注目の判例

憲法

2017.08.08
損害賠償請求控訴事件 
「新・判例解説Watch」H29.9月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25546145/大阪高等裁判所 平成29年 7月14日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第3239号
被控訴人(原審原告)が、控訴人(原審被告。松原市)の設置管理する公園につき使用許可申請をしたところ、控訴人の市長がこれを不許可と決定したため、本件不許可決定は集会の自由を定める憲法21条1項に違反し、かつ、市長の裁量権を逸脱濫用したもので違法であると主張して、控訴人に対し、国家賠償法1条1項に基づき、財産的損害及び非財産的損害の賠償等を求め、原判決は、被控訴人の請求を一部認容し、その余の請求を棄却したところ、敗訴部分を不服として控訴人が控訴した事案において、被控訴人の請求は原判決が認容した限度で理由があり、原判決は相当であるとして、控訴を棄却した事例。
2017.06.06
嘉手納基地爆音差止等請求事件 
「新・判例解説Watch」H29.6月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25545477/那覇地方裁判所沖縄支部 平成29年 2月23日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第245号
本件飛行場の周辺に居住し、若しくは居住していた者又はその相続人である原告らが、本件飛行場において離着陸するアメリカ合衆国の航空機の発する騒音により健康被害を受けていると主張して、日米安保条約及び日米地位協定に基づいてアメリカ合衆国に本件飛行場を提供している被告に対し、人格権、環境権又は平和的生存権に基づき、毎日午後7時から翌日午前7時までの間における本件飛行場における航空機の離発着禁止等を求めた事案において、本件飛行場の航空機の運航等によって、原告らは相当に大きな騒音に曝露され、少なくとも本件コンター上、W75以上を超える区域に居住する原告らについては法的保護に値する重要な利益の侵害があると認められること等、特に本件コンター上W95以上の地域については、航空機騒音対策緊急指針において緊急に対策を講じるべきとされた強度の騒音曝露状況が現在も続いている等として、原告の請求を一部認容した事例。
2017.05.30
損害賠償請求控訴事件 
LEX/DB25545528/名古屋高等裁判所金沢支部 平成29年 4月19日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第249号
被控訴人学校法人(原審被告)の運営する医科大学の教授であった控訴人(原審原告)が、被控訴人C学長(原審被告)によって文部科学省等の運営する科学研究費助成に関する応募を違法に妨害され、学問の自由や期待権が侵害されたなどと主張して、被控訴人らに対し、不法行為に基づく損害賠償請求として、連帯して慰謝料及び弁護士費用等の支払を求め、原審は、控訴人の請求をいずれも棄却したため、控訴人が控訴した事案において、原判決は相当であるとして、控訴を棄却した事例。
2017.05.30
わいせつ物陳列,わいせつ電磁的記録等送信頒布,わいせつ電磁的記録記録媒体頒布事件
「新・判例解説Watch」H29.8月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448616/東京高等裁判所 平成29年 4月13日 判決 (控訴審)/平成28年(う)第1100号
漫画家兼芸術家である被告人が、アダルトショップにおいて、被告人ほか2名の女性器を象った石膏ようの造形物3点を展示したほか、自己の女性器の三次元形状データファイルが保存されたURL情報等を送信し、同データファイルが記録されたCD-Rを発送したとして、わいせつ物陳列やわいせつ電磁的記録等送信頒布などの罪に問われた事案の控訴審において、上記造形物は刑法175条の「わいせつ物」に該当しないが、上記三次元形状データは刑法175条の「わいせつな電磁的記録」に該当するとした原判決を維持し、本件各控訴を棄却した事例。
2017.05.16
文書提出命令に対する即時抗告事件 
LEX/DB25448592/福岡高等裁判所宮崎支部 平成29年 3月30日 決定 (抗告審(即時抗告))/平成29年(ラ)第4号
鹿児島県警察所属の警察官5名が、Aに対して違法な制圧行為を行い、これによりAを死亡させたとして、Aの父母である相手方らが国家賠償を求めた基本事件について、相手方らが、報道機関が制圧状況を撮影したビデオ映像である本件準文書の提出を求める文書提出命令の申立てをし、原審が、鹿児島地方検察庁検察官に対し、その提出を命ずる決定をしたのに対し、準文書の所持者である抗告人(検察官)が、即時抗告を申し立てた事案において、本件準文書の提出を拒否した検察官の裁量判断が、その裁量権の範囲を逸脱し、又は濫用するものであるとは認められないとして、原決定を取り消し、文書提出命令の申立てを却下した事例。
2017.04.25
行政処分取消等請求事件 
「新・判例解説Watch」H29.6月中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25545343/横浜地方裁判所 平成29年 3月 8日 判決 (第一審)/平成28年(行ウ)第32号
〔1〕海老名市長から、指定管理者の承認を受けずに、自由通路上を移動しながら、プラカードを持って静止する行為(ポージング)を原告P1らが行ったことなどについて、海老名市海老名駅自由通路設置条例19条5項及び30条2項に基づき、あらかじめ指定管理者の承認を受けること、及び、プラカードを掲げる行為を行わないことを命令された原告P1が、被告(海老名市)に対し、上記命令が違法であると主張してその取消しを求め、また、〔2〕上記行動を呼びかけたと主張する原告団体及び原告P1とともに上記行動に参加したと主張する原告P4ら8名(原告P1及び原告団体以外の原告ら)が、被告に対して、市長が上記行動につき当該原告らに上記命令と同様の命令をすることの差止めを求めた事案において、上記命令のうち、原告P1が、同条例30条1項3号所定の禁止行為である「集会、デモ、座込み」をしたことを理由として、同条例30条2項に基づき命令された部分は、同条例の解釈適用を誤った違法であるとし、原告P1の取消請求の部分について一部認容し、その余の原告らの訴えを却下した事例。
2017.04.11
性別の取扱いの変更審判申立事件 
「新・判例解説Watch」H29.5月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25545225/岡山家庭裁判所津山支部 平成29年 2月 6日 審判 (第一審)/平成28年(家)第1306号
申立人が、申立人の性別の取扱いを女から男に変更する審判を求めた事案において、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項4号が、憲法13条に違反するほどに不合理な規定であるということはできないとし、本件申立てを却下した事例。
2017.04.11
書籍販売等禁止仮処分命令申立事件 
「新・判例解説Watch」解説記事が掲載されました
LEX/DB25545218/東京地方裁判所 平成29年 1月 6日 決定 (第一審)/平成28年(ヨ)第1284号
Cの著書である本件書籍記載の各記述により名誉を毀損されたと主張する債権者が、本件書籍の発行所である債務者(出版社)に対し、上記各記述を抹消しない限り、書籍の販売、無償配布及び第三者への引渡しを禁止することなどを求めた事案において、本件書籍の出版等の差止めは、表現の自由に重大な制約になることから、表現内容が真実でないこと及び専ら公益目的でないことの疎明責任は債権者が負うべきであるとしても、これらの要件の明白性まで要求するのは相当ではなく、表現内容が真実でないこと、又は公益を図る目的に出たものではないことの相当程度の蓋然性があり、かつ、債権者が重大にして著しく回復困難な損害を被るおそれが認められる必要があると解するのが相当であるとし、債権者の申立ては、一部の記述部分の出版、販売又は頒布の禁止を求める限度で認め、300万円の担保を立てることを保全執行の条件としてこれを認容し、その余の申立てを却下した事例。
2017.03.28
遺族補償年金等不支給決定処分取消請求事件 
「新・判例解説Watch」H29.6月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448538/最高裁判所第三小法廷 平成29年 3月21日 判決 (上告審)/平成27年(行ツ)第375号
上告人(原告・被控訴人)の妻が、公務により精神障害を発症し自殺したため、上告人が、遺族補償年金の支給請求をするとともに、遺族特別支給金等の支給申請をしたが、いずれも不支給とする旨の決定を受けたため、被上告人(被告・控訴人。地方公務員災害補償基金)に対し、上記処分の取消しを求め、第一審では、上告人の請求を認容したため、被上告人が控訴し、控訴審では、妻について、遺族補償年金を受給できるものとするが、夫について、「一般に独力で生計を維持することが困難である」と認められる一定の年齢に該当する場合に遺族補償年金を受給できるものとする旨の遺族補償年金の受給要件に係る区別は、合理性を欠くということはできないとし、第一審判決を取り消し、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案において、地方公務員災害補償法32条1項ただし書及び附則7条の2第2項のうち、死亡した職員の夫について、当該職員の死亡の当時一定の年齢に達していることを受給の要件としている部分が憲法14条1項に違反しないとしたうえで、原審の判断は正当として是認することができるとし、上告を棄却した事例。
2017.03.21
窃盗,建造物侵入,傷害被告事件  
「新・判例解説Watch」H29.5月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448527/最高裁判所大法廷 平成29年 3月15日 判決 (上告審)/平成28年(あ)第442号
被告人が複数の共犯者と共に犯したと疑われていた窃盗事件に関し、組織性の有無、程度や組織内における被告人の役割を含む犯行の全容を解明するための捜査の一環として、約6か月半の間、被告人、共犯者のほか、被告人の知人女性も使用する蓋然性があった自動車等合計19台に、同人らの承諾なく、かつ、令状を取得することなく、GPS端末を取り付けた上、その所在を検索して移動状況を把握するという方法によりGPS捜査が実施されたことにつき、第1審は、GPS捜査により直接得られた証拠及びこれに密接に関連する証拠の証拠能力を否定したが、その余の証拠に基づき被告人を有罪と認定し、これに対し、原判決は、GPS捜査に重大な違法があったとはいえないと説示して、第1審判決が証拠能力を否定しなかったその余の証拠についてその証拠能力を否定せず、被告人の控訴を棄却したため、被告人が上告した事案において、GPS捜査によって直接得られた証拠及びこれと密接な関連性を有する証拠の証拠能力を否定する一方で、その余の証拠につき、同捜査に密接に関連するとまでは認められないとして証拠能力を肯定し、これに基づき被告人を有罪と認定した第1審判決は正当であり、第1審判決を維持した原判決の結論に誤りはないとし、上告を棄却した事例(補足意見がある)。
2017.02.21
当選無効請求事件(昨年7月参院選比例代表 「政党なし」は無効票) 
LEX/DB25544649/東京高等裁判所 平成28年11月16日 判決 (第一審)/平成28年(行ケ)第20号
平成28年7月10日施行の参議院議員通常選挙における比例代表選出議員選挙の名簿届出政党等である原告政治団体及び原告政治団体の代表かつ名簿登載者である原告Aが、原告政治団体の得票数は、無効投票として扱われた「なし」票などを有効投票とすれば、本件比例代表選挙において当選した政党のD議員の当選の基礎となった票数を上回るとして、D議員の当選を無効とすることを求めた事案において、なし票については、原告政治団体の有効投票と認めることができないとして、原告らの請求を棄却した事例。
2017.02.14
投稿記事削除仮処分決定認可決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件 
「新・判例解説Watch」H29.7月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448434/最高裁判所第三小法廷 平成29年 1月31日 決定 (許可抗告審)/平成28年(許)第45号
インターネット上で抗告人が提供する検索サービスで、検索語として相手方の住所の県名及び氏名を入力して検索すると、検索結果として、相手方が犯した児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律4条(平成26年法律第79号による改正前)所定の児童買春行為に係る逮捕歴を含む内容のものが複数表示されることについて、相手方が、人格権を被保全権利として、その侵害排除請求権に基づき、民事保全法23条2項の仮の地位を定める仮処分として、上記検索結果の削除を命じる仮処分命令の申立てをしたところ、原審は、本件申立てを認容する本件仮処分決定を発令し、これに対し、抗告人が申し立てた保全異議に対しても、本件仮処分決定を認可する原決定をしたため、これらを不服とする抗告人が、原決定及び本件仮処分決定をいずれも取消した上で本件申立てを却下することを求め抗告した事案において、現時点で、本件検索結果の削除又は非表示措置を求める保全の必要性があるとは認められないとして、原決定及び本件仮処分決定をいずれも取消し、本件申立てを却下した事例。
2017.02.14
損害賠償請求事件(受刑者に新聞閲覧禁止は違法) 
LEX/DB25530502/東京地方裁判所 平成27年 6月24日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第17759号
原告が、刑務所に収容されていた期間に同刑務所に備え付けられていた回覧用の日刊新聞紙(以下「備付回覧用新聞」という。)の閲覧を同刑務所職員により制限された行為は違法であると主張して、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料及び遅延損害金の支払を求めた事案で、時事の報道に接する機会の重要性に鑑みれば、刑事施設の長が備付回覧用新聞の閲覧の方法等に関する定めを設けた場合には、当該刑事施設の被収容者はそれに定められたところに沿って備付回覧用新聞を閲覧する機会を与えられるべきであり、国家賠償法1条1項の適用上、法的保護に値する利益となり得るものと解され、法の定める懲罰手続を経ることなく、実質的な懲罰として本件閲覧制限を行うことは、刑務所職員が原告に対して負担する職務上の義務に違背したものとして、同項の適用上違法であることなどを理由に、原告の請求の一部を認容した事例。
2016.12.27
風俗案内所営業権確認等請求事件 
「新・判例解説Watch」H29.2月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448330/最高裁判所第一小法廷 平成28年12月15日 判決 (上告審)/平成27年(行ツ)第211号
京都府風俗案内所の規制に関する条例が、学校等の敷地から200メートル以内の地域を営業禁止区域と定めているところ、風俗案内所を営んでいた一審原告(上告人)が、条例は憲法22条に違反するなどと主張して、一審被告(被上告人。京都市)に対し、風俗案内所を営む法的地位を有することの確認等を求め、第一審が、一部請求を認容したため、双方が控訴し、控訴審では、本件条例は、風俗案内所に対する規制の必要性と合理性についての立法機関の判断にその裁量の逸脱又は濫用があったと認めることはできないから、憲法22条1項に反するとはいえないとして、一審被告の控訴に基づき、一審被告敗訴部分を取り消し、一審原告の請求を棄却したため、一審原告が上告した事案において、本件条例が、青少年が多く利用する施設又は周辺の環境に特に配慮が必要とされる施設の敷地から一定の範囲内における風俗案内所の営業を禁止し、これを刑罰をもって担保することは、公共の福祉に適合する上記の目的達成のための手段として必要性、合理性があるということができ、風営法に基づく風俗営業に対する規制の内容及び程度を踏まえても、京都府議会が営業禁止区域における風俗案内所の営業を禁止する規制を定めたことがその合理的な裁量の範囲を超えるものとはいえず、本件条例3条1項及び16条1項1号の各規定は、憲法22条1項に違反するものではないと解するのが相当であるとし、また、風俗案内所が青少年の育成や周辺の生活環境に及ぼす影響の程度に鑑みれば、風俗案内所の表示物等に関する上記の規制も、公共の福祉に適合する上記の目的達成のための手段として必要性、合理性があるということができ、京都府議会が同規制を定めたことがその合理的な裁量の範囲を超えるものとはいえないから、本件条例7条2号の規定は、憲法21条1項に違反するものではないと解するのが相当であるとして、一審原告の上告を棄却した事例。
2016.12.20
覚せい剤取締法違反,関税法違反被告事件 
LEX/DB25448314/最高裁判所第三小法廷 平成28年12月 9日 判決 (上告審)/平成27年(あ)第416号
税関職員が行った郵便物の各検査等は、郵便物を破壊し、その内容物を消費する行為であり、プライバシー権及び財産権を侵害するものであるところ、捜査を目的として、郵便物の発送人又は名宛人の同意なく、裁判官の発する令状もなく行われたもので、関税法上許容されていない検査であり、憲法35条が許容しない強制処分に当たり、郵便物検査によって取得された証拠である郵便物内の覚せい剤及びその鑑定書等の証拠能力は否定されるべきであるのに、これらの証拠能力を認めた第1審判決及びこれを是認した原判決の判断は、関税法、刑事訴訟法の解釈を誤り、憲法35条に違反するとして弁護人が上告した事案において、上記郵便物検査等が、犯則事件の調査あるいは捜査のための手段として行われたものでないことも明らかであるから、これによって得られた証拠である郵便物内の覚せい剤及びその鑑定書等の証拠能力を認めた第1審判決及びこれを是認した原判決の判断は正当であるとして、上告を棄却した事例。
2016.12.13
損害賠償請求事件
「新・判例解説Watch」H29.1月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25544238/大阪地方裁判所堺支部 平成28年11月15日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第1506号
原告が、被告の設置管理する公園を催しの会場として使用するために原告がした使用許可申請に対し、被告市長がした不許可決定は違法であり、これにより原告は、上記催しの実施のために支出した準備費用相当額等の財産的損害及び原告の信頼や名誉の低下等の非財産的損害等を被ったと主張して、被告(松原市)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、損害金の支払等を求めた事案において、上記不許可決定時において、公園をまつりによる使用に供することによって、松原市都市公園条例3条3項3号に定める「公園の管理上支障がある」との事態が生ずることが、客観的な事実に照らして具体的に明らかに予測されたものということはできないから、上記不許可決定は、上記条例の解釈適用を誤った違法なものというべきであり、このような不許可決定を漫然と行った被告市長には、故意又は過失が認められるというべきであるとして、一部認容した事例。
2016.12.06
選挙無効請求事件 
「新・判例解説Watch」H29.1月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25543979/広島高等裁判所岡山支部 平成28年10月14日 判決 (第一審)/平成28年(行ケ)第1号
参議院議員通常選挙について、岡山県選挙区の選挙人である原告が、本件定数配分規定は、人口比例に基づいて定数配分をしていない点で、憲法に違反し無効であるから、これに基づき実施された本件選挙の上記選挙区における選挙も無効である旨主張して、選挙無効を求めた事案において、本件選挙は、違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態の下で実施されたものであるが、国会が平成27年改正法を制定するにとどめ、違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態を解消しなかったことが、国会の裁量権の限界を超えるものということはできず、本件定数配分規定が、本件選挙の時点で憲法に違反するに至っていたということはできないとし、請求を棄却した事例。
2016.11.01
選挙無効請求事件 
LEX/DB25448209/最高裁判所第三小法廷 平成28年10月18日 判決 (上告審)/平成28年(行ツ)第115号 等
千葉県議会議員の定数及び選挙区等に関する条例に基づいて平成27年4月12日に施行された千葉県議会議員一般選挙で、千葉市稲毛区選挙区、千葉市若葉区選挙区、千葉市美浜区選挙区、市川市選挙区、船橋市選挙区、野田市選挙区、習志野市選挙区、柏市選挙区、市原市選挙区、流山市選挙区、浦安市選挙区、八街市選挙区及び印西市選挙区の選挙人である原告ら(上告人)が、被告(被上告人。千葉県選挙管理委員会)に対し、上記条例のうち各選挙区で選挙すべき議員の数を定める規定が公職選挙法15条8項に違反するとともに憲法14条1項に違反して無効であるから、これに基づき施行された上記選挙の上記各選挙区における選挙も無効であると主張して提起した選挙無効訴訟で、原審が、請求を棄却したため、原告らが上告した事案において、上記選挙当時における上記定数配分規定は、公職選挙法15条8項に違反していたものとはいえず適法であるとし、また、上記定数配分規定が憲法14条1項の規定に違反していたものとはいえないとし、上記各請求をいずれも棄却した原審の判断は、是認することができるとして、上告を棄却した事例。
2016.09.20
損害賠償請求事件 
「新・判例解説Watch」H28.9月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25543234/金沢地方裁判所 平成28年 2月 5日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第276号
金沢市庁舎前広場を利用して軍事パレードの中止を求める集会を開催するべく行われた許可申請に対し、平成26年5月14日付けで金沢市長によってなされた不許可処分について、集会の参加予定者であった原告らが、本件不許可処分は金沢市長の職務上の義務に違反した違憲・違法な処分であるとして、国家賠償法1条1項に基づき、被告(金沢市)に対し、原告平和運動センターに対して1460円(他の集会開催場所を用意するために要した費用)及びこれに対する集会予定日である同月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払うよう請求するとともに(請求1),原告ら各自に対して21万円(慰謝料ないし表現行為が制約されるという無形の損害)及び2万1000円(弁護士費用)並びにこれらに対する本件不許可処分の日である同月14日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金をそれぞれ支払うよう請求した(請求2及び3)事案において、原告らの請求はいずれも理由がないとして、棄却した事例。
2016.09.06
投稿記事削除仮処分決定認可決定に対する保全抗告事件 
「新・判例解説Watch」H28.10月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25543332/東京高等裁判所 平成28年 7月12日 決定 (抗告審)/平成28年(ラ)第192号
インターネット上で抗告人(債務者。グーグル)が提供する検索サービスにおいて、検索語として相手方の住所の県名及び氏名を入力して検索すると、検索結果として、相手方(債権者)が平成23年7月に犯した児童買春行為に係る逮捕歴を含む内容のものが複数表示されることについて、相手方(債権者)が、人格権を被保全権利として、その侵害排除請求権に基づき、民事保全法23条2項の仮の地位を定める仮処分として、上記検索結果の削除を命じる仮処分命令の申立てをし、原審は、平成27年6月25日付けで、本件申立てを認容する仮処分決定を発令し、これに対して抗告人が申し立てた保全異議に対しても、同年12月22日付けで、仮処分決定を認可する原決定をしたため、これらを不服とする抗告人が、原決定及び仮処分決定をいずれも取消した上で本件申立てを却下することを求めて抗告した事案において、現時点において、上記検索結果の削除又は非表示措置を求める保全の必要性があるとは認められないとして、原決定及び仮処分決定をいずれも取消し、本件申立てを却下した事例。