注目の判例

行政法

2014.10.21
損害賠償請求事件
LEX/DB25446688/最高裁判所第一小法廷 平成26年10月9日 判決 (上告審)/平成23年(受)第2455号
大阪府泉南地域に存在した石綿(アスベスト)製品の製造、加工等を行う工場又は作業場において、石綿製品の製造作業等に従事したことにより、石綿肺、肺がん、中皮腫等の石綿関連疾患にり患したと主張する者又はその承継人である上告人(原告)らが、被上告人(被告)国に対し、被上告人が石綿関連疾患の発生又はその増悪を防止するために労働基準法(昭和47年法律第57号による改正前)及び労働安全衛生法に基づく規制権限を行使しなかったことが違法であるなどと主張して、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めたところ、一部認容・一部棄却されたため、一審判決を不服としてそれぞれ双方が控訴し、上告人らの請求を一部認容した一審判決は相当でないから、被上告人の本件控訴に基づき、原判決中の被上告人の敗訴部分を取消した上、上告人らの請求のうち、取消しに係る部分についての請求をいずれも棄却するとともに、上告人らの控訴審における拡張請求をいずれも棄却することとし、上告人らの本件各控訴をいずれも棄却したため、上告人が上告した事案において、原判決中、上告人X1ら及び同X7以外のその余の上告人らに関する部分並びに同X7の請求のうち固有の損害の賠償請求に関する部分を除く部分は破棄を免れず、上記破棄部分については、更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すべきであるが、上告人X1らの上告は棄却した事例。なお、上告人X7の固有の損害の賠償請求に関する上告については、上告受理申立て理由が上告受理の決定において排除されたので、棄却した事例。
2014.10.21
島根県条例第36号無効確認等請求控訴事件(『竹島の日を定める条例』無効確認訴訟)
LEX/DB25504701/広島高等裁判所松江支部 平成26年7月7日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第5号
島根県議会が「竹島の日を定める条例」を制定したことについて、控訴人が本件条例を公布した被控訴人に対し、本件条例は、韓国領である独島を日本国の領土として竹島と命名し、島根県に編入したことを根拠とするもので違法無効であると主張し、主位的に本件条例が無効であることの確認を求め、予備的に本件条例の取消しを求めた事案の控訴審において、抗告訴訟の対象となる行政処分とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいうものであるところ、本件条例の制定行為は、限られた特定の者に対してのみ適用されるものでも、その者の権利義務、法的地位に直接影響を及ぼす内容でもないから、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらないことは明らかであるとして、本件各訴えをいずれも却下した原審の判断を支持して、本件控訴を棄却した事例。
2014.10.14
移送決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
「新・判例解説Watch」H26.12月頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25446638/最高裁判所第一小法廷 平成26年9月25日 決定 (許可抗告審)/平成26年(行フ)第2号
厚生労働大臣が徳島県内に居住する抗告人に対して国民年金法による障害基礎年金の裁定請求を却下する旨の処分をしたため、抗告人が相手方を相手にその取消しを求めて徳島地方裁判所に提起した本案訴訟(徳島地方裁判所平成26年(行ウ)第2号障害基礎年金不支給決定取消請求事件)につき、相手方が、管轄違いを理由に、行政事件訴訟法12条4項により、抗告人の普通裁判籍の所在地を管轄する高松高等裁判所の所在地を管轄する高松地方裁判所に移送することを申し立てたところ、原審は、日本年金機構の下部組織である事務センターは行政機関に当たらないから行政事件訴訟法12条3項にいう「事案の処理に当たった下級行政機関」に該当せず、本案訴訟は徳島地方裁判所の管轄に属しない旨を判示して、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法16条1項により、本案訴訟を高松地方裁判所に移送すべきものとしたため、抗告人が抗告した事案において、原審の判断には、審理不尽の結果、法令の解釈適用を誤った違法があるとして、原決定は破棄を免れないとし、本件事務センターによる本件裁定請求の審査の方法及び内容や厚生労働大臣に対する審査結果の報告の内容等について審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例。
2014.10.07
国家賠償請求事件(死刑囚接見制限で違法判決)
LEX/DB25504634/名古屋地方裁判所 平成26年8月28日 判決 (第一審)/平成24年(行ウ)第11号等
弁護士である甲事件原告X1及び同X2が、名古屋拘置所に死刑確定者として収容されていた乙事件原告X3が国家公務員法違反被疑事件の被疑者であることを前提に、それぞれ数回にわたり、同拘置所において原告Eと刑事訴訟法39条1項に基づく接見を申し込んだところ、名古屋拘置所長が、面会を認めなかったり、面会に職員を立ち合わせることにより、同項に基づく接見をさせなかったことにつき、原告らが、接見交通権ないし秘密交通権を違法に侵害されたとして、被告国に対し、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償を求めた事案において、原告X3は、本件接見申込当時、刑事訴訟法39条1項にいう「被疑者」になっていたと認定し、したがって、名古屋拘置所長は、本件各接見申込に対し、同項に基づき、被疑者であった原告X3と原告X1ないし原告X2とを立会人なく接見させなければならない職務上の法的義務を負っていた等として、各原告の請求をそれぞれ一部認容した事例。
2014.09.22
永住外国人生活保護訴訟(受給権否定)
LEX/DB25504546/最高裁判所第二小法廷 平成26年7月18日 判決 (上告審)/平成24年(行ヒ)第45号
永住者の在留資格を有する外国人である被上告人(原告・控訴人)が、生活保護法に基づく生活保護の申請をしたところ、却下処分を受けたとして、上告人(大分市。被告・被控訴人)に対し、その取消を求めた事案の上告審において、生活保護法の適用の対象につき定めた生活保護法1条及び生活保護法2条にいう「国民」とは、日本国民を意味するものであって、外国人はこれに含まれないと解されることなどからすると、外国人は、行政庁の通達等に基づく行政措置により事実上の保護の対象となり得るにとどまり、生活保護法に基づく保護の対象となるものではなく、同法に基づく受給権を有しないものというべきであるとし、当該却下処分は、生活保護法に基づく受給権を有しない者による申請を却下するのものであり適法であるとして、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、上告人敗訴部分につき、被上告人の控訴を棄却した事例。
2014.09.22
違法公金支出返還請求事件(静岡県補助金支給違法判決)
LEX/DB25504501/静岡地方裁判所 平成26年7月18日 判決 (第一審)/平成25年(行ウ)第1号
静岡県の住民である原告らが、静岡県知事が特定の団体に補助金を交付したことは違法であるなどと主張し、被告(静岡県知事)に対し、補助金を支出した静岡県知事である甲に対して、損害賠償請求をすること、及び、当該団体に関与した静岡県職員である乙に対して、損害賠償請求をすることを求めた事案において、乙に対する請求は、住民訴訟の類型に該当しないとして却下し、甲に対する請求を認容した事例。
2014.09.16
文書一部不開示決定処分取消等請求控訴事件、同附帯控訴事件(日韓国交正常化交渉文書の開示請求事件)
LEX/DB25504452/東京高等裁判所 平成26年7月25日 判決 (控訴審)/平成24年(行コ)第412号等
一審原告らが、外務大臣に対し、行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づき、日本と大韓民国との間で、昭和26年に開始し昭和40年に「日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約」の締結に至るまで約14年間にわたって実施された日韓国交正常化交渉に係る行政文書の開示を請求したところ、外務大臣から当該各行政文書中の全部又は一部につき同法5条3号、4号等所定の不開示情報に該当するとして開示しない旨の決定を受けたため、一審被告に対し、上記各処分の取消しと不開示部分を開示することの義務付けを求めた事案の控訴審において、(1)一審被告の控訴に基づき、原判決中一審被告敗訴部分のうち、一部を取り消し、上記取消しに係る部分につき一審原告らの請求をいずれも棄却する、一審原告らの義務付けの訴えをいずれも却下するとし、(2)一審原告らの附帯控訴に基づき、原判決中一審原告ら敗訴部分のうち、一部を取り消し、原決定中上記各部分に係る部分を取り消し、上記各部分につき一審被告に一審原告らに対して開示すべきことを命ずる、一審原告らのその余の附帯控訴をいずれも棄却するとした事例。
2014.09.16
公金支出等差止請求事件(安曇野市 住民訴訟)
LEX/DB25504427/長野地方裁判所 平成26年7月18日 判決 (第一審)/平成25年(行ウ)第3号
安曇野市の住民である原告らが、同市市役所新庁舎建設事業に関し、安曇野市の財政状況からすると行政が正常に行えないおそれがある上、既存施設の利用が可能であり、投下費用に比して効果が期待できないとして、被告(安曇野市長)に対し、地方自治法242条の2第1項1号に基づき、上記事業に係る公金の支出等を差し止めるように求めた事案において、本件訴訟のうち死亡した各原告の部分は当然に終了したとして、その宣言をし、他方、上記事業に係る公金の支出は適法と認められるとして、その余の原告らの請求を棄却した事例。
2014.09.16
政務調査費返還履行請求事件
LEX/DB25504426/札幌地方裁判所 平成26年7月11日 判決 (第一審)/平成22年(行ウ)第42号
原告(市民オンブズマン)が、北海道議会の会派である被告補助参加人らにおいて、政務調査費の一部を、平成21年改正前の北海道議会の会派及び議員の政務調査費に関する条例並びに北海道議会の会派及び議員の政務調査費に関する規程により定められた本件使途基準所定に反して支出したとして、被告に対し、地方自治法242条の2第1項4号本文に基づき、参加人らに対してその返還を請求するよう求めた事案において、本件使途基準が調査研究費の内容として定める「会派が行う道の事務及び地方行財政に関する調査研究並びに調査委託に要する経費」とは、会派の議会活動の基礎となる調査研究及び調査の委託に要する経費をいうものであり、会派としての議会活動を離れた活動に関する経費又は当該行為の客観的な目的や性質に照らして会派の議会活動となる調査研究活動との間に合理的な関連性が認められない行為に関する経費は、これに該当しないものというべきであるところ、この見地からすれば、政党の地方機関である参加人らが道内にある政党の支部の連合体である支部との間で締結した政務調査業務委託契約に基づいて支出した費用の2分の1等は、本件使途基準に反するものと認められるなどととして、請求の一部を認容した事例。
2014.09.16
損害賠償請求行為等請求控訴事件
LEX/DB25504489/大阪高等裁判所 平成26年7月15日 判決 (控訴審)/平成25年(行コ)第201号
京都市の住民である一審原告らが、京都市が、京都市市医70名に対する謝礼(市医謝礼)として、京都市市医会に対し、平成23年4月、5月、10月及び11月に市医1名当たり月額1万4200円の合計397万6000円(源泉徴収前のもの)を支払ったことについて、市医謝礼には、対価性がない、給与条例主義に反するなどの違法があり、これによって京都市が損害又は損失を被ったと主張して、一審被告(京都市長)に対し、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、専決権者である者に対しては地方自治法243条の2第3項に基づく損害賠償命令をすることを、専決権限なき専決者である者及び本来的権限者である京都市長であるAに対しては民法709条に基づく損害賠償を請求することを、市医会から会費残金の保管及び必要な残務処理に係る権利義務を承継した市医会残務処理委員会に対しては不当利得の返還請求をすることを、それぞれ請求した事案の控訴審において、本件市医謝礼の支出が違法であるとは認められず、一審原告らの本件各請求は、理由がないからいずれもこれを棄却すべきであるとし、これと異なる原判決は失当であるから、一審被告の控訴に基づき原判決中一審被告敗訴部分を取消して同取消部分に係る一審原告らの各請求をいずれも棄却し、一審原告ら補助参加人の本件控訴を棄却するとした事例。
2014.09.09
処分取消請求事件(小坂城址の土地購入疑惑事件)
LEX/DB25504415/水戸地方裁判所 平成26年7月18日 判決 (第一審)/平成25年(行ウ)第21号
茨城県牛久市の住民である原告が、訴外国際自動車が平成18年法律第46号による改正(平成18年8月30日施行)前の公有地の拡大の推進に関する法律4条1項に基づき、牛久市長を経由して茨城県知事に提出した、訴外国際自動車が所有する11筆の土地の所在や訴外サンヨーホームへの譲渡予定価格等を記載した届出書について、茨城県情報公開条例5条に基づき開示請求を行ったところ、茨城県知事が、上記届出書のうち法人の代表者の印影の部分及び譲渡予定価格が記載された部分を除くその余の部分を開示する旨の行政文書部分開示決定処分をしたため、原告が、当該情報は茨城県情報公開条例7条3号アに該当せず、仮に該当するとしても同条例7条3号ただし書に該当するため、当該情報を不開示とする上記処分は違法であるとして、被告に対し、上記処分の取消しを求めた事案において、本件情報が条例7条3号アに該当することを理由とする本件処分は適法であり、原告の請求は理由がないからこれを棄却するとした事例。
2014.09.09
行政処分取消等請求事件(電動車いす、購入費支給認められず)
LEX/DB25504436/和歌山地方裁判所 平成26年7月11日 判決 (第一審)/平成24年(行ウ)第9号
原告は、補装具費として、リクライニング機能付き簡易型電動車いすの購入費の支給を、被告(橋本市)に対して申請し、処分行政庁である橋本市長が、同購入費の支給決定をしたが、同支給決定を取り消し、原告の上記申請を却下する決定をしたことから、被告に対し、当該取消決定と当該却下決定の取消しを求めた事案において、本件支給決定のように授益的な行政処分がされ、後にこれが違法であったとして取り消す場合には、取消しにより処分の相手方に不測の不利益を与える可能性があるから、処分の相手方が受ける不利益と処分に基づいて生じた効果を維持することの公益上の不利益とを比較考量し、公益上の不利益が上回るときには、処分行政庁が当該処分を職権で取り消すことが許されると解するのが相当であるとして、原告の請求をいずれも棄却した事例。
2014.09.09
損害賠償請求事件
LEX/DB25504412/鹿児島地方裁判所 平成26年7月9日 判決 (第一審)/平成22年(ワ)第1298号
懲役受刑者として宮崎刑務所に収容されていた原告が、宮崎刑務所職員により、保護室への収容が要件を満たさないにもかかわらず保護室に収容された上、夏季であるにもかかわらず、同保護室に設置されていたフロアヒータ(床暖房)を作動させられたことにより火傷を負わされ、かつ、宮崎刑務所の幹部職員ら及び法務省福岡矯正管区が上記床暖房の作動による原告の火傷を隠蔽したことなどにより、肉体的・精神的苦痛を被ったと主張して、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき慰謝料の支払を求めた事案において、宮崎刑務所の幹部職員らが原告を本件保護室に収容するに当たっては、その手続上の瑕疵が存在し、本件保護室収容が、違法な公権力の行使に当たること、本件陵虐行為は、原告に制裁を与えるという違法な目的の下に行われたものであって、矯正施設において法を守るように教育するはずの宮崎刑務所の職員しかも幹部職員らが、共同して、原告を高温の本件保護室内に25時間にわたり閉じ込めて行ったものであって、いわば集団的組織的な私的制裁行為であって、違法な公権力に当たること、原告は、本件陵虐行為により、〈1〉度熱傷と分類される火傷及び熱中症を発症し、その違法の程度が重大であること、本件陵虐行為が床面と接触する部位の熱さ、発汗による湿度上昇からくる不快感、息苦しさなどに照らして本件床暖房による原告の肉体的精神的苦痛が、想像を絶するものであって、原告が火傷ないし熱中症により死に至るおそれも存在したというべきであること、その上、宮崎刑務所の幹部職員らが、本件各改ざん行為を行い、改ざんされた資料を福岡矯正管区に提出し、本件陵虐行為に対する適切かつ迅速な調査を遅らせたことは、違法な公権力の行使に当たることに照らして、原告の請求を一部認容、一部棄却するとした事例。
2014.09.02
ロイヤルリムジン(株)タクシー増車訴訟上告審
LEX/DB25504411/最高裁判所第一小法廷 平成26年7月3日 決定 (上告審)/平成26年(行ヒ)第162号
タクシー事業を営む申立人(一審原告)が、特定地域に指定されている地域を営業区域として、営業所ごとに配置するタクシーを30台増車するため、処分行政庁に対し、道路運送法15条1項に基づき、事業計画変更認可申請をしたところ、処分行政庁から、申請を却下する旨の処分を受けたため、処分行政庁の所属する相手方(一審被告)国に対し、同処分は違法であるとして、行政事件訴訟法3条2項並びに同条6項2号及び行政事件訴訟法37条の3に基づき、本件処分の取消し及び本件申請に対し認可処分をすることの義務付け等を求め、第一審が取消請求を認容し、双方が控訴をしたところ、第二審が一審被告の控訴に基づき原判決を変更したので、申立人が上告受理を申し立てた事案において、上告審として受理しないとの決定をした事例。
2014.09.02
奈良県談合工事損害賠償等請求事件
LEX/DB25504409/奈良地方裁判所 平成26年6月24日 判決 (第一審)/平成24年(行ウ)第15号
奈良県の住民である原告らが、奈良県宇陀土木事務所管内における奈良県発注の土木工事の入札に際し、落札者を含む入札参加業者らが共同して受注機会の調整及び高値落札等の利益を図る目的で談合を行ったことによって、奈良県が損害ないし損失を被ったと主張して、被告(奈良県知事)に対し、地方自治法242条の2第1項3号及び4号に基づき、主位的には、落札者に対する損害賠償の請求を怠ることの違法確認及び落札者に対する損害賠償の請求を、予備的には、落札者に対する不当利得返還の請求を怠ることの違法確認及び落札者に対する不当利得返還の請求を求めた住民訴訟の事案において、落札者一社に対する主位的請求を認容した事例。
2014.09.02
政務調査費違法支出不当利得返還命令請求控訴事件
LEX/DB25504387/大阪高等裁判所 平成26年3月18日 判決 (控訴審)/平成25年(行コ)第149号
奈良県橿原市の住民である一審原告らが、市議会議員(相手方)らが市から交付を受けた平成22年度の政務調査費について、その支出の一部に市が政務調査費について定める条例及び施行規則に定める使途基準に適合しない支出があり、相手方らはその適合しない支出に相当する金員を収支報告書の提出期限日までに市に返還すべき義務があるにもかかわらず、上記金員を不当に利得し、これについて悪意であるとして、市の執行機関である一審被告に対し、地方自治法242条の2第1項4号本文に基づき、相手方らに対して各不当利得金をそれぞれ支払うよう請求することを求めた住民訴訟の事案の控訴審において、一審原告らの控訴は一部理由があるから、原判決を上記判断と抵触する限度で変更し、一審被告の控訴はいずれも理由がないから、これをいずれも棄却するとした事例。
2014.08.26
国家賠償請求事件
LEX/DB25504380/静岡地方裁判所 平成26年7月4日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第800号
背任罪の被疑事実で逮捕・勾留された原告が、背任罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由及び逮捕・勾留・勾留期間延長の必要性がなかったにもかかわらず、静岡県警察の警察官が原告に対する逮捕状を請求し、静岡地方検察庁の検察官が原告に対する勾留請求、勾留期間延長請求をしたことは違法な職務執行であるなどと主張して、静岡県及び国である被告らに対し、国家賠償法1条1項に基づき、連帯して損害賠償の支払を求めた事案において、本件逮捕状請求について国家賠償法上の違法があるとはいえず、また、本件勾留請求及び本件勾留期間延長請求について、国家賠償法上の違法性があるとはいえないとして、請求をいずれも棄却した事例。
2014.08.19
一般疾病医療費支給申請却下処分取消等請求控訴事件
LEX/DB25504351/大阪高等裁判所 平成26年6月20日 判決 (控訴審)/平成25年(行コ)第202号
被爆者である原告ら(被控訴人兼控訴人)が、大韓民国に居住し、韓国の医療機関で医療を受けて現実に負担した医療費について、一般疾病医療費の支給を申請したところ、申請を却下されたことから、被告大阪府(控訴人兼被控訴人)に対し、本件各却下処分の取消しを求めるとともに、被告らに対し、被告国の担当者が在外被爆者に対して一般疾病医療費の支給を認めてこなかったことが違法であるなどとして、損害賠償を求めたところ、請求が一部認容され、被告大阪府と原告らが控訴した事案において、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律18条に基づく一般疾病医療費の支給について、国内に居住地又は現在地を有すること等を支給要件とする旨の明文の規定はなく、同条について、在外被爆者が国外の医療機関で医療を受けた場合を一般疾病医療費の支給対象から除外するものと限定解釈することが合理的なものということはできないとし、各控訴を棄却した事例。
2014.08.19
忍野村専決訴訟
LEX/DB25504306/最高裁判所第二小法廷 平成26年6月13日 決定 (上告審)/平成25年(行ツ)第394号等
一審被告(被上告人兼相手方)村長が、本件共同企業体(補助参加人)との間において図書館の建設工事請負契約を締結するに当たり、その前提となる予算等について専決処分を行ったことに関して、一審原告ら(上告人兼申立人)が、前記専決処分は違法なものであり、本件所図書館請負契約は私法上無効であるから、これに関する公金の支出も違法・無効であるとして、一審被告に対し、各補助参加人に支出した請負代金の返還等を請求するよう求めたところ、原判決が、請求を一部認容した第一審判決を取り消し、一審原告らの請求を棄却したため、一審原告らが上告した事案において、民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは、民事訴訟法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、本件上告理由は、理由の不備・食違いをいうが、その実質は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに上記各項に規定する事由に該当しないとし、上告を棄却した事例。
2014.08.12
許可処分無効確認及び許可取消義務付け,更新許可取消請求事件
LEX/DB25446527/最高裁判所第三小法廷 平成26年7月29日 判決 (上告審)/平成24年(行ヒ)第267号
宮崎県北諸県郡高城町に設置された産業廃棄物の最終処分場を事業の用に供する施設として、宮崎県知事が参加人に対してした産業廃棄物処分業及び特別管理産業廃棄物処分業の各許可処分及び各許可更新処分につき、高城町ほかの地域に居住する上告人らが、被上告人を相手に、上記各許可処分の無効確認及びその取消処分の義務付け並びに上記各許可更新処分の取消しを求めた事案の上告審において、上告人X1を除くその余の上告人らは、いずれも本件処分場の中心地点から約1.8kmの範囲内の地域に居住する者であって、本件環境影響調査報告書において調査の対象とされた地域にその居住地が含まれており、本件処分場の種類や規模等を踏まえ、その位置と上記の居住地との距離関係などに加えて、環境影響調査報告書において調査の対象とされる地域が、一般に当該最終処分場の設置により生活環境に影響が及ぶおそれのある地域として選定されるものであることを考慮すれば、上告人X1を除くその余の上告人らについては、本件処分場から有害な物質が排出された場合にこれに起因する大気や土壌の汚染,水質の汚濁,悪臭等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるものと想定される地域に居住するものということができ、著しい被害を直接的に受けるおそれのある者に当たると認められるから、本件各許可処分の無効確認等及び本件各更新処分の取消しを求める原告適格を有するものと解するのが相当であるとして、上告人X1を除くその余の上告人らが本件各許可処分の無効確認等及び本件各更新処分の取消しを求める原告適格を有しないとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決のうち上記の上告人らに関する部分は破棄を免れず、また、上記の上告人らについて本件各許可処分の無効確認等及び本件各更新処分の取消しを求める訴えを却下した第一審判決も取消しを免れないとし、本件各許可処分及び本件各更新処分の適法性等について審理させるため、原判決のうち上告人X1を除くその余の上告人らに関する部分につき、本件を第一審に差し戻すべきであるとした一方で、上告人X1が本件各許可処分の無効確認等及び本件各更新処分の取消しを求める原告適格を有しないとして上告人X1の訴えを却下すべきものとした原審の判断は、結論において是認することができるとして、上告人X1の上告は、棄却した事例。