容した事例。
2019.10.15
法人税並びに消費税及び地方消費税更正処分等取消請求控訴事件 new
LEX/DB25563811/東京高等裁判所 平成30年 9月 5日 判決 (控訴審)/平成30年(行コ)第101号
控訴人が、自社の工場で設置した機械装置について、本件事業年度の法人税の所得の金額の計算上、法人税法31条の規定の適用による減価償却(普通償却)の方法により計算した減価償却費、及び租税特別措置法52条の3の規定の適用による特別償却準備金として積み立てた金額を損金の額に算入して法人税の確定申告をし、かつ、当該法人税の確定申告に基づき、本件課税事業年度の復興特別法人税の確定申告をするとともに、さらに、本件課税期間の消費税及び地方消費税の納税額の計算上、本件機械装置に係る支払対価の額に対する消費税額を消費税法30条1項に規定する仕入れに係る消費税額(控除対象仕入税額)として控除し、消費税等の確定申告をしたところ、所轄税務署長が、控訴人は本件機械装置を本件事業年度終了のときにおいて取得しておらず、本件事業年度の法人税の所得の金額の計算上、本件減価償却費等を損金の額に算入することはできず、かつ、この処理を前提とした本件課税事業年度の復興特別法人税の計算には誤りがあり、さらに、控訴人は本件機械装置を本件課税期間中に取得しておらず、本件課税期間の消費税等の納税(還付)額の計算上、本件機械装置に係る支払対価の額に対する消費税額を控除対象仕入税額として控除することはできないとして、本件事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分並びに本件課税事業年度の復興特別法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をするとともに、本件課税期間の消費税等に係る更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をしたことに対して、控訴人が、本件各更正処分等のうち、一部分の取消しを求め、原審は、控訴人の請求を棄却したため、これに不服として控訴した事案で、原判決を維持し、控訴を棄却した事例。
2019.10.08
損害賠償請求事件
「新・判例解説Watch」財産法分野 12月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25563891/大分地方裁判所 令和 1年 8月22日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第510号
Eの子である原告A及び原告Bが、被告C及び被告Dの子であり、当時責任能力のなかったFがマンションの非常階段で同マンションの管理人をしていたEを突き飛ばして転落死させた事件に関し、被告らにFの法定の監督義務者又はそれに準ずる者として負う監督義務の違反があったと主張し、Eから相続し、又は原告らが固有に取得した民法714条1項による損害賠償債権又は同項類推適用による損害賠償債権に基づく請求として、被告らに対し、原告Aについては、3028万3532円及び遅延損害金の連帯支払を、原告Bについては、2336万3532円及び遅延損害金の連帯支払をそれぞれ求めた事案において、被告らが民法714条1項に規定する監督義務者に当たると解すべき根拠はなく、被告らは,同項に基づく責任を負わないとし、また、被告らがFの法定の監督義務者に準ずべき者に当たるということはできないとし、被告らは、民法714条1項類推適用に基づく責任を負わないとし、原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2019.10.08
出入国管理及び難民認定法違反幇助被告事件
LEX/DB25563568/東京高等裁判所 令和 1年 7月12日 判決 (控訴審)/平成30年(う)第2076号
被告人は、大韓民国の国籍を有する内縁の夫である甲が、平成27年2月25日、本邦に上陸後、在留期間の更新又は在留資格の変更を受けないで、その在留期限である同年5月26日を超えて不法に本邦に残留しているものであることを知りながら、同月27日頃から平成29年6月30日までの間、被告人方等に甲を居住させるなどし、同人がその在留期間を超えて不法に本邦に残留することを容易にさせてこれを幇助したとして起訴され、原審は被告人について、甲の不法残留に対する幇助犯が成立すると判断し、罰金10万円に処したため、弁護人が原判決には法令適用の誤りがあるとして控訴した事案において、被告人につき、甲の不法残留に対する幇助罪の成立を認めたのは、正犯行為の性質を的確に踏まえないまま、幇助行為の要件を形式的に捉え、本件行為の性質を誤認して、それが幇助犯に当たるとする不合理な判断をしたもので、刑法62条1項の解釈適用を誤ったものというべきであるとして、原判決を破棄し、被告人に無罪を言い渡した事例。
2019.10.08
詐欺(予備的訴因窃盗)、窃盗被告事件
LEX/DB25563868/京都地方裁判所 令和 1年 5月 7日  判決 (第一審)/平成30年(わ)第1122号 等
被告人が、共犯者らと共謀の上、警察官になりすましてキャッシュカードをだまし取ろうと考え、氏名不詳者が、被害者に対し、電話で、警察官を名乗り、金融機関の口座から現金が不正に引き出されているので被害者方を訪れる警察官にキャッシュカードを渡してほしいなどとうそを言い、被告人が、被害者方の玄関で、被害者に対し、警察官を装い、捜査協力の必要から、持参した封筒にキャッシュカード2枚を入れた上で、同玄関に同封筒を置いたまま、同封筒を封かんするのりを取りに行くよう求め、同人にその旨誤信させ、キャッシュカード2枚を封筒に入れさせた後、これをその場に残置したまま立ち去らせて同封筒を被告人の自由な支配領域内に置かせた上で、同キャッシュカード2枚を領得してその交付を受け、人を欺いて財物を交付させたとして起訴された事案で、本件は、端的にいえば被害者による財物の交付が一度もなく、欺いて被害者の注意を逸らし、その間に、財物の占有を取得する場合に当たるとみるのが自然であり、詐欺罪ではなく窃盗罪が成立すると認定し、被告人を懲役3年、執行猶予4年に処した事例。
2019.10.01
請求異議事件
「新・判例解説Watch」財産法分野 2月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25570459/最高裁判所第一小法廷 令和 1年 9月19日 判決 (上告審)/平成30年(受)第1137号
被上告人が、本件貸金債権はその弁済期から10年が経過したことにより時効消滅していると主張して、本件公正証書の執行力の排除を求める請求異議の訴えであり、本件差押えによる消滅時効の中断の効力が生ずるか否かが争われ、原審は、本件貸金債権は時効消滅したとして、被上告人の請求を認容すべきものとしたため、上告人が、上告した事案において、債権執行における差押えによる請求債権の消滅時効の中断の効力が生ずるためには、その債務者が当該差押えを了知し得る状態に置かれることを要しないと判示し、本件差押えによる本件貸金債権の消滅時効は中断しているというべきであり、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、第1審判決を取消し、被上告人の請求を棄却した事例。
2019.10.01
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25563805/東京高等裁判所 令和 1年 6月27日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第1296号
被控訴人(被告)に個人情報を提供した選定者らが、控訴人(原告)を選定当事者として、被控訴人がS社にその管理を委託し、S社が更に外部業者に再委託し、再委託先の従業員が当該個人情報を外部に漏えいさせたことにつき、〔1〕被控訴人らにおいて控訴人らの個人情報の管理に注意義務違反があった、〔2〕S社は再委託先の従業員の使用者であり、上記従業員の行為はS社の事業の執行についてされたものであるところ、被控訴人はS社の使用者であり、S社の注意義務違反は被控訴人の事業の執行についてされたものであり、本件漏えいにより控訴人らは精神的苦痛を被ったと主張して、被控訴人に対し、不法行為に基づき、慰謝料として控訴人及び選定者Bについてそれぞれ5万円、選定者Cについて10万円の支払等を求めたところ、原審は、被控訴人に委託元の個人情報取扱業者として個人データの漏えいについて過失があったことを認めるに足りる具体的事実の主張・立証がないとして、控訴人の請求を棄却したため、控訴人がこれを不服として控訴した事案において、原判決を変更し、控訴人の請求は、被控訴人に対し、控訴人らそれぞれに2000円及びこれらに対する遅延損害金の支払を命じる限度で一部認容した事例。
2019.10.01
株主提案議題等記載仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件
(ヨロズ株主提案議題等記載仮処分申立事件)
「新・判例解説Watch」会社法分野 11月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25563564/東京高等裁判所 令和 1年 5月27日 決定 (抗告審)/令和1年(ラ)第986号
抗告人(原審債権者)が、相手方(原審債務者)に対し、令和元年6月17日に開催予定の相手方の定時株主総会に関し、会社法303条2項に基づく本件議題に係る議題提案権及び会社法305条1項に基づく本件議題に係る議案要領通知請求権を被保全権利として、本件株主総会の招集通知及び株主総会参考書類に別紙記載の本件議題並びに本件議題に係る議案の要領及び提案の理由の全文を記載することを命じる旨の満足的仮処分を申し立てたところ、原審は、本件申立てについては保全の必要性を認めることができないなどとして、これを却下する旨の決定をしたため、抗告人が、これを不服として抗告した事案で、原決定は結論において相当であるとし、本件抗告を棄却した事例。
2019.09.24
請求異議事件
「新・判例解説Watch」環境法分野 1月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25570454/最高裁判所第二小法廷 令和 1年 9月13日 判決 (上告審)/平成30年(受)第1874号
国営諫早湾土地改良事業としての土地干拓事業を行う被上告人(控訴人・原告。国)が、佐賀地裁及び福岡高裁の各確定判決において諫早湾干拓地潮受堤防の北部及び南部各排水門の開放を求める請求が一部認容された上告人(被控訴人・被告)らに対し、本件各確定判決による強制執行の不許を求めた請求異議訴訟で、原審が、被上告人の請求を認容したため、上告人が上告した事案において、本件各確定判決に係る請求権は、本件各漁業権1から派生する各漁業行使権に基づく開門請求権のみならず、本件各漁業権2から派生する各漁業行使権に基づく開門請求権をも包含するものと解されるから、前者の開門請求権が消滅したことは、それのみでは本件各確定判決についての異議の事由とはならないとし、原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決中上告人らに関する部分を破棄し、本件各確定判決が、飽くまでも将来予測に基づくものであり、開門の時期に判決確定の日から3年という猶予期間を設けた上、開門期間を5年間に限って請求を認容するという特殊な主文を採った暫定的な性格を有する債務名義であること、前訴の口頭弁論終結日から既に長期間が経過していることなどを踏まえ、前訴の口頭弁論終結後の事情の変動により、本件各確定判決に基づく強制執行が権利の濫用となるかなど、本件各確定判決についての他の異議の事由の有無について更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻した事例(補足意見、及び、意見がある)。
2019.09.24
投稿動画削除等の仮処分命令申立事件
LEX/DB25563840/徳島地方裁判所 令和 1年 8月 8日 決定 (第一審)/平成30年(ヨ)第24号
動画投稿サイト「ユーチューブ」に投稿された動画で製品や職場環境を中傷され、社会的信用が損なわれる恐れがあるとして、日亜化学工業(債権者)がユーチューブ社(債務者)に動画の削除などを求めた事案で、債務者に各動画のタイトル及び各動画の紹介記事の削除と、投稿者の情報開示を求める仮処分命令を出した事例。
2019.09.24
「新・判例解説Watch」財産法分野 11月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25570419/東京高等裁判所 令和 1年 6月27日 判決 (控訴審)/平成30年(ネ)第3597号
被控訴人(被告)B社に個人情報を提供した控訴人(原告)らが、被控訴人B社が被控訴人S社にその管理を委託し、被控訴人(被告)S社が更に外部業者に再委託し、再委託先の従業員が当該個人情報を漏えいさせたこと(本件漏えい)につき、被控訴人らにおいて控訴人らの個人情報の管理に注意義務違反があった、被控訴人S社は上記従業員の使用者であり、上記従業員の行為は被控訴人S社の事業の執行についてされたなどして、本件漏えいにより控訴人らは精神的苦痛を被ったと主張して、被控訴人らにおいて、共同不法行為に基づき、連帯して損害賠償をすることを求めた事案の控訴審において、控訴人らにおいて慰謝料の支払によって慰藉すべき精神的損害が発生したことを認定しつつ、本件漏えいの発覚後、被控訴人B社及びその持株会社において、直ちに被害の拡大防止措置が嵩じられたことなど、本件にあらわれた一切の事情を総合して、控訴人らの請求をそれぞれ一部認容し、原判決を変更した事例。
2019.09.17
損害賠償請求事件
LEX/DB25570439/最高裁判所第二小法廷 令和 1年 9月 6日 判決 (上告審)/平成30年(受)第1730号
交通事故の被害者に対して高齢者の医療の確保に関する法律による給付(後期高齢者医療給付)を行った後期高齢者医療広域連合である上告人が、上記事故の加害者である被上告人に対し、同法58条により上記被害者の被上告人に対する不法行為に基づく損害賠償請求権を代位取得したとして、損害賠償金及び遅延損害金の支払を求め、遅延損害金の起算日が争われた事案の上告審において、高齢者の医療の確保に関する法律による後期高齢者医療給付を行った後期高齢者医療広域連合は、その給付事由が第三者の不法行為によって生じた場合、当該第三者に対し、当該後期高齢者医療給付により代位取得した当該不法行為に基づく損害賠償請求権に係る債務について、当該後期高齢者医療給付が行われた日の翌日からの遅延損害金の支払を求めることができると判示したうえで、上告人は、被上告人に対し、本件医療給付の価額の合計額である287万7298円について、本件医療給付が行われた日の翌日からの遅延損害金の支払を求めることができるとし、原判決中287万7298円に対する平成22年8月25日から平成30年1月26日までの遅延損害金の支払請求を棄却すべきものとした部分を破棄し、この部分については、本件医療給付が行われた日等について更に審理を尽くさせるため本件を原審に差し戻し、その余の上告は棄却した事例(意見がある)。
2019.09.17
建物明渡等請求控訴事件
LEX/DB25563566/東京高等裁判所 令和 1年 7月17日 判決 (控訴審)/平成31年(ネ)第842号
控訴人(原告・相模原市)が訴外甲に市営住宅を賃貸し、甲の母である被控訴人が甲の賃貸借契約上の債務を連帯保証したところ、甲が賃料を滞納していると主張して、控訴人が被控訴人(被告)に対し、連帯保証契約に基づいて、甲に対する訴状送達の日である平成30年2月20日までの滞納賃料217万4500円及びこれに対する原審口頭弁論終結日である同年12月14日までの確定違約金30万7400円並びに滞納賃料に対する同月15日から支払済みまで約定の年8.9パーセントの割合による違約金、平成30年2月21日からCが明渡しを完了した日である同年5月25日までの賃料相当損害金である84万2100円の支払を求め、原判決は、控訴人の請求のうち、45万8300円(平成28年5月31日までの滞納賃料38万7200円及び確定違約金7万1100円)並びにこれに対する同年6月1日から支払済みまで民法所定の年5パーセントの割合による違約金のみ認容し、その余は棄却したため、控訴人は、原判決を不服として控訴した事案で、控訴人の請求は、87万1900円(滞納賃料71万4200円、確定違約金15万7700円)及びうち71万4200円に対する平成30年12月15日から支払済みまで年8.9パーセントの割合による違約金の支払を求める限度で一部認容した事例。
2019.09.10
不当利得返還請求控訴事件
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LEX/DB25563646/東京地方裁判所 令和 1年 8月 7日 判決 (控訴審)/平成30年(レ)第818号
控訴人(原告)が、本件建物の賃貸借契約の締結を媒介した被控訴人(被告)が、媒介の依頼を受けるに当たって控訴人の承諾を得ていないにもかかわらず、宅地建物取引業法46条1項及び「宅地建物取引業法の規定により宅地建物取引業者が受けることのできる報酬の額」(昭和45年10月23日建設省告示第1552号。本件賃貸借契約が締結された当時のものは,平成16年2月18日国土交通省告示第100号による改正後のもの)の規制を超える額の媒介報酬を控訴人から受領したものであり、上記規制を超える額の受領は宅建業法46条2項に違反し無効であると主張して、被控訴人に対し、不当利得返還請求権に基づき、被控訴人が受領した媒介報酬のうち上記規制を超える11万8125円の支払等を求め、原審は、控訴人は被控訴人との間の本件賃貸借契約のための媒介契約が成立した際に被控訴人から媒介報酬額の承諾を得ていたと認められ、宅建業法46条2項に違反しないとして控訴人の請求を全部棄却したため、控訴人がこれを不服として控訴した事案において、原判決を取消し、宅建業法46条1項、2項及び報酬告示所定の最高額を超える契約部分は無効であり、本件において同条項の最高額を超える部分である11万8125円の媒介報酬の支払については無効であるから、被控訴人は、控訴人に対し、不当利得に基づく利得金返還を命じた事例。
2019.09.10
損害賠償請求事件
LEX/DB25563675/東京地方裁判所 令和 1年 6月18日 判決 (第一審)/平成30年(ワ)第26013号
弁護士である原告が、被告に対し、被告が原告につき東京弁護士会に申し立てた懲戒請求が不法行為に当たり、これによって弁護士としての名誉・信用を害され、また、いわゆる在日コリアンという属性に基づく人種差別を受けるなどして精神的苦痛を被った旨主張して、不法行為に基づく損害賠償請求として、慰謝料及び弁護士費用の合計55万円の支払等を求めた事案において、本件懲戒請求は弁護士懲戒制度の趣旨目的に照らし相当性を欠くと認められ、不法行為を構成するとして、原告の請求額を減額した内容で一部認容した事例。
2019.09.03
審決取消請求事件
LEX/DB25570428/最高裁判所第三小法廷 令和 1年 8月27日 判決 (上告審)/平成30年(行ヒ)第69号
被上告人(原告)が、ヒトにおけるアレルギー性眼疾患を処置するための点眼剤に係る特許(特許第3068858号)につき、その特許権を共有する上告人(被告)らを被請求人として特許無効審判を請求したところ、同請求は成り立たない旨の審決を受けたため、同審決の取消しを求め、原審が、被上告人の請求を認容したため、上告人が上告した事案において、本件各発明の効果、取り分けその程度が、予測できない顕著なものであるかについて、優先日当時本件各発明の構成が奏するものとして当業者が予測することができなかったものか否か、当該構成から当業者が予測することができた範囲の効果を超える顕著なものであるか否かという観点から十分に検討することなく、本件化合物を本件各発明に係る用途に適用することを容易に想到することができたことを前提として、本件化合物と同等の効果を有する本件他の各化合物が存在することが優先日当時知られていたということのみから直ちに、本件各発明の効果が予測できない顕著なものであることを否定して本件審決を取消したものとみるほかなく、このような原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があるとし、原判決を破棄し、本件各発明についての予測できない顕著な効果の有無等につき更に審理を尽くさせるため、原審に差し戻した事例。
2019.09.03
遺産分割後の価額支払請求事件 
LEX/DB25570429/最高裁判所第三小法廷 令和 1年 8月27日 判決 (上告審)/平成30年(受)第1583号
亡Aの妻であるB及びAの子である上告人がAの遺産について分割の協議を成立させた後、被上告人がAの子であることを認知する旨の判決が確定し、被上告人が、上告人に対し、民法910条に基づく価額の支払を求めた事案の上告審で、相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既に当該遺産の分割をしていたときは、民法910条に基づき支払われるべき価額の算定の基礎となる遺産の価額は、当該分割の対象とされた積極財産の価額であるとし、相続債務が他の共同相続人によって弁済された場合や、他の共同相続人間において相続債務の負担に関する合意がされた場合であっても、異なるものではないと判示したうえで、これと同旨の原審の判断は正当として是認することができるとし、上告を棄却した事例。
2019.08.27
措置取消等請求事件
LEX/DB25570407/最高裁判所第二小法廷 令和 1年 8月 9日 判決 (上告審)/平成30年(行ヒ)第299号
死刑確定者である被上告人(控訴人・原告)が、被上告人宛ての信書の一部について受信を許さないこととして当該部分を削除した拘置所長の措置は違法であると主張して、上告人(被控訴人・被告)を相手に、同措置の取消しを求めるとともに、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求め、原審は、被上告人の本件処分の取消請求を認容し、損害賠償請求を一部認容したため、上告人が上告した事案において、拘置所は、被収容者と外部との間で日常的に多数の信書の発受が行われており、被収容者が外部から受ける信書の一部を抹消する作業には相当の負担を伴うものであること等に照らせば、所長が、本件記述部分の発受を許さないこととするに当たり、これを削除したことについて、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があるとはいえず、本件処分は適法であり、所長が本件処分をしたことは国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではないとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、被上告人の請求を棄却した第1審判決は正当であるから、上記部分につき、被上告人の控訴を棄却した事例。
2019.08.27
覚せい剤取締法違反被告事件
LEX/DB25563320/東京高等裁判所 令和 1年 7月16日 判決 (控訴審)/平成30年(う)第1849号
被告人が、平成29年11月上旬頃から同月15日までの間に、東京都内又はその周辺において、覚せい剤を自己の身体に摂取したとし、原審は、有罪判決を言い渡したため、被告人が控訴した事案で、本件鑑定書は、違法収集証拠として証拠能力を否定すべきであって、原裁判所がこれを証拠として採用したことは、刑事訴訟法317条に違反するものであり、本件鑑定書を証拠として採用しなければ、原判示の覚せい剤使用の事実を認めるに足りる証拠はないから、この違法が判決に影響を及ぼすことは明らかであるとして、原判決を破棄し、被告人に無罪を言い渡した事例。