注目の判例

行政法

2014.08.12
裁決等取消請求控訴事件(横浜市路上喫煙訴訟)
LEX/DB25504318/東京高等裁判所 平成26年6月26日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第76号
被控訴人が、横浜市空き缶等及び吸殻等の散乱の防止等に関する条例11条の2第1項に基づく喫煙禁止地区内で喫煙をしたことで、同条例30条に基づき2000円の過料に処する本件処分を受け、市長に対する異議申立てをしたが棄却され、さらに県知事に対する審査請求を棄却する旨の本件裁決を受けたことから、本件処分及び本件裁決の取消しを求めた事案において、喫煙者が路上喫煙禁止地区と認識しなかったことについて過失がなかった場合には、注意喚起が十分にされていなかったことになるから、過料の制裁を科すことはできないとした上で、被控訴人には、路上喫煙禁止地区に侵入するに当たって路面表示により路上喫煙禁止場所であることを認識すべきであったのにこれを見落とした過失があるとして、本件処分を取り消した原判決を取り消した事例。
2014.08.05
政務調査費不当利得返還請求控訴事件
LEX/DB25504218/東京高等裁判所 平成26年6月18日 判決 (控訴審)/平成23年(ネ)第7301号
一審原告(前橋市)が、市議会内の会派である一審被告らにおいて、一審原告から政務調査費の交付を受けて支出をしたところ、本件支出について領収書がないことなどを理由に、政務調査活動に必要な経費とは認められない違法な支出である旨主張して、一審被告らに対し、政務調査費の返還を求めたところ、請求が一部認容され、一審原告並びに一審被告Yクラブ等が双方控訴した事案において、整理番号2、一審被告Yクラブ1万8000円の支出は、議員が新年会に参加した際の費用、整理番号4、一審被告Yクラブ5000円の支出は、議員が消防団の歓送迎会に参加した際の費用であることが認められ、主として飲食代金であり、いずれも使途基準に違反することが明らかで違法というべきであるとし、一審原告の控訴に基づき、原判決を一部変更し、一審被告Yクラブ等の控訴を棄却した事例。
2014.08.05
個人データ抹消等請求控訴事件(秋葉原の職務質問は「適法」逆転敗訴)
LEX/DB25504214/東京高等裁判所 平成26年6月12日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第3817号
一審原告が、警察官から職務質問を受け、軽犯罪法1条2号違反の被疑者として取調べを受け、指紋採取等をされた上、検察官に送致され、不起訴処分とされたこと等につき、一審被告(東京都)に対し、一審原告の指紋データの抹消を、一審被告(国)に対し、損害賠償等を求めたところ、請求が一部認容されたため、一審原告及び一審被告ら(東京都・国)が双方控訴した事案において、本件マルチツールは、軽犯罪法1条2項所定の「刃物(中略)その他人の生命を害し、又は人の身体に重要な害を加えるのに使用されるような器具」に当たるから、職務上又は業務上の必要のために携帯する場合等に正当な理由があると解するのが相当であり、警察官が本件マルチツールの携帯に正当な理由がないと判断したことが合理性を欠くものとはいえないとし、原判決中、一審被告東京都の敗訴部分を取り消し、一審原告の請求を棄却した事例。
2014.08.05
辺野古環境影響評価手続やり直し義務確認等請求、損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25504223/福岡高等裁判所那覇支部 平成26年5月27日 判決 (控訴審)/平成25年(行コ)第11号
原告(控訴人)らが、沖縄防衛局長のした普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価法又は沖縄県環境影響評価条例に基づく環境影響評価及びその関連手続に不備等があると主張して、前記事業の主体である同防衛局長が所属する被告(被控訴人)国に対し、(1)公法上の確認の訴えとして、主位的に、(ア)同防衛局長が、環境影響評価方法書及び環境影響評価準備書面を作成し直す義務を負うことの確認、(イ)環境影響評価手続等を改めて実施する義務を負うことの確認をそれぞれ求め、前記(ア)について予備的に、作成済みの前記両書面が違法であることの確認を求めるとともに、(2)原告らの環境影響評価法及び沖縄県環境影響評価条例によって保障されている「意見陳述権」が侵害され、それにより精神的苦痛を被ったと主張して、国家賠償法1条1項又は民法709条、民法715条1項に基づく損害賠償として、慰謝料の支払を求めたところ、原審は、原告らの各確認の訴えをいずれも却下し、損害賠償請求をいずれも棄却したため、原告が控訴した事案において、控訴を棄却した事例。
2014.08.05
佐賀県警電子申請システム廃止住民訴訟
LEX/DB25504235/最高裁判所第三小法廷 平成26年5月13日 決定 (上告審)/平成26年(行ツ)第145号等
佐賀県の住民である上告人兼申立人(原告・控訴人)らが、運用開始後1件の利用もないまま廃止された同県警察行政手続電子申請システムにつき、本件電子申請システムの開発、維持等のために公金が支出されたのは、県警が費用対効果を全く検討せずに同システムを導入したことによるもので、違法であるなどとして、被上告人兼相手方(被告・被控訴人)に対し、本件電子申請システムに係る各財務会計行為に関与した各県警本部長ら及び各会計課長らに、地方自治法242条の2第1項4号本文に基づき、損害賠償を請求することを求めるとともに、同号ただし書に基づき、本件各会計課長らに損害賠償を請求することを求めた事案の上告及び上告受理申立事件において、上告を棄却し、不受理決定をした事例。
2014.07.29
貸金業者登録拒否処分取消等請求事件
LEX/DB25446516/最高裁判所第二小法廷 平成26年7月18日 判決 (上告審)/平成24年(行ヒ)第459号
貸金業法3条所定の登録を受けた貸金業者である被上告人が、大阪府知事に対し貸金業登録の更新の申請をしたところ、大阪府知事から、被上告人の監査役が執行猶予付き禁錮刑の判決を受けており、被上告人は法人の役員に貸金業法6条1項4号に該当する者のあることを貸金業登録の拒否事由及び取消事由とする旨を定める同項9号及び貸金業法24条の6の5第1項1号に該当するとして、上記申請を拒否する旨の処分及び貸金業登録を取り消す旨の処分を受けたため、監査役は貸金業法6条1項9号の役員に含まれず、被上告人は同号及び同法24条の6の5第1項1号のいずれにも該当しないなどと主張して、本件拒否処分及び本件取消処分の取消し等を求めた事案の上告審において、貸金業法6条1項9号の「役員」に監査役は含まれないから、被上告人の監査役が同号の「役員」に該当するものとしてされた本件拒否処分及び本件取消処分は、いずれも違法というべきであるとし、上記各処分の取消請求を認容した原審の判断は、結論において是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2014.07.29
文書不開示決定処分取消等請求事件
LEX/DB25446511/最高裁判所第二小法廷 平成26年7月14日 判決 (上告審)/平成24年(行ヒ)第33号
上告人(原告・被控訴人)らが、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成21年法律第66号による改正前)に基づき、外務大臣に対し、琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定(昭和47年条約第2号)の締結に至るまでの日本国政府とアメリカ合衆国政府との上記諸島の返還に伴う財政負担等をめぐる交渉の内容に関する文書である原判決別紙1行政文書目録1記載の各文書の開示を、財務大臣に対し、同じく本件交渉の内容に関する文書である原判決別紙2行政文書目録2記載の各文書の開示を、それぞれ請求したところ、上記各文書につきいずれも保有していないとして不開示とする旨の各決定を受けたため、被上告人(国。被告・控訴人)を相手に、本件各決定の取消し等を求める事案の上告審で、開示請求において本件交渉の過程で作成されたとされる本件各文書に関しては、その開示請求の内容からうかがわれる本件各文書の内容や性質及びその作成の経緯や本件各決定時までに経過した年数に加え、外務省及び財務省におけるその保管の体制や状況等に関する調査の結果など、原審の適法に確定した諸事情の下においては、本件交渉の過程で上記各省の職員によって本件各文書が作成されたとしても、なお本件各決定時においても上記各省によって本件各文書が保有されていたことを推認するには足りないものといわざるを得えず、本件各決定は適法であるとして、上告人らの請求のうち、本件各文書の開示決定をすべき旨を命ずることを求める請求に係る訴えを却下し、本件各決定の取消しを求める請求を含むその余の請求を棄却すべきものとした原審の判断は、是認することができるとし、上告を棄却した事例。
2014.07.29
住民訴訟事件(違法公金支出額の返還請求事件)
LEX/DB25504191/横浜地方裁判所 平成26年6月11日 判決 (第一審)/平成25年(行ウ)第25号
神奈川県の住民である原告が、神奈川県臨時特例企業税条例(平成13年神奈川県条例第37号)をめぐるいすゞ自動車と県との間の別件訴訟について県が訴訟委任をした弁護士に支払った報酬、旅費等及び意見書作成料は著しく過大であり、地方自治法等の規定に違反して違法であるなどと主張して、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、被告(神奈川県知事)に対し、県の前知事であるA及び現知事であるBにそれぞれ損害賠償請求をすることを求めた住民訴訟の事案において、本件訴えのうち本件最終支出以外の支出に関わる請求に係る部分は不適法であるから却下し、その余の原告の請求は理由がないから棄却するとした事例。
2014.07.29
医業停止処分取消請求事件
LEX/DB25446507/大阪地方裁判所 平成26年6月6日 判決 (第一審)/平成24年(行ウ)第245号
秘密漏示罪により懲役4月(執行猶予3年)の刑に処せられた医師である原告が、厚生労働大臣から1年間医業の停止を命ずる旨の処分を受けたことから、その取消しを求めた事案において、刑事罰の対象となった行為は、医師の基本的な職業倫理に反する行為であり、犯罪少年等のプライバシーを著しく侵害する上、少年審判の運営に悪影響を及ぼす危険を生じさせるものであること等を考慮すれば、本件処分が社会観念上著しく妥当を欠くものとまではいうことができないとして、原告の請求を棄却した事例。
2014.07.22
怠る事実の違法確認請求控訴事件
LEX/DB25503994/仙台高等裁判所秋田支部 平成26年5月26日 判決 (控訴審)/平成25年(行コ)第4号
仙北市等が、税務課長が臨時税理士として確定申告を代理した際、住民らに無断で還付申告書を作成した上で国から還付された源泉所得税を差し押さえ、その際、県民税についても所得割課税所得を不正に減額して課税した結果、県に損害が生じたが、被告(被控訴人)が損害賠償請求を怠っている違法があると主張して、原告ら(控訴人)が、怠る事実の違法確認請求をしたところ、請求が棄却されたため、控訴した事案において、各種所得控除自体はBらの利益に成り得るものであり、本件各確定申告書には、Bから入手したBらの各源泉徴収票が添付されていたことなどの事情からすれば、本件各確定申告書が何らBらの意思に基づかずに作成・提出されたとまでは認めることはできないとし、控訴を棄却した事例。
2014.07.22
事業判断取消し請求事件(広島高速5号線二葉山トンネル行政訴訟)
LEX/DB25504000/広島地方裁判所 平成26年3月19日 判決 (第一審)/平成25年(行ウ)第23号
広島高速道路公社が、高速道路整備事業の一環として建設を計画していた本件トンネルについて、工事を一旦休止していたところ、知事と市長が、本件事業を再開するとの判断をしたことにつき、原告らが、本件事業判断について、行政事件訴訟法上の処分に当たり、また、前提となった安全検討委員会の審議が不十分であった等の違法があるとして、取消しを求めた事案において、本件事業判断は、何らかの法律上の根拠に基づく行為ではなく、本件公社が事実上休止している本件事業について、本件公社の設立団体の長として再開するという意思決定を行い、それを対外的に表示したものにすぎないというべきであるから、これによって、私人の権利義務関係に対して何らかの法律上の効果を発生させるものとは認められないとし、訴えを却下した事例。
2014.07.15
葛城市クリーンセンター建設許可差止請求控訴事件
LEX/DB25504165/大阪高等裁判所 平成26年4月25日 判決 (控訴審)/平成25年(行コ)第146号
奈良県葛城市當麻に居住する原告(控訴人)らが、被告(被控訴人)の知事である行政処分庁において、葛城市に対し、金剛生駒紀泉国定公園の第2特別地域内に所在する計画図の赤線で囲まれた部分の土地に一般廃棄物処理施設の建設に係る自然公園法20条3条に基づく許可をすることの差止めを求めたところ、原審は、処分行政庁が本件許可をするとの蓋然性があるといえないし、本件許可によって「重大な損害を生ずるおそれ」があるともいえず、さらに、原告らの主張する損害はこれを「避けるため池に適当な方法がある」として、訴えを却下したため、原告らが控訴した事案において、本件訴えを不適法であるとして訴えを却下した原判決は相当であるとして、控訴を棄却した事例。
2014.07.15
政務調査費返還請求事件(住民訴訟)
LEX/DB25503813/大阪地方裁判所 平成26年3月26日 判決 (第一審)/平成22年(行ウ)第27号等
大阪市の住民である第1事件及び第2事件の原告らが、大阪市の会派である補助参加人の各政党の市議団は、平成20年度の政務調査費(第1事件に係るもの)及び平成21年度の政務調査費(第2事件に係るもの)の一部を大阪市が定めている政務調査費の使途基準に違反する支出に充当しており、かつ、そのことについて悪意であるから、大阪市は上記補助参加人に対する不当利得返還請求権又は不法行為に基づく損害賠償請求権を有するにかかわらず、大阪市の執行機関である被告はその行使を怠っていると主張して、上記各補助参加人を相手方として、不当利得金及び損害金等の支払を求めた住民訴訟の事案において、原告らの請求のうち、別紙3の1の番号76~87記載の各支出に関する部分は監査請求を経ていないから不適法な訴えとして一部却下し、原告らの各請求権の求める限度で理由があるとして一部認容し、その余の請求は一部棄却した事例。
2014.07.15
文書非開示処分取消等請求事件
LEX/DB25503817/福岡地方裁判所 平成26年3月18日 判決 (第一審)/平成25年(行ウ)第54号
芦屋町所在の特定非営利活動法人である原告が、芦屋町情報公開条例(昭和61年芦屋町条例第38号)に基づき、実施機関である芦屋町長に対し、「平成22年度高齢者福祉施設整備について(協議)」と題する芦屋町長が福岡県知事に出した鑑文書(本件文書1)及び「平成22年度高齢者福祉施設整備について(協議)」と題する法人が芦屋町長宛てに出した鑑文書(本件文書2)の公開を請求したところ、一部を非公開とする処分を受けたことから、被告を相手方として、本件処分のうち、本件文書1のうち記「2(5)設置予定地」を非公開とした部分、及び本件文書2のうち記「5 設定予定地」を非公開とした部分の取消しを求めるとともに、本件設置予定地部分について公開の義務付けを求めた事案において、本件設置予定地部分が公開されることによって、本件事業者の信用や社会的評価が傷つけられたり、競争上の利益が害されたりするなど、本件事業者の競争上の地位その他正当な利益が害されることが客観的に明らかであるとはいえず、本件設置予定地部分は、芦屋町情報公開条例6条1項2号本文の非公開情報に該当するとはいえないとして、原告の請求を認容した事例。
2014.07.08
土地収用法に基づく事業認定処分取消請求事件(事業認定取消(辰巳ダム)訴訟判決)
LEX/DB25504106/金沢地方裁判所 平成26年5月26日 判決 (第一審)/平成20年(行ウ)第2号
犀川辰巳治水ダム建設事業を施行する土地のうち収用部分の土地を所有する原告らが、処分行政庁(国土交通省北陸地方整備局)が平成19年11月28日付で土地収用法に基づいてした本件事業認定に関し、治水目的や利水目的などの得られる利益は存在せず、他方、地すべりの危険が増大することに加え、本件起業地周辺の自然環境や辰巳用水などの文化遺産が失われるなどの理由により、土地収用法20条3号及び同条第4号に違反すると主張して、処分行政庁の属する被告(国)に対し、本件事業認定認定の取消しを求めた事案において、本件事業は土地収用法20条3号及び第4号にも適合しているから、本件事業認定は、適法な認定処分であると認められるとして、原告らの請求を棄却した事例。
2014.07.08
被爆者健康手帳交付等請求控訴事件
LEX/DB25503899/福岡高等裁判所 平成26年4月25日 判決 (控訴審)/平成25年(行コ)第52号
長崎市に投下された原子爆弾に被爆したと主張する被控訴人らが、被爆者健康手帳申請却下処分の取消、同手帳の交付の義務付け等を求めた事案の控訴審において、被爆者健康手帳の審査・交付と被爆者援護の適切かつ円滑な実施を行うためには、居住地の都道府県知事等においてこれらを実施することが利便性や効率性の面で優れていることは明らかであり、国内に居住する者について申請先を居住地の都道府県知事等に限定したことは、法の目的に照らし十分に合理性をもつなどとして、控訴を棄却した事例。
2014.07.08
損失補てん金支払請求事件
LEX/DB25503976/宮崎地方裁判所 平成26年4月23日 判決 (第一審)/平成24年(行ウ)第7号
口蹄疫対策特別措置法に基づく殺処分を受けた6頭の種雄牛の所有者である原告(牧場)に対し、宮崎県知事は同法及び同法施行令に基づいて、原告に対し、家畜の殺処分による補償として、補てん金交付決定をし、これを供託の方法により交付する旨の決定をしたが、原告は、殺処分を受けた家畜の適正な評価額は前記決定よりも高額であることを主張して、口蹄疫対策特別措置法6条9項に基づく損失補てん金請求として、損失補てん金の支払等を求めた事案において、本件各決定処分は、行政事件訴訟法3条2項にいう取消訴訟の対象となる行政処分に当たらず、本件家畜の評価額については相当であり、損失補てん金請求権の全額が本件供託金の受領により消滅しているとして、原告の請求を棄却した事例。
2014.07.08
杉並区立和田中夜スペ裁判
LEX/DB25503915/最高裁判所第一小法廷 平成26年4月17日 決定 (上告審)/平成24年(行ツ)第246号等
東京都杉並区の住民である上告人兼申立人(原告)らが、地方自治法242条の2第1項所定の住民訴訟として、同区教育委員会が平成20年1月24日にした同区教育財産である同区立和田中学校の学校施設(4教室)の目的外使用に係る使用許可処分及び使用料免除処分に関し、これらが公益性・公共性のない和田中学校地域本部に対する要件を欠く処分であって違法・無効であること等を理由に、かつ、上記許可処分がされたことが財産の管理を怠る事実に当たることを前提に、被上告人兼相手方(被告)らに対し、上記免除処分につき、同処分の無効確認の請求(同項2号)をし、上記許可処分につき、同処分の無効確認の請求(同号)並びに被上告人兼相手方(被告)杉並区長、区教育委員会教育長、和田中学校長及び区教育委員会事務局職員による当該怠る事実の違法確認の請求(同条1項3号)をするとともに、被上告人兼相手方杉並区長に対し、A(同区長)、区教育長B、和田中学校前校長C及び区教育委員会事務局職員に対する当該怠る事実に係る損害賠償の請求をすることを求める請求(同条1項4号)をした事案の上告審において、民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは、民事訴訟法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、本件上告理由は、違憲、判決裁判所の構成の法律違反及び理由の不備・食違いをいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに上記各項に規定する事由に該当しないとし、また、本件申立ての理由によれば、本件は、民事訴訟法318条1項により受理すべきものとは認められないとして、上告棄却及び上告不受理の決定をした事例。
2014.07.08
間接強制の申立事件
LEX/DB25503902/佐賀地方裁判所 平成26年4月11日 判決 (第一審)/平成25年(ヲ)第20号
「防災上やむを得ない場合を除き、国営諫早湾土地改良事業としての土地干拓事業において設置された、諫早湾干拓地潮受堤防の北部及び南部の各排水門を開放し、以後5年間にわたって同各排水門の開放を継続せよ」との確定判決を得た債権者らが、同判決を債務名義として、債務者に対し、間接強制の申立をした事案において、関係自治体及び地元関係者が各排水門の開放自体に反対しており協力又は同意が得られないため、対策工事を実施することができず、また、各排水門の開放の際に必要な管理規定の作成及び管理等が行えないこと、及び、別件仮処分決定により、債務者は各排水門を開放してはならない旨の義務を負ったことをもって、債務者の意思では排除することができない事実上の障害があるとは言い難く、また、債権者らの上記確定判決に基づく権利行使が権利の濫用又は信義則違反となるとは認められないとして、申立てを認容した事例。
2014.07.08
国家賠償等請求事件
LEX/DB25503907/熊本地方裁判所 平成26年3月31日 判決 (第一審)/平成19年(ワ)第1355号
水俣湾周辺を含む不知火海沿岸地域に居住し又はかつて居住していた原告らが、同地域の魚介類を摂取したことにより、水俣病(メチル水銀中毒症)に罹患した、いわゆる小児性又は胎児性水俣病患者であると主張して、(1)(ア)被告会社に対しては、同被告がメチル水銀化合物を含む廃水を排出したとして、不法行為に基づき、(イ)被告国及び(ウ)同熊本県に対しては。同被告らが各種規制権限を行使して水俣病の発生及び拡大を防止すべき義務があったのにこれを怠ったなどとして、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償の支払を求めるとともに、(2)被告らに対し、原告らが水俣病患者であることを認め、これまで原告らの水俣病を否定し続けて来たことを謝罪する旨の謝罪広告をすることを求めた事案において、原告3人について水俣病と独自に認定し、それぞれ1億500万円~220万円の賠償を命じ、原告5人については、症状と水銀汚染の関連はないとして請求を棄却した事例。