注目の判例

行政法

2017.10.24
文書提出命令申立て却下決定に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件 
LEX/DB25448943/最高裁判所第二小法廷 平成29年10月 4日 決定 (許可抗告審)/平成29年(行フ)第2号
相手方(香川県の住民)が、議員らが県議会の議長に提出した平成25年度分の政務活動費の支出に係る領収書及び添付資料の写しのうち、本件各領収書について、議長の属する地方公共団体である抗告人を文書の所持者として、文書提出命令の申立てをしたのに対し、却下決定が出されたので、これ対する抗告審においてだされた変更決定に対する許可抗告をした事案において、地方公共団体は、その機関が保管する文書について、文書提出命令の名宛人となる文書の所持者に当たるというべきであるとし、抗告人が本件各領収書に係る文書の所持者に当たるとした原審の判断は、正当として是認することができるとして、本件抗告を棄却した事例。
2017.10.17
権利変換計画不認可処分取消等請求事件 
LEX/DB25546955/徳島地方裁判所 平成29年 9月20日 判決 (第一審)/平成28年(行ウ)第9号
第一種市街地再開発事業の施行者である原告(市街地再開発組合)が権利変換計画認可申請に対し、徳島市長(処分行政庁)が不認可処分をしたことから、原告が、不認可処分は違法であり、徳島市長は権利変換計画を認可すべきであると主張して、処分行政庁の所属する公共団体である被告に対し、不認可処分の取消しと上記権利変換計画の認可処分の義務付けを求めた事案において、権利変換計画の認可について判断権者たる市長には、裁量が認められるところ、本件処分の理由には合理性があり、本件処分についての市長の判断について裁量の逸脱濫用と認めうる事情はなく、その他の原告の主張する違法事由はいずれも認められないから、本件処分が違法であるとする原告の主張は認められないとし、請求を棄却した事例。
2017.10.03
求償権行使懈怠違法確認等請求及び共同訴訟参加事件 
「新・判例解説Watch」H29.12月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448912/最高裁判所第二小法廷 平成29年 9月15日 判決 (上告審)/平成28年(行ヒ)第33号
大分県の住民である上告人らが、被上告人(大分県知事)を相手に、被上告人が教員採用試験で受験者の得点を操作するなどの不正に関与した者に対する求償権を行使しないことが違法に財産の管理を怠るものであると主張し、地方自治法242条の2第1項3号に基づく請求(3号請求)として、本件不正に関与したと上告人らが主張するE、F等に対する求償権行使を怠る事実の違法確認を求めるとともに、同項4号に基づく請求(4号請求)として、本件不正に関与したA、B、C及びD並びにE及びFに対する求償権に基づく金員の支払を請求することを求めた住民訴訟の上告審において、上記求償権のうち本件返納額に相当する部分を行使しないことが違法な怠る事実に当たるとはいえないとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決中、上告人らのAらに関する4号請求並びに上告人X1らのEらに関する3号請求及び4号請求に関する部分を破棄し、県の教員採用試験において不正が行われるに至った経緯や、本件不正に対する県教委の責任の有無及び程度、本件不正に関わった職員の職責、関与の態様、本件不正発覚後の状況等に照らし、県による求償権の行使が制限されるべきであるといえるか否か等について、更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻しを命じ、上告人らのその余の上告を棄却した事例(意見がある)。
2017.09.26
廃止負担金請求事件
LEX/DB25448903/最高裁判所第一小法廷 平成29年 9月14日 判決 (上告審)/平成28年(受)第1187号
大阪府が営む工業用水道事業に係る条例に基づき、府との間で給水契約を締結して工業用水道を使用していたところ、上記条例の改正により、工業用水道の使用者がその使用を廃止したときは負担金を納付しなければならない旨の規定が設けられたところ、被上告人は工業用水道の使用を廃止したことより、府から上記事業を承継した一部事務組合である上告人が、被上告人に対し、上記給水契約に基づく負担金の支払を求め、原審は、本件廃止負担金が分担金に当たるとして、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案において、本件廃止負担金は、地方自治法224条、228条1項にいう分担金に当たらないというべきであり、条例で定めなければならないものということはできないとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、被上告人に本件規定が適用されるか等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例。
2017.09.26
障害補償費不支給決定取消等請求事件
「新・判例解説Watch」H29.12月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448889/最高裁判所第二小法廷 平成29年 9月 8日 判決 (上告審)/平成28年(行ヒ)第371号
水俣病の認定を受けた被上告人(原告・控訴人)が、公害健康被害の補償等に関する法律(公健法)に基づく障害補償費の支給を請求したところ、熊本県知事から、被上告人の健康被害に係る損害は損害賠償請求訴訟の結果、原因者により全て填補されているとして、障害補償費の不支給処分の決定を受けたため、上告人(被告・被控訴人。熊本県)を相手に、その取消し等を求め、原審が、第1審判決を取り消したため、上告人が上告した事案において、被上告人は、原因者であるチッソに対して、被上告人の水俣病による健康被害に係る損害につき損害賠償請求訴訟を提起したものであるところ、前訴確定判決は同損害の全てについての賠償をチッソに命じたものと解されるから、被上告人がこれに基づく損害賠償金を受領したことにより、熊本県知事は、被上告人に対する公健法に基づく障害補償費の支給義務の全てを免れたものであり、本件不支給処分が公健法13条1項に違反するものということはできないとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼす明らかな法令の違反があるとし、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、公害健康被害認定審査会の意見を聴かないことにより本件不支給処分が違法になる旨の被上告人の主張に理由がないことも明らかであり、被上告人の同処分の取消請求は理由がないから、これを棄却した第1審判決は是認することができ、被上告人の控訴を棄却した事例。
2017.09.12
鳴門市競艇従事員共済会への補助金違法支出損害賠償等請求控訴事件 
LEX/DB25546426/高松高等裁判所 平成29年 8月 3日 判決 (差戻控訴審)/平成28年(行コ)第27号
鳴門市の住民である原告ら(控訴人)が、鳴門競艇従事員共済会から鳴門競艇臨時従事員に支給される離職せん別金に充てるため、市が共済会に対して離職せん別金補助金を交付したことが、給与条例主義を定める地方公営企業法38条4項に反する違法、無効な財務会計上の行為に当たるなどとして、地方自治法242条の2第1項4号に基づく請求をした住民訴訟の差戻控訴審において、当時の市長の職にあって本件各補助金に関する予算を調製したDに対し、被告(被控訴人)市長が損害賠償金の支払を請求することを命じ、当時の市公営企業管理者(職名は企業局長)の職にあって本件各補助金の交付決定をしたE、及び、競艇従事員共済会に対し、被告(被控訴人)市公営企業管理者が損害賠償金の支払を請求することを命じる内容で差戻し前の第1審判決中、差戻しに係る部分を変更した事例。
2017.09.12
鳴門市競艇従事員共済会への補助金違法支出損害賠償等請求控訴事件 
LEX/DB25546571/高松高等裁判所 平成29年 8月 3日 判決 (差戻控訴審審)/平成28年(行コ)第26号
鳴門市の住民である原告ら(控訴人)が、鳴門競艇従事員共済会から鳴門競艇臨時従事員に支給される離職せん別金に充てるため、市が共済会に対して離職せん別金補助金を交付したことが、給与条例主義を定める地方公営企業法38条4項に反する違法、無効な財務会計上の行為に当たるなどとして、地方自治法242条の2第1項4号に基づく請求をする住民訴訟の差戻控訴審の事案において、当時の市長の職にあって本件補助金に関する予算を調製したDに対し、被告(被控訴人)市長が損害賠償金の支払を請求することを命じ、及び、当時の市公営企業管理者(職名は企業局長)の職にあって本件補助金の交付決定をしたF、当時の競艇事業担当の企業局次長の職にあって本件補助金の交付決定の決裁に関与したG、及び、市競艇従事員共済会に対し、被告(被控訴人)市公営企業管理者が各損害賠償金の支払を請求することを命じる内容で、差戻し前の第1審判決中、差戻しに係る部分を変更した事例。
2017.07.18
玄海原子力発電所3号機再稼働差止仮処分申立事件(第1事件)、玄海原子力発電所4号機再稼働差止仮処分申立事件(第2事件)
LEX/DB25448731/佐賀地方裁判所 平成29年 6月13日 決定 (第一審)/ 平成23年(ヨ)第21号 等
第1事件債権者らが、人格権又は環境権に基づき、債務者(電気事業会社)が設置している玄海原子力発電所3号機の運転の差止めを命ずる仮処分命令を申し立てた事案(第1事件)、第2事件債権者らが、人格権又は環境権に基づき、債務者(電気事業会社)が設置している玄海原子力発電所4号機の運転の差止めを命ずる仮処分命令を申し立てた事案(第2事件)において、債務者が、基準地震動の合理性及び配管の安全性について相当の根拠、資料に基づき疎明したということができ、債権者らの疎明を検討しても、本件各原子炉施設の安全性に欠けるところがあるとは認められないから、債務者が本件各原子炉施設を運転することにより、債権者らの人格権を侵害するおそれがあるとは認められず、本件各申立てに係る被保全権利の疎明があるということはできないなどとして、第1事件及び第2事件の本件各申立てをいずれも却下した事例。
2017.07.04
伊方原発3号機運転差止仮処分命令申立事件(第1事件、第2事件)
LEX/DB25545650/広島地方裁判所 平成29年 3月30日 決定 (第一審)/平成28年(ヨ)第38号 等
伊方原発3号機の運転差止仮処分命令を申立てた第1事件及び第2事件の各債権者らにおいて、債務者が設置、運転している発電用原子炉施設である伊方発電所3号炉及びその附属施設は、地震、火山の噴火、津波等に対する安全性が十分でないために、これらに起因する過酷事故を生じる可能性が高く、そのような事故が起これば外部に大量の放射性物質が放出されて債権者らの生命、身体、精神及び生活の平穏等に重大かつ深刻な被害が発生するおそれがあるとして、債務者に対し、人格権に基づく妨害予防請求権に基づき、本件原子炉の運転の差止めを命じる仮処分を申し立てた事案において、基準地震動の策定、耐震設計における重要度分類、使用済燃料ピット等の安全対策、地すべりと液状化現象による危険性の評価、制御棒挿入に係る危険性の評価、基準津波の策定、火山事象の影響による危険性の評価、テロリズム対策、シビアアクシデント対策のそれぞれにつき、新規制基準の定めが不合理であるということはできないし、本件原子炉施設が上記の各点につき新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断が不合理であるともいえないなどとし、第1事件及び第2事件の各債権者らの申立てをいずれも却下した事例。
2017.07.04
仮処分命令認可決定に対する保全抗告事件
LEX/DB25545751/大阪高等裁判所 平成29年 3月28日 決定 (抗告審)/平成28年(ラ)第677号
滋賀県内に居住する相手方(債権者)らが、原子力発電所を設置している抗告人(債務者。電力会社)に対し、各原発が耐震性能に欠け、津波による電源喪失等を原因として周囲に放射性物質汚染を惹起する危険性を有する旨主張して、人格権に基づく妨害(予防)排除請求権に基づき、各原発を仮に運転してはならないとの仮処分を申し立て、これを認容する原決定をがなされたため、抗告人が保全異議の申立てをし、原審が原決定を認可したのに対し抗告人が保全抗告をした事案において、各原発の安全性が欠如していることの疎明があるとはいえないとして、原決定を取り消し、相手方らの仮処分申立てを却下した事例。
2017.06.27
補償協定上の地位確認請求事件 
「新・判例解説Watch」H29.9月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25545811/大阪地方裁判所 平成29年 5月18日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第11819号
水俣病の認定を受けたd及びeの各相続人である原告らが、水俣病を発生させた企業である被告と水俣病患者東京本社交渉団との間で昭和48年7月9日に締結された水俣病補償協定に基づき、被告に対し、本件協定に基づく補償を受けられる等の協定上の権利を有する地位にあることの確認を求めた事案において、本件協定の本文第三項の「認定された患者」に該当するためには、その文言のとおり水俣病の認定を受けたことのみで足り、それ以外の要件は付されていないというべきであるとし、dらは、本件協定の本文第三項の「認定された患者」に該当し、dらの権利義務を承継した原告らは、受益の意思表示をしていることから、被告に対して本件協定に基づく補償給付を求めることができる地位を有すると認め、原告の請求を認容した事例。
2017.06.06
嘉手納基地爆音差止等請求事件 
「新・判例解説Watch」H29.6月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25545477/那覇地方裁判所沖縄支部 平成29年 2月23日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第245号
本件飛行場の周辺に居住し、若しくは居住していた者又はその相続人である原告らが、本件飛行場において離着陸するアメリカ合衆国の航空機の発する騒音により健康被害を受けていると主張して、日米安保条約及び日米地位協定に基づいてアメリカ合衆国に本件飛行場を提供している被告に対し、人格権、環境権又は平和的生存権に基づき、毎日午後7時から翌日午前7時までの間における本件飛行場における航空機の離発着禁止等を求めた事案において、本件飛行場の航空機の運航等によって、原告らは相当に大きな騒音に曝露され、少なくとも本件コンター上、W75以上を超える区域に居住する原告らについては法的保護に値する重要な利益の侵害があると認められること等、特に本件コンター上W95以上の地域については、航空機騒音対策緊急指針において緊急に対策を講じるべきとされた強度の騒音曝露状況が現在も続いている等として、原告の請求を一部認容した事例。
2017.05.02
特別支給の老齢厚生年金決定取消請求事件 
LEX/DB25448624/最高裁判所第二小法廷 平成29年 4月21日 判決 (上告審)/平成28年(行ヒ)第14号
被上告人(原告・被控訴人)が、厚生労働大臣から、厚生年金保険法附則8条の規定による老齢厚生年金について、同法43条3項の規定による年金の額の退職改定がされないことを前提とする支給決定を受けたことから、退職改定がされるべきであって同支給決定は違法であると主張して、上告人(被告・控訴人。国)を相手に、その取消しを求めたところ、第1審及び控訴審は被上告人の請求を認容したため、上告人が上告した事案において、被上告人は、平成23年8月31日に厚生年金保険の被保険者の資格を喪失後、同年9月17日に65歳に達しており、同月30日を経過した時点では特別支給の老齢厚生年金の受給権者でなかったから、同月分の当該年金の額については退職改定がされるものでないことは明らかであるとし、上記決定処分を違法であるとした原審の判断には、明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、第1審判決を取消し、被上告人の請求を棄却した事例。
2017.04.18
公文書非公開決定取消請求事件 
「新・判例解説Watch」H29.6月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448531/神戸地方裁判所 平成29年 3月 2日 判決 (第一審)/平成28年(行ウ)第26号
原告が、神戸市情報公開条例に基づき、同市教育委員会に対し、平成25年度までの教職員による体罰事故報告書の公開を請求したところ、一部を非公開とし、その余の部分を公開する旨の本件決定を受けたため、本件決定のうち非公開とした部分の取消しを求めた事案において、条例10条1号前段の非開示情報(「特定の個人が識別され、若しくは識別されうる情報」)に当たるか否かは、特定の立場にある者が有する情報との照合による個人の特定可能性ではなく、一般人が通常入手し得る情報との照合により、特定の個人を識別することが相当程度の確実性をもって可能と認められるか否かにより決すべきであるなどとし、本件非公開部分は、本件条例10条1号前段所定の非開示情報、同号後段所定の非開示情報のいずれにも当たらないとして、原告の請求を認容した事例。
2017.04.11
条例廃止処分取消請求事件  
「新・判例解説Watch」H29.5月中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25545115/青森地方裁判所 平成29年 1月27日 判決 (第一審)/平成27年(行ウ)第5号
被告が、公の施設として本件記念館を設け、本件記念館条例において、その設置及び管理に関する事項を定めていたが、その後、本件記念館条例を廃止する条例を制定したことにつき、原告が、被告に対し、本件廃止条例制定行為の取消しを求めた事案において、本件保管覚書合意は、その内容に照らせば、P3(その地位を承継した原告)及び被告の一般的・抽象的な努力義務を定めたものに止まるものであることが明らかであって、これに基づいて具体的な権利ないし法的地位が生ずるという性質のものとはいい難く、本件保管覚書合意を基礎として本件廃止条例制定行為の処分性を認めることはできないとし、訴えを却下した事例。
2017.04.04
損害賠償等請求事件 
「新・判例解説Watch」H29.6月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448466/神戸地方裁判所 平成29年 2月 9日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第1195号
被告の運営する保育園の近隣に居住する原告が、園児が園庭で遊ぶ際に発する声等の騒音が受忍限度を超えているなどと主張し、被告に対し、不法行為による損害賠償を求めるとともに、人格権に基づき、保育園の敷地境界線上において保育園からの騒音が50dB(LA5)以下となるような防音設備の設置を求めた事案において、原告が保育園からの騒音により精神的・心理的不快を被っていることはうかがえるものの、原告宅で測定される保育園の園庭で遊戯する園児の声等の騒音レベルが、未だ社会生活上受忍すべき限度を超えているものとは認められず、不法行為を基礎づける程度の違法があるということはできないとして、原告の請求を棄却した事例。
2017.02.28
建築変更確認取消裁決取消請求事件(基本事件) 
LEX/DB25544864/東京地方裁判所 平成29年 2月 7日 決定 (第一審)/平成28年(行ウ)第192号
基本事件原告ら(被参加人及び異議申立人N社)が、東京都文京区の土地上に建築を計画しているマンションにつき、指定確認検査機関である株式会社都市居住評価センターが建築変更確認処分をしたのに対し、上記マンションの周辺住民らがその取消しを求めて審査請求をしたところ,東京都建築審査会が本件マンションの計画は東京都建築安全条例32条6号に違反するから本件処分は違法であるとして同処分を取り消す旨の裁決をしたため、基本事件被告(異議申立人東京都)に対し、本件裁決は適正手続に違反するとともに判断内容が建築基準法等の法令に違反するものであるとして、本件裁決の取消しを求めた基本事件につき、基本事件原告らとの間でマンションの一室を買い受ける旨の売買契約を締結した補助参加申出人が、基本事件について基本事件原告らを補助するために民事訴訟法42条に基づく補助参加の申出をした事案において、補助参加申出人は、民事訴訟法42条にいう「訴訟の結果について利害関係を有する第三者」に当たるものというべきであるとして、補助参加申出人が基本事件原告らを補助するために基本事件に参加することを許可した事例。
2017.02.28
訴訟参加申立事件 
LEX/DB25544865/東京地方裁判所 平成29年 2月 7日 決定 (第一審)/平成28年(行ク)第315号
本案事件原告ら(相手方N社及び同S社)が、東京都文京区の土地上に建築を計画しているマンションにつき、指定確認検査機関であるT社が建築変更確認処分をしたのに対し、マンションの周辺住民らがその取消しを求めて審査請求をしたところ、東京都建築審査会がマンションの計画は東京都建築安全条例32条6号に違反するから本件処分は違法であるとして同処分を取り消す旨の裁決をしたため、本案事件被告に対し、本件裁決は適正手続に違反するとともに判断内容が建築基準法等の法令に違反するものであるとして、本件裁決の取消しを求めた本案事件につき、上記マンションの周辺住民らの一人である参加申立人が、行政事件訴訟法22条1項に基づく訴訟参加を申し立てた事案において、参加申立人は、行政事件訴訟法22条1項にいう「訴訟の結果により権利を害される第三者」に当たるものというべきであるとして、参加申立人を被参加申立人のために訴訟に参加させることとした事例。
2017.02.21
建築確認処分取消請求事件(横浜市「地下室マンション」建築確認取り消し判決) 
LEX/DB25544848/東京地方裁判所 平成28年11月29日 判決 (第一審)/平成26年(行ウ)第146号
参加人(建設会社)及び訴外甲社らが建築主となって建築する共同住宅(マンション)の建築計画について、被告(指定確認検査機関)が、建築基準法6条1項前段に定める建築確認処分を行ったところ、その近隣に居住する原告らが、本件建築計画は、建築物の高さ制限(建築基準法55条1項)や建築物の基礎の底部が良好な地盤に達することとしなければならない旨(建築基準法施行令38条3項)等を定める建築基準法等の規定に適合していないものであるから本件各建築確認処分は違法であるなどと主張して、その取消しを求めた事案において、原告らの本件変更確認処分の一部の取消請求を認容し、本件訴えのうち、本件各建築確認処分及び本件各変更確認処分1の各取消しを求める部分はいずれも却下し、原告らのその余の請求を棄却した事例。
2017.02.21
環境権等に基づく差止請求事件(第1事件、第2事件) 
「新・判例解説Watch」H29.4月中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25544858/大分地方裁判所 平成28年11月11日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第29号 等
大分県由布市湯布院町の塚原地区に居住し又は旅館等の経営をする原告らが、被告会社らの太陽光発電事業計画の実施により、当該土地上にメガソーラー設備が設置されるなどすると、原告らの有する人格権(塚原地区の景観を含む自然環境を享受する権利)及び塚原地区の景観に対する景観利益並びに営業権が侵害されると主張して、被告会社らに対し、それらの権利に基づき、メガソーラー設備の設置等の開発行為等の差止めを求めた事案において、上記開発行為は景観利益を違法に侵害するもので、差止められるべき旨の原告らの主張は理由がないとし、また、原告らの営業権に基づく上記開発行為の差止請求には理由がないとし、原告らの請求をいずれも棄却した事例。