注目の判例

行政法

2015.08.18
損害賠償請求控訴事件(野球部員熱中症死 高松高裁 逆転判決)
LEX/DB25540569/高松高等裁判所 平成27年 5月29日 判定 (控訴審)/平成26年(ネ)第187号
徳島県立高校の硬式野球部に所属していた甲が、同部の練習中に熱中症に罹患し、その約1か月後に死亡した事故につき、甲の両親である控訴人(原告)らが、同高校の保健体育科教諭であり、また同部の監督である乙に部員に対する安全配慮義務を怠った過失があり、これにより甲は死亡したなどと主張して、被控訴人(被告。徳島県)に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償の支払いを請求し、原審が請求を棄却した事案において、乙の注意義務違反を認め、原判決を変更し、控訴人らの請求を一部認容した事例。
2015.08.11
損失補償請求事件(大阪城本丸売店 損失補償認めず)
LEX/DB25540595/大阪地方裁判所 平成27年 5月29日 判決 (第一審)/平成25年(行ウ)第186号
都市公園である大阪城公園内に設置された公園施設について、大阪市長から都市計画法5条1項の規定による管理の許可を継続して取得し売店等を経営していた原告が、大阪市長に対し、平成25年4月1日から平成26年3月31日までの1年間の管理許可を求める申請をしたところ、大阪市長から不許可処分を受けたが、当該不許可処分は、期間の定めなくされていた管理の許可の撤回と同視し得るから、被告大阪市は、都市公園法28条の適用若しくは類推適用又は国有財産法19条、国有財産法24条の類推適用により、その撤回に伴い原告が被った使用権喪失に係る損失や営業損失等の付随的損失を補償すべきである旨主張して、被告に対し、損失補償金のうち4035万円及びこれに対する請求の日(訴状送達の日)の翌日である平成25年9月26日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による金員の支払を求めた事案において、原告に対する本件公園施設の管理許可は、仮に開始当初は実質的に期間の定めのないものと解する余地があったとしても、遅くとも、平成24年4月1日付けで本件公園施設の管理許可がされた時点では、実質的に期間の定めのなかったものということはできないとして、原告の請求を棄却した事例。
2015.08.04
農地法20条1項による許可取消請求、土地明渡請求、建物収去土地明渡請求控訴事件
(成田空港用地訴訟 2審も明け渡し命じる)
LEX/DB25540562/東京高等裁判所 平成27年 6月12日 判決 (控訴審)/平成25年(行コ)第326号
控訴人が、各土地を賃借して農地として耕作しているとして、処分行政庁が空港会社による賃貸借の解約申入れを許可した処分は違法であると主張して、被控訴人千葉県に対し、許可処分の取消しを求めた事案(第1事件)、また、被控訴人空港会社が、控訴人に対し、許可処分に基づき賃貸借契約を解約する旨申し入れたことにより、同契約は終了したとして、各土地上の建物及び工作物を収去し、同土地を明け渡すことを求めた事案(第2及び第3事件)において、第1事件につき取消請求を却下し、その余の請求を棄却した原判決を相当とし、本件控訴を棄却した事例。
2015.07.21
損害賠償請求事件(刑務所の食事がカロリー不足 国に賠償命令)
LEX/DB25540413/甲府地方裁判所 平成27年 5月26日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第313号
甲府刑務所に収容されていた原告(懲役受刑者)が、甲府刑務所長の原告に対する行為が違法であるなどと主張し、被告(国)に対して、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料等の支払いを求めた事案において、刑務所長が、約2年2か月間にわたり熱量の不足した主食を原告に給与したことについては、注意義務を尽くすことなく漫然と行ったといわざるを得ないとして、同法上の違法性を認め、原告の請求を一部認容、一部棄却した事例。
2015.07.14
審決取消請求上告受理事件(真成開発(株)ほか1による審決取消請求上告受理事件)
LEX/DB25506292/最高裁判所第一小法廷 平成27年 4月16日 決定 (上告審)/平成26年(行ヒ)第316号
原告(申立人)らを含む24社が、市が発注する下水管きょ工事について、独占禁止法3条の規定に違反するとして、排除措置を命じられたため、被告(相手方)公正取引委員会に対し、本件排除措置命令等の取消しを求めて審判請求をしたが、審判請求を棄却する審判審決がされたため、本件審決の取消しを求めたところ、24社が受注調整を行うもととなった本件基本合意は、当事者である事業者らがその意思で当該入札市場における落札者及び落札価格をある程度自由に左右することができる状態をもたらしていたものと認められ、独占禁止法2条6項にいう「一定の取引制限」に該当するということができるとし、また、そのような合意が、一般競争入札による適正な価格形成を妨げる点が公共の利益に反することも明らかであるとし、原告の請求を棄却したため、原告が上告した事案において、上告審としては受理しないとした事例。
2015.07.14
審決取消請求上告事件及び審決取消請求上告受理事件
((株)高光建設による審決取消請求上告事件及び審決取消請求上告受理事件)
LEX/DB25506106/最高裁判所第一小法廷 平成27年 3月12日 決定 (上告審)/ 平成26年(行ツ)第237号等
原告(上告人兼申立人)が、他の事業者と共同して、岩手県が行っていた入札等の方法により、同県が建築一式工事についてAの等級に格付けしている者のうち同県内に本店を置く者のみを入札参加者として発注する建築一式工事について、受注価格の低落防止及び受注機会の均等化を図るため、基本合意の下に、受注すべき者を決定し、同人が受注できるようにすることにより、公共の利益に反して、岩手県発注の特定建築工事の取引分野における競争を実質的に制限した等として、被告(被上告人兼相手方)公正取引委員会から原告に課徴金の納付を命ずる審決がなされたとして、同審決の取消しを求めたところ、原告の請求が棄却されたため、原告が上告した事案において、本件上告の理由は、違憲をいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであるとして上告を棄却し、また、本件申立ての理由によれば、本件は民事訴訟法318条1項により受理すべきものとは認められないとした事例。
2015.06.16
災害弔慰金不支給処分取消等請求事件(東日本大震災 弔慰金訴訟 遺族の請求規棄却)
LEX/DB25506273/盛岡地方裁判所 平成27年 4月24日 判決 (第一審)/平成25年(行ウ)第6号
東北地方太平洋沖地震により生じた震災の後に亡Aが胆のう血腫により死亡したことについて、亡Aの妻である原告が、亡Aの死は、前記震災に伴う著しいストレスにより認知症又はせん妄を発症したために、胆のう血腫の自覚症状を周囲に訴えることができなかったことに起因するなどと主張し、災害弔慰金に関する法律及び釜石市災害弔慰金の支給等に関する条例に規定されている災害弔慰金の支給を申し出たが、釜石市長が不支給決定をしたことから、同決定を行政処分であることを前提に当該処分の取消しを求めるとともに、同決定が行政処分でない場合には、公法上の当事者訴訟として、原告が災害弔慰金の支給を受けられる地位を有することの確認を求めた事案において、同決定が行政処分であると判断したが、前記震災と亡Aの死亡との間に因果関係を認めることはできないとして、確認を求める訴えを却下した上、その余の請求を棄却した事例。
2015.06.02
国会記者会館屋上取材拒否損害賠償請求控訴事件(国会記者会館屋上取材拒否事件 二審も敗訴)
LEX/DB25506192/東京高等裁判所 平成27年4月14日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第5601号
控訴人(原告。特定非営利活動法人)が、報道機関である控訴人は、取材の自由の一環として、被控訴人(被告)国会記者会が占有使用している国会記者会館(本件建物)への立入請求権を有するにもかかわらず、衆議院庶務部長が控訴人の本件建物の屋上の使用許可申請に対し不許可処分をしたことが、国家賠償法上違法であるなどとして、被控訴人(被告)国に対し、損害金を求め、また、被控訴人国会記者会が、控訴人に対し屋上の使用を拒絶するとともに、衆議院庶務部長に対し控訴人による本件屋上の使用につき不相当との意見を述べたことが、不法行為を構成するなどとして、被控訴人国会記者会に対し、損害金の支払いを求め、原審が請求を棄却した事案において、控訴を棄却した事例。
2015.05.19
損害賠償請求控訴、同附帯控訴事件(積丹岳遭難事故(控訴審))
LEX/DB25506179/札幌高等裁判所 平成27年3月26日 判決 (控訴審)/平成24年(ネ)第591号等
積丹岳山頂付近で遭難し、北海道警察山岳遭難救助隊による救助活動を受けていた際に2回滑落し、山中で凍死した事故にあった甲の両親である被控訴人(原告)らが、警察官である救助隊の隊員らが甲を救助するための適切な行為をすべき作為義務を怠ったため甲が死亡したと主張して、控訴人(被告。北海道)に対し、国家賠償法1条1項に基づいて、損害賠償金の支払いを求め、原判決が一部認容をしたため、控訴人が控訴をした事案において、2回目の滑落発生時における救助活動について、明らかに合理的とは認められないから、国家賠償法上違法と評価されるとして、控訴を棄却し、附帯控訴に基づき、被控訴人の請求を一部認容した事例。
2015.05.19
営業停止処分取消請求控訴事件(裁判所ウェブサイト掲載判例の原審)
LEX/DB25506178/札幌高等裁判所 平成26年2月20日 判決 (控訴審)/平成25年(行コ)第28号
処分行政庁から、風営法26条1項に基づき、一定期間の風俗営業の停止を命ずる処分を受けた控訴人(原告)が、被控訴人(被告、北海道)に対し、同処分の取消しを求め、原審は、営業の停止を命じられた一定期間の経過により、営業停止を命ずる同処分の効果はなくなっているところ、同処分を取り消すべきほどの違法性は認められず、この観点から同処分を取り消す訴えの利益を認める余地はないとして、訴えを却下した事案において、原判決は相当であるとして、控訴を棄却した事例。
2015.04.21
大飯原発3,4号機及び高浜原発3,4号機運転差止仮処分命令申立事件
LEX/DB25447198/福井地方裁判所 平成27年4月14日 決定 (第一審)/平成26年(ヨ)第31号
高浜発電所(高浜原発)から250キロメートル圏内に居住する債権者らが、債務者(電力会社)に対し、人格権の妨害予防請求権に基づいて、債務者が高浜原発の3号機及び4号機の運転差止めの仮処分を求めた事案において、(1)冷却機能の維持については、各地の原発敷地外に幾たびか到来した激しい地震や各地の原発敷地に5回にわたり到来した基準地震動を超える地震が高浜原発には到来しないというのは根拠に乏しい楽観的見通しにしかすぎないといえ、さらに、基準地震動に満たない地震によっても冷却機能喪失による重大な事故が生じ得るというのであれば、そこでの危険は、万が一の危険という領域をはるかに超える現実的で切迫した危険と評価できるとし、(2)閉じ込めるという構造(使用済み核燃料の危険性)については、使用済み核燃料を閉じ込めておくための堅固な設備を設けるためには膨大な費用を要するということに加え、国民の安全が何よりも優先されるべきであるとの見識に立つのではなく、深刻な事故はめったに起きないだろうという見通しのもとにかような対応が成り立っているといわざるを得ないとし、(3)高浜原発の現在の安全性(被保全債権の存在)については、原発の運転によって直接的にその人格権が侵害される具体的な危険があることが疎明されているといえるとし、高浜原発の事故によって債権者らは取り返しのつかない損害を被るおそれが生じることになり、本案訴訟の結論を待つ余裕がなく、また、原子力規制委員会の許可がなされた現時点においては、保全の必要性は肯定できるとして、債務者に対し、高浜原発3号機及び4号機の原子炉の運転中止を認めた事例。
2015.04.14
入れ墨調査問題
「新・判例解説Watch」H27.6上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25447157/大阪地方裁判所 平成27年2月16日 判決 (第一審)/平成24年(行ウ)第295号
被告の設置する病院の職員であった原告が、入れ墨の有無等を尋ねる調査に回答しなかったことが職務命令違反に当たるとして、戒告処分がされたことにつき、上記調査は憲法13条等に違反する違憲・違法な調査であるから、上記調査に回答するよう命じた職務命令及び本件処分も違法であるとして、本件処分の取消し等を求めた事案において、本件調査により特定の職員が入れ墨をしていることの情報を含む本件入れ墨情報を収集することは、社会的差別の原因となるおそれがあると認められる事項に関する個人情報の収集を原則的に禁止する大阪市個人情報保護条例6条2項に違反し違法であり、本件調査に回答することを命じる本件職務命令も、同項1号及び2号に該当しないにもかかわらず差別情報を収集することを目的とするものであるから、同項に反し違法であるとし、原告の請求を一部認容した事例。
2015.04.07
慰謝料請求事件(花粉症の治療を受けられず 国家賠償事件)
LEX/DB25505855/広島地方裁判所 平成27年2月17日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第444号
原告が、広島刑務所に収容中、同刑務所の職員に対し複数回にわたり花粉症の症状を訴えたにもかかわらず、医師による診察も薬の投与もされないまま35日間放置されたため、症状が悪化し苦痛を受けたと主張して、被告(国)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料の支払いを求めた事案において、広島刑務所長の判断には、合理性が認められず、その裁量権の範囲を逸脱したものとして、国家賠償法上違法の評価を免れないとして、原告の請求を一部認容、一部棄却した事例。
2015.03.31
行政処分取消等請求控訴事件(小平市住民投票 控訴棄却)
LEX/DB25505814/東京高等裁判所 平成27年2月4日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第353号
被控訴人(被告・小平市)においては、東京都が施行者となって施行するものとされる道路(小平都市計画道路3・2・8号府中所沢線)の整備に関する都市計画事業に係る東京都の都市計画について、「住民参加により計画を見直すべきか、又は計画の見直しは必要ないかについて、市民の意向を確認すること」を目的として、被控訴人の条例(東京都の小平都市計画道路3・2・8号府中所沢線計画について住民の意思を問う住民投票条例、平成25年小平市条例第13号)の規定に基づき、住民投票が行われたところ、被控訴人の住民である控訴人(原告)らが、小平市情報公開条例(平成13年小平市条例第29号)の規定に基づき、小平市選挙管理委員会に対し、当該住民投票における投票済投票用紙(本件各文書)の公開の請求をしたのに対して、本件各文書には情報公開条例が定める非公開情報に該当する情報が記録されているとして、本件各文書を公開しない旨の決定(本件非公開決定)がされたことから、本件非公開決定の取消し及び本件各文書を公開する旨の決定をすることの義務付けを求めた事案の控訴審において、本件訴えのうち、義務付けを求める部分をいずれも却下し、本件訴えのその余の部分に係る控訴人らの請求をいずれも棄却した原判決は相当であり、本件控訴はいずれも理由がないから、これを棄却するとした事例。
2015.03.17
損害賠償請求事件
LEX/DB25447108/最高裁判所第一小法廷 平成27年 3月 5日 判決 (上告審)/平成25年(受)第1436号
産業廃棄物の最終処分場の周辺地域に居住する被上告人らは、同最終処分場を管理する会社の実質的経営者、産業廃棄物の処分を委託した業者その他関係者を被申請人として、公害紛争処理法26条1項に基づく公害調停の申請をし、被上告人らが、同申請を受けて設けられた徳島県公害紛争調停委員会がその裁量権の範囲を逸脱して違法に、被申請人の呼出手続を行った上、調停を打ち切るなどの措置をしたと主張して、上告人に対し、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償を求めたところ、原審は、被上告人らの請求を一部認容したため、上告人が上告した事案において、本件委員会が、被申請人らに対し本件記載のある期日通知書を送付し、第1回調停期日において本件調停を打ち切った措置は、その裁量権の範囲を逸脱したものとはいえず、国家賠償法1条1項の適用上違法であるということはできないとし、被上告人らの請求を一部認容した原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決のうち上告人敗訴部分は破棄し、被上告人らの請求は理由がなく、これを棄却した第一審判決は正当であるとし、上記部分につき、被上告人らの控訴を棄却した事例。
2015.03.10
営業停止処分取消請求事件(最高裁初判断 加重処分は取り消し請求可)
LEX/DB25447098/最高裁判所第三小法廷 平成27年 3月 3日 判決 (上告審)/平成26年(行ヒ)第225号
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律2条1項7号のぱちんこ屋の営業に該当する風俗営業を営む上告人が、北海道函館方面公安委員会から風営法26条1項に基づく営業停止処分を受けたため、同委員会の所属する被上告人を相手に、同処分は違法であると主張して、その取消しを求めたところ、原審では、上告人が、処分の効果が期間の経過によりなくなった後においてもなお処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有する者(行政事件訴訟法9条1項)には当たらないとし、本件訴えを却下したため、上告人が上告した事案で、行政手続法12条1項の規定により定められ公にされている処分基準において、先行の処分を受けたことを理由として後行の処分に係る量定を加重する旨の不利益な取扱いの定めがある場合には、上記先行の処分に当たる処分を受けた者は、将来において上記後行の処分に当たる処分の対象となり得るときは、上記先行の処分に当たる処分の効果が期間の経過によりなくなった後においても、当該処分基準の定めにより上記の不利益な取扱いを受けるべき期間内はなお当該処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有するものと解するのが相当であるとし、上告人は、行政手続法12条1項の規定により定められ公にされている処分基準である本件規程の定めにより将来の営業停止命令における停止期間の量定が加重されるべき本件処分後3年の期間内は、なお本件処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有するものというべきであり、これと異なる見解の下に、本件訴えを却下すべきものとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、第一審判決を取消し、本件処分の違法事由の有無につき審理させるため、本件を第一審に差し戻すべきであるとした事例。
2015.03.10
初度費請求控訴事件(富士重工業(株)VS国)
LEX/DB25505767/東京高等裁判所 平成27年 1月29日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第1806号
被控訴人(一審被告。国)と戦闘ヘリコプターの製造請負契約を締結したが控訴人(一審原告)が、被控訴人に対し、(1)主位的に、被控訴人との間の本件初年度負担合意に基づいて、未払初年度費等351億2394万1336円及び遅延損害金の支払を、(2)予備的に、不法行為に基づく損害賠償請求として、386億3633万5470円のうち、351億2394万1336円及び遅延損害金の支払をそれぞれ求めたところ、原判決が控訴人の請求をいずれも棄却したので、控訴人がこれを不服として控訴した事案において、本件戦闘ヘリコプターの調達中止に関して、控訴人に著しく不誠実な行為や重大な過誤があったとは認められず、仮に過失があったとしても、被控訴人が本件前提を実行しないことに正当な理由があったとはいえないから、被控訴人が本件初年度残額の手当をすることなく本件戦闘ヘリコプターの調達中止を決めたことは控訴人の期待や信頼を侵害し、信義則上の義務に反する不法行為に当たるというべきであるとし、控訴人の主位的請求は理由はないが、予備的請求は一定の限度で理由があるとして、原判決を変更し、控訴人の請求を一部認容した事例。
2015.02.24
(住民勝訴確定 前白井市長専決は違法)
LEX/DB25505496/最高裁判所第一小法廷 平成27年1月15日 決定 (上告審)/平成26年(行ツ)第13号等
千葉県白井市の住民である被上告人兼相手方(原告・被控訴人)らが、元同市市長であったAにおいて、その在任中、地方自治法179条1項の要件がないにもかかわらず、違法な専決処分により、北総鉄道に補助金を支出する旨の債務負担行為を行った旨主張して、同市市長である上告人兼申立人(被告・控訴人)に対し、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、〔1〕A元市長に対し、不法行為又は債務不履行による損害賠償請求権に基づき、上記支出に係る2363万2000円及びその振込手数料並びにこれらに対する遅延損害金の支払、〔2〕北総鉄道に対し、不当利得返還請求権に基づき、上記補助金として利得した2363万2000円及びこれに対する利息の支払をそれぞれ請求することを求めた事案の上告において、本件上告の理由は、理由の不備・食違いをいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに民事訴訟法312条1項又は2項に規定する事由に該当しないとし、また、本件申立ての理由によれば、本件は、民事訴訟法318条1項により受理すべきものとは認められないとして、上告棄却及び上告不受理の決定をした事例。
2015.02.24
請求異議事件(諫早湾干拓事業訴訟 国の請求退ける)
LEX/DB25505419/佐賀地方裁判所 平成26年12月12日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第7号
原告が、佐賀地裁判決及び福岡高裁判決の本件確定判決によって排水門の解放を求める請求権を認容された者及びその相続人らである被告らに対し、潮受堤防の公共性ないし公益上の必要性は現時点においても失われていない、あるいは「防災上やむを得ない場合」に当たることから、開門請求権の行使を認めるべき違法性は現時点においても認められず、前記各排水門を解放するための強制執行は許されないこと、別件仮処分決定により原告が前記各排水門の解放禁止義務を負っていることからすれば、別件仮処分決定がされたことが独立の異議事由にあたること、これらの事情に鑑みれば強制執行は権利の濫用又は信義則違反に当たること、漁業協同組合を脱退したことにより漁業行使権に基づく開門請求権を失ったことが異議事由に当たる等と主張して、前記確定判決に基づく強制執行の不許を求めた事案において、前記相続人らに対する訴えについては被告適格を欠くとして一部却下し、漁業行使権を失った被告らに対する請求を認容し、その余の請求をいずれも棄却した事例。
2015.02.24
損害賠償請求控訴事件(地盤沈下 広島市に損害賠償請求 控訴棄却)
LEX/DB25505422/広島高等裁判所 平成26年12月10日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第123号
被告(被控訴人。広島市)が行った下水道工事が原因で原告(控訴人)の所有地が地盤沈下し、同土地上の原告所有建物に損傷が生じたとの理由で、原告が被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、前記建物の立替費用相当額の損害賠償金の支払を求めたところ、原審は、原告の請求を棄却したため、原告がこれを不服として控訴した事案において、原判決は相当であるとし、控訴を棄却した事例。