注目の判例

行政法

2015.02.24
損害賠償等請求控訴事件(浜千鳥リサイクルVS三重県紀北町)
LEX/DB25505500/名古屋高等裁判所 平成26年11月26日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第706号
一審原告が旧紀伊長島町内において産業廃棄物中間処理施設を設置しようとしていたところ、旧紀伊長島町長から本件条例に基づき本件施設を含む事業場について、旧紀伊長島町の水道水源に影響を及ぼすおそれがあるとして本件条例2条5号所定の規制対象事業場と認定する本件処分を受けたが、その後、本件処分を取り消す旨の判決が確定したため、一審原告が、一審被告に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めた事案の控訴審において、原判決と異なり、一審原告の本訴請求のうち主位的損害は理由がなく、予備的損害について、町長が違法に本件処分をしたことにより一審原告が、本件施設について本件事業計画を実現可能な規模や内容のものに変更して設置し稼働することができなくなり、無用となったもので損害と認めることができるとして、F社に支払った費用等の一部で理由があるとして、一審被告の控訴に基づき、原判決を変更した事例。
2015.02.17
国家賠償等請求事件、請負代金請求事件(宅地開発事業をめぐる訴訟 東神楽町)
LEX/DB25505408/旭川地方裁判所 平成26年12月 9日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第177号等
原告(甲事件原告兼乙事件原告)が、上川郡東神楽町の宅地を対象とする開発分譲事業に関して、被告公社(乙事件被告)との間で事業計画書の作成を目的とする請負契約を締結したと主張して、被告公社に対し、報酬315万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める事件(乙事件)と、原告が、同事業に関連する防災調節池設置管理事業のための用地買収に際して、被告町(甲事件被告・東神楽町)との間で土地購入代金の立替払の合意をし、これに基づき地権者に立替払をしたと主張して、被告町に対し、立替金等合計184万8831円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める事件(甲事件)とが併合審理された事案において、被告公社は、平成21年2月2日、原告との間で、本件請負契約を締結したと認めるのが相当であるとした上で、本件事業計画書の対価は300万円を下らないというべきであって、本件請負契約における相当報酬額は315万円(消費税5パーセント相当分を含む。)と認めるのが相当であるとし、また、原告と被告町との間で、平成21年6月16日、本件立替払合意が成立したと認めるのが相当であるとした上で、弁護士費用及び振込手数料についての原告の請求には理由がないとして、甲事件原告の請求を一部認容(134万7991円)、一部棄却(弁護士費用50万円及び立替払時に生じた振込手数料840円)し、乙事件原告の請求を全部認容した事例。
2015.02.17
覚せい剤取締法違反被告事件 (無罪)
LEX/DB25505410/福岡地方裁判所小倉支部 平成26年12月 9日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第525号
「被告人は、みだりに、平成26年7月11日、北九州市(以下略)所在の被告人方で、覚せい剤約0.978グラムを所持した」という公訴事実について、本件覚せい剤があることを知らなかったという被告人の弁解は、その行動等に裏付けられており、基本的に信用できる、又は、少なくともそれを信用できないとして排斥することは困難であるとし、また、本件覚せい剤が、被告人とは関係なく、本件ジャンパーのポケットに入れられ、捜索により発見された可能性も否定できないとして、被告人に対し無罪の言い渡しをした事例。
2015.02.10
損害賠償(第1事件、第2事件)請求控訴事件(府中市議会議員政治倫理条例事件(差戻控訴審))
LEX/DB25505353/広島高等裁判所 平成26年11月12日 判決 (差戻控訴審)/平成26年(ネ)第193号
府中市議会の議員であった原告(控訴人・被上告人)が、被告府中市(被控訴人・上告人)に対し、違憲無効である府中市議会議員政治倫理条例違反を理由として市議会が辞職勧告決議を行ったことは違法であり、原告はこれによって精神的苦痛を被ったと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償金等の支払を求め(第1事件)、本件条例に基づく審査請求並びにこれに続く府中市議会議員政治倫理審査会の設置、審査結果の報告、警告等をすべき旨の決議及び警告の措置及び審査結果の公表は違法であり、原告はこれにより精神的苦痛を被ったなどと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償金等の支払を求めた(第2事件)ところ、第一審は、原告の請求がいずれも棄却されたため、原告は、第1、2事件につきいずれも110万円及びその付帯請求を棄却した部分を不服として控訴し、差戻し前の控訴審は、本件条例のうち、議員の2親等以内の親族が経営する企業は被告の工事等の請負契約等を辞退しなければならず、当該議員は当該企業の辞退届を徴して提出するよう努めなければならない旨を定める部分は、憲法21条1項によって保障される議員活動の自由並びに憲法22条1項及び憲法29条によって保障される経済活動の自由を制限する合理性や必要性が認められないから違憲無効であるとし、本件審査請求等は違法であり、かつ、これら一連の手続に関与した議員には過失があると判断して、一審判決が第2事件請求のうち33万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める部分を棄却した部分を取消して同部分の請求を認容し、その余の請求を棄却した旨一審判決を変更したため、被告は、上記敗訴部分を不服として上告し、上告審は、2親等規制を定める本件規定は憲法21条1項、22条1項及び29条に違反するものではないと解するのが相当であるとして、差戻し前の控訴審判決中の被告敗訴部分を破棄し、本件審査請求等につき、原告が主張するその他の違法事由の有無等について更に審理を尽くさせるため、差し戻しを命じた差戻し後控訴審の事案において、本件条例を違法ということはできないから、これが違法であることを前提として、本件審査請求及び審査会の設置の違法をいう原告の主張は理由がなく、また、本件報告を違法ということはできないから、これが違法であることを前提として,本件警告決議及び警告の措置の違法をいう原告の主張も理由がないとし、本件審査請求等の違法をいう原告の主張はすべて理由がないとし、被告の第2事件に基づく請求は、その余の点について判断するまでもなく,上告審が当審に差し戻した部分を含めて理由がないから棄却すべきところ、これと同旨の一審判決は相当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2015.02.03
間接強制決定に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件(国営諫早湾干拓事業問題)
LEX/DB25447006/最高裁判所第二小法廷 平成27年 1月22日 決定 (許可抗告審)/平成26年(許)第26号
諫早湾の干拓地で農業を営み、又は同湾内で漁業を営む者等である相手方らが、抗告人に対し、諫早湾干拓地潮受堤防の北部及び南部各排水門を開放してはならない旨を抗告人に命ずる仮処分決定に基づき、間接強制の申立てをしたところ、原審は、本件仮処分決定に基づく債務は債務者である抗告人が自己の意思のみで履行することができる債務であるとして、抗告人に対し、本件各排水門を開放してはならない旨を命ずるとともに、その義務を履行しないときは、相手方らに対し、1日につき49万円の割合による金員を支払うよう命ずる間接強制決定をすべきものとしたため、抗告人が許可抗告した事案において、抗告人が別件確定判決により本件各排水門を開放すべき義務を負っているという事情があっても、執行裁判所は本件仮処分決定に基づき抗告人に対し間接強制決定をすることができ、抗告人主張のその余の事情も間接強制決定をすることを妨げる理由となるものではないとし、これと同旨の原審の判断は正当として是認することができるとして、本件抗告を棄却した事例。
2015.02.03
間接強制決定に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件(国営諫早湾干拓事業問題)
LEX/DB25447007/最高裁判所第二小法廷 平成27年 1月22日 決定 (許可抗告審)/平成26年(許)第17号
諫早湾及びその近傍において漁業を営む相手方らが、抗告人に対し、諫早湾干拓地潮受堤防の北部及び南部各排水門の開放を抗告人に命ずる確定判決に基づき、間接強制の申立てをしたところ、原審は、本件確定判決に基づく債務は債務者である抗告人が自己の意思のみで履行することができる債務であるとし、抗告人に対し、原々決定の送達を受けた日の翌日から2箇月以内に、防災上やむを得ない場合を除き、本件各排水門を開放し、以後5年間にわたってその開放を継続することを命ずるとともに、上記2箇月の期間内にその義務を履行しないときは、相手方ら各自に対し、上記期間経過の翌日から履行済みまで、1日につきそれぞれ1万円の割合による金員を支払うよう命ずる間接強制決定をすべきものとしたため、抗告人が許可抗告した事案において、抗告人が別件仮処分決定により本件各排水門を開放してはならない旨の義務を負ったという事情があっても、執行裁判所は本件確定判決に基づき抗告人に対し間接強制決定をすることができるとし、抗告人主張のその余の事情も間接強制決定をすることを妨げる理由となるものではないとし、これと同旨の原審の判断は正当として是認することができるとして、本件抗告を棄却した事例。
2015.02.03
当選無効請求事件
LEX/DB25505338/福岡高等裁判所 平成26年10月30日 判決 (第一審)/平成26年(行ケ)第2号
原告が、公職選挙法206条2項に基づき、本件選挙(平成26年4月13日執行の吉野ヶ里町議会議員選挙)の当選の効力に関する審査の申立てをしたのに対し、被告(佐賀県選挙管理委員会)が平成26年7月3日に上記申立てを却下する裁決をしたため、同法207条に基づきその取消しを求めるとともに、本件選挙における当選人の当選無効を求めた民衆訴訟において、本件異議の申出は、町委員会(吉野ヶ里町選挙管理委員会)から申出期間徒過により不適法として却下決定を受けているから、このような異議の申出と却下決定を経た本件審査の申立ては、異議手続前置の要件を満たしておらず、不適法な審査の申立てとして却下すべきであるとし、また、本件訴えのうち、当選無効を求める訴えは、公職選挙法207条に基づいて提起されたものであるが、申出期間徒過により不適法な異議の申出及びこれにより不適法な審査の申立てに続けて申し立てられた当選無効を求める訴えは、法所定の手続(適法な異議の申出や審査の申立て等)を経ておらず不適法であるとして、原告の訴えを一部却下し、その余の請求を棄却した事例。
2015.01.27
損害賠償請求権行使請求控訴事件
LEX/DB25505267/東京高等裁判所 平成26年11月26日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第269号
原告(控訴人)らが、被告(被控訴人)静岡県に対し、静岡空港の販売促進及び広告宣伝費等空港関連経費の支出が違法であると主張して、当時の静岡県知事に対して損害賠償請求権を行使すること、上記支出の各支出負担行為及び支出命令を専決した各専決権者に対し損害賠償命令をすること、被告が静岡空港建設のために参加人に対して委託した測量業務委託において、参加人の債務不履行又は不法行為により被告が損害を受けたとして、当時の静岡県知事、参加人、委託業務の検査員らに対し、損害賠償請求権を行使することなどを求めたところ、原判決は、請求の一部を却下し、その余の請求を棄却したため、原告らが控訴した事案において、原判決の結論と同旨であるとし、控訴をいずれも棄却した事例。
2014.12.16
国家賠償請求控訴事件
LEX/DB25505056/東京高等裁判所 平成26年10月20日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第2201号
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に基づく指定を受けた暴力団から脱退しようとしていた控訴人が、甲府市内で自分名義の車両を運転していた際に同暴力団の組員が運転する車両に衝突されるなど、脱退に対する妨害を受けたため、被控訴人の公務員である甲府警察署の警察官に保護を求めたにもかかわらず、必要な保護を得られなかったこと等により、損害を被ったと主張して、被控訴人に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めた事案の控訴審において、N警部及びU巡査長が控訴人の意思に反して本件面会2を強要したものとは認められず、本件面会2の実施に関する同人らの職務行為に国家賠償法上の違法性があるとは認めることができない等として、控訴人の本訴請求を25万円及びこれに対する附帯請求を認める限度で認容し、その余の請求を棄却した原判決を相当として、本件控訴を棄却した事例。
2014.12.16
災害弔慰金不支給決定取消請求事件
LEX/DB25505078/仙台地方裁判所 平成26年10月16日 判決 (第一審)/平成25年(行ウ)第28号
東日本大震災により死亡したAの母である原告が、処分行政庁(石巻市長)から災害弔慰金不支給決定を受けたため、被告(石巻市)に対し、同決定の取消しを求めた事案において、石巻市災害弔慰金の支給等に関する条例4条3項に基づき、Aに係る災害弔慰金をB(Aの祖母)に支給することとし、原告にはこれを支給しないことを決定した処分行政庁の判断に、法や本件条例の解釈を誤った違法は認められないとし、また、本件においてのみ特別の調査ないし検討が行われて不平等な条例の適用がされたというべき事情は見当たらないから、原告の主張(適用違憲)は前提を欠くとして、原告の請求を棄却した事例。
2014.12.16
公金支出差止等(住民訴訟)請求控訴事件(八ッ場ダム控訴事件)
LEX/DB25505060/東京高等裁判所 平成26年10月7日 判決 (控訴審)/平成22年(行コ)第300号
埼玉県の住民である控訴人らが、国の国土交通省を事業主体として利根川水系吾妻川に設置予定の多目的ダムである八ッ場ダムの建設事業について、同ダムは、治水上及び利水上の必要性がない違法な事業であり、同事業に関する負担金等の支出が違法であるなどとして、地方自治法242条の2第1項1号に基づき、被控訴人埼玉公営企業管理者に対し、八ッ場ダムに関する特定多目的ダム法7条に基づく建設費負担金並びに水源地域対策特別措置法12条1項1号及び2号に基づく水源地域整備事業の経費負担金の各支出の差止めを求めた等の事案の控訴審において、特ダム法負担金納付通知を根拠とする被控訴人埼玉県公営企業管理者の特ダム法負担金の支出に関する行為は、その職務上負担する財務会計法規上の義務に違反する違法なものということはできない等として、控訴人らの本件控訴をいずれも棄却する等した事例。
2014.12.16
内海ダム再開発事業認定処分取消請求事件(第1事件)、内海ダム再開発工事収用裁決等取消請求事件(第2事件)
LEX/DB25505091/高松地方裁判所 平成26年10月6日 判決 (第一審)/平成21年(行ウ)第9号等
参加人らが起業者となっている「二級河川別当川水系別当川内海ダム再開発工事並びにこれに伴う県道及び町道付替工事」の土地収用対象地内の土地所有者等及び立木所有者である原告らが、前記事業に係る事業認定が 土地収用法20条3号に違反するとして、被告国に対し、前記事業認定の取消しを求め(第1事件)るとともに、前記事業認定に係る権利取得裁決及び明渡裁決の対象とされた土地の所有者及び同土地内の立木や看板の所有者である原告らが、本件収用裁決に関し、前記事業認定に係る違法を承継するとして、被告である香川県に対し、本件収用裁決の取消しを求め(第2事件)た事案において、第1事件の一部の原告らの訴えを却下し、その余の各事件原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2014.12.16
江戸川区スーパー堤防事業取消請求控訴事件
LEX/DB25505059/東京高等裁判所 平成26年10月2日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第5号
本件地区内に土地又は建物を所有する者である控訴人らが、「東京都市計画事業北小岩一丁目東部土地区画整理事業(江戸川区スーパー堤防事業)に関する事業決定の取消しを求めた事案の控訴審において、本件都市計画決定に違法事由が認められないことは、原判決も認定判断するところであり、盛土整備の必要性があるとした被控訴人の判断が合理性を欠くものではなく、また、本件事業計画決定において、その基礎とされた重要な事実に誤認があるとか、事業に対する評価が明らかに合理性を欠いたり、判断の過程において考慮すべき事情を考慮しなかったことを認めるに足りる証拠はなく、その内容も、社会通念に照らして著しく妥当性を欠くものであるとはいえないから、本件事業計画決定は被控訴人の裁量権の範囲を逸脱濫用するものではない等と示して、本件控訴をいずれも棄却した事例。
2014.12.09
覚書無効確認請求控訴事件(西いぶり広域連合 VS 三井造船(株)(株)日本製鋼所)
LEX/DB25504983/札幌高等裁判所 平成26年9月16日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第169号
地方公共団体の広域連合である原告(控訴人)が、その設置に係るごみ処理施設について、多額の保守管理費が発生しているのは、本件施設の建設を請け負った被告ら(被控訴人)において、その建設請負契約上保証した性能を満たしていないことによるものであって、いまだその保証期間は満了しておらず、同契約に基づく被告らの性能保証責任は存続しているなどと主張して、被告らが上記性能保証責任を負っていることの確認を求めたところ、請求が棄却されたため、控訴した事案において、被告らの性能保証責任が存続していること自体を確認したとしても、保守管理費の増加分が性能保証事項の違反による追加費用に当たるか否かという本質的な問題が解決されず、本件紛争の直接的かつ抜本的な解決とはならないとし、控訴を棄却した事例。
2014.12.02
強制執行停止申立事件
LEX/DB25504882/佐賀地方裁判所 平成26年9月5日 決定 (第一審)/平成26年(モ)第2号
申立人(国)が、被申立人ら(諫早湾内等で漁業に従事する者ら)に対して、被申立人らを含む者らを原告、申立人を被告とする、諫早湾土地改良事業としての土地干拓事業において設置された堤防の各排水門の解放を命じた佐賀地裁判決に係る諫早湾開門請求権について、請求異議の事由があるとして、佐賀地方裁判所に提起した請求異議の訴えの判決において強制執行停止決定に対する裁判があるまで佐賀地裁判決に基づく強制執行の停止を求めた事案において、申立てを認め、強制執行の停止を言い渡した事例。
2014.11.25
損害賠償請求控訴事件
(栃木県警警察官の発砲で死亡 中国人元研修生 損害賠償請求控訴事件)
LEX/DB25504814/東京高等裁判所 平成26年9月25日 判決 (差戻控訴審)/平成26年(ネ)第428号
警察官が、中華人民共和国国籍で在留期間を経過して本邦に残留していた者に対して、挙動不審者としてした職務質問をしたところ、同人が途中で逃走したため、公務執行妨害の現行犯人として逮捕しようとした際に、けん銃を1回発射して同人を死亡させたため、同人の相続人である原告(控訴人)らが、前記警察官のけん銃の使用が警察官職務執行法7条所定の要件を満たさない違法なものであると主張して、被告(被控訴人)である栃木県に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償の支払を求めたが、原判決は、前記警察官が自らの生命を守るためにやむを得ずに発砲したと認定するなどした上で、国家賠償法1条1項所定の違法はないとして、請求を棄却したため、原告らが控訴したところ、差戻し前控訴審は、原判決を変更して原告らの請求を一部認容したため、これを不服として被告が上告したところ、上告審は、差戻し前控訴審判決中の被告敗訴部分を破棄し、控訴審に差し戻した事案において、原告らの控訴をいずれも棄却した事例。
2014.11.18
風俗営業等廃止命令処分等取消請求事件
「新・判例解説Watch」H27.1月中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25504858/金沢地方裁判所 平成26年9月29日 判決 (第一審)/平成24年(行ウ)第1号
石川県公安委員会から店舗型性風俗特殊営業の廃止命令及び浴場業営業の停止命令を受けた原告が、石川県公安委員会(処分行政庁)が所属する地方公共団体である被告石川県を相手方として、処分の取消しを求めた事案において、本件処分に先立つ本件聴聞を主宰したMは、警察署長として原告に対する捜査を指揮する立場にあり、本件処分の原因となる事実を認定するための証拠の収集に関与したのみならず、本件処分をすべき旨を上申しているのであるから、本件処分に至る過程で本件に密接に関与しており、本件処分の主宰者に指名される資格を有していなかったとして、本件処分は重大な違法があるとし、原告の請求を認容した事例。
2014.11.04
損害賠償等請求事件
LEX/DB25446715/最高裁判所第一小法廷 平成26年10月23日 判決 (上告審)/平成25年(受)第492号
生活保護法に基づく保護を受けていた原告(上告人)が、その居住地を所轄する京都市伏見福祉事務所長(処分行政庁)から、生活保護法施行規則19条により書面によって行われた生活保護法27条1項に基づく指示に従わなかったとの理由で生活保護法62条3項に基づく保護の廃止の決定を受けたことにつき、本件廃止決定はその指示の内容が客観的に実現不可能なものであるから違法であるなどとして、被告(被上告人)京都市に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めたところ、一部認容・一部棄却したため、双方が控訴したところ、控訴審は、本件廃止決定に違法性は認められないから、被告は国賠法1条1項の責任を負わないとし、原告の請求を棄却したため、原告が上告した事案で、生活保護法27条1項に基づく指導又は指示の内容が客観的に実現不可能又は著しく実現困難である場合には、当該指導又は指示に従わなかったことを理由に生活保護法62条3項に基づく保護の廃止等をすることは違法となると解されるところ、本件指示については、その内容が、本件請負業務による収入を月額11万円まで増収すべきことのみであることを前提に、客観的に実現不可能又は著しく実現困難なものであったか否か、すなわち、本件指示に従わなかったことを理由にされた本件廃止決定が違法となるか否か、また、仮に本件廃止決定が違法となる場合に、これが国家賠償法上も違法と評価されるか否か等について審理を尽くす必要があるとして、本件を原審に差し戻した事例。
2014.10.28
被爆者健康手帳交付等請求事件
LEX/DB25504731/長崎地方裁判所 平成26年8月26日 判決 (第一審)/平成24年(行ウ)第11号
原告らが、長崎県西彼杵郡焼香村(昭和20年当時)において、投下された原子爆弾の放射能の影響を受けて被爆したとして、長崎市長(処分行政庁)に対し、被爆者援護法1条3号又は④号に基づきそれぞれ被爆者健康手帳の交付申請をしたところ、処分行政庁が、各申請を却下したことから、原告らが、被告(長崎市)に対し、各却下処分の取消しを求めるとともに、処分行政庁に対し、各原告に対する被爆者健康手帳の交付の義務付けを求めた事案において、訴訟要件を欠くとして、義務付けを求める訴えを却下し、各却下処分に違法はないとして、その余の請求を棄却した事例。
2014.10.21
損害賠償請求事件
「新・判例解説Watch」H26.12月中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25446687/最高裁判所第一小法廷 平成26年10月9日 判決 (上告審)/平成26年(受)第771号
大阪府泉南地域に存在した石綿(アスベスト)製品の製造、加工等を行う工場又は作業場において、石綿製品の製造作業等又は運搬作業に従事したことにより、石綿肺、肺がん、中皮腫等の石綿関連疾患にり患したと主張する者又はその承継人である被上告人(原告)らが、上告人(被告)国に対し、上告人が石綿関連疾患の発生又はその増悪を防止するために労働基準法(昭和47年法律第57号による改正前)及び労働安全衛生法に基づく規制権限を行使しなかったことが違法であるなどと主張して、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めたところ、第一審では原告の請求を一部認容・一部棄却したため、双方が控訴し、原審では、上告人は石綿関連疾患にり患した本件元従業員らにつき、各損害の2分の1を限度として、損害賠償責任を負うと判断したため、上告人が上告した事案において、原判決中、被上告人X1に関する上告人敗訴部分は破棄を免れず、同部分につき、同被上告人の請求を棄却した第一審判決は正当であるとして同被上告人の控訴を棄却し、上告人のその余の上告は棄却した事例。