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2023.08.01
地位確認等請求事件
「新・判例解説Watch」労働法分野 令和5年10月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25572945/最高裁判所第一小法廷 令和 5年 7月20日 判決 (上告審)/令和4年(受)第1293号
上告人(一審被告。自動車学校)を定年退職した後に、上告人と有期労働契約を締結して勤務していた被上告人(一審原告)らが、上告人と無期労働契約を締結している労働者との間における基本給、賞与等の相違は労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条に違反するものであったと主張して、上告人に対し、不法行為等に基づき、上記相違に係る差額について損害賠償等を求め、原判決は、被上告人らの基本給及び賞与に係る損害賠償請求を一部認容すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、正職員と嘱託職員である被上告人らとの間で基本給の金額が異なるという労働条件の相違について、各基本給の性質やこれを支給することとされた目的を十分に踏まえることなく、また、労使交渉に関する事情を適切に考慮しないまま、その一部が労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たるとした原審の判断には、同条の解釈適用を誤った違法があるなどとして、原判決中、被上告人らの基本給及び賞与に係る損害賠償請求に関する上告人敗訴部分は破棄し、被上告人らが主張する基本給及び賞与に係る労働条件の相違が労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たるか否か等について、更に審理を尽くさせるため、上記部分につき、本件を原審に差し戻すこととし、上告人のその余の上告については却下した事例。
2023.08.01
産業廃棄物処理施設設置許可処分取消請求事件
「新・判例解説Watch」環境法分野 令和6年1月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25595453/広島地方裁判所 令和 5年 7月 4日 判決 (第一審)/令和2年(行ウ)第24号
原告らにおいて、本件土地を設置場所とする産業廃棄物最終処分場につき、訴外組合の申請に対して広島県知事(処分行政庁)が令和2年4月23日付けでした廃棄物の処理及び清掃に関する法律15条1項に基づく産業廃棄物処理施設設置許可処分には、(1)本件申請が廃棄物処理法15条の2第1項各号に適合していないのにこれを許可した違法性、(2)廃棄物処理法15条3項に違反してこれを許可した違法性、(3)廃棄物処理法15条の2第3項に違反してこれを許可した違法性、(4)廃棄物処理法15条5項、6項に違反してこれを許可した違法性がある旨主張して、被告(広島県)に対し、本件許可処分の取消しを求めた事案で、原告番号1、7、8及び12には本件許可処分の取消しを求める法律上の利益を欠き、原告適格が認められず、同原告らの訴えは不適法であるとして却下し、その余の原告らの請求については、生活環境影響調査項目の一つである地下水と水質の2点をめぐる処分行政庁の調査や審査及び判断の過程には看過しがたい過誤、欠落があると認められるから、処分行政庁の判断に不合理な点があり、その判断に基づく本件許可処分は違法であるとして、認容した事例。
2023.07.25
行政措置要求判定取消、国家賠償請求事件 
「新・判例解説Watch」労働法分野 令和5年10月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和5年9月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
「新・判例解説Watch」行政法分野 令和5年9月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25572932/最高裁判所第三小法廷 令和 5年 7月11日 判決 (上告審)/令和3年(行ヒ)第285号
一般職の国家公務員であり、性同一性障害である旨の医師の診断を受けている上告人(一審原告)が、国家公務員法86条の規定により、人事院に対し、職場のトイレの使用等に係る行政措置の要求をしたところ、いずれの要求も認められない旨の判定を受けたことから、被上告人(一審被告。国)を相手に、本件判定の取消し等を求め、第1審判決は、上告人の請求を一部認容したが、原判決は、本件判定部分の取消請求を棄却したため、上告人が上告した事案で、本件判定部分に係る人事院の判断は、本件における具体的な事情を踏まえることなく他の職員に対する配慮を過度に重視し、上告人の不利益を不当に軽視するものであって、関係者の公平並びに上告人を含む職員の能率の発揮及び増進の見地から判断しなかったものとして、著しく妥当性を欠いたものといわざるを得ないとし、本件判定部分は、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法であるとして、原判決中、人事院がした判定のうちトイレの使用に係る部分の取消請求に関する部分を破棄し、同部分につき被上告人の控訴を棄却した事例(補足意見がある)。
2023.07.25
審決取消請求事件(ダイレックス(株)による審決取消請求事件) 
「新・判例解説Watch」経済法分野 令和5年9月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25595467/東京高等裁判所 令和 5年 5月26日 判決 (第一審)/令和2年(行ケ)第5号
原告は、被告(公正取引委員会)が原告に対してした排除措置命令及び課徴金納付命令について、それぞれその全部の取消しを求める審判請求をし、被告は、本件排除措置命令を変更し、本件課徴金納付命令を一部取り消す旨の審決をした。本件は、原告が、本件審決について、原告の審判請求を棄却した部分につき私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律82条1項各号所定の取消事由がある旨を主張して、同項に基づき、その取消しを求めた事案で、本件各命令(本件審決後において、なお効力を有するもの)はいずれも適法であり、本件審決に独占禁止法82条1項各号所定の取消事由があるとは認められないとして、原告の請求を棄却した事例。
2023.07.18
威力業務妨害被告事件 
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和5年9月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25506582/大阪高等裁判所 令和 5年 6月14日 判決 (控訴審)/令和4年(う)第427号
旧P6総合センターの施設管理業務のために大阪府が大阪労働局と共同で管理していた防犯カメラにゴム手袋や白色ビニール袋を被せて、そのレンズを塞ぎ、2度にわたり威力を用いて人の業務を妨害したとして、原判決は、各公訴事実と同旨の原判示第1及び第2の各事実を認定し、これらが威力業務妨害罪に該当すると認めて被告人3名を有罪とした上(ただし、P4被告人については、原判示第2のみ)、P1被告人を罰金50万円に、P2被告人を罰金30万円に、P4被告人を罰金10万円に、それぞれ処したため、これに不服の被告人が控訴した事案で、本件カメラの角度変更の目的に関する事実誤認の主張、業務の要保護性に関する事実誤認及び法令適用の誤りの主張、威力該当性に関する事実誤認及び法令適用の誤りの主張、正当防衛の成否に関する事実誤認及び法令適用の誤りの主張はいずれも理由があり、その余の主張を判断するまでもなく、被告人3名は無罪であることが明らかであり、また、被告人3名は、いずれも無罪の判決を求める主張をするほか、本件公訴の提起自体が違法であり、あるいは、原裁判所は、不法に公訴を受理したものとして公訴棄却の判決を求める旨の本案前の主張もしているが、当裁判所は、本案前の主張について検討、判断するまでもなく、無罪の判断に至ったものであり、被告人3名にとってより有利であり、かつ、同人らが求めている無罪判決をするに熟している以上、本案前の主張の当否を判断するまでもなく、原判決を破棄し、無罪を言い渡した事例。
2023.07.18
ウイルス性肝炎患者の救済を求める全国B型肝炎訴訟広島訴訟損害賠償請求控訴事件 
LEX/DB25594965/広島高等裁判所 令和 5年 3月17日 判決 (控訴審)/令和2年(ネ)第221号
B型慢性肝炎の患者である控訴人らが、乳幼児期に被控訴人・国が実施した集団予防接種又は集団ツベルクリン反応検査を受けた際、注射器の連続使用によってB型肝炎ウイルス(HBV)に感染し、その後、成人になって慢性肝炎を発症し、いったんは沈静化した後に、更に慢性肝炎(HBe抗原陰性慢性肝炎)を再発したとして、従前の慢性肝炎の発症による損害とは区別される別個の損害が発生した旨主張して、上記再発後に発生した損害の包括一律請求として、国家賠償法1条1項に基づき、それぞれ損害賠償金等の各支払を求め、原審が控訴人らの請求をいずれも棄却したことから、控訴人らが控訴した事案で、本件においては、被控訴人の集団予防接種等と控訴人らのHBV感染との間の因果関係を肯定するのが相当であり、控訴人らのHBe抗原陰性慢性肝炎の発症に係る肉体的・経済的損害及び精神的損害は甚大なものがあるというべきであるから、控訴人らの請求は、本件の同法上の違法行為と相当因果関係のある損害賠償を求める限度で理由があるとして、原判決を取り消し、控訴人らの請求をいずれも認容した事例。
2023.07.11
懲戒免職処分取消、退職手当支給制限処分取消請求事件 
LEX/DB25572914/最高裁判所第三小法廷 令和 5年 6月27日 判決 (上告審)/令和4年(行ヒ)第274号
上告人(一審被告。宮城県)の公立学校教員であった被上告人(一審原告)が、酒気帯び運転を理由とする懲戒免職処分を受けたことに伴い、職員の退職手当に関する条例12条1項1号の規定により、退職手当管理機関である宮城県教育委員会から、一般の退職手当等の全部を支給しないこととする処分を受けたため、上告人を相手に、上記各処分の取消しを求め、原審は、本件懲戒免職処分は適法であるとしてその取消請求を棄却すべきものとした上で、本件全部支給制限処分の取消請求を一部認容したため、上告人が上告した事案において、本件全部支給制限処分に係る県教委の判断は、被上告人が管理職ではなく、本件懲戒免職処分を除き懲戒処分歴がないこと、約30年間にわたって誠実に勤務してきており、反省の情を示していること等を勘案しても、社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものとはいえないとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、本件全部支給制限処分にその他の違法事由も見当たらず、その取消請求は理由がなく、上告人の控訴に基づき、第1審判決中、上告人敗訴部分を取消し、同部分につき被上告人の請求を棄却する内容で、原判決を変更した事例(反対意見がある)。
2023.07.11
(大崎事件第4次再審請求棄却決定に対する即時抗告棄却決定) 
LEX/DB25595222/福岡高等裁判所宮崎支部 令和 5年 6月 5日 決定 (抗告審(即時抗告))/令和4年(く)第25号
請求人の母親であるAに対する殺人、死体遺棄被告事件について昭和55年3月31日鹿児島地方裁判所が言い渡した有罪判決(Aに対する確定判決)及び請求人の父親であるB(平成5年10月2日死亡)に対する殺人、死体遺棄被告事件について昭和55年3月31日同裁判所が言い渡した有罪判決(Bに対する確定判決)に関し、A及びBに対して無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したから、請求人は、刑事訴訟法439条1項4号に該当する者として、同法435条6号により各再審開始請求(いわゆる大崎事件第4次再審請求)をしたところ、各再審請求を棄却したため、請求人が即時抗告した事案で、S鑑定及びQ・R鑑定はH及びIの各供述を減殺するものとはいえず、また、N鑑定は、各確定判決が証拠の標目に掲げたJ旧鑑定の信用性を減殺するものではあるが、各確定判決の事実認定においてJ旧鑑定が占める重要性からすれば、各確定判決の事実認定に合理的疑いを生じさせるものとはいえず、H及びIの各供述の信用性、B、C及びFの各自白並びにGの供述の信用性を減殺するものとはいえないとし、弁護人の提出する新証拠は、確定判決の事実認定に合理的疑いを差し挟むものとはいえないと判断した原決定に誤りはないとして、本件各即時抗告を棄却した事例。
2023.07.04
窃盗未遂被告事件
LEX/DB25572908/最高裁判所第一小法廷 令和 5年 6月20日 決定 (上告審)/令和4年(あ)第680号
被告人は、氏名不詳者らと共謀の上、市役所職員及び金融機関職員になりすましてキャッシュカードを窃取しようと考え、氏名不詳者らが、被害者方に電話をかけ、被害者(当時76歳)に対し、過払金を還付する金融機関口座のキャッシュカードが古く、使えないようにする必要があるので、同キャッシュカードを回収しに行く旨のうそを言い、さらに、金融機関職員になりすました被告人が、被害者名義等のキャッシュカード在中の封筒をすり替えて窃取するためのトランプカード在中の封筒を携帯し、同人方付近路上まで赴いたが、氏名不詳者らと通話中の被害者が不審に思って電話を切るなどしたため、その目的を遂げなかった窃盗未遂の事件で、第1審判決は、「被告事件が罪とならないとき」に当たるとして、刑事訴訟法336条により、被告人に対して無罪を言い渡したため、検察官が控訴し、原判決は、第1審判決に事実誤認はないが、窃盗未遂罪の成立を否定した点において刑法43条本文の解釈適用を誤った違法があるとして、法令適用の誤りにより第1審判決を破棄し、自らは何ら事実の取調べをすることなく、本件公訴事実と同旨の犯罪事実を認定して、被告人を懲役3年、4年間執行猶予に処したため、被告人が上告した事案で、本件公訴事実記載の事実の存在については、第1審判決によって認定されており、原審において第1審の無罪判決を破棄して有罪判決をしたことは、第1審判決の法令の解釈適用の誤りを是正したにとどまるものというべきであるから、原審が事実の取調べをすることなく、訴訟記録及び第1審裁判所において取り調べた証拠のみによって、直ちに本件公訴事実と同旨の犯罪事実を認定して自ら有罪の判決をしたことは、刑事訴訟法400条ただし書に違反しないとして、本件上告を棄却した事例。
2023.07.04
国家賠償請求事件
LEX/DB25595224/名古屋地方裁判所 令和 5年 5月30日 判決 (第一審)/平成31年(ワ)第597号
同性カップルである原告らが、同性間の婚姻を認めていない民法及び戸籍法の規定(本件諸規定)は、憲法24条及び14条1項に違反するにもかかわらず、被告が必要な立法措置を講じていないため、婚姻をすることができない状態にあると主張して、国家賠償法1条1項に基づき、被告(国)に対し、慰謝料等の支払を求めた事案で、本件諸規定が、同性カップルに対して、その関係を国の制度によって公証し、その関係を保護するのにふさわしい効果を付与するための枠組みすら与えていないという限度で、国会の立法裁量の範囲を超えるものとみざるを得ないような場合に当たるというべきであるから、その限度で、憲法24条2項に違反すると同時に、憲法14条1項にも違反するものといわざるを得ないとしたうえで、本件諸規定の改廃を怠ったことは、国会議員の立法過程における行動が上記職務上の法的義務に違反したものとはいえず、国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではないとして、原告らの請求を棄却した事例。
2023.06.27
警察庁保有個人情報管理簿一部不開示決定取消等請求控訴事件 
LEX/DB25595169/東京高等裁判所 令和 5年 5月17日 判決 (控訴審)/令和4年(行コ)第31号
控訴人(原告)は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律4条1項に基づき、警察庁長官に対し、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律10条2項1号、2号又は11号に該当する個人情報ファイルの数及び名称、同ファイルに含まれる個人情報の概要等が分かる行政文書の開示請求をしたところ、同長官は、本件開示請求の対象となる文書を保有個人情報管理簿126通と特定した上で、そのうち同項11号に該当する個人情報ファイルに係る4通の管理簿を開示し、その余の122通の管理簿については、それぞれの項目を示す部分のみを開示し、各項目の内容を記載した部分はいずれも不開示とする旨の決定をしたことで、控訴人が、被控訴人(被告。国)に対し、本件処分の取消し及び本件各文書のうち本件不開示部分についての開示決定の義務付けを求め、原審は、原判決別表1の各記載欄に「○」を付していない部分は、情報公開法5条3号所定の情報(3号情報)又は同条4号所定の情報(4号情報)に該当すると認められる一方、その余の部分はこれらの該当性を認めることができず、情報公開法6条1項に基づいて開示されなければならないなどと判断して、本件処分のうち、原判決別表1記載の各部分は違法であるとしてこれを取消し、警察庁長官に対して同部分を開示する旨の決定をするよう命じ、本件処分のうちその余の取消請求については棄却し、本件訴えのうちその余の義務付け請求に係る部分は不適法として却下したため、これを不服とする控訴人が、控訴した事案において、本件不開示部分につき一律に不開示情報該当性を認めることはできず、本件各文書の記載欄ごとに不開示情報該当性を検討すべきところ、全10項目のうち3項目の記載欄についてはいずれも3号情報又は4号情報に該当すると認められ、7項目の記載欄については,そのうち分類A及び分類Bの情報については3号情報又は4号情報に該当すると認められる一方、分類Cの情報についてはこれらの該当性を認めることができないとし、7項目の記載欄のうち分類Cに係る部分は、情報公開法6条1項に基づき、開示しなければならないとして、原告の請求中、本件処分のうち本件各文書中別表1記載の各部分を不開示とした部分の取消しを求め、同部分につき開示決定の義務付けを求める部分については認容し、その余の取消請求については棄却し、本件訴えのうち、その余の義務付け請求に係る部分については却下した事例。
2023.06.27
損害賠償請求事件 
LEX/DB25595221/大阪地方裁判所堺支部 令和 5年 5月16日 判決 (第一審)/令和2年(ワ)第1255号
原告が、東京証券取引所市場第一部に上場されていた被告U社の株式を公募増資に応じて取得し、その後同株式を買い増ししたところ、公募増資の際に提出された有価証券届出書には重要な事項について虚偽の記載があり、後日粉飾決算の事実が発覚して株価が暴落したために売却損等の損害を被ったなどとして、(1)被告U社に対しては、金融商品取引法18条1項(発行市場における取得株式関係)又は同法21条の2第1項(流通市場における取得株式関係)に基づき、(2)上記有価証券届出書に係る連結財務諸表の監査証明をした被告S監査法人に対しては、金商法21条1項3号(発行市場における取得株式関係)又は金商法22条1項(流通市場における取得株式関係)に基づき、(3)上記公募増資の元引受契約を締結した金融商品取引業者である被告M証券に対しては、金商法21条1項4号(発行市場における取得株式関係)に基づき、それぞれ損害賠償を求めた事案において、原告の、(1)被告U社に対する請求は、請求額を減額した内容で一部認容し、その余は理由がないとして棄却し、(2)〔1〕被告S監査法人に対する請求及び〔2〕被告M証券に対する請求はいずれも理由がないとして棄却した事例。
2023.06.20
婚姻費用分担審判に対する抗告事件 
LEX/DB25594978/東京高等裁判所 令和 5年 4月20日 決定 (抗告審(即時抗告))/令和4年(ラ)第2609号
抗告人(原審相手方)と相手方(原審申立人)は、長女(現在3歳)をもうけた別居中の夫婦であるところ、妻であり長女を監護する相手方が、夫である抗告人に対し、婚姻費用の分担を求める調停を申し立てたが、調停が成立しなかったことから審判に移行し、原審は、抗告人に対し、令和2年3月から令和4年9月までの未払婚姻費用84万4033円を直ちに、同年10月から当事者が離婚又は別居状態の解消に至るまで、毎月末日限り、1か月当たり11万5000円を相手方に支払うよう命じる審判をしたため、これに不服の抗告人が即時抗告した事案において、原審と異なり、抗告人が相手方に対して令和2年3月から令和5年7月までに支払うべき婚姻費用の全額及び同年8月に支払うべき婚姻費用のうち1万2867円が既払であり、抗告人に対し、令和5年8月末日限り同月分残金8万7133円を、同年9月から当事者の離婚又は別居状態の解消に至るまで、毎月末日限り、1か月当たり10万円を相手方に支払うよう命じるのが相当と判断し、原審判を変更した事例。
2023.06.20
弁護人選任権侵害等国家賠償請求事件 
LEX/DB25595142/前橋地方裁判所 令和 5年 3月24日 判決 (第一審)/令和2年(ワ)第259号
脅迫罪の被疑事実で逮捕され、弁解録取手続し、罰金5万円の略式命令を受けた後、原告が正式裁判の請求をし、本件請求1は、〔1〕被告群馬県の公権力の行使に当たる公務員である警察官が、原告の逮捕の際の弁解録取手続において、原告の弁護人選任権を阻害する言動をしたこと、〔2〕被告群馬県の公権力の行使に当たる公務員である留置担当の警察官が、原告の逮捕中、原告が弁護人選任の申出をしたにもかかわらず、弁護士に対してその申出があったことの通知を怠ったこと及び〔3〕被告国の公権力の行使に当たる公務員である副検事が、原告の勾留請求前の弁解録取手続の際に、原告が弁護人選任の申出をしたにもかかわらず、弁護士に対してその申出があったことの通知を怠ったことにつき、被告らに対し、精神的損害と弁護士費用等の連帯支払を求め、本件請求2は、被告群馬県の公権力の行使に当たる公務員である警察官が、原告の逮捕中、原告の真意に基づく承諾や捜査の必要性がなかったにもかかわらず、本件採尿及び本件DNA型資料採取を行ったことにつき、被告群馬県に対し、精神的損害と弁護士費用等の支払を求め、本件請求3は、被告国の公権力の行使に当たる公務員である副検事が、原告が正式裁判の請求をして原告刑事被告事件の審理期間中、原告に対し、同請求を取り下げるように強要し又はこれを迫り、あるいは原告において同請求を取り下げるように要求をされたと受け取るような行為につき、被告国に対し、精神的損害と弁護士費用等の支払を求めた事案で、本件請求1は、被告国の副検事による勾留請求前の弁解録取手続における原告の弁護人選任権に係る行為について国家賠償法上違法な点があるとは認められないとして、棄却し、本件請求2は、被告群馬県の警察官らによる本件DNA型資料採取は、警察官らが負っている職務上の注意義務に違反するものとして、国家賠償法上違法なものであり、また、担当した警察官らに過失があることも明らかであり、被告群馬県には、当該行為によって原告が被った損害賠償責任があるとして、一部認容し、本件請求3は、副検事の原告に対する各発言は、その内容やこれらが複数回にわたって行われたことに加え、各発言がされた時の状況や原告と副検事との関係性などに照らせば、原告の裁判を受ける権利を侵害するものというべきであるから、副検事の当該行為は、職務上の注意義務に違反するものとして、国家賠償法上違法なもので、副検事に過失があることも明らかであり、被告国には、原告が被った損害賠償責任があるとして、一部認容した事例。
2023.06.13
株式売買価格決定に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件 
LEX/DB25572868/最高裁判所第三小法廷 令和 5年 5月24日 決定 (許可抗告審)/令和4年(許)第8号
相手方M社が、抗告人らが有する相手方M社の譲渡制限株式(本件株式1)について、会社法144条2項に基づき売買価格の決定の申立てをし、相手方M社が、抗告人Y1及び抗告人Y2が有する相手方M社の譲渡制限株式(本件株式2)について、同様に売買価格の決定の申立てをしたところ、原審は、鑑定意見に依拠し、本件各評価額から非流動性ディスカウントとして30%の減価を行い、本件株式1の売買価格を1株当たり5266円、本件株式2の売買価格を1株当たり4514円と定めた変更決定に対し、抗告人らが許可抗告をした事案において、本件各株式の評価方法として、DCF法によって算定された本件各評価額から非流動性ディスカウントを行うことができるとし、これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができるとして、本件抗告を棄却した事例。
2023.06.13
(プレサンス事件付審判請求) 
LEX/DB25595157/大阪地方裁判所 令和 5年 3月31日 決定 (第一審)/令和4年(つ)第14号
請求人が大阪地方検察庁検事の職にあった被請求人Bを特別公務員暴行陵虐罪で同庁に告発したところ、同庁検察官が、被請求人を不起訴処分にしたが、その処分に不服があるから、事件を大阪地方裁判所の審判に付することを求めた事案において、威迫を上回る脅迫について特別公務員暴行陵虐罪の実行行為から除かれた立法経緯、被請求人の身上関係やこれまでに前科等がないことなども総合すると、被請求人を不起訴処分とするのが相当であり、嫌疑不十分を理由に検察官が行った不起訴処分は結論において正当であるとして、本件請求を棄却した事例(なお、本件においては刑事処分として不起訴処分が相当であると判断したというにとどまり、被請求人の行為を許容したわけではないことを付言した。)。
2023.06.06
婚姻費用分担申立て却下審判に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件 
LEX/DB25572858/最高裁判所第二小法廷 令和 5年 5月17日 決定 (許可抗告審)/令和4年(許)第17号
相手方が、その夫である抗告人に対し、婚姻費用分担審判の申立てをした事案の許可抗告審において、本件子は、戸籍上抗告人と相手方の嫡出子とされているが、相手方が抗告人との婚姻の成立の日から200日以内に出産した子であり、民法772条による嫡出の推定を受けないとすると、本件は、抗告人の本件子に対する本件父子関係に基づく扶養義務の存否を確定することを要する場合に、裁判所が本件父子関係の存否を審理判断することは妨げられないとし、原審は、本件父子関係の存否は訴訟において最終的に判断されるべきものであることを理由に、本件父子関係の不存在を確認する旨の判決が確定するまで抗告人は扶養義務を免れないとして、本件父子関係の存否を審理判断することなく、抗告人の本件子に対する本件父子関係に基づく扶養義務を認めたものであり、この原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があるとして原決定を破棄し、原決定後に抗告人から提出された判決の正本及び同判決の確定証明書によれば、本件父子関係が存在しないことを確認する旨の判決が確定したことが認められるから、抗告人が本件子に対して本件父子関係に基づく扶養義務を負うということはできず、その他、抗告人と相手方が分担すべき婚姻費用に本件子の監護に要する費用が含まれると解すべき事情はうかがわれず、本件の事実関係の下において本件申立てを却下した原々審判は正当であり、原々審判に対する抗告を棄却した事例。
2023.06.06
損害賠償請求権行使請求事件 
「新・判例解説Watch」行政法分野 令和5年8月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25594882/名古屋地方裁判所 令和 5年 3月27日 判決 (第一審)/令和3年(行ウ)第18号
愛知県の住民である原告が、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」に関し、県が要綱に基づいてあいちトリエンナーレのあり方検証委員会及び同検討委員会を設置したことは、地方自治法138条の4第3項に規定するいわゆる附属機関条例主義に違反するとともに、被告の組織編成権に係る裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものであり、本件各委員会の委員に対する報償費及び旅費並びに検証作業等に要した費用に係る支出負担行為及び支出命令は違法であると主張して、県の執行機関である被告を相手に、同法242条の2第1項4号に基づき、〔1〕本件各支出当時の県知事Bに対し、不法行為に基づく損害賠償請求を、〔2〕本件各支出の専決権者である県職員Cに対し、同法243条の2の2に基づく賠償命令をすることを求めた住民訴訟の事案で、本件訴えのうち、別紙検証費目録記載の「流用費目」欄の費目に係る「金額」欄の金額の支出、並びに本件報償費等のうち令和元年9月25日から同年11月26日までにされた支出負担行為等について、B知事及び本件職員に対し、損害賠償請求等をすることを求める部分は不適法であるとして却下し、その余の請求を棄却した事例。
2023.05.30
3番所有権抹消登記等請求事件 
LEX/DB25572855/最高裁判所第二小法廷 令和 5年 5月19日 判決 (上告審)/令和4年(受)第540号
Aの遺言執行者である被上告人が、本件土地はAの相続財産であり、本件土地につきAの遺言の内容に反する登記がされているなどと主張して、本件土地につき本件登記を受けた上告人らに対し、本件登記の抹消登記手続等を求めた事案の上告審において、上告人の本件登記の抹消登記手続請求のうち、上告人らの持分合計3分の2(上告人Y1の持分150分の23、上告人Y2の持分150分の42及び上告人Y3の持分150分の35)に関する部分については、同部分に係る訴えを却下すべきであり、上記持分合計3分の2を除くその余の持分に関する部分については、上告人らの持分を合計6分の5(上告人Y1の持分120分の23、上告人Y2の持分120分の42及び上告人Y3の持分120分の35)とする所有権一部移転登記への更正登記手続を求める限度で認容し、その余の請求を棄却すべきであるとし、原判決を一部変更した事例。
2023.05.30
勾留理由開示に対する特別抗告事件 
LEX/DB25572838/最高裁判所第一小法廷 令和 5年 5月 8日 決定 (特別抗告審)/令和5年(し)第270号
裁判官が勾留理由開示期日において告知した勾留理由に関し不服を申立てた事案の特別抗告審において、勾留理由の開示は、公開の法廷で裁判官が勾留の理由を告げることであるから、刑事訴訟法433条1項にいう「決定又は命令」に当たらないとし、本件抗告の申立ては不適法であるとしとして、本件抗告を棄却した事例。