注目の判例

民法(財産法)

2018.04.17
放送受信料不当利得返還請求控訴事件
(ワンセグ付携帯 受信契約は義務 一審千葉地裁に続いてNHKが勝訴)
LEX/DB25549697/東京高等裁判所 平成30年 3月22日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第4375号
控訴人(原告)が被控訴人(被告。NHK)との間で、ワンセグ機能付き携帯電話について放送受信契約(受信契約)を締結し、受信料を支払ったところ、控訴人は、本来、受信契約の締結義務がないにもかかわらず本件契約を締結したのであり、〔1〕放送法64条1項は強行法規であり、本件契約は同条に違反するから民法90条により無効である、又は、〔2〕錯誤により本件契約は無効であると主張して、被控訴人に対し、不当利得返還請求権に基づき、支払った受信料の残金7375円の支払を求めるとともに、被控訴人は悪意の受益者であると主張して、民法704条に基づき、利息の支払を求め、原審が控訴人の請求を棄却したところ、控訴人が控訴した事案において、控訴人の請求を棄却した原判決は相当であるとして、控訴を棄却した事例。
2018.03.06
建物根抵当権設定仮登記抹消登記手続請求事件
LEX/DB25449266/最高裁判所第二小法廷 平成30年 2月23日 判決 (上告審)/平成29年(受)第468号
上告人が、本件貸金債権につき消滅時効が完成し、本件根抵当権は消滅したなどと主張して、被上告人に対し、仮登記の抹消登記手続を求めた事案の上告審において、抵当権の被担保債権が免責許可の決定の効力を受ける場合には、民法396条は適用されず、債務者及び抵当権設定者に対する関係においても、当該抵当権自体が、民法167条2項所定の20年の消滅時効にかかると解するのが相当であり、担保すべき元本が確定した根抵当権についても、同様に当てはまるものであるとし、免責許可の決定の効力を受けることによって消滅時効の進行を観念することができなくなった債権を被担保債権とする抵当権は、民法396条により、債務者及び抵当権設定者に対しては時効によって消滅しないことを理由に、上告人の請求を棄却すべきものとした原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があるが、本件根抵当権を行使することができる時から20年を経過していないことは明らかであり、上告人の請求には理由がないことになり、上告人の請求を棄却すべきものとした原審の判断は、結論において是認することができるとして、本件上告を棄却した事例(補足意見がある)。
2018.03.06
不当利得返還請求事件
LEX/DB25549335/東京地方裁判所 平成29年12月27日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第38180号
原告が、〔1〕原告は、被告(NHK)との間で、平成24年7月8日、ワンセグ機能付き携帯電話について放送受信契約を締結した、〔2〕原告は、被告に対し、本件契約に基づき、同月分の放送受信料として1345円を支払った、〔3〕ワンセグ機能付き携帯電話を保有している者は、放送法64条1項にいう「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」には当たらないから、原告には本件契約を締結する義務はなかった、〔4〕しかし、原告は、上記〔3〕の義務がないにもかかわらず、本件契約を締結したから、本件契約は、強行法規に反するものとして、民法90条により無効である、〔5〕被告も、上記〔3〕の義務がないことを知って本件契約を締結したから、民法94条1項により無効である、〔6〕原告は、同年3月から同年8月まで本件携帯電話を携帯していたが、同年3月分から同年6月までの放送受信料5240円の支払義務はないと主張して、被告に対し、〔ア〕不当利得による返還請求権に基づき、1345円及び遅延損害金の支払、〔イ〕原告の被告に対する同年3月分から同年6月分までの放送受信料5240円の支払義務がないことの確認を求めた事案において、放送法64条1項本文の「設置」とは、受信機が一定の場所に設け置くことや設け置かれた状態にあることに限らず、使用することができる状態においた受信機を管理、支配するという観念的、抽象的な意味であると解するのが相当であるとし、原告の請求を棄却した事例。
2018.03.06
不当利得返還請求事件
LEX/DB25549334/大阪地方裁判所 平成29年10月13日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第9448号
原告が被告(NHK)との間で放送受信契約を締結していたところ、所持していたテレビジョン受信機を譲渡して他に受信機を所持しなくなり、解約事由を満たしたとして解約申出をしたことにより契約は解約されたと主張して、被告に対し、不当利得返還請求権に基づき、原告が受信料として支払った2万0790円の支払を求めた事案において、放送法64条1項にいう「設置」とは、単に、受信設備を物理的に備えおくことのみを指すものではなく、被告の放送を受信できる設備を携帯することをも包含するものと解するのが相当であるとし、原告は、放送法64条1項により、受信契約締結義務を負うものというべきであり、本件解約申出時点においても、受信契約締結義務があり、原告について現行受信規約9条1項柱書にいう「放送受信契約を要しないこととなった」ということはできず、原告による本件解約申出は効力を生じないとして、原告の請求を棄却した事例。
2018.03.06
放送受信料不当利得返還請求事件
LEX/DB25549333/千葉地方裁判所松戸支部 平成29年 9月15日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第700号
原告が被告(NHK)との間で、ワンセグ機能付き携帯電話について放送受信契約を締結し、受信料を支払ったところ、原告は受信契約の締結義務がないにもかかわらず本件契約を締結したのであり、〔1〕放送法64条1項は強行法規であり、本件契約は強行法規に違反するものであるから民法90条により無効である、又は、〔2〕錯誤により本件契約は無効であると主張して、原告が、被告に対し、不当利得返還請求権に基づき、支払った受信料の残金7375円の支払を求めるとともに、被告は悪意の受益者であると主張して、民法704条に基づき、上記受信料残金に対する受信料を支払った日である平成28年2月26日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による利息の支払を求めた事案において、放送法64条1項における被告の放送を受信することのできる受信設備を「設置」するとは、受信設備を「被告の放送を聴取可能な状態におくこと」「使用可能な状態におくこと」を意味すると解されることから、ワンセグ機能付き携帯電話を携帯している者も受信設備である携帯電話を被告の放送を聴取可能な状態にして、使用可能な状態においた者、受信設備を「設置」した者に該当するとし、原告には被告と受信契約を締結する義務があったと認められ、受信契約締結義務がないことを前提とする原告の本件契約が無効であるとの主張は認められないとして、原告の請求を棄却した事例。
2018.02.27
損害賠償請求事件
LEX/DB25549262/横浜地方裁判所 平成29年12月26日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第2785号
被告公益財産法人の開設に係る被告診療所で、平成19年から平成21年にかけて毎年1回一般健診を受けていた亡P6が平成24年1月13日に肺がんにより死亡したことにつき、亡P6の相続人である原告らが、上記一般健診のうち平成19年に実施された一般健診及び平成20年に実施された一般健診で亡P6の胸部エックス線画像の読影を担当した被告公益財団法人の理事及び被告診療所の勤務医である被告医師には亡P6に対して精密検査を受けるよう指示・指導をすべき義務の懈怠があり、これによって亡P6は死亡したとして、被告公益財団法人及び被告医師に対し、被告公益財団法人に対しては診療契約に係る債務不履行による損害賠償請求権、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律197条及び同78条に基づく損害賠償請求権、又は民法715条1項に基づく不法行為による損害賠償請求権に基づき、被告医師に対しては一般社団法人及び一般財団法人に関する法律198条及び同117条に基づく損害賠償請求権又は民法709条に基づく不法行為による損害賠償請求権に基づき、連帯して、各損害賠償金の支払等を求めた事案において、被告医師に、平成19年健診及び平成20年健診で、各年の健診で写真に写されていた異常陰影を発見すべき注意義務があったとは認められず、その懈怠があったとも認められないから、原告らの主張を斥け、原告らの請求を棄却した事例。
2018.02.13
組合員代表訴訟控訴事件(JA延岡組合員訴訟 原告側訴え棄却)
LEX/DB25548213/福岡高等裁判所宮崎支部 平成29年11月17日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第91号
農協の組合員である被控訴人ら(原告)が、農協は本件貸付債権を有しており、基金協会、控訴人ら(被告)はこれを連帯保証していたところ、農協の理事であった控訴人らが、理事会において本件補償契約を解除する旨の決議をするなどし、本件保証債務を免除したため、被控訴人らが損害を被ったとして、損害賠償を求めたところ、請求が一部認容されたため、控訴人らが控訴した事案において、本件貸付けの連帯保証人であった基金協会、控訴人P1及び同P2に対し、本件保証債務の履行を求めなかった控訴人らの決定は、控訴人らの農協に対する善管注意義務又は忠実義務に違反するとはいえないとし、原判決中控訴人ら敗訴部分を取り消し、被控訴人らの請求を棄却した事例。
2018.02.06
インターネット上での掲載サイト情報記事の削除請求控訴事件
(平成29年8月10日松江地方裁判所(平成29年(ワ)第65号)の控訴審)
LEX/DB25549094/広島高等裁判所松江支部 平成30年 1月10日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第63号
控訴人(原告)が、ウェブサイト管理運営している被控訴人(被告)に対し、控訴人に係る被疑事件について不起訴処分がされたにも関わらず、被控訴人が同事件に関する控訴人の逮捕を報じる記事をインターネット上に掲載し続けていることが人権侵害に当たるとして、不法行為に基づき、本件記事の削除及び損害賠償金の支払を求め、原判決は、請求を棄却したため、控訴人が控訴した事案において、記事をウエブサイトに複製掲載することができる者が無数に存在すること、被控訴人の元記事を実際にウエブサイトに複製掲載した者を特定するのが極めて困難な場合も多いことは容易に推測でき、それらの者との間で元記事を含む本件ウエブサイト掲載記事の複製掲載についてルール化を求めるのは、不可能を強いるものというべきであるとし、原判決は相当であるとして、控訴を棄却した事例。
2018.02.06
インターネット上での掲載サイト情報記事の削除請求事件
(平成30年1月10日広島高等裁判所松江支部(平成29年(ネ)第63号)の原審)
LEX/DB25549093/松江地方裁判所 平成29年 8月10日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第65号
原告が、ウェブサイト管理運営している被告に対し、原告に係る被疑事件について不起訴処分がされたにも関わらず、被告が同事件に関する原告の逮捕を報じる記事をインターネット上に掲載し続けていることが人権侵害に当たるとして、不法行為に基づき、本件記事の削除及び損害賠償金の支払を求めた事案において、検索サイトを利用して表示される本件記事は、被告ではない第三者が管理するウェブページにおいて掲載されているものであることが認められ、インターネット上で記事の複製をすることが容易にできること(公知の事実)からすれば、本件記事は、被告が掲載した記事を被告以外の当該第三者が複製し、掲載しているものであることが強く窺われるとし、原告の請求を棄却した事例。
2018.01.23
(平成29年 6月28日東京高等裁判所(平成28年(ネ)第5763号)の上告審)
LEX/DB25548338/最高裁判所第三小法廷 平成29年12月12日 決定 (上告審)/平成29年(受)第1808号
一審原告(申立人)は、本件土地並びにその一部の土地上にある3階建共同住宅(本件不動産)を購入して代金を支払い、自己に対する所有権移転登記を経たが、その際、弁護士である一審被告が、不動産登記規則72条に基づく本人確認情報を提供し、登記義務者代理人として所有権移転登記申請をし、売主として売買契約に立ち会った者が売主に成りすました他人であり、売主の住民基本台帳カード等の書類が偽造されたものであったため、後に、真実の所有者から所有権移転登記抹消登記手続を求められ、当該不動産の所有権を取得することができず損害を被ったとして、一審原告が、一審被告に対し、一審被告が過失により、売主の本人確認の際に提示を受けた住民基本台帳カード等の書類が偽造されたことに気付かないまま誤った本人確認情報を提供したとして、不法行為に基づく損害賠償金の支払等を求めた事案において、第一審判決は、一審被告には、売主である女性(自称g)の本人確認で、成りすましによるものであることを疑うべき事情があり、これによって一審原告が損害を被ることについての結果予見可能性及び結果回避可能性があるところ、一審被告において注意義務を尽くしたとはいえないから不法行為責任を負うべきであるとして、一部認容、一部棄却したため、これに不服の双方(なお、一審被告が死亡したため一審被告の相続について限定承認をした一審被告訴訟承継人が地位を承継した)が控訴し、控訴審判決は、一審原告の請求は理由がないから全部棄却すべきであり,これを一部認容した原判決は失当であり、一審被告訴訟承継人の控訴は理由があるとし、原判決中一審被告訴訟承継人敗訴部分を取消した上、前記取消しに係る一審原告の請求を棄却することとし、一審原告の控訴を棄却したため、一審原告が上告受理の申立てをした事案において、本件を上告審として受理しないと決定した事例。
2018.01.23
損害賠償請求控訴事件
(平成29年12月12日最高裁判所第三小法廷(平成29年(受)第1808号)の原審)
LEX/DB25548251/東京高等裁判所 平成29年 6月28日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第5763号
7筆の土地並びにその一部の土地上にある3階建共同住宅を購入して代金を支払い、自己に対する所有権移転登記を経たが、その際、弁護士である被告が、不動産登記規則72条に基づく情報を提供し、登記義務者代理人として所有権移転登記申請をしたところ、売主として売買契約に立ち会った者が売主に成りすました他人であり、売主の住民基本台帳カード等の書類が偽造されたものであったため、後に、真実の所有者から所有権移転登記抹消登記手続を求められ、当該不動産の所有権を取得することができず損害を被ったとして、原告が、被告に対し、被告が過失により、売主の本人確認の際に提示を受けた住民基本台帳カード等の書類が偽造されたことに気付かないまま誤った本人確認情報を提供したとして、不法行為に基づく損害賠償金の支払を求めたところ、原審は、被告には、売主であるgを名乗る女性(自称g)の本人確認において、成りすましによるものであることを疑うべき事情があり、これによって原告が損害を被ることについての結果予見可能性及び結果回避可能性があるところ、被告において注意義務を尽くしたとはいえないから不法行為責任を負うべきであるとした上で、原告にも4割の過失相殺を認め、請求を一部認容したため、被告及び原告が控訴した事案において、被告において、本件本人確認情報を作成する際に相応な調査・確認を行っていると認められるのであり、それ以上に、売主と名乗る者の自宅を訪れ、あるいは、QRコードを読み取るなど、住基カードの提示を求める方法以外の方法によって本人確認すべき注意義務があったとは認められないとして、原判決を取り消し、請求を棄却した事例。
2018.01.09
総会決議無効確認等請求本訴,組合理事地位確認請求反訴事件 
LEX/DB25449123/最高裁判所第一小法廷 平成29年12月18日 判決 (上告審)/平成29年(受)第84号
被上告人(マンションの区分所有者)が、上告人(マンションの管理組合)に対し、理事会決議、総会決議及びその余の決議の無効確認等を求め、被上告人は、理事会決議の無効事由として、決議の内容及び手続の規約違反を主張し、原審は、本件理事会決議、本件総会決議及びその余の決議の無効確認請求を認容すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、本件理事会決議は、理事を組合員のうちから総会で選任し、理事の互選により理事長に選任された被上告人につき、本件マンションの管理規約により出席した理事10名の一致により理事長の職を解き、理事としたものであるから、このような決議の内容が本件管理規約に違反するとはいえないとし、原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決中被上告人の本訴請求に関する部分を破棄し、本件理事会決議の手続の瑕疵の有無等について更に審理を尽くさせるため、同部分につき本件を原審に差し戻した事例。
2017.12.26
建物明渡等請求事件
LEX/DB25449114/最高裁判所第一小法廷 平成29年12月14日 判決 (上告審)/平成29年(受)第675号
上告人(生コンクリートの製造会社)が、被上告人(一般貨物自動車運送事業会社)に対し、所有権に基づく本件土地の明渡し等を求め、被上告人は、本件土地について、運送委託料債権を被担保債権とする商法521条の留置権が成立すると主張して、上告人の請求を争っている事案の上告審において、不動産は、商法521条が商人間の留置権の目的物として定める「物」に当たるとし、これと同旨の原審の判断は、正当として是認できるとして、上告を棄却した事例。
2017.12.19
自動車引渡請求事件
「新・判例解説Watch」H30.1月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25449089/最高裁判所第一小法廷 平成29年12月 7日 判決 (上告審)/平成29年(受)第408号
自動車販売会社から自動車を購入した者の売買代金債務を連帯保証した被上告人(原告・被控訴人)が、保証債務の履行として販売会社に売買代金残額を支払い、販売会社に留保されていた自動車の所有権を法定代位により取得したと主張して、上記支払後に破産手続開始の決定を受けた購入者の破産管財人である上告人(被告・控訴人)に対し、別除権の行使として自動車の引渡しを求めたところ、第一審判決は、被上告人の請求を認容したため、上告人が控訴し、控訴審判決は、第一審判決を維持したため、上告人が上告した事案において、自動車の購入者と販売会社との間で当該自動車の所有権が売買代金債権を担保するため販売会社に留保される旨の合意がされ、売買代金債務の保証人が販売会社に対し保証債務の履行として売買代金残額を支払った後、購入者の破産手続が開始した場合、その開始の時点で当該自動車につき販売会社を所有者とする登録がされているときは、保証人は、上記合意に基づき留保された所有権を別除権として行使することができるものとし、これと同旨の原審の判断は是認することができるとして、上告を棄却した事例。
2017.12.19
受信契約締結承諾等請求事件
「新・判例解説Watch」H30.1月中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25449082/最高裁判所大法廷 平成29年12月 6日 判決 (上告審)/平成26年(オ)第1130号 等
原告(NHK)が、原告のテレビ放送を受信することのできる受信設備を設置したが、放送受信契約を締結しない1審被告に対し、主位的には、放送法64条1項等によって1審原告と1審被告との間で放送受信契約が成立していると主張して、放送受信契約に基づき、上記受信機を設置した月から現在までの受信料の支払を求め(主位的請求)、予備的には、上記放送受信契約が成立していないことを前提として、被告は放送受信契約締結義務の履行を遅滞していると主張して、債務不履行に基づく損害賠償として上記受信料相当額の支払を求め(予備的請求1)、被告は放送受信契約締結義務を負うと主張して、原告からの上記申込みに対する承諾の意思表示と、上記申込み及び承諾の意思表示によって成立する放送受信契約に基づき、上記受信料の支払を求め(予備的請求2)、被告は上記受信料相当額を不当に利得していると主張して、上記受信料相当額の返還を求め(予備的請求3)、1審判決が、主位的請求及び予備的請求1をいずれも棄却し、予備的請求2を認容し、原告及び被告の双方がこれを不服として控訴し、被告が受信機を設置した日の属する月の翌月である平成18年4月分から平成26年1月分までの未払受信料又は未払受信料相当額の支払等を求める請求に変更し、控訴審は、原告の主位的請求及び予備的請求1を棄却し、予備的請求2については認容し、これと一部異なる1審判決を変更し、被告の控訴を棄却したため、双方が上告した事案において、放送法64条1項は、同法に定められた原告の目的にかなう適正・公平な受信料徴収のために必要な内容の受信契約の締結を強制する旨を定めたものとして、憲法13条、21条、29条に違反しないとし、また、受信契約に基づき発生する受信設備の設置の月以降の分の受信料債権(受信契約成立後に履行期が到来するものを除く。)の消滅時効は、受信契約成立時から進行するものと解するのが相当であるなどとし、原告の請求のうち予備的請求2を認容すべきものとした控訴審の判断は、是認することができるとして、本件各上告を棄却した事例(補足意見、反対意見がある)。
2017.11.28
自己情報開示等請求控訴事件
(平成29年 4月19日東京地方裁判所(平成28年(ワ)第40585号)の控訴審)
LEX/DB25547493/東京高等裁判所 平成29年 8月31日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第2516号
被控訴人(被告)が運営する病院で診療を受けたことがある控訴人(原告)が、被控訴人に対し、個人情報の保護に関する法律25条1項に基づき、被控訴人が保有する控訴人に関する診療情報のうち、P4が持参した資料の開示を求め、原判決は、控訴人の開示請求には個人情報保護法25条1項1号の開示しないことができる事由があると認められ、被控訴人はP4が持参した資料を開示しないことができるとし、控訴人の請求を棄却したため、これに不服の控訴人が控訴した事案において、控訴人の本件請求は理由がなく、これを棄却した原判決は相当であるとし、控訴を棄却した事例。
2017.11.28
自己情報開示等請求事件
(平成29年 8月31日東京高等裁判所(平成29年(ネ)第2516号)の原審)
LEX/DB25547492/東京地方裁判所 平成29年 4月19日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第40585号
被告が運営する病院で診療を受けたことがある原告が、被告に対し、個人情報の保護に関する法律25条1項に基づき、被告が保有する原告に関する診療情報のうち、P4が持参した資料の開示を求めた事案において、原告の開示請求には個人情報保護法25条1項1号の開示しないことができる事由があると認められ、被告はP4が持参した資料を開示しないことができるとし、請求を棄却した事例。
2017.11.21
不当利得返還等請求事件 
LEX/DB25547429/東京地方裁判所 平成29年 9月13日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第17843号
被告から建物を賃貸している原告が、被告に対し、その建物の電気料金として原告が被告に支払った電気料金に過払があったと主張して、不当利得返還請求権に基づき、過払金の返還の支払等を求めた事案において、被告は、原告が被告に支払った電気料金と本件実費の差額分を法律上の原因なく利得し、原告は同額の損失を被ったものというべきであるとし、原告の請求を認容した事例。
2017.11.14
 
LEX/DB25547419/最高裁判所第三小法廷 平成29年 9月19日 決定 (上告審)/平成29年(受)第1223号
申立人(原告・控訴人)が不動産を購入するに当たり司法書士である相手方(被告・被控訴人)にその所有権移転登記手続を委任し、相手方において売主が登記義務者本人であることを確認すべき注意義務を負っていたのにこれを怠り、売主と称する者が持参した運転免許証等が偽造されたものであることを看過したことにより、同人に代金を詐取されるなどの損害を申立人に発生させたとして、不法行為又は債務不履行による損害賠償請求権に基づき損害賠償金の支払を求めたところ、第一審、控訴審とも請求をいずれも棄却したため、申立人が上告した事案において、上告審として不受理決定した事例。
2017.11.14
損害賠償請求控訴事件
(平成29年 4月26日横浜地方裁判所(平成27年(ワ)第3614号)の控訴審) 
LEX/DB25547421/東京高等裁判所 平成29年 9月20日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第2613号
亡Cの相続人である控訴人(原告)が、亡Cの成年後見人を務めた司法書士である被控訴人(被告)に対し、被控訴人には、金銭消費貸借契約の締結に当たって変動金利方式ではなく固定金利方式を選択した点で、成年後見人の職務遂行につき善管注意義務違反があり、これによって亡C及び亡Cを相続した控訴人に損害が生じたと主張して、不法行為に基づき、賠償金の支払等を求め、原審は、控訴人の請求を棄却したため、控訴人が控訴した事案において、被控訴人が固定金利方式を選択したことは成年後見人としての財産管理の裁量権の範囲内であって善管注意義務違反はないとし、控訴を棄却した事例。