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2022.09.06
投稿記事削除仮処分申立事件
LEX/DB25592824/大阪地方裁判所岸和田支部 令和 4年 7月 1日 決定 (第一審)/令和4年(ヨ)第6号
債権者会社が、債務者法人が設置・運営・管理するウェブサイトに投稿された各投稿記事により人格権を侵害されていると主張して、債務者に対し、人格権に基づき、本件記事の仮の削除を求めた事案で、本件各記事は、債権者の社会的評価を低下させるものとはいえず、仮に、本件各記事が社会的評価を低下させるものであるとしても、公共の利害に関する事実に係るものでないとはいえないし、また、特段公益を図る目的以外の目的で投稿されたとうかがわせる事情は認められず、専ら公益を図る目的によるものでないとはいえないところ、被保全権利の存在について疎明があるとはいえないとして、本件申立てを却下した事例。
2022.09.06
不当利得返還請求事件
LEX/DB25592784/東京地方裁判所 令和 4年 4月21日 判決 (第一審)/令和2年(ワ)第25492号
妹である原告が兄である被告に対し、被告が〔1〕母である亡Cの預金から引き出された使途不明金、〔2〕亡Cの葬儀に係る香典、〔3〕その遺産である不動産の賃料収入等から利得を得たが、被告の利得の法定相続分の2分の1を超える部分は法律上の原因を欠くとして、不当利得返還請求権に基づき、使途不明金に係る合計222万7500円及びうち147万5000円に対する利得が生じた最終日である平成31年3月4日から、うち60万円に対する同最終日である令和元年9月24日から、うち15万2500円に対する同最終日である同年10月8日から各支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め、香典及び賃料収入等に係る合計87万9007円及びうち香典に係る18万円に対する訴状送達の日の翌日である令和2年10月15日から、うち賃料収入等に係る69万9007円に対する利得が生じた後の日である令和3年11月1日から各支払済みまで民法404条2項所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求めた事案において、原告の被告に対する不当利得返還請求権に基づく請求は、73万3887円及びうち11万5000円に対する訴状送達の日の翌日である令和2年10月15日から、うち61万8887円に対する令和3年11月29日付け訴え変更の申立書送達の日の翌日である同年12月3日から各支払済みまで民法404条2項所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるとして一部認容し、その余の請求を棄却した事例。
2022.08.30
債権差押命令申立て却下決定に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25572287/最高裁判所第三小法廷 令和 4年 8月16日 決定 (許可抗告審)/令和4年(許)第6号
刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律98条の定める作業報奨金の支給を受ける権利は、その性質上、他に譲渡することが許されず、強制執行の対象にもならないと解するのが相当であり、上記権利に対して強制執行をすることはできないとし、上記権利に対する強制執行としてその差押えを求める抗告人の申立てを却下すべきものとした原審の判断は、結論において是認することができるとして、本件抗告を棄却した事例。
2022.08.30
更正すべき理由がない旨の通知処分取消請求控訴事件
LEX/DB25593010/大阪高等裁判所 令和 3年 9月29日 判決 (控訴審)/令和2年(行コ)第10号
控訴人会社が、利用契約を締結した会員に対し、商品購入代金等を決済するサービスや、商品購入代金等の決済手段の利用、金額に応じて企業ポイントを付与するサービスを提供するほか、本件会員が控訴人と提携する法人の企業ポイントプログラム会員でもある場合(双方会員)に、提携法人が付与する企業ポイントと本件ポイントとを交換するなどのサービスを提供し、本件会員が、累積したポイント数に応じて決済代金から割引を受けるなどの利益を享受することができるところ、控訴人が、本件各課税期間の消費税及び地方消費税について、提携ポイントを本件ポイントに交換した後に当該提携ポイントを付与した提携法人が控訴人に対して支払った金員を消費税の課税標準である課税資産の譲渡等の対価の額に算入したうえで確定申告をしたが、後にこれを改め、本件金員が消費税の課税標準である課税資産の譲渡等の対価の額に算入されないなどとして、本件各課税期間の消費税等について、国税通則法23条1項1号に基づき、更正の請求をしたのに対し、更正をすべき理由がない旨の各通知処分を受けたため、本件金員が消費税の課税標準である課税資産の譲渡等の対価の額に算入されないと主張して、前記各通知処分のうち、その各一部の取消しを求め、原審が控訴人の請求をいずれも棄却したため、控訴人が控訴した事案で、本件金員は消費税法2条1項8号にいう「対価」に該当せず、これを消費税の課税標準とすることはできないから、本件金員を本件各課税期間の消費税の課税標準である課税資産の譲渡等の対価の額に算入することはできず、本件金員が課税資産の譲渡等の対価の額に算入されないこと等を理由としてした本件各更正の請求につき更正をすべき理由がない旨の各通知処分(本件各通知処分)のうち、本件金員が課税資産の譲渡等の対価の額に算入されることを理由とする部分は、違法というべきであり、取消しを免れないとして、原判決を取り消し、控訴人の請求を認容した事例。
2022.08.23
準強制わいせつ被告事件
LEX/DB25593012/福岡高等裁判所 令和 4年 7月21日 判決 (控訴審)/令和3年(う)第316号
診療放射線技師である被告人が、学校敷地内に停めた胸部検診車内において、正当な胸部レントゲン検査を受けるものと誤信して抗拒不能の状態にあるA(当時15歳)に対し、その背後に立って脇の下から両手を回し、着衣の上からAの両胸をもみ、もって人の抗拒不能に乗じてわいせつな行為をしたとしたて起訴され、原審は、被告人が公訴事実記載の犯行を行ったことの証明がないとして、被告人に対し無罪を言い渡したため、検察官が控訴した事案で、原裁判所の訴訟手続には、本件各証拠の特信性について必要な審理を尽くさないまま刑事訴訟法321条1項2号後段該当性を否定して証拠調べ請求を却下し、A証言の信用性を否定して無罪判決をした点に審理不尽の違法があり、この訴訟手続の法令違反が判決に影響を及ぼすことは明らかであると判断し、原判決を破棄し、本件を原審に差し戻すこととした事例。
2022.08.23
株主総会決議取消請求事件
「新・判例解説Watch」商法分野 令和4年11月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25601486/東京地方裁判所 令和 3年11月25日 判決 (第一審)/令和2年(ワ)第21121号
被告の株主である原告が、被告の令和2年6月25日開催の定時株主総会における第77期事業年度計算書類承認、剰余金の処分の承認並びに取締役及び監査役の報酬総額承認の各決議について、決議の方法が法令及び定款に違反していると主張して、会社法831条1項1号に基づき、その取消しを求めた事案で、被告が、本件総会につき、本件規定を理由に、原告がその代理人として弁護士を出席させ、弁護士に議決権を代理行使させることを拒否したことは、会社法310条1項に違反し、本件各決議をいずれも取り消した事例。
2022.08.16
臨時総会決議無効確認請求控訴事件
LEX/DB25592407/高松高等裁判所 令和 4年 4月28日 判決 (控訴審)/令和1年(ネ)第135号
漁業協同組合である被控訴人の組合員であった控訴人らが、被控訴人に対し、四国横断自動車道阿南四万十線新設工事に関し、西日本高速道路株式会社から被控訴人に支払われた漁業補償金の配分に係る被控訴人の臨時総会でされた決議が、恣意的ないし著しく不公平なものとして無効であることの確認を求めたところ、原審が控訴人らの請求をいずれも棄却したため、控訴人らが控訴した事案で、認定された経緯による本件決議は、控訴人らの考慮されるべき事情が考慮されなかった結果、控訴人らの被る損失を十分に補償するものにはなっておらず、これらの事情が考慮されなかったのは、多数派である底びき網漁業に過度に配慮したため、十分に議論が尽くされなかったためであり、短期間に多数決の濫用によって採決されたものであるというほかないから、恣意的ないし著しく不公平なものと認められ、本件決議は無効であると認めざるを得ないとして、原判決を取り消し、控訴人らの請求を認容した事例。
2022.08.16
固定資産税賦課決定処分取消等請求事件
LEX/DB25592492/大津地方裁判所 令和 4年 4月19日 判決 (第一審)/令和2年(行ウ)第20号
一棟の区分所有に係る建物のうち、機械式立体駐車場に係る区分所有権(本件専有部分)を有する原告が、被告・大津市長がした本件専有部分に対する平成30年度の固定資産税及び都市計画税の各賦課決定には地方税法352条1項に反する違法があるとして、本件各処分のうち相当額を超える部分の取消しを求めるとともに、国家賠償法1条1項に基づき、被告に対し、損害賠償金等の支払を求めた事案で、被告市長が、本件各処分をするにつき、本件専有部分の床面積を地方税法352条1項の定める方法によることなく認定し、固定資産税等の賦課をしたことは違法というべきであるが、本件各処分がされるまでの間、原告や本件建物の他の区分所有者が、本件専有部分に係る固定資産税等の賦課額について異を唱えたような事実があったと認めるには足りず、被告市長や担当職員に、国家賠償法上の違法性を基礎付けるような注意義務の懈怠があったと認めるに足りる証拠もないところ、本件各処分のうち、地方税法352条1項に定める方法で算定した固定資産税額の相当額及び都市計画税の相当額を超える部分については違法であるとして、原告の処分取消し請求をその限度で認容し、原告の被告に対する損害賠償請求を棄却した事例。
2022.08.09
検察官がした押収物の還付に関する処分に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件
LEX/DB25572270/最高裁判所第一小法廷 令和 4年 7月27日 決定 (特別抗告審)/令和4年(し)第25号
司法警察員が申立人から差し押さえた申立人所有の携帯電話機等について、申立人が、刑事訴訟法222条1項が準用する同法123条1項に基づき、東京地方検察庁検察官に対して還付を請求したところ、同検察官がこれに応じず還付をしない処分をしたため、同法430条1項の準抗告を申し立てたが、棄却されたことから、特別抗告を申し立てた事案で、申立人が本件各不還付物件の還付を請求することは、権利の濫用として許されないというべきであり、本件において、これと同旨の理由により検察官のした本件各処分を是認した各原決定は相当であるとして、本件各抗告を棄却した事例。
2022.08.09
持続化給付金等支払請求事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和4年9月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25592786/東京地方裁判所 令和 4年 6月30日 判決 (第一審)/令和2年(行ウ)第455号
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律2条5項に定める性風俗関連特殊営業を行う原告が、「持続化給付金給付規程(中小法人等向け)」に基づく給付金(持続化給付金)及び「家賃支援給付金給付規程(中小法人等向け)」に基づく給付金(家賃支援給付金)について、性風俗関連特殊営業を行う事業者に給付しない旨の上記各規程の定めは憲法14条1項に違反しており無効であるなどと主張して、原告が、被告らに対し、持続化給付金等の支払等を求めた事案で、本件各不給付規定は、憲法14条1項や行政法上の一般原則に違反するものとはいえず、また、原告は、被告国に対して、本件各贈与契約に基づく本件各給付金の給付の訴えを提起することができ、現にこれを提起しているのであり、それとは別に又は当該訴えが棄却された場合に備えて、本件各贈与契約上の地位を有することや本件各不給付規定により不給付とされない地位にあることの確認を求めることが原告と被告国との間の紛争の解決にとって有効・適切であるというべき事情は見当たらないとして、本件訴えのうち、本件各確認の訴えは不適法であるからいずれも却下すべきであり、原告のその余の請求をいずれも棄却した事例。
2022.08.09
損害賠償請求事件
LEX/DB25592785/大阪地方裁判所 令和 4年 6月20日 判決 (第一審)/平成31年(ワ)第1258号
同性の者との婚姻届を提出したが、両者が同性であることを理由に不受理とされた原告らが、同性間の婚姻を認めていない民法及び戸籍法の規定は、憲法24条、13条、14条1項に違反するにもかかわらず、被告(国)が必要な立法措置を講じていないことが国家賠償法1条1項の適用上違法である旨を主張して、被告に対し、慰謝料等の支払を求めた事案で、同性カップルの公認に係る利益の実現のためにどのような制度が適切であるかの議論も尽くされていない現段階で、直ちに婚姻を異性間の婚姻に限定している民法第四編第二章及び戸籍法の諸規定(本件諸規定)が、憲法24条1項及び2項、13条、14条1項に違反するとはいえず、また、本件諸規定を改廃しないことが、国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえないとして、原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2022.08.02
営利略取、逮捕監禁致傷、大麻取締法違反被告事件についてした上告棄却決定に対する異議申立て事件
LEX/DB25572262/最高裁判所第三小法廷 令和 4年 7月20日 決定 (異議審)/令和4年(す)第428号
営利略取、逮捕監禁致傷、大麻取締法違反事件につき、上告趣意書の差出最終日に弁護人が辞任し、上告趣意書の提出がなく、刑事訴訟法414条、376条、刑事訴訟規則266条、236条、252条により定めた期間内に上告趣意書を差し出さなかったことから、刑事訴訟法414条、386条1項1号により、上告棄却の決定がされたことに対して異議申立てをしたところ、上告趣意書の差出最終日には被告人に弁護人がなかったとしても、上告趣意書差出最終日までに上告趣意書を差し出さなかったことを理由に被告人の上告を棄却したことは正当であり、本件申立てには理由がないとして、本件申立てを棄却した事例。
2022.08.02
準強制わいせつ被告事件
LEX/DB25592514/津地方裁判所 令和 4年 5月11日 判決 (第二次第一審)/令和3年(わ)第147号
被告人が、当時の被告人方において、実子であるA(当時14歳)が就寝中のため抗拒不能の状態であることに乗じ、そのパンティーの中に手を入れて同人の膣内に手指を挿入し、もって同人の抗拒不能に乗じてわいせつな行為をしたというもので、差戻し前第一審判決は、A証言は十分な信用性があり、弁護人の主張や指摘を踏まえても合理的な疑いはないとして、ほぼ本件公訴事実どおりの事実を認定し、被告人を懲役3年6月に処したため、弁護人が控訴し、控訴審判決は、差戻し前の第一審においては、Aの公判証言の信用性を吟味するために必要な審理が尽くされていなかったと結論付け、差戻しを命じ、差戻し後の第一審の事案で、控訴審判決の指摘に基づいて証拠調べを行ったものの、控訴審が指摘していた、Aの公判証言の信用性に疑いがあることにつながる事情や見方は解消されないままであり、公訴事実記載の行為に関するAの被害供述について、その信用性に看過し得ない疑問が残るといわざるを得ないとし、差戻し前の第一審及び当審において取り調べた証拠を総合しても、被告人によるAに対する公訴事実記載の行為を立証する直接証拠であるAの被害供述の信用性には疑問が残り、他に被告人がAに対して公訴事実記載の行為に及んだことを認めるに足りる証拠はないことから、被告人が公訴事実記載の犯行を行ったと断定するには、なお合理的な疑いが残るというべきであるとして、本件公訴事実について犯罪の証明がないことになるから、刑事訴訟法336条により被告人に対し無罪の言渡しをした事例。
2022.07.26
損害賠償等請求事件
LEX/DB25572250/最高裁判所第三小法廷 令和 4年 7月19日 判決 (上告審)/令和3年(オ)第555号 等
水道事業者である被上告人との間で給水契約を締結している上告人らが、給水区域内である宮古島市伊良部において生じた断水により上告人らの経営する宿泊施設における営業利益の喪失等の損害が生じたなどと主張して、被上告人に対し、本件給水契約の債務不履行等に基づく損害賠償を求め、原審は、本件給水契約の債務不履行に基づく損害賠償請求を棄却したため、上告人らが上告した事案で、宮古島市水道事業給水条例16条3項は、被上告人が、水道法15条2項ただし書により水道の使用者に対し給水義務を負わない場合において、当該使用者との関係で給水義務の不履行に基づく損害賠償責任を負うものではないことを確認した規定にすぎず、被上告人が給水義務を負う場合において、同義務の不履行に基づく損害賠償責任を免除した規定ではないとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、被上告人の本件断水による給水義務の不履行に基づく損害賠償責任の有無については、本件断水につき、災害その他正当な理由があってやむを得ない場合に当たるか否かなどについて更に審理を尽くした上で判断すべきであるから、本件を原審に差し戻した事例(補足意見がある)。
2022.07.26
保険金請求事件
LEX/DB25572248/最高裁判所第一小法廷 令和 4年 7月14日 判決 (上告審)/令和3年(受)第1473号
被上告人の運転する原動機付自転車は、交差点において右折するために自車線上で停止していたところ、反対車線から中央線を越えて進行してきた車両の運転者の前方不注視等の過失により、同車両と衝突した交通事故によって傷害を受けた被上告人が、加害車両を被保険自動車とする自賠責保険の保険会社である上告人に対し、自動車損害賠償保障法16条1項の規定による請求権に基づき、保険金額120万円の限度における損害賠償額から上告人の被上告人に対する既払金を控除した残額である103万9212円の支払を求め、上告人は、被上告人が上記事故による傷害に関して労働者災害補償保険法に基づく給付を受けたことにより国に移転した直接請求権の行使を受け、国に対して103万9212円の支払をしていることから、本件支払が有効な弁済に当たるか否かが争われ、原審は、有効な弁済に当たらないとして、被上告人の請求を認容したため、上告人が上告した事案で、被害者の有する直接請求権の額と、労災保険法12条の4第1項により国に移転した直接請求権の額の合計額が自賠責保険金額を超える場合であっても,自賠責保険の保険会社が国の上記直接請求権の行使を受けて国に対して自賠責保険金額の限度でした損害賠償額の支払は、有効な弁済に当たるとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、被上告人の請求は理由がないから、第1審判決を取消し、同請求を棄却した事例。
2022.07.19
訴訟代理人による訴訟行為の排除を求める申立て却下決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25572225/最高裁判所第一小法廷 令和 4年 6月27日 決定 (許可抗告審)/令和4年(許)第3号
株式会社である抗告人を原告とし、その取締役であった相手方らを被告とする本件訴訟において、相手方らが、O弁護士及びK弁護士が抗告人の訴訟代理人として訴訟行為をすることは弁護士法25条2号、4号等の各趣旨に反すると主張して、Oべ弁護士らの各訴訟行為の排除を求め、原審は、相手方らは、金品受領問題等について、本件責任調査委員会の委員であるO弁護士らの独立かつ中立・公正な立場を信頼し、その事情聴取に応じたのであり、その回答はO弁護士らに対して上記立場からの法律的な解決を求めるためにされたに等しく、また、O弁護士らの上記立場は裁判官と変わるところがないから、本件訴訟においてO弁護士らが抗告人の訴訟代理人として行う各訴訟行為は弁護士法25条2号及び4号の各趣旨に反するとして、上記各号の類推適用により、上記各訴訟行為を排除したため、抗告人が許可抗告した事案で、本件訴訟においてO弁護士らが抗告人の訴訟代理人として行う各訴訟行為について、弁護士法25条2号及び4号の類推適用があり、これを排除することはできないと解するのが相当であるとし、これと異なる原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原決定を破棄し、本件訴訟においてO弁護士らが抗告人の訴訟代理人として行う各訴訟行為について、相手方らが指摘するその余の条項の類推適用があるとして、これを排除することができないことは明らかであり、本件申立てを却下した原々決定は正当であるから、原々決定に対する抗告を棄却した事例。
2022.07.19
投稿記事削除請求事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和4年9月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25572215/最高裁判所第二小法廷 令和 4年 6月24日 判決 (上告審)/令和2年(受)第1442号
上告人(原告・被控訴人)が、ツイッター(インターネットを利用してツイートと呼ばれる140文字以内のメッセージ等を投稿することができる情報ネットワーク)のウェブサイトに投稿された本件各ツイートにより、上告人のプライバシーに属する事実をみだりに公表されない利益等が侵害されていると主張して、ツイッターを運営する被上告人(被告・控訴人)に対し、人格権ないし人格的利益に基づき、本件各ツイートの削除を求め、原審は、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案で、上告人の本件事実を公表されない法的利益が本件各ツイートを一般の閲覧に供し続ける理由に優越するものと認めるのが相当であり、上告人は、被上告人に対し、本件各ツイートの削除を求めることができるとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして原判決を破棄し、上告人の請求を認容した第1審判決(なお、第1審判決主文第1項中、同判決別紙投稿記事目録記載1から4まで及び17の各ツイートの削除を命ずる部分は、上告人が原審においてした訴えの一部取下げにより失効している。)は正当であるから、被上告人の控訴を棄却した事例(補足意見がある)。
2022.07.19
大崎事件第4次再審請求棄却決定
LEX/DB25592704/鹿児島地方裁判所 令和 4年 6月22日 決定 (再審請求審)/令和2年(た)第1号
請求人の母親であるA(事件当時の氏名はA’)に対する殺人、死体遺棄被告事件について昭和55年3月31日鹿児島地方裁判所が言い渡した有罪判決(Aに対する確定判決)及び請求人の父親であるB(平成5年10月2日死亡)に対する殺人、死体遺棄被告事件について昭和55年3月31日同裁判所が言い渡した有罪判決(Bに対する確定判決)に関し、A及びBに対して無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したから、請求人は、刑事訴訟法439条1項4号に該当する者として、同法435条6号により各再審開始の決定を求めた事案(いわゆる大崎事件第4次再審請求)で、本件各再審請求において弁護人が提出したN鑑定、S鑑定及びQ・R鑑定を含む新証拠は、他の全証拠と併せて総合的に評価しても、各確定判決の事実認定に合理的な疑いを抱かせ、その認定を覆すに足りる蓋然性のある証拠とはいえず、刑事訴訟法435条6号にいう、無罪を言い渡すべき明らかな証拠には当たらないとして、本件各再審請求をいずれも棄却した事例。
2022.07.12
親子関係不存在確認請求事件
LEX/DB25572213/最高裁判所第二小法廷 令和 4年 6月24日 判決 (上告審)/令和3年(受)第1463号
上告人(亡C及び亡Dの孫で、亡Eの戸籍上の甥であり、亡Bの法定相続人)が、検察官に対し、亡Eと亡C及び亡Dとの間の各親子関係の不存在の確認を求め、原判決は、上告人が、本件各親子関係が不存在であることにより自己の身分法上の地位に直接影響を受けることはないから、本件訴えにつき法律上の利益を有しないと判断して却下したため、上告人が上告した事案において、上告人は、本件訴えにつき法律上の利益を有するとし、これと異なる見解の下に、本件訴えを却下すべきものとした原審の判断には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、第1審判決を取消し、更に審理を尽くさせるため、本件を第1審に差し戻した事例。
2022.07.12
間接強制決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25572214/最高裁判所第三小法廷 令和 4年 6月21日 決定 (許可抗告審)/令和3年(許)第8号
抗告人が、その夫である相手方に対し、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律134条に基づき、両名の子らのフランスへの返還を命ずる終局決定(本件返還決定)を債務名義として、間接強制の方法による子の返還の強制執行の申立てをした事案の許可抗告審において、本件申立ての後、抗告人がハーグ条約実施法134条に基づき本件返還決定を債務名義として申し立てた子の返還の代替執行により子の返還が完了したことによって、本件返還決定に係る強制執行の目的を達したことが明らかであるから、本件申立ては不適法であるとし、本件申立てを却下した原決定は、結論において是認することができるとして、本件抗告を棄却した事例(補足意見がある)。