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2023.10.10
わいせつ電磁的記録等送信頒布被告事件  
LEX/DB25573074/最高裁判所第一小法廷 令和 5年 9月26日 決定 (上告審)/令和4年(あ)第1407号 
刑法175条1項の規定が、憲法21条1項に違反するものでないことは、当裁判所の累次の判例(最高裁昭和28年(あ)第1713号同32年3月13日大法廷判決・刑集11巻3号997頁、最高裁昭和39年(あ)第305号同44年10月15日大法廷判決・刑集23巻10号1239頁等参照)により極めて明らかであり、刑法175条1項にいう「わいせつ」の概念は、所論のように不明確であるとはいえないから、いずれも前提を欠き、その余は、憲法違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反の主張であって、刑事訴訟法405条の上告理由に当たらないとして、本件上告を棄却した事例。
2023.10.10
損害賠償請求事件  
LEX/DB25595973/那覇地方裁判所 令和 5年 8月23日 判決 (第一審)/令和4年(ワ)第899号 
企業向けの衣類クリーニング業を営む原告が、被告会社から購入した本件システムの使用中に事故が発生して損害を被ったなどと主張して、被告会社に対し、製造物責任又は債務不履行責任に基づく損害賠償請求として(選択的請求)、被告会社の取締役であるその余の被告らに対し、会社法429条1項に基づく損害賠償請求として、連帯して、賠償金等の支払を求めた事案において、原告は、各被告に対して、それぞれ請求する損害額全額を請求することができ、このうち被告B、被告C及び被告Dが負う各債務は連帯債務となり(会社法430条)、もっとも、被告Bら3名の責任は、特別の法定責任と解するのが相当であって、被告会社の責任について、不法行為責任の特則と解される製造物責任法3条に基づく製造物責任を選択しても、債務不履行責任を選択しても、被告会社と被告Bら3名が不真正連帯債務を負うことにはならないとした事例。
2023.10.03
傷害致死、傷害、証拠隠滅教唆被告事件  
LEX/DB25573051/最高裁判所第一小法廷 令和 5年 9月13日 決定 (上告審)/令和5年(あ)第134号 
犯人が他人を教唆して自己の刑事事件に関する証拠を隠滅させたときは、刑法104条の証拠隠滅罪の教唆犯が成立すると解するのが相当であり、被告人について同罪の教唆犯の成立を認めた第1審判決を是認した原判断は正当であるとした事例(反対意見がある)。
2023.10.03
審決取消請求事件(福野段ボール工業(株)による審決取消請求事件) 
「新・判例解説Watch」経済法分野 令和5年10月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25595929/東京高等裁判所 令和 5年 6月16日 判決 (第一審)/令和3年(行ケ)第10号 
段ボール製品の製造業者による特定段ボールシートの販売に係る不当な取引制限(第1事件)及び特定段ボールケースの販売に係る不当な取引制限(第2事件)があったとして、被告・公正取引委員会が、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律に基づいて行った各排除措置命令及び各課徴金納付命令について、原告が他の事業者とともに、これらの命令を不服として取消しを求めて審判請求をしたところ、被告がこれら審判請求に対して行った本件審決に対し、原告が、原告の審判請求を棄却する部分の取消しを求めた事案で、本件審決がその基礎として認定した事実にはいずれも実質的証拠があると認められ、また、本件審決が採用した解釈が独占禁止法に違反するものとも認められないので、本件審決に取消事由は認められないとして、原告の請求を棄却した事例。
2023.09.26
憲法53条違憲国家賠償等請求事件  
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和5年12月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25573040/最高裁判所第三小法廷 令和 5年 9月12日 判決 (上告審)/令和4年(行ツ)第144号 等 
憲法53条後段の規定により、内閣に対し、国会の臨時会の召集を決定を要求した参議院議員の一人である上告人(原告・控訴人)が、被上告人(被告・被控訴人。国)に対し、〔1〕主位的に、上告人が次に参議院の総議員の4分の1以上の議員の一人として国会法3条所定の手続により臨時会召集決定の要求をした場合に、内閣において、20日以内に臨時会が召集されるよう臨時会召集決定をする義務を負うことの確認を、予備的に、上記場合に、上告人が20日以内に臨時会の召集を受けられる地位を有することの確認を求めるとともに、〔2〕内閣が臨時会召集決定の要求から92日後まで臨時会召集決定をしなかったことが違憲、違法であり、これにより、上告人が自らの国会議員としての権利を行使することができなかったなどとして、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求め、第1審判決は、確認訴訟部分に係る各訴えを不適法として却下し、国賠請求部分に係る請求を棄却したため、上告人が控訴し、原判決も控訴を棄却したため、上告人が上告及び上告受理申立てをした事案で、上告理由(憲法53条後段の解釈の誤りをいう部分に限る。)及び上告受理申立て理由中、本件各確認の訴えの適否に係る部分、及び、本件損害賠償請求に係る部分については、原審の判断は是認することができるとし、その余の上告理由については、民事訴訟法312条1項及び2項に規定する事由のいずれにも該当しないとして、上告を棄却した事例(反対意見がある)。
2023.09.26
入院決定に対する抗告申立事件  
LEX/DB25595824/名古屋高等裁判所金沢支部 令和 5年 8月 8日 決定 (抗告審)/令和5年(医ほ)第2号 
対象者が、道路で普通乗用自動車を運転中、大麻使用による幻覚、妄想から、普通自動二輪車の運転手は悪魔であると思い込み、そのまま進めば同車に衝突することを認識したうえで自車前部を上記二輪車後部に衝突させ、同車もろとも上記運転手を路上に転倒させて、同運転手に全治約3か月を要する見込みの傷害を負わせたことについて、原審が、本件行為は刑法204条に規定する傷害の行為に当たる旨判断し、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に基づき、本件対象者に対し入院決定をしたところ、これに対し抗告がされた事案で、原決定が最高裁決定(最高裁平成20年(医へ)第1号同年6月18日第三小法廷決定・刑集62巻6号1812頁)の示した判断手法を採用した点に誤りはなく、さらに、その判断方法に則り、本件対象行為が傷害行為に当たるとした原決定の認定、判断にも、論理則、経験則等に照らして不合理なところはないとして、本件抗告を棄却した事例。
2023.09.19
脅迫、強要未遂被告事件  
LEX/DB25573036/最高裁判所第一小法廷 令和 5年 9月11日 判決 (上告審)/令和4年(あ)第125号 
C労働組合D支部執行委員である被告人A及び同組合員である被告人Bは、E社取締役のF(当時58歳)を脅迫して、同社が日雇運転手であるD支部組合員のGを雇用している旨の就労証明書を同社に作成・交付させようなどと考え、共謀の上、京都府木津川市所在のE社の事務所において、Fが高血圧緊急症によって体調不良を呈した後もなお、そのような状態のFに対し、同社がGを雇用している旨の就労証明書を作成等することを執ように求め、さらに、D支部執行委員であるHと共謀の上、4回にわたって事務所に押し掛け、Fに対し、同社がGを雇用している旨の就労証明書を作成等することを執ように求めた上、事務所周辺にD支部組合員をたむろさせて同社従業員らの動静を監視させ、被告人A及びHが事務所に押し掛け、Fに対し、被告人Aが怒号しながら、Fに示していた就労証明書の用紙を机にたたき付け、Hが怒号して、Gを雇用している旨の就労証明書の作成等を要求し、もしこの要求に応じなければ、F及びその親族の身体、自由、財産等に危害を加えかねない旨の気勢を示して怖がらせ、もってFをして義務のないことを行わせようとしたが、Fがその要求に応じなかったため、その目的を遂げなかったとした事件で、第1審判決は、被告人両名について強要未遂罪の共同正犯を認定し、被告人Aを懲役1年、3年間執行猶予に、被告人Bを懲役8月、3年間執行猶予にそれぞれ処したため、被告人両名が控訴し、原判決は、第1審判決が、強要未遂罪の解釈適用を誤り、ひいては事実を誤認したとして、被告人両名について第1審判決を破棄し、HがFに対して怒号したことに関し、被告人Aについて脅迫罪の共同正犯を認定し、被告人Aを罰金30万円に処し、被告人Bに対して無罪を言い渡したため、検察官及び被告人Aが上告した事案で、第1審判決が強要未遂罪の解釈適用を誤り、ひいては事実を誤認したと説示しつつ、第1審判決が前提とする事実のうち、就労証明書を作成等すべき義務の有無について事実の誤認を指摘しただけで、強要罪の成立を基礎付けるその余の事実関係について、その認定の不合理性を検討しないまま、強要未遂罪の成立を認めた第1審判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認があるとした原判決は、第1審判決の事実認定が論理則、経験則等に照らして不合理であることを十分に示したものと評価することはできず、刑事訴訟法382条の解釈適用を誤った違法があるとして、原判決を破棄し、本件を高等裁判所に差し戻した事例。
2023.09.19
地方自治法第251条の5に基づく違法な国の関与(是正の指示)の取消請求事件  
「新・判例解説Watch」行政法分野 令和5年11月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25573025/最高裁判所第一小法廷 令和 5年 9月 4日 判決 (上告審)/令和5年(行ヒ)第143号 
沖縄防衛局は、普天間飛行場の代替施設を沖縄県名護市辺野古沿岸域に設置するための公有水面の埋立てに関し、公有水面埋立法42条3項において準用する同法13条ノ2第1項に基づき、埋立地の用途及び設計の概要に係る変更の承認の申請(本件変更申請)をしたところ、上告人(原告・沖縄県)は変更を承認しない旨の処分(本件変更不承認)をした。被上告人(被告・国土交通大臣)は、沖縄防衛局の審査請求を受けて、本件変更不承認を取り消す裁決をし、その後、地方自治法245条の7第1項に基づき、沖縄県に対し、本件変更申請に係る変更の承認(本件変更承認)をするよう是正の指示をした。上告人は、本件指示を不服として、国地方係争処理委員会に対し、地方自治法250条の13第1項に基づく審査の申出をしたが、本件指示は違法でないと認める旨の審査結果の通知を受けたたため、上告人は、これを不服として、同法251条の5第1項1号に基づき、本件訴えを提起し、原判決は、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案で、本件裁決は本件変更不承認が本件各規定に違反することを理由として本件変更不承認を取消したものであるところ、上告人は本件変更不承認と同一の理由に基づいて本件変更承認をしないものといえるから、そのことは地方自治法245条の7第1項所定の法令の規定に違反していると認められるものに該当するとし、本件指示は適法であるとした原審の判断は、結論において是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2023.09.12
殺人未遂、銃砲刀剣類所持等取締法違反、現住建造物等放火被告事件  
LEX/DB25573010/東京地方裁判所立川支部 令和 5年 7月31日 判決 (第一審)/令和4年(わ)第244号 
自暴自棄になって自殺を決意した被告人が、確実に死ぬためには少なくとも二人以上殺害して死刑になるしかないと考え、不特定多数の者を殺害する目的でナイフや燃料を購入し、ナイフの刺突力を確認したり、燃焼実験を行ったりして周到に準備をした上で行った、殺人未遂、銃刀法違反の事案(判示第1、2)及び、殺人未遂、現住建造物等放火の事案(判示第3)の罪で、懲役25年、ナイフ1本(刃体の長さ約29.6cm)の没収を求刑された事案において、被害者DないしMについては、殺人未遂罪が成立することが認定できるものの、被害者B及びCについては、死亡結果が発生する具体的な危険性のある場所である特急電車両内で、被告人がライター用オイルを撒くなどした後、ジッポーライターを点火した時点で、5号車の優先座席前のおもいやりゾーン付近及び5号車と6号車の連結部分にいたことが証拠上明らかでないから、殺人未遂罪は成立しないと認定したうえで、被告人の刑事責任は極めて重大であり、社会的な影響の大きさも併せて考えると、単独で行われた通り魔無差別的な殺人未遂事件という同種事案の中でも特に重い部類に属する事案で、懲役23年に処し、ナイフ1本を没収した事例(裁判員裁判)。
2023.09.12
独立当事者参加、相続人たる地位にあること等の確認反訴請求控訴事件 
LEX/DB25595618/東京高等裁判所 令和 5年 7月18日 判決 (控訴審)/令和5年(ネ)第8号 
本件被相続人の子である控訴人(1審参加人・反訴被告)と本件被相続人の母である被控訴人(1審反訴原告)が、いずれも自身が本件被相続人の単独相続人であると主張して、控訴人と被控訴人との間において、〔1〕本件被相続人の相続人たる地位を有するのは自身のみであることの確認を求めるとともに、〔2〕本件被相続人の遺産に係る原判決別紙供託金目録記載の各供託金につき、自身がそれぞれその還付金請求権を有することの確認を求めたところ、原判決は、控訴人は父である本件被相続人を殺意をもって死亡させたものであるから、民法891条1号の類推適用により、本件被相続人の相続において相続人になることができないとして、第2順位の相続人である被控訴人の控訴人に対する請求をいずれも認容し、控訴人の請求をいずれも棄却したところ、控訴人は、これを不服として控訴した事案で、控訴人の被控訴人に対する請求はいずれも理由がなく、被控訴人の控訴人に対する反訴請求はいずれも理由があると判断し、控訴人の請求をいずれも棄却し、被控訴人の反訴請求をいずれも認容した原判決は相当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2023.09.05
国家賠償請求事件 
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和5年10月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25595815/横浜地方裁判所川崎支部 令和 5年 7月11日 判決 (第一審)/令和1年(ワ)第343号 
亡aによる、デモ開催目的での公園内行為許可申請に対し、川崎市が行った、川崎市都市公園条例3条4項の規定に基づく不許可処分によって、亡a、原告b及び原告cの表現の自由や政治活動の自由が侵害されたとして、原告らが被告(川崎市)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償金等の支払を求めた事案において、本件集会は、本件条例3条4項にいう「公園の利用に支障を及ぼさないと認める場合」に該当しないといえるから、本件不許可処分は適法であるとして、原告らの請求を棄却した事例。
2023.09.05
国家賠償請求控訴事件 
LEX/DB25595642/札幌高等裁判所 令和 5年 6月22日 判決 (控訴審)/令和4年(ネ)第202号 
被控訴人らが、札幌市内で実施された第25回参議院議員通常選挙の候補者のための街頭応援演説に対し、路上等から「P1辞めろ」、「増税反対」などと声を上げたところ、北海道警察の警察官らに肩や腕などをつかまれて移動させられ、あるいは長時間にわたって付きまとわれるなどしたと主張して、北海道警察を設置する地方公共団体である控訴人に対し、それぞれ国家賠償法1条1項に基づく損害賠償金330万円等の支払を求め、原審は、警察官らが被控訴人らに対して違法な有形力の行使等を行ったものと認め、警察官らによるこれらの違法行為によって、被控訴人らの表現の自由のほか、被控訴人2の移動・行動の自由、名誉権及びプライバシー権が侵害されたとして、被控訴人らの請求のうち、被控訴人1につき33万円、被控訴人2につき55万円の各損害賠償金等の支払を求める限度で認容し、その余の請求はいずれも理由がないとして棄却したため、控訴人が控訴した事案において、被控訴人1の控訴人に対する請求は理由がなく棄却すべきであるから、被控訴人1の請求を一部認容した原判決は一部失当であり、控訴人の被控訴人1に対する控訴は理由があるから、原判決主文第1項を取消し、同部分につき被控訴人1の請求を棄却することとし、被控訴人2の控訴人に対する請求を一部認容した原判決は相当であり、控訴人の被控訴人2に対する控訴を棄却した事例。
2023.08.29
受刑者選挙権確認等請求事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和5年10月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25595549/東京地方裁判所 令和 5年 7月20日 判決 (第一審)/令和4年(行ウ)第369号 
令和元年以来懲役刑の執行を受けている原告が、「禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者」(受刑者)の選挙権等を一律に制限している公職選挙法11条1項(2号に係る部分に限る。)の規定は国民の選挙権等を保障した憲法の諸規定に違反し無効であるとして、被告に対し、〔1〕主位的に、憲法15条1項及び3項、79条2項及び3項、公職選挙法9条並びに最高裁判所裁判官国民審査法4条に基づき、原告が次回の衆議院議員の総選挙及び最高裁判所の裁判官の任命に関する国民の審査並びに参議院議員の通常選挙において投票をすることができる地位にあることの確認を求め、予備的に、憲法15条1項及び3項、43条1項、44条ただし書並びに79条2項及び3項に基づき、次回の国政選挙等において原告に投票をさせないことが違法であることの確認を求めるとともに、〔2〕本件規定の改廃等を怠った違法な立法不作為により原告が既に行われた国政選挙等において投票をすることができず、精神的苦痛を被ったとして、国家賠償法1条1項に基づき、3万円及びうち2万円に対する令和3年10月31日(衆議院議員の総選挙及び国民審査が実施された日)から、うち1万円に対する令和4年7月10日(参議院議員の通常選挙が実施された日)から、各支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案で、本件規定は、憲法15条1項及び3項、43条1項、44条ただし書並びに79条2項及び3項に違反するものではないから、受刑者は、本件規定により、選挙権及び国民審査権を有しないとし、国会が本件規定の改廃等をしなかったことが違法な立法不作為に当たるものということはできないとし、本件各確認請求に係る訴えのうち違法確認請求に係る訴えは、不適法であるから却下し、その余の請求をいずれも棄却した事例。
2023.08.29
懲罰決議取消等請求事件
LEX/DB25595611/大阪地方裁判所 令和 5年 7月14日 判決 (第一審)/令和4年(行ウ)第154号 
市議会は、議員である原告に対し、原告の市議会の定例会の一般質問における発言について謝罪及び反省を求める旨の決議をしたことについて、原告は、〔1〕本件決議は違法な処分であるとして、被告を相手に、本件決議の取消しを求めるとともに、〔2〕本件決議並びに市議会の広報誌への本件決議の掲載及び同広報誌の頒布により原告の名誉が毀損されるなどしたとして、被告市に対し、国家賠償法1条1項に基づき、損害金等の支払を求めた事案において、本件決議は、地方自治法135条1項1号の「公開の議場における戒告」に当たらず、また、本件決議は、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に当たらないとし、本件取消しの訴えは、処分の取消しの訴えの対象とならない本件決議を対象として、処分の取消しの訴えを提起するものであるから不適法であるとして却下し、原告のその余の請求を棄却した事例。
2023.08.22
保全命令申立却下決定に対する即時抗告事件 
「新・判例解説Watch」知的財産法分野 解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25595689/知的財産高等裁判所 令和 5年 3月31日 決定 (抗告審(即時抗告))/令和5年(ラ)第10001号 
抗告人(原審債権者)が、相手方(原審債務者。町田市)に対し、工芸美術館新築工事等の一部である本件各工事の実施により、版画美術館及びその敷地であり芹ヶ谷公園の一部を構成する本件庭園に係る抗告人の著作者人格権(同一性保持権)が侵害されるおそれがあると主張して、著作権法112条1項に基づき、本件各工事の差止めを求めたところ、原審は、版画美術館は、抗告人がその著作者である「建築の著作物」(著作権法10条1項5号)に該当し、本件各工事によって版画美術館に加えられる変更は抗告人の意に反する改変に当たるが、「建築物の増築、改築、修繕又は模様替えによる改変」(著作権法20条2項2号)に該当すると判断し、また、本件庭園は、上記「建築の著作物」に該当するとは認められないとして、本件申立てをいずれも却下したため、これに対し、抗告人が即時抗告をした事案において、原決定は相当であるとして、本件抗告を棄却した事例。
2023.08.22
出資金払戻請求事件 
「新・判例解説Watch」倒産法分野 令和5年11月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25595640/大阪地方裁判所 令和 4年11月24日 判決 (第一審)/令和3年(ワ)第5695号 
協同組合である被告の組合員であった原告会社が、民事再生手続開始の決定を受けて、被告を脱退する旨の意思表示をしたところ、原告が、原告の被告に対する出資金501万円に係る返戻請求権は、脱退の効力が発生する事業年度の終了日において組合財産が存在することが被告の総代会において確認されたことにより停止条件が成就した旨主張して、被告に対し、本件出資金返戻請求権に基づき、上記出資金及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案で、被告は、原告に対し、事業年度の終了に係る停止条件成就の機会を放棄して、本件再生債権を自働債権とし、出資に係る原告の被告に対する出資金払戻請求権501万円を受働債権として、対当額で相殺する旨の意思表示をしたが、本件再生手続開始当時同債権に係る債務が発生していない場合はもちろん、既に発生していた場合であっても、停止条件付債務に過ぎない以上、民事再生法92条1項の要件に該当しないから、本件相殺は、同項によっては許容されず、ほかに民事再生法上本件相殺が許容される根拠はないところ、原告の請求は理由があるとして認容した事例。
2023.08.15
損害賠償請求事件(那須雪崩事故遺族側勝訴判決) 
LEX/DB25595542/宇都宮地方裁判所 令和 5年 6月28日 判決 (第一審)/令和4年(ワ)第83号 
被告高体連主催の平成28年度春山安全登山講習会において、平成29年3月27日雪崩が発生し、県立高等学校の部活動の一環として参加していた生徒及び教師が死亡した雪崩事故について、被告県の公務員であり、かつ、本件講習会の講師であった被告P1、被告P2及び被告P3並びに被告高体連が、雪崩の発生を予見し、本件講習会を中止すべき義務があったのにこれを怠ったことによって生じたものであるとして、本件被災者らの遺族である原告らが、被告三講師及び被告高体連に対しては民法709条に基づき、被告県に対しては国家賠償法1条1項に基づき、各損害賠償金等の連帯支払を求めた事案で、被告県及び被告高体連に対する請求について、本件事故により各原告らに対し、別紙認容額一覧表の記載額の範囲内で賠償責任を負うとして認容し、原告らの被告県及び被告高体連に対するその余の請求並びに被告三講師に対する請求については、いずれも棄却した事例。
2023.08.15
マイナンバー離脱等請求控訴事件(マイナンバー制度からの離脱等請求訴訟控訴審判決) 
LEX/DB25595303/名古屋高等裁判所金沢支部 令和 5年 5月15日 判決 (控訴審)/令和2年(ネ)第109号 
控訴人(原告)らが、被控訴人(被告。国)において、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の規定に基づいて、個人番号を付された控訴人らの同意なく個人番号を含む個人情報を収集、保存、利用及び提供する制度を構築、運用していることは、控訴人らのプライバシー権(自己情報コントロール権)を侵害し、憲法13条及び41条に違反するものであると主張して、被控訴人に対し、〔1〕プライバシー権等に基づき、控訴人らの個人番号の収集、保存、利用及び提供の差止め並びに被控訴人が保存する控訴人らの個人番号の削除を求めるとともに、〔2〕国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料等の支払を求め、原審は、控訴人らの請求をいずれも棄却したことから、控訴人らがこれを不服として控訴した事案において、控訴人らの請求をいずれも棄却した原判決は相当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2023.08.08
「結婚の自由をすべての人に」訴訟事件 
LEX/DB25595450/福岡地方裁判所 令和 5年 6月 8日 判決 (第一審)/令和1年(ワ)第2827号 等
同性の者との婚姻届を提出したが受理されなかった原告らが、同性同士の婚姻を認めていない民法及び戸籍法の規定(本件諸規定)は、同性同士の婚姻が認められない法的状態を生じさせており、憲法13条、14条1項及び24条に違反するにも関わらず、被告が必要な立法措置を怠ったことが国家賠償法1条1項の適用上違法であると主張して、被告に対し、慰謝料等の支払を求めた事案において、同性間の婚姻を認めていない本件諸規定が立法府たる国会の裁量権の範囲を逸脱したものとして憲法24条2項に反するとまでは認めることができないとし、本件諸規定を改廃していないことが、国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではないというべきであるとして、原告らの請求を棄却した事例。
2023.08.08
損害賠償(株主代表訴訟)請求控訴事件(世紀東急工業株主代表訴訟控訴審) 
LEX/DB25595301/東京高等裁判所 令和 5年 1月26日 判決 (控訴審)/令和4年(ネ)第2134号
E(控訴人ら補助参加人)の株主である被控訴人が、Eにおいて遅くとも平成23年3月から平成27年1月27日までの間、同業他社8社との間で共同してアスファルト合材の販売価格の引上げを行っていく旨の合意をすることにより、公共の利益に反して、我が国における合材の販売分野における競争を実質的に制限していた行為が独占禁止法2条6項に規定する不当な取引制限に該当し、同法3条の規定に違反するなどとして、公正取引委員会から排除措置命令及び課徴金28億9781万円の納付命令を受け、上記課徴金の納付を余儀なくされたことについて、Eの当時の取締役又は代表取締役であった控訴人らには善管注意義務違反があり、そのためにEは納付した上記課徴金の一部である18億3417万円相当の損害を被ったと主張して、会社法423条1項に基づく損害賠償請求として、控訴人Bに対しては18億3417万円、控訴人Aに対しては17億3227万円、控訴人C及び同Dに対しては各15億7942万円、各控訴人の上記責任金額の限度で連帯してEに支払うことを求め、原審は、被控訴人の請求をいずれも認容したところ、控訴人らがこれを不服として控訴した事案(なお、Eは、当審において、控訴人らを被参加人として補助参加した。)で、被控訴人の請求をいずれも認容した原判決は相当であるとして、本件控訴を棄却した事例。