「LEX/DBインターネット」の「新着判例」コーナー
から、実務・研究上重要と思われる「注目の判例」を
ピックアップしてご紹介します。

その他の最新収録判例は、「LEX/DBインターネット」
ログイン後のデータベース選択画面にあります
「新着判例」コーナーでご確認いただけます。

「LEX/DBインターネット」の詳細は、こちらからご確認いただけます。

2022.12.20
公有水面埋立承認取消処分取消裁決の取消請求事件
LEX/DB25572473/最高裁判所第一小法廷 令和 4年12月 8日 判決 (上告審)/令和4年(行ヒ)第92号
沖縄県副知事は、上告人の執行機関として、沖縄防衛局に対し、普天間飛行場の代替施設を沖縄県名護市辺野古沿岸域に設置するための公有水面の埋立てに関してされた公有水面埋立法42条1項に基づく承認につき、事後に判明した事情等を理由とする取消しをしたが、国土交通大臣は、地方自治法255条の2第1項1号の規定による同局の審査請求を受けて、本件承認取消しを取り消す裁決をしたことで、上告人が、同大臣の所属する行政主体である被上告人を相手に、本件裁決の取消しを求めたところ、原判決は上告人の控訴を棄却したため、上告人が上告した事案で、地方自治法255条の2第1項1号の規定による審査請求に対してされた本件裁決について、原処分である本件承認取消しをした執行機関の所属する行政主体である上告人は、取消訴訟を提起することができないとし、上告人が提起した本件裁決の取消しを求める本件訴えを却下すべきものとした原審の判断は、結論において是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2022.12.20
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反被告事件
LEX/DB25572463/最高裁判所第一小法廷 令和 4年12月 5日 決定 (上告審)/令和4年(あ)第157号
被告人が、東京都内の開店中の店舗で、小型カメラを手に持ち、膝上丈のスカートを着用した女性客Aの左後方の至近距離に近づき、前かがみになったAのスカートの裾と同程度の高さで、その下半身に向けて同カメラを構えるなどしたとして、原判決は、無罪の第1審判決を破棄し、懲役8月に処したため、被告人が上告した事案において、被告人の行為は、Aの立場にある人を著しく羞恥させ、かつ、その人に不安を覚えさせるような行為であって、社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな動作といえるから、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(昭和37年東京都条例第103号)5条1項3号にいう「人を著しく羞恥させ、人に不安を覚えさせるような卑わいな言動」に当たるというべきであるとし、同条例8条1項2号、5条1項3号違反の罪の成立を認めた原判断は是認できるとして、本件上告を棄却した事例。
2022.12.20
相続税更正処分等取消請求控訴事件
LEX/DB25593708/東京高等裁判所 令和 3年 7月14日 判決 (第一審)
本件被相続人の相続人である控訴人らが、処分行政庁から本件被相続人の相続に係る相続税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分を受けたことから、本件各更正処分のうちこれらに先立ってされた各減額更正処分における納付すべき税額を超える部分及び本件各賦課決定処分の取消しを求め、原審は、控訴人らの請求をいずれも棄却したため、控訴人らが控訴した事案において、控訴人らの請求はいずれも理由がないとした原判決は正当であるとし、控訴人らの本件各控訴を棄却した事例。
2022.12.13
間接強制決定に対する執行抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25572452/最高裁判所第三小法廷 令和 4年11月30日 決定 (許可抗告審)/令和3年(許)第17号
抗告人が、その夫である相手方に対して両名の長男を抗告人に引き渡すよう命ずる審判を債務名義として、間接強制の方法による子の引渡しの強制執行の申立てをしたところ、原決定は、原々決定を取消し、本件申立てを却下したため、抗告人が許可抗告をした事案において、本件申立てが権利の濫用に当たるとした原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があるとし、原決定を破棄し、本件申立てが間接強制決定をするための要件を満たさない旨の相手方の主張に理由がないことも明らかであり、本件申立てに基づき間接強制決定をすべきものとした原々審の判断は正当であるから、原々決定に対する相手方の抗告を棄却した事例(補足意見がある)。
2022.12.13
損害賠償請求事件
LEX/DB25593696/東京地方裁判所 令和 4年 6月16日 判決 (第一審)/令和2年(ワ)第12735号
複数の焼き肉店を運営する原告が、〔1〕被告が運営する飲食店ポータルサイトにおいて、飲食店の点数(評点)を算出するためのアルゴリズムについて、同一運営主体が複数店舗を運営している飲食店(チェーン店)の評点を下方修正するような変更を実施し、現在までこれを継続しているところ、上記行為は私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律に違反する行為(取引条件等の差別取扱い〔独禁法2条9項6号イ、不公正な取引方法〕又は優越的地位の濫用〔独禁法2条9項5号ハ〕に該当し、独禁法19条に違反するもの)であり、これにより著しい損害を生ずるおそれがあるなどと主張して、被告に対し、独禁法24条に基づき、本件アルゴリズムにおいて、原告が運営するチェーン店の評点の算出に当たり、チェーン店であることを理由に、当該評点を、チェーン店でない飲食店(非チェーン店)の評点に比して下方修正して設定するアルゴリズム(ルール)を使用することの差止めを求めるとともに、〔2〕被告の上記独禁法違反行為により、原告が運営する飲食店の評点が下落し、来店者数及び売上が減少したなどと主張して、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償として、売上の減少及びブランド価値等の毀損による損害金の支払等を求めた事案で、被告が本件変更を行ったことは、優越的地位の濫用(独禁法2条9項5号ハ)に該当し、独禁法19条に違反すると認め、原告の請求のうち、不法行為に基づき損害賠償を求めた部分につき、一部認容した事例。
2022.12.06
殺人被告事件
LEX/DB25572427/最高裁判所第一小法廷 令和 4年11月21日 判決 (上告審)/令和3年(あ)第319号
被告人が、被告人方において、妻であるA(当時38歳)に対し、殺意をもって、その頸部を圧迫し、Aを頸部圧迫による窒息により死亡させたとした事件で、第1審判決は、被告人の実行行為性を認めた上、犯行態様は危険で悪質なものであることなどを考慮し、被告人を懲役11年を言い渡し、原判決も、殺人の事実を認定した第1審判決の判断は相当であるとして、控訴を棄却したため、被告人が上告した事案で、Aの顔前面の血痕がないとして、本件自殺の主張は客観的証拠と矛盾するとした原判決の判断は是認できず、その判断に基づき被告人を有罪とした点には事実誤認の疑いがあり、また、その原因は、原審で十分な審理が尽くされなかったとして、原判決を破棄し、本件を原審に差し戻した事例。
2022.12.06
所得税更正処分等取消請求控訴事件
LEX/DB25593721/大阪高等裁判所 令和 4年 7月20日 判決 (控訴審)/令和3年(行コ)第64号
承継前一審原告の亡Dが、平成26年分の所得税及び復興特別所得税について、収入の計上の誤り等を理由とする更正の請求をしたところ、処分行政庁から、更正すべき理由がない旨の通知処分を受けたほか、亡Dの子である被控訴人E及び同Gを賃貸人として第三者に賃貸された亡D所有土地の賃料に係る収益は亡Dに帰属するとして、増額更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を受けたことから、控訴人(国)に対し、本件各処分の取消しを求め、原判決は、本件訴えのうち、〔1〕本件通知処分の取消請求に係る部分及び〔2〕本件更正処分のうち更正の請求額を超えない部分の取消請求に係る部分について、いずれも訴えの利益を欠く不適法なものであるとして却下し、〔3〕本件更正処分の取消請求のうち本件更正請求における請求額を超える部分及び本件賦課決定処分の取消請求についてはこれらを認容する判決を言い渡したところ、控訴人が敗訴部分を不服として控訴した事案で、本件各駐車場に係る平成26年2月から同年12月までの所得はいずれも亡Dに帰属するとし、亡Dの平成26年分の所得税等の総所得金額及び納付すべき税額は本件更正処分のとおりと認められるから、本件更正処分は適法であり、被控訴人らの請求はいずれも棄却するのが相当であるとして、原判決中、控訴人敗訴部分を取り消し、前記取消しにかかる被控訴人らの請求を棄却した事例。
2022.12.06
在留資格変更不許可処分無効確認等請求事件(第1事件)、国家賠償請求事件(第2事件)
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和5年1月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25593562/東京地方裁判所 令和 4年 9月30日 判決 (第一審)/令和1年(行ウ)第461号 等
アメリカ合衆国(米国)国籍を有する外国人男性である原告Aが、日本国籍を有する男性である原告Bと米国において同性婚をしたとして、出入国管理及び難民認定法に基づき、「定住者」への在留資格の変更の申請をしたところ、当時の東京入国管理局長から在留資格の変更を許可しない旨の処分を受け、その後、「定住者(又は『特定活動』)」への在留資格の変更の申請をしたところ、東京入管局長から在留資格の変更を許可しないことなどを内容とする通知を受けたことから、本件不許可処分が無効であることの確認及び本件通知の取消しを求めるとともに、東京入管局長に対し「定住者」への在留資格の変更の許可の義務付けを求め(第1事件)、また、原告らが、被告・国に対し、本件不許可処分等は東京入管局長が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用して行ったものであり、これにより法的利益の侵害を受けたなどと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償金等の支払をそれぞれ求めた(第2事件)事案で、原告Aは、本件不許可処分後、再度の在留資格の変更の申請及び申請内容変更の申出をし、これに基づき、東京入管局長から「出国準備」への在留資格の変更の許可を適法に受けているものであるから、これにより、本件不許可処分の無効を確認する利益を喪失したと認められ、本件無効確認の訴えは確認の利益を欠いているというべきであり、他方、東京入管局長としては、通常尽くすべき職務上の義務を尽くしているということができ、原告Aが「定住者」の在留資格に該当しないと判断したことについても、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があるとはいえないから、本件訴えのうち、原告Aの本件第1事件に係る訴えを不適法却下し、原告らの第2事件に係る請求をいずれも棄却した事例。
2022.11.29
映画上映禁止及び損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25593461/知的財産高等裁判所 令和 4年 9月28日 判決 (控訴審)/令和4年(ネ)第10024号
控訴人らが、被控訴人F及び被控訴人会社らは、控訴人らに対する取材映像等並びに控訴人B及び控訴人Dが作成した映像等を利用して本件映画を製作し、これを上映することにより、控訴人らに対する取材映像等について控訴人らが有する著作権及び著作者人格権を侵害し、控訴人B及び控訴人Dが作成した映像等について控訴人B及び控訴人Dが有する著作権並びに控訴人Bが有する著作者人格権を侵害したと主張して、被控訴人らに対し、本件映画の上映等の差止めを求めるとともに、控訴人らの肖像権、名誉権、控訴人Aのパブリシティ権を侵害したと主張して、それぞれ、各不法行為による損害賠償請求権に基づき、被控訴人らに対し、損害の一部としての賠償金等の支払等を求めたところ、原判決が控訴人らの請求をいずれも棄却したため、控訴人らが控訴した事案で、控訴人らの請求をいずれも棄却した原判決は相当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2022.11.29
保護責任者遺棄致死、詐欺、窃盗被告事件
「新・判例解説Watch」刑法分野 令和5年1月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25593462/福岡地方裁判所 令和 4年 9月21日 判決 (第一審)/令和2年(わ)第1494号 等
当時5歳の被害者の幼児が餓死した事件で、十分な食事を与えないよう被害者の母親Bに指示したとして保護責任者遺棄致死などの罪に問われた、いわゆる「ママ友」の被告人に、懲役15年を求刑された事案で、3人の子どもを愛情深く養育し幸せな家庭生活を送っていたBが、独断専行で子どもに食事を与えずに餓死させる理由は全く見当たらず、Bの生活全般を支配し、巧妙かつ悪質な手口で事件を主導したのは被告人であり、これだけの罪を犯しながら、客観的な証拠や事実関係が明らかにされても、なお不合理な弁解やBに責任を転嫁する供述を繰り返し、自らの責任に全く向き合っていないなどとして、被告人を求刑通り懲役15年に処した事例(裁判員裁判)。
2022.11.22
損害賠償請求事件
LEX/DB25593553/札幌地方裁判所 令和 4年10月19日 判決 (第一審)/令和2年(ワ)第295号
被告が開設し経営する被告病院において、入院治療中に死亡したP4の配偶者であるP1(令和4年7月20日に死亡し、原告がその訴訟上の地位を承継)及び子である原告が、被告に対し、〔1〕亡P4は、敗血症にり患し、急性腎不全の状態にあったから、造影剤を投与すべきではなかったにもかかわらず、造影CTを行うために造影剤を投与した注意義務違反があり、これにより急性腎不全を重篤化させるとともに、心原性ショックを生じさせ、その結果、乏尿状態となったのであるから、〔2〕大量の輸液投与をすべきではなかったにもかかわらず、これを行った注意義務違反があり、これらにより、亡P4に高カリウム血症を生じさせ、うっ血性心不全により死亡させたと主張し、被告に対し、診療契約上の債務不履行に基づき、それぞれ、損害金の支払等を求めた事案で、造影剤投与行為及び大量輸液行為によって、亡P4が死亡したとは認められず、造影剤投与行為及び大量輸液行為が注意義務違反であるとはいえないとして、原告の請求を棄却した事例。
2022.11.22
裁決取消請求事件
LEX/DB25593481/東京高等裁判所 令和 4年10月12日 判決 (第一審)/平成31年(行ケ)第8号
原告が船長として操船する第二●丸(●丸)が、未明に、きびなご刺し網漁のため、甲板員2名(兄2名。うち1名はP4)を乗せて、無灯火のまま航行して鹿児島県南さつま市坊津町所在の坊泊漁港泊地区の泊所在の船だまり(泊船だまり)から出港し、P5船長が操船する▲丸と、港口付近で衝突し、これにより、●丸の右舷船尾部に圧潰等を、▲丸の船首部及び船底部に破口、亀裂等をそれぞれ生じさせ、原告が入院加療約2箇月を要する右外傷性気胸等の傷害を負った海難事故(本件海難)についての海難審判事件において、門司地方海難審判所が、原告の小型船舶操縦士の業務を1箇月停止する一方、P5を懲戒しないとの裁決をしたところ、原告が、本件海難は、原告の職務上の過失によって生じたものではなく、P5の過失(見張り懈怠、安全な速力違反等)により生じたものであると主張して、本件裁決のうち原告の小型船舶操縦士の業務を1箇月停止した処分の取消しを求めた事案で、本件衝突と原告の無灯火との間には、因果関係があり、本件裁決における業務停止期間が法定の最短期間である1箇月であることも考慮すれば、やむを得ない範囲のものと認められ、本件裁決には裁量権を逸脱した違法はないとして、原告の請求を棄却した事例。
2022.11.15
各認知請求控訴事件
LEX/DB25572339/東京高等裁判所 令和 4年 8月19日 判決 (控訴審)/令和4年(ネ)第1585号
いずれも提供精子を用いた生殖補助医療により生まれた控訴人A(長女)及び控訴人B(二女)が、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律に基づき女性への性別の取扱いの変更の審判を受けた被控訴人に対し、認知を求めた事案の控訴審において、同審判前に出生した控訴人Aの認知請求を認容し、同審判後に出生した控訴人Bの認知請求は棄却した事例。
2022.11.15
特許権侵害差止等請求控訴事件
「新・判例解説Watch」知的財産法分野 令和5年2月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25572334/知的財産高等裁判所 令和 4年 7月20日 判決 (控訴審)/平成30年(ネ)第10077号
名称を「表示装置、コメント表示方法、及びプログラム」とする特許第4734471号に係る特許権(本件特許権1)及び特許第4695583号に係る特許権(本件特許権2)を有する控訴人が、被控訴人FC2が提供する原判決別紙「被告らサービスの概要」記載の各サービスに用いられている別紙被控訴人らプログラム目録記載の各プログラムは本件特許1の請求項9及び10に係る各特許発明並びに本件特許2の請求項9ないし11に係る各特許発明の技術的範囲に属し、被控訴人ら各プログラムがインストールされた情報処理端末である別紙被控訴人ら装置目録記載の各装置は本件特許1の請求項1、2、5及び6に係る各特許発明並びに本件特許2の請求項1ないし3に係る各特許発明の技術的範囲に属し、被控訴人らによる被控訴人ら各装置の生産及び使用並びに被控訴人ら各プログラムの生産、譲渡、貸渡し及び電気通信回線を通じた提供並びに譲渡等の申出は本件各特許権を侵害すると主張し、被控訴人らに対して、〔1〕特許法100条1項に基づき、被控訴人ら各装置の生産及び使用並びに被控訴人ら各プログラムの生産、譲渡等及び譲渡等の申出の差止めを求め、〔2〕同条2項に基づき、被控訴人ら各プログラムの抹消を求め、〔3〕民法709条及び同法719条に基づき、損害賠償金等の連帯支払を求め、原審は、控訴人の請求を全部棄却したところ、控訴人は、これを不服として本件各控訴した事案で、原判決を変更し、控訴人の請求は被控訴人らに対し被控訴人らプログラム1の生産、譲渡等及び譲渡等の申出の差止め、被控訴人ら各プログラムの抹消並びに損害賠償金の連帯支払を求める限度で一部認容し、その余の請求は棄却した事例。
2022.11.08
選挙無効等請求事件
LEX/DB25572393/最高裁判所第二小法廷 令和 4年10月31日 判決 (上告審)/令和4年(行ツ)第78号 等
東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和44年東京都条例第55号)に基づいて令和3年7月4日に行われた東京都議会議員一般選挙について、江東区選挙区の選挙人である上告人が、本件選挙当時、本件条例のうち、〔1〕大島町、利島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、八丈町、青ヶ島村及び小笠原村の区域を合わせて1選挙区(島部選挙区)とする規定(2条3項。本件島部選挙区規定)が公職選挙法271条、憲法14条1項等に違反するとともに、〔2〕各選挙区において選挙する議員の数を定める規定(3条。本件定数配分規定)が公職選挙法15条8項、憲法14条1項等に違反すると主張して、これらに基づき行われた本件選挙の江東区選挙区における選挙を無効とすること等を求めた上告審の事案において、本件選挙当時、本件島部選挙区規定及び本件定数配分規定が憲法の上記各規定に違反していたものとはいえないことは、当裁判所大法廷判決(最高裁平成11年(行ツ)第7号同年11月10日大法廷判決・民集53巻8号1441頁等)の趣旨に徴して明らかというべきである(最高裁平成30年(行ツ)第92号、同年(行ヒ)第108号同31年2月5日第三小法廷判決・裁判集民事261号17頁参照)とし、本件請求を棄却した原審の判断は、結論において是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2022.11.08
審決取消請求事件((株)トーモクほか1名による審決取消請求事件)
「新・判例解説Watch」経済法分野 令和4年12月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25593484/東京高等裁判所 令和 4年 9月16日 判決 (第一審)/令和3年(行ケ)第12号 等
被告(公正取引委員会)が令和3年2月8日付けでした平成26年(判)第139号ないし第142号排除措置命令及び課徴金納付命令審判事件に係る本件審決について、段ボール原紙を加工して段ボールシートを製造するとともに、段ボールシートを加工して段ボールケースを製造する事業者の原告らが、本件審決の基礎となった事実を立証する実質的な証拠に欠けるとともに、法令の解釈を誤るものであるなどと主張して、同審決の取消しを求めた事案で、本件審決に独占禁止法82条1項1号及び2号に該当する取消事由はないとして、原告らの請求を棄却した事例。
2022.11.01
音楽教室における著作物使用に関わる請求権不存在確認請求事件
LEX/DB25572370/最高裁判所第一小法廷 令和 4年10月24日 判決 (上告審)/令和3年(受)第1112号
被上告人(音楽教室の運営者)らが、上告人(著作権等管理事業者)を被告として、上告人の被上告人らに対する本件管理著作物の著作権(演奏権)の侵害を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権等が存在しないことの確認を求めた上告審の事案において、音楽教室の運営者と演奏技術等の教授に関する契約を締結した生徒のレッスンにおける生徒の演奏に関し、音楽教室の運営者らが本件管理著作物の利用主体であるということはできないとし、これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2022.11.01
労働委員会命令取消請求事件(セブン-イレブン・ジャパン事件)
「新・判例解説Watch」労働法分野 令和5年1月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25593425/東京地方裁判所 令和 4年 6月 6日 判決 (第一審)/令和1年(行ウ)第460号
コンビニエンスストア加盟店で組織する労働組合である原告が、全国においてコンビニエンスストアのフランチャイズ・チェーンを運営している参加人が原告による団体交渉の申入れに応じなかったことが不当労働行為に当たるとして、これに対する救済を申し立て、岡山県労働委員会が救済命令(本件初審命令)を発したところ、参加人がこれを不服として再審査を申し立て、中央労働委員会が初審命令を取り消したうえ、救済申立てを棄却する命令を発したことについて、原告が、本件命令の取消しを求めた事案で、参加人と本件フランチャイズ契約を締結する加盟者は、参加人との交渉上の対等性を確保するために労働組合法の保護を及ぼすことが必要かつ適切と認められるかという観点からみて、同法上の労働者に当たるとは認められないところ、本件各団交拒否は同法7条2号所定の不当労働行為に当たるとはいえず、本件命令は適法であるとして、原告の請求を棄却した事例。
2022.11.01
損害賠償請求事件
LEX/DB25593434/東京地方裁判所 令和 4年 5月16日 判決 (第一審)/令和3年(ワ)第10253号
原告らが、〔1〕共同親権を有する父母の親権行使に関する意見対立が生じ、子が憲法上保障されている幸福追求権、生存権及び教育を受ける権利を実質的に行使することができなくなっている場合において、子の利益のために必要な決定を司法機関等が代わって行うための制度が存在しないこと、〔2〕父母が別居し、その子が一方親と同居している場合において、他方親が、その子に対する親権の行使における意思決定から事実上排除された場合であっても、これについて救済を求める制度が用意されていないこと等が、憲法24条2項に違反すると主張して、上記制度に係る立法措置を20年以上とらなかった立法不作為の違法を理由に、被告(国)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、原告らそれぞれに対し慰謝料の支払等を求めた事案で、原告Aと婚姻関係にあるが別居中のCが「親権を行うことができないとき」(民法818条3項ただし書)に該当せず、原告AとCの子である原告Bの訴えは、適法な代理権を欠くため不適法であるとして却下し、原告Aの請求は、本件立法不作為が国家賠償法1条1項の適用上、違法ではないとして棄却した事例。
2022.10.25
財産開示手続実施決定に対する執行抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25572361/最高裁判所第一小法廷 令和 4年10月 6日 決定 (許可抗告審)/令和3年(許)第16号
執行力のある債務名義である養育費支払等契約公正証書の正本を有する金銭債権の債権者である抗告人が、民事執行法197条1項2号に基づき、債務者である相手方について、財産開示手続の実施を申し立てたところ、原審が、本件債権は弁済により消滅したとして、原々決定を取消し、本件申立てを却下したため、抗告人が許可抗告した事案で、民事執行法197条1項2号に該当する事由があるとしてされた財産開示手続の実施決定に対する執行抗告においては、請求債権の不存在又は消滅を執行抗告の理由とすることはできないとし、これと異なる見解の下に、本件申立てを却下した原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原決定を破棄し、更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例。