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2022.10.25
国家賠償請求事件
LEX/DB25593422/水戸地方裁判所 令和 4年 9月16日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第552号
カメルーン国籍の男性Aの母である原告が、東日本入管センターを設置していた被告(国)に対し、被告の公務員であった東日本入管センターの職員らは、Aの容態が急変した時点でAを救急搬送するべき義務があったのに、これを怠り、Aを救急搬送しなかったことにより、Aを死亡させたなどと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、損害金の一部である1000万円の支払等を求めた事案で、被告は、被告の公権力の行使に当たる公務員である上記職員らがその職務を行うについて、救急搬送を要請し、医療機関に救急搬送するべき注意義務があったのに、これを怠り、Aが心肺停止の状態で発見されるまで救急搬送を要請しなかった過失によって違法にAに加えた損害について、賠償する責任を負うとして、原告の請求は、被告に対し、損害金165万円の支払等を求める限度で一部認容した事例。
2022.10.18
取立金請求事件
LEX/DB25572355/最高裁判所第一小法廷 令和 4年10月 6日 判決 (上告審)/令和2年(受)第1462号
補償金の支払請求権を差し押さえた上告人が、被上告人(マンション建替事業の施行者)に対し、本件補償金及びこれに対する遅延損害金を供託の方法により支払うことを求めた取立訴訟で、原審は、上告人の請求を棄却すべきものとしたため、上告人が上告した事案で、被上告人は、マンションの建替え等の円滑化に関する法律76条3項に基づく本件補償金の供託義務を負うところ、本件補償金の支払請求権に対して、上告人、北おおさか信用金庫及び近畿信用保証の各申立てに基づき、複数の差押命令が発せられ、差押えの競合が生じたのであるから、被上告人は、本件補償金について、同項及び民事執行法156条2項を根拠法条とする混合供託をしなければならないとし、被上告人は、本件供託をもって上告人に対抗することができないことになり、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、これを棄却した第1審判決を取消し、上記請求を認容した事例。
2022.10.18
開発許可差止請求事件(第1事件、第2事件)
「新・判例解説Watch」環境法分野 令和4年12月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25593366/神戸地方裁判所 令和 4年 8月23日 判決 (第一審)/令和1年(行ウ)第90号 等
原告P1、原告P2及び原告P3が、R社は、兵庫県丹波篠山市に所在する各土地上にホテルの新築工事の計画を進めており、本件新築工事を含む開発行為等につき、丹波篠山市まちづくり条例10条に基づく開発行為等の許可の申請をし、丹波篠山市長が同条に基づく許可をする蓋然性があるところ、本件許可処分により、原告らのまちづくりに参画する権利及び景観利益並びに原告P3の生活環境利益が侵害され、重大な損害を生ずるおそれがあるなどと主張して、被告(丹波篠山市)に対し、行政事件訴訟法3条7項に基づき、本件許可処分の差止めを求めた事案において、原告らについては、重大な損害を生ずるおそれがあるとは認められないとし、原告らの本件訴えはいずれも不適法であるとして却下した事例。
2022.10.11
業務上過失往来危険、業務上過失致死被告事件
LEX/DB25593276/神戸地方裁判所 令和 4年 8月 8日 判決 (差戻第一審)/令和3年(わ)第164号
被告人は、漁船Y丸(総トン数1.7トン)の船長として同船の操船業務に従事していたものであるが、平成29年10月14日午後8時2分頃、兵庫県淡路市α地先西防波堤南東端所在のB港西防波堤東灯台から真方位340度、約95メートル付近海上を、真針路152度、速力約20ノットで航行するに当たり、前方左右の見張りを十分に行い、自船針路上の他船の早期発見に努め、航路の安全を確認しつつ航行すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り、他船はいないものと軽信し、航行先である右前方に気を取られ、左前方の見張りを十分に行わず、航路の安全確認不十分のまま漫然前記速力で航行した過失により、その頃、前記灯台から真方位29度、約17メートル付近海上において、左前方から航行してきた漁船X丸(総トン数1.5トン)に気付かないまま、自船船首部を前記X丸船尾部に衝突させるなどして前記X丸の右舷船尾外板に亀裂等の損傷を与え、もって艦船の往来の危険を生じさせるとともに、自船船首部を前記X丸に乗船中のC(当時77歳)に衝突させるなどし、同人に右側頭部頭蓋冠骨折及び中頭蓋底横断骨折等の傷害を負わせ、同人を前記傷害による外傷性脳くも膜下出血及び脳挫滅・脳挫傷により死亡させたとして、業務上過失往来危険、業務上過失致死の罪で起訴され、差戻前第1審は無罪を言い渡したため、検察官が控訴し、差戻前控訴審は、本件事故発生時点において、被害船のローラー部分が前向きであったとの事実が認められないとした差戻前第1審には判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認があるとして、同判決を破棄し、第1審に差戻しを命じことに対し、弁護人が上告したが、上告審は上告棄却の決定をした。その後の差戻後第1審判決の事案で、被告人は、被告船の進路前方左右の見張り等を十分行っていれば、遅くとも本件衝突の約8秒前よりも若干衝突時に近い時点(衝突位置の約85メートル手前の位置よりも若干衝突位置寄りの位置)から本件衝突までの間、被害船(その両色灯)を視認することが可能だったと認められ、被告船を一定針路かつ速力約20ノットで航行させた際の最短停止距離が約35.5メートルであったことに照らすと、前記の時点(位置)で直ちに制動(全速後進)措置を講じていれば、被害船に衝突する前に被告船を停止させることが十分に可能であったと認められ、被告人には前方左右の見張り等の注意義務を怠った過失が認められ、業務上過失往来危険及び業務上過失致死の各罪が成立することは明らかであるとして、被告人を禁錮1年2月に処し、この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予するとした事例。
2022.10.11
社員除名請求事件
「新・判例解説Watch」会社法分野 令和4年12月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25601488/東京地方裁判所 令和 3年11月29日 判決 (第一審)/令和2年(ワ)第28629号
合同会社である原告が、原告の業務執行社員である被告には会社法859条3号及び5号所定の除名事由があるとして、被告を原告の社員より除名することを求める事案において、会社法859条によれば、訴えをもって社員の除名を請求するためには、当該社員以外の社員の過半数の決議を要するものとされているところ、この要件は社員が3名以上である通常の場合を想定したものと解されることや、会社法においては社員が1名となったことが持分会社の解散事由とはされていないこと(会社法641条参照)などに照らせば、社員が2名の合同会社においても、このうち1名の社員の意思に基づき訴えをもって他の社員の除名を請求することができるものと解するのが相当であるとし、原告の請求を認容した事例。
2022.10.04
(三ッ星新株予約権無償割当差止仮処分命令申立事件)
LEX/DB25593190/最高裁判所第二小法廷 令和 4年 7月28日 決定 (許可抗告審)/令和4年(許)第12号
抗告人の株主である相手方が、抗告人において取締役会の決議に基づき現に手続中の株主に対する新株予約権の無償割当てについて、〔1〕株主平等の原則に違反する法令違反がある、〔2〕著しく不公正な方法によるものである旨主張して、会社法247条1号及び2号の類推適用に基づき、本件新株予約権の無償割当てを仮に差し止めることを求めた基本事件において、大阪地方裁判所が相手方の本件申立てに理由があると認め、相手方に代わり第三者に3億円の担保を立てさせて、これを認容する仮処分決定をしたところ、これに対し、抗告人が保全異議の申立てをして、原々決定の取消しを求めたが、原審裁判所が原々決定を認可する旨の決定をしたため、抗告人が本件保全抗告をし、抗告審が、現経営陣による本件新株予約権の無償割当てによって相手方が著しい損害を被るおそれがあることが認められ、本件において、保全の必要性についての疎明があるといえるとして、本件保全抗告を棄却したことから、抗告人が許可抗告した事案で、本件の事実関係の下において、所論の点に関する原審の判断は、正当として是認することができるから、抗告人の論旨は採用することができないとして、本件抗告を棄却した事例。
2022.10.04
賃借権不存在等確認請求控訴事件
LEX/DB25593194/東京高等裁判所 令和 3年 9月 9日 判決 (控訴審)/令和3年(ネ)第421号
被控訴人会社との間で、本件土地につき建物所有を目的として賃貸借契約を締結している控訴人会社が、被控訴人から本件賃貸借契約には同契約を更新することなく当然に終了させる旨の合意があるなどと主張されていることから、本件賃貸借契約が借地借家法5条及び6条の適用のある賃貸借契約であることの確認を求める利益があると主張して、被控訴人との間でその確認を求め、原審が、本件の確認の訴えは即時確定の利益があるとはいえず、不適法であるとして却下したため、控訴人が控訴した事案で、本件借地権が借地借家法5条及び6条の適用を受けるものであるか否かは、本件借地権及び本件受益権の現在の財産的価格並びに本件土地及び本件建物に係る控訴人の権利関係全般に影響を及ぼす権利内容ということができるのであって、本件賃貸借契約の賃貸人である被控訴人が本件借地権につき上記各規定の適用による更新の余地を否定していることに照らせば、これにより控訴人の権利及び法的地位に危険又は不安が現存するものと評価すべきであり、その危険又は不安を除去するためには、本件の確認請求について判決をすることが必要かつ適切であると認めるのが相当であるところ、控訴人の訴えを却下した原判決は相当でないとしてこれを取り消し、本件を東京地方裁判所に差し戻した事例。
2022.09.27
分限免職処分取消請求事件
LEX/DB25572318/最高裁判所第三小法廷 令和 4年 9月13日 判決 (上告審)/令和4年(行ヒ)第7号
普通地方公共団体である上告人(被告・控訴人)の消防職員であった被上告人(原告・被控訴人)が、任命権者である長門市消防長から、地方公務員法28条1項3号等の規定に該当するとして分限免職処分を受けたのを不服として、上告人を相手に、その取消しを求め、第一審は、本件処分を取消し、控訴審も第一審を維持したため、上告人が上告した事案で、免職の場合には特に厳密、慎重な判断が要求されることを考慮しても、被上告人に対し分限免職処分をした消防長の判断が合理性を持つものとして許容される限度を超えたものであるとはいえず、本件処分が裁量権の行使を誤った違法なものであるということはできないとし、本件処分が違法であるとした原審の判断には、分限処分に係る任命権者の裁量権に関する法令の解釈適用を誤った違法があるとし、原判決を破棄し、事実関係等の下においては、本件処分にその他の違法事由も見当たらず、被上告人の請求は理由がないから、第1審判決を取消し、同請求を棄却した事例。
2022.09.27
詐欺被告事件
LEX/DB25592804/神戸地方裁判所 令和 4年 5月11日 判決 (第一審)/令和3年(わ)第866号
新型コロナウイルス感染症の拡大により大きな影響を受けた個人事業者等に対する支援を目的として実施された国の持続化給付金制度を利用して、被告人が同給付金名目で金銭をだまし取ったとして詐欺罪で懲役3年を求刑された事案で、被告人に対しては社会内更生の機会を与えるのが相当であるので、被告人に対し、懲役1年6月に処し、執行猶予3年間を言い渡した。なお、本件公訴事実第1及び第2については、被告人が詐欺の故意を有していたとは認められず、犯罪の証明がないから、刑事訴訟法336条により無罪を言い渡した事例。
2022.09.20
固定資産評価審査決定取消等請求事件
LEX/DB25572312/最高裁判所第一小法廷 令和 4年 9月 8日 判決 (上告審)/令和3年(行ヒ)第283号
ゴルフ場の用に供されている兵庫県丹波市所在の一団の本件各土地に係る固定資産税の納税義務者である上告人が、土地課税台帳に登録された本件各土地の平成30年度の価格を不服として丹波市固定資産評価審査委員会に審査の申出をしたところ、これを棄却する旨の審査の決定を受けたことから、上記価格の適否に関する本件決定の判断に誤りがあるなどと主張して、被上告人を相手に、本件決定のうち上告人が適正な時価と主張する価格を超える部分の取消しを求めるとともに、国家賠償法1条1項に基づき、弁護士費用相当額等の損害賠償を求め、原審は、本件各土地の造成に当たり土工事をほとんど要しないにもかかわらず丘陵コースの平均的造成費(840円/平方メートル)を用いることは、評価基準の定める評価方法に従ったものとはいえず、本件登録価格は評価基準によって決定される価格を上回るとして、上告人の本件決定の取消請求を一部認容すべきものとしたが、上告人の損害賠償請求を棄却すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、本件委員会の委員に職務上の注意義務違反が認められないとした原審の判断には、国家賠償法1条1項の解釈適用を誤った違法があるとし、原判決中、損害賠償請求に関する部分は破棄し、更に審理を尽くさせるため、同部分につき、本件を原審に差し戻すこととし、上告人のその余の上告については、上告人が上告受理申立ての理由を記載した書面を提出しないので却下した事例。
2022.09.20
株主権妨害禁止仮処分命令申立事件(スルガ銀行定時株主総会開催禁止等仮処分命令申立事件)
LEX/DB25593055/静岡地方裁判所沼津支部 令和 4年 6月27日 決定 (第一審)/令和4年(ヨ)第32号
債務者会社の代表取締役である債務者aは、令和4年6月、株主らに対し、定時株主総会において第4号議案ないし第13号議案を提案した株主である債権者らが、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、株主による株主総会への出席について事前登録制を採用することは、株主が株主総会に出席して、議題・議案に関する説明を求め、又は意見を陳述する機会や、株主提案の趣旨説明をする機会を不当に奪うものである旨主張して、主位的に、債務者会社に対し、株主の総会参与権に基づく妨害排除請求権として、又は、会社法360条の違法行為差止請求権に基づき、本件株主総会の開催の差止を求め、予備的に、債務者らに対し、総会参与権に基づく妨害排除請求権に基づき、本件株主総会に債権者らが出席して株主権を行使することの妨害禁止を求めた事案において、本件主位的及び予備的申立ては、被保全権利はいずれも認められないとして、却下した事例。
2022.09.13
損害賠償請求事件、共同訴訟参加事件
LEX/DB25593168/東京地方裁判所 令和 4年 7月13日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第6274号 等
平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う津波によって、東京電力が設置、運転する福島第一原子力発電所が破壊され、炉心損傷ないし炉心溶融に至ったこと等により、原子炉から放射性物質を大量に放出する事故が発生したことについて、東京電力の株主である原告らが、東京電力の取締役であった被告らにおいて、福島県沖で大規模地震が発生し、福島第一原発に津波が遡上して過酷事故(原子炉から放射性物質を大量に放出する事故)が発生することを予見し得たから、そのような過酷事故の防止に必要な対策を福島第一原発に速やかに講ずべきであったのに、これを怠った取締役としての善管注意義務違反等の任務懈怠があり、これにより、本件事故が発生し、東京電力に巨額の損害賠償責任や大幅に増加した廃炉費用の負担を余儀なくさせるなどの損害を被らせ、その損害額は22兆円を下らないなどと主張し、会社法847条3項に基づき、同法423条1項の損害賠償請求として、被告らに対し、連帯して、損害金22兆円及び遅延損害金を東京電力に支払うよう求めた株主代表訴訟の事案で、被告W4、被告W3、被告W1及び被告W2が、それぞれの任務懈怠の時点(被告W4は平成20年7月31日以降、被告W3は平成20年8月上旬頃以降、被告W1及び被告W2は平成21年2月11日以降)において、東京電力の取締役としての善管注意義務に従い、W4決定を前提とし、福島第一原発1号機~4号機に明治三陸試計算結果と同様の津波が襲来することを想定して、これにより全交流電源喪失(SBO)及び主な直流電源喪失となることを防止する対策を速やかに講ずるよう指示等を行っていたならば、本件事故を回避し得たであろうことを是認し得る高度の蓋然性が認められるから、上記被告らの任務懈怠と本件事故発生との間には因果関係が存在するとして、被告W4、被告W3、被告W1及び被告W2は、いずれも本件事故により東京電力に生じた損害を賠償する責任を負うとして、原告らの請求は、被告W1、被告W2、被告W3及び被告W4に対し、13兆3210億円及びこれに対する平成29年6月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を連帯して東京電力に支払うよう求める限度で一部認容することとし、被告W1、被告W2、被告W3及び被告W4に対するその余の請求並びに被告W5に対する請求はいずれも棄却した事例。
2022.09.13
損害賠償請求控訴事件、損害賠償請求附帯控訴事件
LEX/DB25593003/東京高等裁判所 令和 4年 7月 6日 判決 (控訴審)/令和3年(ネ)第5471号 等
被控訴人(原審被告)医療法人との間で診療契約を締結したP3が、被控訴人医療法人の被用者であるP4医師から、被控訴人医療法人の開設する本件病院において、患者自身のがん組織を用いて作製されたワクチンによる治療を受けた際、P4医師及び被控訴人(原審被告)C社は、共謀して、P3に対し、本件治療において必要な説明をせず、また、必要な検査を実施せず、P3を死亡させたとして、P3の相続人である控訴人(原審原告)が、被控訴人医療法人に対して民法715条1項に基づき、被控訴人C社に対して民法709条に基づき、連帯して損害賠償金等の支払を求め、原審が、P4医師の説明義務違反を認め、本訴請求のうち被控訴人医療法人に対して110万円の支払等を命じ、その余の請求を棄却したところ、控訴人が原判決中控訴人敗訴部分を不服として控訴し、被控訴人医療法人も原判決中同被控訴人敗訴部分を不服として附帯控訴した事案で、控訴人の請求(当審において請求を減縮したもの)は、被控訴人医療法人に対して270万4760円及びうち245万4760円に対する平成29年8月12日から支払済みまで年5%の割合による金員の支払を求める限度で一部認容し、その余の請求を棄却すべきであるところ、これと異なり、被控訴人医療法人に対して110万円及びこれに対する平成29年8月12日から支払済みまで年5%の割合による金員の限度で請求を一部認容し、その余を棄却した原判決は一部失当であって、控訴人の被控訴人医療法人に対する本件控訴は一部理由があるから、原判決のうち被控訴人医療法人に対する請求に関する部分を上記のとおり変更することとし(仮執行免脱宣言は相当でないからこれを付さない。)、被控訴人C社に対する本件控訴及び被控訴人医療法人の附帯控訴をいずれも棄却した事例。
2022.09.06
障害年金不支給決定取消請求事件
LEX/DB25593167/東京地方裁判所 令和 4年 7月26日 判決 (第一審)/平成30年(行ウ)第298号
1型糖尿病患者である原告が、国民年金法による障害基礎年金の支給を求める裁定請求を行ったところ、厚生労働大臣から、裁定請求日時点における原告の障害の状態が、国民年金法施行令別表に規定する障害等級2級以上に該当しないとして、障害基礎年金を支給しない旨の処分を受けたため、本件処分の取消し及び障害等級2級相当の障害基礎年金の支給を内容とする裁定の義務付けを求めた事案において、本件認定基準は合理的なものと認められるものの、本件認定基準に沿って判断した場合、本件裁定請求日時点で原告の障害の状態については障害等級2級に該当することから、これと異なる判断をして原告に障害基礎年金を支給しないとした本件処分は違法であって取り消されるべきであり、本件裁定請求日を受給権発生日とする障害等級2級相当の障害基礎年金を受給する旨の裁定をする旨厚生労働大臣に命ずるべきであるとして、原告の請求を認容した事例。
2022.09.06
投稿記事削除仮処分申立事件
LEX/DB25592824/大阪地方裁判所岸和田支部 令和 4年 7月 1日 決定 (第一審)/令和4年(ヨ)第6号
債権者会社が、債務者法人が設置・運営・管理するウェブサイトに投稿された各投稿記事により人格権を侵害されていると主張して、債務者に対し、人格権に基づき、本件記事の仮の削除を求めた事案で、本件各記事は、債権者の社会的評価を低下させるものとはいえず、仮に、本件各記事が社会的評価を低下させるものであるとしても、公共の利害に関する事実に係るものでないとはいえないし、また、特段公益を図る目的以外の目的で投稿されたとうかがわせる事情は認められず、専ら公益を図る目的によるものでないとはいえないところ、被保全権利の存在について疎明があるとはいえないとして、本件申立てを却下した事例。
2022.09.06
不当利得返還請求事件
LEX/DB25592784/東京地方裁判所 令和 4年 4月21日 判決 (第一審)/令和2年(ワ)第25492号
妹である原告が兄である被告に対し、被告が〔1〕母である亡Cの預金から引き出された使途不明金、〔2〕亡Cの葬儀に係る香典、〔3〕その遺産である不動産の賃料収入等から利得を得たが、被告の利得の法定相続分の2分の1を超える部分は法律上の原因を欠くとして、不当利得返還請求権に基づき、使途不明金に係る合計222万7500円及びうち147万5000円に対する利得が生じた最終日である平成31年3月4日から、うち60万円に対する同最終日である令和元年9月24日から、うち15万2500円に対する同最終日である同年10月8日から各支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め、香典及び賃料収入等に係る合計87万9007円及びうち香典に係る18万円に対する訴状送達の日の翌日である令和2年10月15日から、うち賃料収入等に係る69万9007円に対する利得が生じた後の日である令和3年11月1日から各支払済みまで民法404条2項所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求めた事案において、原告の被告に対する不当利得返還請求権に基づく請求は、73万3887円及びうち11万5000円に対する訴状送達の日の翌日である令和2年10月15日から、うち61万8887円に対する令和3年11月29日付け訴え変更の申立書送達の日の翌日である同年12月3日から各支払済みまで民法404条2項所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるとして一部認容し、その余の請求を棄却した事例。
2022.08.30
債権差押命令申立て却下決定に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25572287/最高裁判所第三小法廷 令和 4年 8月16日 決定 (許可抗告審)/令和4年(許)第6号
刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律98条の定める作業報奨金の支給を受ける権利は、その性質上、他に譲渡することが許されず、強制執行の対象にもならないと解するのが相当であり、上記権利に対して強制執行をすることはできないとし、上記権利に対する強制執行としてその差押えを求める抗告人の申立てを却下すべきものとした原審の判断は、結論において是認することができるとして、本件抗告を棄却した事例。
2022.08.30
更正すべき理由がない旨の通知処分取消請求控訴事件
LEX/DB25593010/大阪高等裁判所 令和 3年 9月29日 判決 (控訴審)/令和2年(行コ)第10号
控訴人会社が、利用契約を締結した会員に対し、商品購入代金等を決済するサービスや、商品購入代金等の決済手段の利用、金額に応じて企業ポイントを付与するサービスを提供するほか、本件会員が控訴人と提携する法人の企業ポイントプログラム会員でもある場合(双方会員)に、提携法人が付与する企業ポイントと本件ポイントとを交換するなどのサービスを提供し、本件会員が、累積したポイント数に応じて決済代金から割引を受けるなどの利益を享受することができるところ、控訴人が、本件各課税期間の消費税及び地方消費税について、提携ポイントを本件ポイントに交換した後に当該提携ポイントを付与した提携法人が控訴人に対して支払った金員を消費税の課税標準である課税資産の譲渡等の対価の額に算入したうえで確定申告をしたが、後にこれを改め、本件金員が消費税の課税標準である課税資産の譲渡等の対価の額に算入されないなどとして、本件各課税期間の消費税等について、国税通則法23条1項1号に基づき、更正の請求をしたのに対し、更正をすべき理由がない旨の各通知処分を受けたため、本件金員が消費税の課税標準である課税資産の譲渡等の対価の額に算入されないと主張して、前記各通知処分のうち、その各一部の取消しを求め、原審が控訴人の請求をいずれも棄却したため、控訴人が控訴した事案で、本件金員は消費税法2条1項8号にいう「対価」に該当せず、これを消費税の課税標準とすることはできないから、本件金員を本件各課税期間の消費税の課税標準である課税資産の譲渡等の対価の額に算入することはできず、本件金員が課税資産の譲渡等の対価の額に算入されないこと等を理由としてした本件各更正の請求につき更正をすべき理由がない旨の各通知処分(本件各通知処分)のうち、本件金員が課税資産の譲渡等の対価の額に算入されることを理由とする部分は、違法というべきであり、取消しを免れないとして、原判決を取り消し、控訴人の請求を認容した事例。
2022.08.23
準強制わいせつ被告事件
LEX/DB25593012/福岡高等裁判所 令和 4年 7月21日 判決 (控訴審)/令和3年(う)第316号
診療放射線技師である被告人が、学校敷地内に停めた胸部検診車内において、正当な胸部レントゲン検査を受けるものと誤信して抗拒不能の状態にあるA(当時15歳)に対し、その背後に立って脇の下から両手を回し、着衣の上からAの両胸をもみ、もって人の抗拒不能に乗じてわいせつな行為をしたとしたて起訴され、原審は、被告人が公訴事実記載の犯行を行ったことの証明がないとして、被告人に対し無罪を言い渡したため、検察官が控訴した事案で、原裁判所の訴訟手続には、本件各証拠の特信性について必要な審理を尽くさないまま刑事訴訟法321条1項2号後段該当性を否定して証拠調べ請求を却下し、A証言の信用性を否定して無罪判決をした点に審理不尽の違法があり、この訴訟手続の法令違反が判決に影響を及ぼすことは明らかであると判断し、原判決を破棄し、本件を原審に差し戻すこととした事例。
2022.08.23
株主総会決議取消請求事件
「新・判例解説Watch」商法分野 令和4年11月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25601486/東京地方裁判所 令和 3年11月25日 判決 (第一審)/令和2年(ワ)第21121号
被告の株主である原告が、被告の令和2年6月25日開催の定時株主総会における第77期事業年度計算書類承認、剰余金の処分の承認並びに取締役及び監査役の報酬総額承認の各決議について、決議の方法が法令及び定款に違反していると主張して、会社法831条1項1号に基づき、その取消しを求めた事案で、被告が、本件総会につき、本件規定を理由に、原告がその代理人として弁護士を出席させ、弁護士に議決権を代理行使させることを拒否したことは、会社法310条1項に違反し、本件各決議をいずれも取り消した事例。