注目の判例

行政法

2015.11.17
開門等請求控訴事件
「新・判例解説Watch」H27.12下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25541157/福岡高等裁判所 平成27年 9月 7日 判決 (控訴審)/平成23年(ネ)第771号
〔1〕国営諫早湾土地改良事業の施行、特に、同事業において諫早湾干拓地潮受堤防が建設され、同湾の湾奥部の海洋部分が締め切られたことによって漁業被害を受け、漁業行使権(漁業法8条1項にいう「漁業を営む権利」)を侵害されたとする開門請求1審原告らが、その漁業被害を最低限度回復させるために必要があるとして、1審被告(国)に対し、上記権利から派生するとされる物権的請求権に基づき、上記潮受堤防の北部及び南部に設置されている各排水門について、同堤防で締め切られた調整池内に諫早湾の海水を流入させ、海水交換が行われるような開門操作をするよう求めたほか、〔2〕開門請求1審原告ら及び大浦1審原告らが、1審被告において上記事業を実施したこと及び上記開門操作を行わないことは、1審原告らに漁業被害を及ぼしその漁業行使権を侵害するものとして国家賠償法上違法であり、また、1審被告が上記開門操作を行わないことは、上記事業の実施に先立って漁業補償契約が締結された際に1審原告らと1審被告との間で成立した、同事業の実施後も1審原告らが漁業を営めるようにするという合意に反する行為であって、これにより1審原告らの漁業行使権が侵害されている旨主張し、1審被告に対し、国家賠償法1条1項又は債務不履行による損害賠償として1人につき605万円、及び上記開門操作がされるに至るまで年50万円の割合による金員、並びに上記605万円に対する遅延損害金の支払を求め、原判決は、1審原告らの請求中、一部却下、一部認容、一部棄却したため、開門請求1審原告らと控訴人大浦1審原告ら及び1審原告Z1並びに1審被告が、上記各敗訴部分を不服として双方が控訴した事案において、原判決中、被控訴人大浦1審原告ら及び1審原告Aの請求を認容した部分(1審被告敗訴部分)は不当であるから、1審被告の控訴に基づいてこれを取消した上、この部分に係る被控訴人ら及び1審原告Aの請求をいずれも棄却するとともに、控訴人ら並びに1審原告Aの控訴をいずれも棄却するとした事例。
2015.11.17
内海ダム再開発事業公金支出差止等請求住民訴訟事件(第1事件、第2事件)(内海ダム訴訟)
LEX/DB25541113/高松地方裁判所 平成27年 6月22日 判決 (第一審)/平成22年(行ウ)第7号等
香川県の住民である第1事件原告らが、香川県及び小豆島町が起業者である「二級河川別当川水系別当川内海ダム再開発工事並びにこれに伴う県道及び町道付替工事」は治水、利水目的に鑑みても不要であり、安全性にも問題がある上、周辺の景観・環境を損なうことにより失われる利益は重大であるから、同事業に係る公金の支出は違法であるとして、香川県の執行機関である第1事件被告に対し、地方自治法242条の2第1項1号に基づき、同事業に係る公金の支出の差止めを求めるとともに、同項4号本文に基づき、同事業に係る公金の支出を行った香川県の前知事及び現知事に対する不法行為に基づく損害賠償請求を求め(第1事件)、小豆島町の住民である第2事件原告らが、上記と同様の理由で同事業に係る公金の支出は違法であるとして、小豆島町の執行機関である第2事件被告に対し、同項1号に基づき、同事業に係る公金の支出の差止めを求めるとともに、同項4号本文に基づき、同事業に係る公金の支出を行った小豆島町の前町長及び現町長に対する不法行為に基づく損害賠償請求を求めた(第2事件)住民訴訟において、原告らは、本件事業が治水及び利水目的に鑑みても不必要である上、安全性にも問題があり、周辺の景観・環境を損なうことにより失われる利益は重大であるとして、このような合理性を欠く本件事業に係る本件各公金の支出は地方財政法4条1項、地方自治法2条14項に違反し違法であると主張しているが、本件全証拠によっても原告らの主張を認めるには足りないとし、また、本件整備計画についても上記と同様の理由で違法であり、その違法性が本件各公金の支出に承継されるとの第1事件原告らの主張や、本件事業に係る請負契約(支出負担行為)には上記と同様の理由で違法があり、当該契約を解消できる特殊な事情があったにもかかわらず、香川県知事及び小豆島町長が行った各支出命令は財務会計法規上の義務に違反し、違法であるとの原告らの主張についても、上記と同様に本件整備計画あるいは本件事業に係る請負契約(支出負担行為)が違法であることを認めるに足りる証拠がないとして、第1事件原告ら及び第2事件原告らの各請求をいずれも棄却した事例。
2015.10.27
各航空機運航差止等請求控訴事件
「新・判例解説Watch」H28. 1下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25540973/東京高等裁判所 平成27年 7月30日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第284号
厚木基地周辺に居住する原告(控訴人兼被控訴人)らが、厚木基地に離着陸する航空機の発する騒音により身体的被害及び精神的被害を受けていると主張して、被告(控訴人兼被控訴人)国に対し、主位的に、厚木基地における自衛隊機及び米軍機の一定の態様による運行の差止め等を求め、予備的に、音量規制等を求めたところ、原審は、米軍機差止めの訴えを却下し、米軍機に関する予備的請求のうち人格権に基づく妨害排除請求権としての差止請求等の給付請求を棄却し、確認請求に係る訴えをいずれも却下し、転居原告の自衛隊機差止めの訴えをいずれも却下した一方で、厚木飛行場における自衛隊機の運航のうち夜間に行われるものは、これを差し止める必要性が相当高いとし、転居原告を除く原告らの自衛隊機差止請求を一部認容したため、原告ら及び被告が双方控訴した事案において、主位的請求に係る自衛隊機差止請求について、厚木飛行場に離着陸する航空機による騒音の発生状況が大きく変わる可能性があるとして、一定期間の差止めを認容してその余の請求を棄却し、予備的請求を却下し、その余の控訴を棄却した事例。
2015.10.20
(県立竹田高剣道部 元顧問の賠償請求棄却)
LEX/DB25540999/最高裁判所第三小法廷 平成27年 7月28日 決定 (上告審)/平成26年(オ)第1335号等
原告(控訴人・上告人兼申立人)らの子である甲は、大分県立高校剣道部に所属していたが、いずれも同校の教員で剣道部の顧問を務めていた被告(被控訴人・被上告人兼相手方)乙及び同副顧問を務めていた被告(被控訴人・被上告人兼相手方)丙の監督・指導の下に、練習をしていたところ、熱中症又は熱射病を発症して倒れ、死亡したところ、被告らは、甲の死亡について過失があり、また、搬送先の病院の医師は適切な医療行為を尽くさなかった過失があり、これらの各過失によって甲が死亡するに至ったと主張して、被告(被控訴人・被上告人兼相手方)らに対しては不法行為(民法709条、民法710条、民法711条)に基づき、大分県(被告)に対しては、使用者責任(民法715条)又は国家賠償法1条1項に基づき、搬送先病院を設置した豊後大野市(被告)に対しては使用者責任に基づき、被告ら(乙・丙・大分県・豊後大野市)に対し、連帯して損害賠償金の支払を求めたところ、第1審は、大分県及び豊後大野市に対する請求を一部認容し、その余の請求を棄却し、第2審は、原告らが控訴したが棄却されたため、原告らが上告した事案において、上告を棄却し、また、上告審として受理しない旨を決定した事例。
2015.10.20
災害弔慰金不支給決定処分取消請求控訴事件(震災弔慰金不支給 2審も不支給取消し)
LEX/DB25540950/仙台高等裁判所 平成27年 6月25日 判決 (控訴審)/平成27年(行コ)第4号
平成23年8月に死亡した甲の内縁の夫であった原告(被控訴人)が、甲は東北地方太平洋沖地震により、同震災発生後3日間自家用車内で過ごし、その後は全壊した自宅での生活を余儀なくされ、介護施設への通所もできなくなるなど、住環境及び生活環境の著しい悪化のため、心理的ストレス等から体調を崩して死亡したとして、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づいて災害弔慰金の支給等に関する条例を制定している被告(控訴人。仙台市)を代表する仙台市長に対し、災害弔慰金の受領を申し出たところ、震災と甲の死亡との間に因果関係は認められないとして、災害弔慰金を不支給とする決定をしたので、被告に対し、同処分の取消しを求めたところ、第1審が同処分を取り消したため、被告が控訴した事案において、本件請求を認容した原判決は相当であるとして、控訴を棄却した事例。
2015.10.13
仮の差止め申立て事件(所沢育休退園訴訟)
「新・判例解説Watch」H27.11中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25540859/さいたま地方裁判所 平成27年 7月23日 決定 (第一審)/平成27年(行ク)第15号
埼玉県所沢市内の保育所等に通園している児童らの保護者である申立人らが、所沢市長において、当該児童らの保育の利用を解除する処分をしようとしているところ、同各処分は、児童福祉法24条1項等の解釈、適用を誤った違法があるなどとして、同各処分の差止めを求める訴え(本案事件)を提起するとともに、行政事件訴訟法37条の5第2項に基づき、同各処分の仮の差止めを求めた仮処分の事案において、申立人らが、同各処分を受け得る蓋然性が高いと認めることはできず、また、本案について、理由があると認め得る蓋然性があるということはできないとして、申立てを却下した事例。
2015.10.13
仮の差止め申立て事件(所沢育休退園訴訟)new
「新・判例解説Watch」H27.11中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25540860/さいたま地方裁判所 平成27年 7月23日 決定 (第一審)/平成27年(行ク)第12号
埼玉県所沢市内の保育所等に通園している児童らの保護者である申立人らが、所沢市長において、当該児童らの保育の利用を解除する処分をしようとしているところ、同各処分は、児童福祉法24条1項等の解釈、適用を誤った違法があるなどとして、同各処分の差止めを求める訴え(本案事件)を提起するとともに、行政事件訴訟法37条の5第2項に基づき、同各処分の仮の差止めを求めた仮処分の事案において、申立人らが、同各処分を受け得る蓋然性が高いと認めることはできず、また、本案について、理由があると認め得る蓋然性があるということはできないとして、申立てを却下した事例。
2015.10.13
業務停止処分取消請求事件(真正観光VS北海道 差し戻し審 請求棄却)
LEX/DB25540843/札幌地方裁判所 平成27年 6月18日 判決 (差戻第一審)/平成27年(行ウ)第9号
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の許可を受けて風俗営業(ぱちんこ店)を営んでいた原告が、北海道函館方面公安委員会から業務停止命令を受けたところ、同命令は、実体的な処分要件を欠き、また、聴聞に至る手続にも種々の瑕疵があるから違法であると主張して、同命令の取消しを求めた事案において、原告の請求を棄却した事例。
2015.10.13
医療費申請却下処分取消等請求事件(在米被爆者 医療費認めず 広島地裁)
LEX/DB25540932/広島地方裁判所 平成27年 6月17日 判決 (第一審)/平成24年(行ウ)第7号
いずれも広島に投下された原子爆弾により被爆し、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律に基づく被爆者健康手帳を取得した、同法に定める被爆者であり、アメリカ合衆国に居住して同国の医療機関から医療を受けた原告らが、上記の医療に関して負担した医療費について被爆者援護法18条の一般疾病医療費の支給を申請したところ、広島県知事が各原告に対して支給申請書を返戻するとともに申請を受理しない旨の通知をしたことから、原告らが、被告広島県に対して、原告らに対する不受理通知の取消しを求めた等の事案において、被爆者援護法18条1項は、国内の医療提供制度を前提として制度設計されたものであって、国外の医療提供者から受けた医療については適用を予定していない等として、本件各訴えのうち、被告広島県に対して一般疾病医療費支給申請を受理しない旨の通知を取り消すことを求める請求に係る訴えをいずれも却下した事例。
2015.09.29
各原爆症認定申請却下処分取消等請求事件(白内障 原爆症認定 広島地裁)
LEX/DB25540856/広島地方裁判所 平成27年 5月20日 判決 (第一審)/平成23年(行ウ)第2号等
原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律1条の被爆者である原告らが、それぞれ被爆者援護法11条1項の規定による認定(原爆症認定)の申請をしたところ、厚生労働大臣から各申請を却下する旨の処分を受けたことから、被告国に対し、各却下処分が違法であると主張して、その取消しを求めるとともに、国家賠償法1条1項の規定により、慰謝料各200万円及び弁護士費用各100万円並びにこれらに対する遅延損害金の各支払を求めた事案において、厚生労働大臣が本件各却下処分を行ったことが国家賠償法上違法であるとは認められないとして、本件Z1却下処分及び本件Z2却下処分の取消しと求める請求を認容し、原告らのその余の請求は棄却した事例。
2015.09.24
一般疾病医療費支給申請却下処分取消等請求事件
LEX/DB25447438/最高裁判所第三小法廷 平成27年 9月 8日 判決 (上告審)/平成26年(行ヒ)第406号
広島市に投下された原子爆弾により被爆し、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(被爆者援護法)に基づき被爆者健康手帳の交付を受けた被爆者ら3名につき、その居住国である大韓民国で受けた医療に関して被爆者援護法18条1項に定める一般疾病医療費の支給の申請がされたところ、大阪府知事により、在外被爆者に対して同項の規定を適用することができない旨の理由でそれぞれ却下処分がされたことから、上記の被爆者又はその相続人である原告(被控訴人兼控訴人・被上告人)らが、被告国、被告大阪府(控訴人兼被控訴人・上告人)を相手に、本件各却下処分の取消し等を求めたところ、第一審は請求を一部認容したため、被告大阪府と原告らが控訴し、控訴審は申請を却下した大阪府知事による同申請却下処分はいずれも違法であるとして原告らの取消請求を認容し、各控訴を棄却したため、被告大阪府がこれを不服として上告した事案において、被爆者援護法18条1項の規定は、在外被爆者が日本国外で医療を受けた場合にも適用されるものと解するのが相当であり、在外被爆者が日本国外で医療を受けた場合につき、同項所定の要件に該当するか否かについて判断することなく同項の規定を適用する余地がないことを理由としてされた本件各却下処分は、違法であるとして、原審の判断を是認し、上告を棄却した事例。
2015.09.24
損害賠償請求控訴事件(北海道豊浦町暴風雪訴訟:道の責任否定 請求棄却)
LEX/DB25540750/札幌高等裁判所 平成27年 7月 7日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第190号
本件車両を運転して本件道道を走行し、本件事故現場で、本件車両が吹雪による雪の吹きだまりに埋まり、その後、同車両内で一酸化炭素中毒により死亡したZ6の両親である1審原告らが、本件道道を設置管理している1審被告北海道については本件事故現場付近に設置された防雪柵の設置又は管理に瑕疵があった等として、上記瑕疵などによりZ6が死亡したと主張し、損害賠償を求めた等の事案の控訴審において、本件防雪柵にあっては、本件事故当時、通常有すべき安全性を備えていたが、これまでの観測記録では想定することができない気象状況により、本件事故現場に巨大な吹きだまりが発生し、本件事故に至ったものと認められるから、本件防雪柵の設置又は管理に瑕疵があったとは認められない等として、1審被告北海道敗訴部分を取り消し、上記部分に係る1審原告らの1審被告北海道に対する請求をいずれも棄却し、1審原告らの本件各控訴をいずれも棄却した事例。
2015.09.24
風俗営業等廃止命令処分等取消請求控訴事件(ソープランド「重役室」訴訟 県逆転勝訴)
LEX/DB25540747/名古屋高等裁判所金沢支部 平成27年 6月24日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第8号
処分行政庁である石川県公安委員会から風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく店舗型性風俗特殊営業の廃止命令を受けた原告(被控訴人)が、当該命令の違法を主張して、被告(控訴人)石川県に対し、処分取消しを求めたところ、原審は、当該処分に先立つ聴聞手続を主宰した者が本件に密接に関係していて、主宰者に指名される資格がないことにより、行政手続法の制度趣旨を没却するような重大な違法があったといえるから、その余の争点について判断するまでもなく、当該処分は取り消されるべきであるとして、原告の上記廃止命令取消請求を認容したため、これに不服の被告が控訴した事案(原告は、控訴審では、原審で請求していた浴場業営業の停止命令の取消しを求める訴えを取り下げた。)において、当該処分の決定に至る過程で当該案件に密接に関与した職員が聴聞の主宰者となったとしても、行政手続法には、聴聞の審理の経過を記載した調書の作成等が規定され、また、聴聞手続においては、当事者等のための文書等の閲覧や防御権を保障するための告知聴聞に関する規定が設けられており、手続的公正さを担保する制度が整備されているといえるのであるから、このような職員を主宰者としてされた聴聞手続について、法の趣旨を没却するような重大な違法があるなどと解することはできない等として、原告の上記廃止命令取消しを求める本件請求を認容した原判決主文1項を取り消して、原告の請求を棄却した事例。
2015.09.15
特定危険指定暴力団指定処分取消請求事件(工藤会の特定危険指定「適法」)
LEX/DB25540873/福岡地方裁判所  平成27年 7月15日 判決 (第一審)/平成25年(行ウ)第4号
暴対法3条に基づき指定暴力団として指定されている原告が、処分行政庁から暴対法30条の8第1項に基づき特定危険指定暴力団等として指定する処分を受けたため、被告(福岡県)に対し、〔1〕本件処分は法主体性のない暴力団に対する処分であるから無効である等と主張して本件処分が無効であることの確認を求めるとともに、〔2〕暴対法及び同法の各条項は違憲であり、本件処分は違法である等と主張して、主位的に本件処分の全部の取消しを求め、予備的に本件処分のうち警戒区域として豊前市、春日市、遠賀郡及び鞍手郡を指定した部分の取消しを求め、さらに、〔3〕暴対法30条の8第2項に基づき特定危険指定暴力団等の指定の期限を延長する処分(延長処分1)を、同項に基づき特定危険指定暴力団等の指定の期限を延長する処分(延長処分2)をそれぞれ受けたことから、同項は違憲である上、延長処分1及び同2は同項の要件を満たしていないから違法である旨主張して延長処分1及び同2の取消しを求めた事案において、本件訴えのうち、特定危険指定暴力団等として指定する処分が無効であることの確認を求める訴え及び延長処分1の取消しを求める訴えは不適法であるから、いずれも却下し、原告のその余の請求は理由がないから、いずれも棄却した事例。
2015.09.15
建物使用不許可処分取消等・建物明渡・使用不許可処分取消等請求控訴事件
(大阪市 職員労働組合に立ち退き命令 控訴審)
LEX/DB25540705/大阪高等裁判所 平成27年 6月26日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第163号
被告(控訴人)大阪市の職員が加入する労働組合等である原告(被控訴人)らが、被告の市長に対し、3回にわたり、市庁舎の一部を組合事務所として利用するため、その目的外使用許可を申請したところ、いずれも不許可処分を受けたことから、各不許可処分について、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償金を求め(第1、第3及び第4事件)、また、最後の不許可処分について、その取消しを求めるとともに、市庁舎の一部に係る目的外使用許可処分の義務付けを求め(第4事件)、被告が、原告らに対し、原告らが前記各不許可処分後も、組合事務所として占有している市庁舎の一部について、所有権に基づきその明渡しを求めるとともに、不法行為に基づき使用料相当損害金の支払を求めた(第2事件)ところ、原判決は、前記各不許可処分の取消し及び許可処分の義務付けを認め、損害賠償請求を一部認容し、被告の原告らに対する明渡請求及び損害賠償請求は権利の濫用に当たると判断していずれも棄却したため、被告がいずれも控訴した事案において、原判決を取り消し、請求を一部認容(第1事件)し、その余の請求を棄却した上、被告の原告に対する請求(第2事件)を一部認容した事例。
2015.09.15
懲戒処分取消請求事件(弁護士懲戒処分 取消認めず 控訴審)
LEX/DB25540759/東京高等裁判所 平成27年 6月18日 判決 (第一審)/平成27年(行ケ)第9号等
第一東京弁護士会に所属する弁護士である原告らが、懲戒請求をされ、原告らを懲戒しない旨の同弁護士会の決定に対する懲戒請求者の異議の申出を受けた被告(日本弁護士連合会)から、同弁護士会がした懲戒しない旨の決定を取り消し、原告らを戒告する旨の各懲戒処分を受けたため、弁護士法61条に基づき、各懲戒処分の取消しを求めた事案において、各懲戒処分が、裁量権の範囲を超え、又は裁量権を濫用したものとはいえないとして、原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2015.09.02
損害賠償請求控訴事件 (松山刑務所 作業中骨折 元受刑者 逆転敗訴)
LEX/DB25540637/東京高等裁判所 平成27年 6月25日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第501号
松山刑務所に収容され、配膳用機収納用コンテナの空コンテナを積み重ね、両手で持って運搬中、下り階段を1段踏み外した左足で踏ん張ったことにより、左大腿骨頚部骨折の傷害を負い、人工骨頭置換術を受けた結果、右足より左足が長くなる後遺障害を負った原告(被控訴人)が、被告(控訴人、国)に対し、同事故は刑務所職員が刑務作業に関する安全配慮義務を怠った結果発生したなどと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、損害金の支払いを求め、原審が請求を一部認容したため、被告が控訴した事案において、原告の受傷及び損害の発生について、刑務所職員には安全配慮義務に違反する事実があったとは認められず、刑務所長に必要な医療上の措置を執る義務違反があったとも認められないなどとして、控訴に基づき、原判決中被告敗訴部分を取り消し、原告の請求を棄却した事例。
2015.08.25
損害賠償(国家賠償)請求事件(秦野市 井戸設置禁止条例 「合憲」確定)
LEX/DB25540463/最高裁判所第二小法廷 平成27年 4月22日 決定 (上告審)/平成26年(オ)第668号等
原告(被控訴人兼附帯控訴人・上告人兼申立人)が、被告秦野市(控訴人兼附帯被控訴人・被上告人兼相手方)の農業委員会及び環境保全課の職員らに対し、秦野市内の原告所有土地について農家用住宅を建築することや井戸を設置することなどを相談したところ、その職員らが違法な説明をしたために、農家用住宅の建築が遅延し、また、水道を敷設せざるを得なくなったなどと主張して、被告に対し国家賠償法1条1項に基づいて損害賠償の支払を求めた第一審では、原告の請求を一部認容したため、被告が控訴し、原告が附帯控訴をしたところ、控訴審では、被告職員の説明ないし対応が国家賠償法上違法であるとは認めることはできないなどとして、原判決中の被告敗訴の部分を取り消し原告の請求を棄却し、原告の附帯控訴を棄却したため、原告が上告した事案において、本件上告を棄却し、上告審として受理しないと決定した事例。
2015.08.18
新文化複合施設工事公金支出差止請求住民訴訟控訴事件
(米沢市の新文化複合施設 公金支出差止請求)
LEX/DB25540589/仙台高等裁判所 平成27年 6月 5日 判決 (控訴審)/平成27年(行コ)第3号
米沢市の住民である控訴人らが、米沢市が計画を進める新文化複合施設整備事業につき、当該事業に関する公金支出は目的外支出として違法であり、当該事業のための公金支出等に係る議決は無効である等と主張して、被控訴人(米沢市長)に対し、当該事業に関する公金の支出、契約の締結、債務その他義務の負担をしないよう求めるとともに、当該事業に関して既に支出された公金の支払いを請求した事案の控訴審において、控訴人らの請求をいずれも棄却した原判決は相当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2015.08.18
投稿動画削除等仮処分命令申立事件(発言動画削除命令)
LEX/DB25540593/大阪地方裁判所 平成27年 6月 1日 決定 (第一審)/平成27年(ヨ)第290号
大阪市の現市長である債務者Pが、公衆に対する演説の中で、平成23年に実施された大阪市長選挙の際、債権者が集票目的のために大阪市内の町内会に100万円を配布した旨の公職選挙法に違反する行為をしたかのような各発言を行い、債務者らが、当該各発言の様子が録画された複数の動画を動画投稿サイト等において公開し、債務者維新の会のホームページから前記動画の一部を閲覧できるように設定したことにより、債権者の名誉が毀損されたとして、大阪市の前市長である債権者が、前記各動画の動画サイトからの削除、閲覧措置及び頒布の禁止、公衆の面前等での前記発言の禁止並びに民法723条に基づく謝罪広告の掲載をそれぞれ求めた事案において、Pの3回の発言のうち2回は、公職選挙法で罰則をもって禁止されている買収行為を債権者が行ったかのような印象を抱かせるから債権者の社会的評価を低下させるものであるとして、前記各動画の動画サイトからの削除、閲覧措置及び頒布の禁止を命じた事例。