注目の判例

憲法

2015.07.21
損害賠償請求控訴事件(君が代不起立の都教員再雇用拒否は違法)
「新・判例解説Watch」H27.8下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25540412/東京地方裁判所 平成27年 5月25日 判決 (第一審)/平成21年(ワ)第34395号
都立高校の教職員であった原告らが、東京都教育委員会が実施した東京都公立学校再雇用職員採用選考又は非常勤職員採用選考等において、式典会場で国旗に向かって起立して国家を斉唱することを命ずる旨の職務命令に違反したことを理由として、原告らを不合格とし、又は合格を取り消したのは、違憲、違法な措置であるとして、被告(東京都)に対し、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償を求めた事案において、東京都教育委員会の裁量権の範囲の逸脱又は濫用を認め、原告らの請求を一部認容、一部棄却した事例。
2015.06.09
建物明渡等請求控訴事件(裁判所ウェブサイト掲載判例の原審)
LEX/DB25506261/大阪高等裁判所 平成25年 6月28日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第896号
被控訴人西宮市がその所有する市営住宅に入居している控訴人X1及びその両親である控訴人X2及び控訴人X3に対し、控訴人X1が暴力団員であることが判明したため、西宮市営住宅条例第46条に基づき、賃貸借契約を解除したことを理由として、控訴人X1及び同居承認の形で当該住宅に居住している控訴人X2及び控訴人X3に対し、当該住宅の明渡しと未払賃料及び明渡しまでの近傍同種の住宅の賃料相当損害金の支払を、当該住宅に関連する施設である駐車場を使用している控訴人X2に当該駐車場の明渡しと明渡しまでの賃料相当損害金の支払を求めた事案(原審は、被控訴人の請求を全部認容する旨の判決をしたところ、控訴人らは、これを不服として控訴した)の控訴審において、控訴人らは、本件賃貸借契約の解除当時に控訴人X1が暴力団員であったとの認定を争うとともに、本件条項は憲法14条あるいは憲法22条に違反する無効なものである上、本件について本件条項を適用することは憲法14条あるいは憲法22条に違反する旨主張するが、控訴人らの上記主張はいずれも採用することができないとして、控訴をいずれも棄却した事例。
2015.06.02
弁護人に対する出頭在廷命令に従わないことに対する過料決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告
LEX/DB25447262/最高裁判所第三小法廷 平成27年5月18日 決定 (特別抗告審)/平成27年(し)第149号
自己の刑事事件を審理している大阪簡易裁判所への勾引に従事していた警察官に暴行を加えて傷害を負わせたという被告人Aに対する公務執行妨害、傷害被告事件において、被告人が裁判官入廷前に手錠及び腰縄を外すことなどを求めて公判期日への不出頭を繰り返し、これに同調して公判期日に出頭しなかったために解任された別の国選弁護人らに替わって新たに選任された国選弁護人である申立人らも、被告人に同調して公判期日に出頭せず、刑事訴訟法278条の2第1項に基づく出頭在廷命令にも応じなかったことから、原々審が、申立人に対して刑事訴訟法278条の2第3項による過料の決定をしたという事案の特別抗告審において、刑事訴訟法278条の2第1項による公判期日等への出頭在廷命令に正当な理由なく従わなかった弁護人に対する過料の制裁を定めた同条の2第3項は、訴訟指揮の実効性担保のための手段として合理性、必要性があるといえ、弁護士法上の懲戒制度が既に存在していることを踏まえても、憲法31条、憲法37条3項に違反するものではないとし、抗告を棄却した事例。
2015.06.02
「新・判例解説Watch」H27.7月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25506264/大阪地方裁判所 平成27年1月27日 決定 (第一審)/平成26年(わ)第124号等
被告人に対する窃盗、建造物侵入被告事件において、(1)泳がせ捜査については、捜査機関が一連の犯行の後まで被告人らを逮捕しなかったことは適法であり、検察官の公訴提起に裁量権の逸脱はなく、(2)GPS捜査については、令状主義の精神を没却するような重大な違法はないとし、検察官の公訴提起に裁量権の逸脱はなく、弁護人指摘の各証拠の証拠能力も否定されないとし、取調べ済みの証拠のうち一部更新して取調べ、検察官から証拠調べ請求のあった証拠を証拠として採用すると決定した事例。
2015.04.28
損害賠償請求事件
「新・判例解説Watch」H27.6下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25506087/大阪地方裁判所 平成27年3月30日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第8227号等
被告(大阪市)の職員あるいは職員であった原告らが、被告が第三者に委託して実施したアンケートは、原告らの思想・良心の自由、政治活動の自由、労働基本権、プライバシー、人格権を侵害するなど違憲・違法なものであるところ、被告の市長が、原告らに対し、職務命令をもって本アンケートに回答することを命じたことが国家賠償法上違法であるとして、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、原告らに生じた精神的損害に対する損害賠償金の支払いを求めた事案において、本アンケートは、原告らの憲法上の権利を侵害する設問を含んでいるなどとして、原告の請求を一部認容した事例。
2015.04.28
風俗案内所営業権確認等請求控訴事件(風俗案内所 距離規制は合憲(控訴審))
LEX/DB25506058/大阪高等裁判所 平成27年2月20日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第59号
京都府風俗案内所の規制に関する条例が、学校等の敷地から200メートル以内の地域を営業禁止区域と定めているところ、風俗案内所を営んでいた一審原告が、条例は憲法22条に違反するなどと主張して、一審被告(京都市)に対し、風俗案内書を営む法的地位を有することの確認等を求め、原審が、一部を認容し、双方が控訴をした事案において、条例は、風俗案内書に対する規制の必要性と合理性についての立法機関の判断にその裁量の逸脱又は濫用があったと認めることはできないから、憲法22条1項に反するとはいえないとして、一審被告の控訴に基づき、一審被告敗訴部分を取り消し、一審原告の請求を棄却した事例。
2015.04.07
建物明渡等請求事件
「新・判例解説Watch」H27.6上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25447166/最高裁判所第二小法廷 平成27年3月27日 判決 (上告審)/平成25年(オ)第1655号
被上告人(兵庫県西宮市)が、上告人Y1が暴力団員であることを理由に、上告人Y1に対しては、西宮市営住宅条例46条1項柱書き及び同項6号の暴力団排除規定に基づく当該市営住宅の明渡し等を求め、上告人Y2及び同Y3に対しては所有権に基づく当該市営住宅の明渡し等を求めるとともに、上告人Y2に対して西宮市営住宅条例64条2項に基づく当該駐車場の明渡し等を求めた事案において、当該市営住宅及び当該駐車場の使用の終了に西宮市営住宅条例の暴力団排除規定を定める部分を適用することが、憲法14条1項又は憲法22条1項に違反しないとして、上告を棄却した事例。
2015.03.17
国籍確認請求事件
「新・判例解説Watch」H27.5月中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25447122/最高裁判所第三小法廷 平成27年 3月10日 判決 (上告審)/平成25年(行ツ)第230号
日本国籍を有する父とフィリピン共和国籍を有する母との間に嫡出子として同国で出生し同国籍を取得した原告(控訴人・上告人)らが、出生後3か月以内に父母等により日本国籍を留保する意思表示がされず、国籍法12条の規定によりその出生の時から日本国籍を有しないこととなったため、出生により日本国籍との重国籍となるべき子で国外で出生したものにつき上記の国籍留保の要件等を定める同条の規定が上記子のうち日本で出生した者等との区別において憲法14条1項等に違反し無効であると主張して、被告(被控訴人・被上告人。国)に対し、日本国籍を有することの確認を求めた事案の上告審において、国籍法12条は憲法14条1項に違反するものではないとした同旨の原審の判断は、正当として是認することができるとして、上告を棄却した事例。
2015.02.24
憲法違反及び無効確認等請求事件(集団的自衛権巡る訴え)
LEX/DB25505492/東京地方裁判所 平成26年12月12日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第17722号
原告が、内閣総理大臣及びその他の国務大臣である被告らが行った平成26年7月1日付け「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」と題する閣議決定(本件閣議決定)のうち「3 憲法第9条の下で許容される自衛の措置」の部分が憲法9条に違反し無効であることの確認を求める(本件無効確認の訴え)とともに、被告らが本件閣議決定をしたことにより原告の憲法上の権利が侵害されたと主張して、被告らに対し、連帯して、不法行為(民法709条、民法710条)に基づき、慰謝料10万円の支払を求めた(本件損害賠償請求)事案において、本件閣議決定のうち、「3 憲法第9条の下で許容される自衛の措置」の部分によって、原告の権利義務に直接の影響が生ずるものとは認められないから、本件無効確認の訴えは、原告と被告らとの間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争とはいえず、法律上の争訟に当たらないとし、また、公権力の行使として職務を行った公務員である被告らが、個人として民法709条に基づく損害賠償責任を負うことはないとして、原告の本件無効確認の訴えは、いずれも不適法であるからこれを却下し、本件損害賠償請求は、いずれも理由がないからこれを棄却するとした事例。
2015.02.17
損害賠償請求事件(甲事件)、損害賠償請求事件(乙事件)(大阪市の労組活動アンケート、違憲「団結権侵害」)
「新・判例解説Watch」H27.4月中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25505564/大阪地方裁判所 平成27年 1月21日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第4348号等
被告大阪市の職員X1ら28名並びに被告大阪市の職員により組織された労働組合、職員団体又はこれらの連合団体である原告組合ら5団体が、当該アンケートは原告らの思想・良心の自由、プライバシー権、政治活動の事由及び団結権を侵害するなどとして違憲・違法なものであるところ、市長等は、当該アンケートに回答することを命じる違法な職務命令を発出し、被告大阪市の担当者は、当該アンケートの実施を決定するなどして、いずれも故意又は過失により、原告X2に精神的損害を生じさせるとともに、原告組合らに無形的損害を生じさせたものであり、また、被告大阪市の職員としての身分を有しない被告Y1は、故意又は過失により、当該アンケートを作成し実施させ、前記原告らに前記各損害を生じさせたものであり、被告大阪市の公務員による行為は共同不法行為を構成すると主張して、被告大阪市及び被告Y1に対し、損害賠償金等を求めた事案(甲事件)、被告大阪市の職員として交通局に所属する原告X2が、当該アンケートは違憲・違法なものであるところ、交通局長は、当該アンケートに回答することを命じる違法な職務命令を発出して、故意又は過失により、原告X2に精神的損害及び弁護士費用相当額の損害を生じさせたと主張して、被告大阪市に対し、損害賠償金等の支払を求めた事案(乙事件)において、被告大阪市は、当該アンケートの実施によって原告らが被った国家賠償責任を負うとし、被告Y1は、当該アンケートの実施により甲事件原告らが被った損害賠償責任を負うとし、また、市長・総務局長等の違法行為及び被告Y1の不法行為は、客観的関連共同性を有するものということができるとして、被告大阪市と被告Y1は、連帯して甲事件原告らに生じた損害賠償責任を負うとし、原告らの請求を一部認容した事例。
2015.02.10
損害賠償(第1事件、第2事件)請求控訴事件(府中市議会議員政治倫理条例事件(差戻控訴審))
LEX/DB25505353/広島高等裁判所 平成26年11月12日 判決 (差戻控訴審)/平成26年(ネ)第193号
府中市議会の議員であった原告(控訴人・被上告人)が、被告府中市(被控訴人・上告人)に対し、違憲無効である府中市議会議員政治倫理条例違反を理由として市議会が辞職勧告決議を行ったことは違法であり、原告はこれによって精神的苦痛を被ったと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償金等の支払を求め(第1事件)、本件条例に基づく審査請求並びにこれに続く府中市議会議員政治倫理審査会の設置、審査結果の報告、警告等をすべき旨の決議及び警告の措置及び審査結果の公表は違法であり、原告はこれにより精神的苦痛を被ったなどと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償金等の支払を求めた(第2事件)ところ、第一審は、原告の請求がいずれも棄却されたため、原告は、第1、2事件につきいずれも110万円及びその付帯請求を棄却した部分を不服として控訴し、差戻し前の控訴審は、本件条例のうち、議員の2親等以内の親族が経営する企業は被告の工事等の請負契約等を辞退しなければならず、当該議員は当該企業の辞退届を徴して提出するよう努めなければならない旨を定める部分は、憲法21条1項によって保障される議員活動の自由並びに憲法22条1項及び憲法29条によって保障される経済活動の自由を制限する合理性や必要性が認められないから違憲無効であるとし、本件審査請求等は違法であり、かつ、これら一連の手続に関与した議員には過失があると判断して、一審判決が第2事件請求のうち33万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める部分を棄却した部分を取消して同部分の請求を認容し、その余の請求を棄却した旨一審判決を変更したため、被告は、上記敗訴部分を不服として上告し、上告審は、2親等規制を定める本件規定は憲法21条1項、22条1項及び29条に違反するものではないと解するのが相当であるとして、差戻し前の控訴審判決中の被告敗訴部分を破棄し、本件審査請求等につき、原告が主張するその他の違法事由の有無等について更に審理を尽くさせるため、差し戻しを命じた差戻し後控訴審の事案において、本件条例を違法ということはできないから、これが違法であることを前提として、本件審査請求及び審査会の設置の違法をいう原告の主張は理由がなく、また、本件報告を違法ということはできないから、これが違法であることを前提として,本件警告決議及び警告の措置の違法をいう原告の主張も理由がないとし、本件審査請求等の違法をいう原告の主張はすべて理由がないとし、被告の第2事件に基づく請求は、その余の点について判断するまでもなく,上告審が当審に差し戻した部分を含めて理由がないから棄却すべきところ、これと同旨の一審判決は相当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2015.02.03
(婚外子の相続格差規定合憲-00年5月時点)
LEX/DB25505524/最高裁判所第三小法廷 平成26年12月 2日 判決 (上告審)/平成26年(オ)第994号
亡αの相続人の1人である原告(控訴人・上告人)が、他の相続人被告(被控訴人・被上告人)Yが代表を務める被告会社(被控訴人会社・被上告人会社)に対し、亡αと被告会社との間の土地賃貸借契約に基づく未払賃料及び確定遅延損害金につき未払賃料、確定遅延損害金、不当利得返還請求権に基づき、被告会社において受領した固定資産税等の還付金及び還付加算金の支払を求め、また、被告Yに対し、不当利得返還請求権に基づき、亡αの預貯金から払い戻しを受けた金員の支払を求め、さらに被告会社に対し、不当利得返還請求権に基づき、被告会社において亡αの預貯金から払い戻しを受けて預かっている金員及び亡αの立て替えた被告会社に係る経費、亡αと被告会社との間の金銭消費貸借契約に基づく貸金の支払を求めたところ、第一審は原告の請求を一部認容したが、原告は敗訴部分を不服として控訴し、被告Yは、前記預貯金払戻金の不当利得返還請求に関する部分を不服として附帯控訴した控訴審では、原告の控訴を棄却し、当審における原告の請求の減縮により、被告Yの原告に対する請求額を変更し、当審における原告の拡張請求を棄却し、被告の附帯控訴を棄却したところ、原告が上告した事案において、平成12年5月当時、嫡出でない子の相続分を嫡出である子の相続分の2分の1と定めた平成25年法律第94号による改正前の民法900条4号ただし書前段の規定が憲法14条1項に違反するものではいとし、本件上告を棄却した事例。
2015.01.27
選挙無効請求事件
LEX/DB25446881/最高裁判所第一小法廷 平成27年1月15日 判決 (上告審)/平成26年(行ツ)第103号等
東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和44年東京都条例第55号に基づいて平成25年6月23日に施行された東京都議会議員選挙について、練馬区選挙区の選挙人である上告人(原告)が、本件条例のうち各選挙区において選挙すべき議員の数を定める規定が公職選挙法15条8項に違反するとともに憲法14条1項、憲法15条1項、3項等に違反して無効であるから、これに基づき施行された本件選挙の練馬区選挙区における選挙も無効であると主張して提起した選挙無効訴訟で、原審が原告の請求を棄却したため、原告が上告した事案において、本件選挙当時における本件条例の定数配分規定は、公職選挙法15条8項に違反していたものといえず、適法であるとし、また、本件選挙当時、本件条例による各選挙区に対する定数の配分が東京都議会の合理的裁量の限界を超えているものとはいえず、本件条例の定数配分規定が憲法の規定等に違反していたものといえないとし、本件請求を棄却した原審の判断は、是認することができるとして、本件上告を棄却した事例(補足意見がある)。
2014.12.09
わいせつ図画販売幇助、わいせつ図画販売・頒布幇助、わいせつ図画販売各被告事件
(日本ビデオ倫理協会裁判)
LEX/DB25446771/最高裁判所第三小法廷 平成26年10月7日 判決 (上告審)/平成24年(あ)第1080号
アダルトビデオの自主審査機関(日本ビデオ倫理協会)の元審査員であった被告人らが、アダルトDVDの適切な審査を怠ったとして、わいせつ図画販売幇助罪等で起訴された事案の上告審において、本件各上告趣意のうち、わいせつ図画の販売を禁じた刑法175条の規定が、憲法21条に違反するとの被告人側の主張を斥け、本件各上告を棄却した事例。
2014.12.02
選挙無効請求事件
「新・判例解説Watch」H27.2月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25446783/最高裁判所大法廷 平成26年11月26日 判決 (上告審)/平成26年(行ツ)第78号等
平成25年7月21日施行の参議院議員通常選挙について、岡山県選挙区の選挙人である被上告人らが、公職選挙法14条、別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定は憲法に違反し無効であるから、これに基づき施行された本件選挙の上記選挙区における選挙も無効であると主張して提起した選挙無効訴訟の事案の上告審において、本件選挙当時、本件定数配分規定の下で、選挙区間における投票価値の不均衡は、平成24年改正法による改正後も前回の平成22年選挙当時と同様に違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものではあるが、本件選挙までの間に更に本件定数配分規定の改正がされなかったことをもって国会の裁量権の限界を超えるものとはいえず、本件定数配分規定が憲法に違反するに至っていたということはできないとして、原審各判決を破棄し、被上告人らの請求を棄却した事例(補足意見及び反対意見がある)。
2014.12.02
選挙無効請求事件
LEX/DB25446784/最高裁判所大法廷 平成26年11月26日 判決 (上告審)/平成26年(行ツ)第155号等
平成25年7月21日施行の参議院議員通常選挙について、東京都選挙区及び神奈川県選挙区の選挙人である原審原告らが、公職選挙法14条、別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定は憲法に違反し無効であるから、これに基づき施行された本件選挙の上記各選挙区における選挙も無効であると主張して提起した選挙無効訴訟の事案の上告審において、本件選挙当時、本件定数配分規定の下で、選挙区間における投票価値の不均衡は、平成24年改正法による改正後も前回の平成22年選挙当時と同様に違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものではあるが、本件選挙までの間に更に本件定数配分規定の改正がされなかったことをもって国会の裁量権の限界を超えるものとはいえず、本件定数配分規定が憲法に違反するに至っていたということはできないとして、原審被告らの上告に基づき、原判決を変更して、原審原告らの請求を棄却し、原審原告らの上告を棄却した事例(補足意見及び反対意見がある)。
2014.11.11
損害賠償請求事件(裁判員制度は合憲 福島 ストレス障害訴訟)
LEX/DB25504784/福島地方裁判所 平成26年9月30日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第117号
福島地方裁判所郡山支部で行われた刑事裁判において裁判員の職務を務めた原告が、その職務を務めたことにより急性ストレス障害を発症したとし、その原因は、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律が、裁判員候補者に対して裁判員等選定手続への出頭を義務づける制度を設けて原告に出頭を強制し、その結果、原告が裁判員に選出され、上記刑事裁判の審理に参加して凄惨な内容を含む証拠を取調べ、死刑判決に関与せざるを得なくなったからであり、裁判員法の規定は憲法18条後段、憲法22条1項及び憲法13条に違反するから、裁判員法を制定した国会議員の立法行為は違法であると主張するとともに、最高裁判所裁判官は、最高裁平成23年11月26日大法廷判決において、裁判員制度の推進を図るという政治的目的をもって裁判員法の合憲判断を行い、下級裁判所が裁判員法が違憲であるとの判断を示すことを困難にさせて裁判員法を運用させた違法があると主張し、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償の支払を求めた事案において、請求を棄却した事例。
2014.10.28
「新・判例解説Watch」H26.12月中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25504782/最高裁判所第一小法廷 平成26年10月6日 判決 (差戻上告審)/平成26年(行ツ)第214号等
北九州市内に居住して生活保護法に基づく生活扶助の支給を受けていた上告人らが、同法の委任に基づいて厚生労働大臣が定めた「生活保護法による保護の基準」の数次の改定により、原則として70歳以上の者を対象とする生活扶助の加算が段階的に減額されて廃止されたことに基づいて所轄の福祉事務所長らからそれぞれ生活扶助の支給額を減額する旨の保護変更決定を受けたため、保護基準の上記決定は憲法25条1項、生活保護法3条、8条、9条等に反する違憲、違法なものであるとして、被上告人に対し、上記各保護変更決定の取消しを求めた事案の上告審において、本件改定については、厚生労働大臣による裁量権の範囲の逸脱又は濫用があるということはできず、したがって、本件改定は、生活保護法3条又は8条2項の規定に違反するものではなく、本件改定に基づいてされた本件各決定にもこれらを違法と解すべき事情はない等として、本件上告を棄却した事例。
2014.10.28
「新・判例解説Watch」H26.12月中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25504783/最高裁判所第一小法廷 平成26年10月6日 判決 (上告審)/平成24年(行ツ)第302号等
京都市内に居住して生活保護法に基づく生活扶助の支給を受けていた上告人らが、同法の委任に基づいて厚生労働大臣が定めた「生活保護法による保護の基準」の数次の改定により、原則として70歳以上の者を対象とする生活扶助の加算が段階的に減額されて廃止されたことに基づいて所轄の福祉事務所長らからそれぞれ生活扶助の支給額を減額する旨の保護変更決定を受けたため、保護基準の上記決定は憲法25条1項、生活保護法3条、8条、9条等に反する違憲、違法なものであるとして、被上告人に対し、上記各保護変更決定の取消しを求めた事案の上告審において、本件改定については、厚生労働大臣による裁量権の範囲の逸脱又は濫用があるということはできず、したがって、本件改定は、生活保護法3条又は8条2項の規定に違反するものではなく、本件改定に基づいてされた本件各決定にもこれらを違法と解すべき事情はない等として、本件上告を棄却した事例。
2014.10.28
執行停止申立却下決定に対する抗告事件(裁判所ウェブサイト掲載判例の原審)
LEX/DB25504754/東京高等裁判所 平成26年8月14日 決定 (抗告審)/平成26年(行ス)第38号
逃亡犯罪人引渡法8条により東京高等検察庁の検察官がした審査の請求に対して東京高等裁判所が審査をし、逃亡犯罪人引渡法10条1項3号により、逃亡犯罪人を引き渡すことができる場合に該当する旨の決定を受け、処分行政庁が逃亡犯罪人引渡法14条1項により東京高等検察庁検事長に対して抗告人(申立人、本案原告)を逃亡犯罪人として韓国に引き渡すことを命じたのに対し、抗告人が、その取消しの訴えを提起した上、これを本案として、同命令の執行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があると主張し、被抗告人(相手方、本案被告。国)に対し、本案事件の判決確定までの間、同命令の執行停止を申し立て、原審が申立てを却下した事案において、原審の判断を維持し、抗告を棄却した事例。