注目の判例

民法(財産法)

2017.11.14
損害賠償請求事件
(平成29年 9月20日東京高等裁判所(平成29年(ネ)第2613号)の原審) 
LEX/DB25547420/横浜地方裁判所 平成29年 4月26日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第3614号
亡Cの相続人である原告が、亡Cの成年後見人を務めた司法書士である被告に対し、被告には、金銭消費貸借契約の締結に当たって変動金利方式ではなく固定金利方式を選択した点で、成年後見人の職務遂行につき善管注意義務違反があり、これによって亡C及び亡Cを相続した原告に損害が生じたと主張して、不法行為に基づき、賠償金の支払等を求めた事案において、被告に成年後見人の職務遂行につき善管注意義務違反があったとは認められないとして、請求を棄却した事例。
2017.11.07
損害賠償請求事件 
LEX/DB25448968/最高裁判所第二小法廷 平成29年10月23日 判決 (上告審)/平成28年(受)第1892号
上告人(未成年者の保護者)が、被上告人(通信教育等を目的とする会社)において、その管理していた上告人の個人情報を過失によって外部に漏えいしたことにより精神的苦痛を被ったと主張して、被上告人に対し、不法行為に基づき、慰謝料の支払等を求め、原審は、漏えいにより、上告人が迷惑行為を受けているとか、財産的な損害を被ったなど、不快感や不安を超える損害を被ったことについての主張、立証がされていないとして、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案において、本件漏えいにより、上告人は、そのプライバシーを侵害されたといえるとし、原審の判断には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決を破棄し、本件漏えいについての被上告人の過失の有無並びに上告人の精神的損害の有無及びその程度等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例。
2017.10.31
債権差押命令申立て却下決定に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件 
LEX/DB25448955/最高裁判所第三小法廷 平成29年10月10日 決定 (許可抗告審)/平成28年(許)第46号
抗告人が、抗告人の相手方に対する元金及びこれに対する支払済みまでの遅延損害金の支払を内容とする金銭債権を表示した債務名義による強制執行として、債権差押命令の申立てをし、上記債務名義による強制執行として既に発せられた債権差押命令(前件差押命令)に基づく差押債権の取立てに係る金員が、前件差押命令の申立書に請求債権として記載されていなかった申立日の翌日以降の遅延損害金にも充当されるか否かが争われ、原審が債権差押命令申立て却下決定に対する執行抗告を棄却決定したため、抗告人が許可抗告した事案において、本件取扱いに従って債権差押命令の申立てをした債権者が当該債権差押命令に基づく差押債権の取立てとして第三債務者から金員の支払を受けた場合、申立日の翌日以降の遅延損害金も上記金員の充当の対象となると解され、原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原決定を破棄し、本件申立てを却下した原々決定を取り消した上、本件を原々審に差し戻した事例。
2017.10.24
発信者情報開示仮処分命令申立事件 
LEX/DB25547114/東京地方裁判所 平成29年 8月30日 決定 (第一審)/平成29年(ヨ)第1552号
歯科医院を運営する医療法人社団である債権者が、「Googleマップ」という名称の口コミを書き込むことができるサイトを管理・運営する法人である債務者に対し、本件サイトに書き込まれた本件歯科医院の記事により債権者の名誉権が侵害されていると主張し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づく発信者情報開示請求権を被保全権利として、情報の開示を求めた事案において、本件について権利侵害の明白性の要件を一応認めることはできないから、被保全権利があることを一応認めることはできないとして、本件申立てを却下した事例。
2017.09.26
廃止負担金請求事件
LEX/DB25448903/最高裁判所第一小法廷 平成29年 9月14日 判決 (上告審)/平成28年(受)第1187号
大阪府が営む工業用水道事業に係る条例に基づき、府との間で給水契約を締結して工業用水道を使用していたところ、上記条例の改正により、工業用水道の使用者がその使用を廃止したときは負担金を納付しなければならない旨の規定が設けられたところ、被上告人は工業用水道の使用を廃止したことより、府から上記事業を承継した一部事務組合である上告人が、被上告人に対し、上記給水契約に基づく負担金の支払を求め、原審は、本件廃止負担金が分担金に当たるとして、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案において、本件廃止負担金は、地方自治法224条、228条1項にいう分担金に当たらないというべきであり、条例で定めなければならないものということはできないとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、被上告人に本件規定が適用されるか等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例。
2017.09.19
慰謝料請求控訴事件
(平成29年3月13日仙台地方裁判所(平成28年(ワ)第351号)の控訴審)
LEX/DB25546535/仙台高等裁判所 平成29年 8月10日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第139号
妻である原告(控訴人)が、夫である被告(被控訴人)に対し、被告が、〔1〕cと不貞行為をした、〔2〕その後原告に対して不貞行為を一旦は止めると約束しながら原告に隠れてこれを続け、原告がそれを指摘するとcと示し合わせて不貞行為に及んだことを否定し、更に原告から不貞行為を指摘されてこれを止めるよう注意されたことに立腹して自宅を出て所在を隠した、〔3〕被告が代表者を務めるI社(訴外会社)が新事務所に移転した際、同社で経理等の事務に従事していた原告に対し、罵詈雑言を浴びせるなどした、〔4〕原告に対し、平成23年6月まで生活費として月額40万円を支払っていたが、その後、原告に無断で減額した額の生活費しか支払わなかった、〔5〕原告に対し、東日本大震災で損傷した自宅建物を補修すると約束し、また国からの補助金等が交付されたにもかかわらず、上記補修工事をせずに放置したことがそれぞれ不法行為に当たるとして、損害賠償金等の支払を求めたところ、原審は、原告の主張のうち、慰謝料請求を150万円の限度で一部認容したため、原告が、原判決中控訴人敗訴部分を不服として控訴した事案において、原判決を変更し、原告の請求を慰謝料200万円の限度で一部認容した事例。
2017.09.19
慰謝料請求事件
(平成29年8月10日仙台高等裁判所(平成29年(ネ)第139号)の原審) 
LEX/DB25546534/仙台地方裁判所 平成29年 3月13日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第351号
妻である原告が、夫である被告に対し、被告が不貞行為をしたことなどが不法行為に当たるとして、慰謝料の支払等を求めた事案において、被告がcと不貞行為を行ったことは、原告に対する不法行為に当たるものと認め、原告の請求を一部認容した事例。
2017.09.12
診療報酬請求控訴事件 
LEX/DB25546501/東京高等裁判所 平成29年 7月20日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第266号
交通事故により受傷した1審相被告Eの治療を行った病院を経営する控訴人(原審原告)が、損害保険会社である被控訴人(原審被告)に対し、〔1〕主位的に、債務弁済契約又は一括払契約に基づく直接払の合意に基づき、診療報酬の支払等を求めるとともに、〔2〕予備的に、被告が原告に対し事前に告知しないまま1審被告Eへの保険金の支払をし、控訴人の診療報酬の回収の機会を喪失させたことが不法行為を構成すると主張して、診療報酬相当額の損害賠償金の支払等を求めたところ、原審は、控訴人が主位的請求として主張する本件債務弁済契約又は本件一括払合意の成立は認められず、また、予備的請求として主張する不法行為の成立も認められないとして、控訴人の被控訴人に対する請求をいずれも棄却したため、控訴人が控訴した事案において、控訴人の主張する不法行為の成立を認めることはできず、控訴人の予備的請求は理由がないとし、原判決は相当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2017.09.12
慰謝料請求事件 
LEX/DB25546464/名古屋地方裁判所 平成29年 3月31日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第4413号
原告が、被告に対し、被告が原告の夫cと不貞行為を繰り返してきたとして、不法行為に基づく損害賠償請求として、慰謝料等の支払を求めた事案において、少なくとも原告とcとの婚姻関係が破綻していると被告が認識したことについての過失があるとし、また、被告は、約5年間、cと継続的に不貞関係を持っていたことが認められ、原告がこれによって精神的苦痛を被ったとして、原告の請求を一部認容した事例。
2017.08.29
損害賠償請求控訴同附帯控訴事件
LEX/DB25546389/名古屋高等裁判所 平成29年 6月 1日 判決 (控訴審)/平成27年(ネ)第983号 等
被告会社(被控訴人兼附帯控訴人)が所有し、一審相被告cが運転する普通貨物自動車が、原告(控訴人兼附帯被控訴人)が同乗し、dが運転する普通乗用自動車に追突した交通事故について、原告が、被告会社及びcに対し、本件事故により高次脳機能障害、脳脊髄液減少症、胸郭出口症候群に罹患し後遺障害が残存した等と主張して、一審相被告cに対し民法709条、被告会社に対し民法715条及び自動車損害賠償保障法3条に基づき、連帯して、損害賠償金の支払等を求め、原判決は、原告の請求につき、一部認容、一部棄却したため、原告が控訴し(当審において請求を拡張し、また、cに対しては、その後控訴を取り下げた。)、被告会社が附帯控訴した事案において、原告の控訴に基づき、原判決の認容額を増額した形で変更し、その余の請求(当審における請求拡張部分を含む)を棄却し、被告の附帯控訴を棄却した事例。
2017.08.22
損害賠償請求控訴事件(アイドルのライブ オタ芸が迷惑 観客敗訴)
LEX/DB25546104/大阪高等裁判所 平成29年 4月27日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第2617号
原告(控訴人)が、被告ら(被控訴人)に対し、アイドルグループgの一員である被告dらの生演奏の途中で大きな掛け声があり、演奏が聞き取れなかったことにつき、被告らは、gによる生演奏及びダンスを鑑賞するのに最適な環境を整える契約上の債務に違反するなどと主張して、損害賠償を求めたところ、一審で請求が棄却されたため、控訴した事案において、本件コンサートは、観客によるかけ声を全く許さないという前提で行われたものではないから、かけ声の程度を考慮しても、被告会社らは、本件コンサートにおいて、観客である原告に対し、演奏を鑑賞させるという本件コンサート契約所定の債務を履行したものと認めるのが相当であるとし、控訴を棄却した事例。
2017.08.01
過払金返還請求事件
「新・判例解説Watch」H29.11月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448802/最高裁判所第一小法廷 平成29年 7月24日 判決 (上告審)/平成28年(受)第1463号
Aの破産管財人である被上告人(一審原告・控訴人)が、貸金業者である上告人(一審被告・被上告人)に対し、Aと上告人との間の継続的な金銭消費貸借取引に係る各弁済金のうち利息制限法所定の制限利率により計算した金額を超えて支払った部分を元本に充当すると過払金が発生していると主張して、不当利得返還請求権に基づき、過払金の返還等を求め、一審が被上告人の請求を棄却し、控訴審が被上告人の請求を認容したため、上告人が上告した事案において、本件では上記の過払金等について、司法書士法3条2項各号のいずれにも該当する司法書士である上告補助参加人がAを代理して上告人との間で従前締結した裁判外の和解契約の効力が争われているところ、認定司法書士が委任者を代理して裁判外の和解契約を締結することが弁護士法72条に違反する場合であっても、当該和解契約は、その内容及び締結に至る経緯等に照らし、公序良俗違反の性質を帯びるに至るような特段の事情がない限り、無効とはならないとした上で、本件和解契約の内容、その締結に至る経緯をみても、補助参加人は、Aに対し、本件取引に係る過払金の額を説明し、Aの理解を得た上で、Aの意向に沿った内容の本件和解契約を締結したというのであって、特段の事情はうかがわれず、本件和解契約を無効ということはできないとし、被上告人の請求を認容した原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決を破棄し、被上告人の控訴を棄却した事例。
2017.07.25
 「新・判例解説Watch」H29.9月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448736/東京高等裁判所 平成29年 5月31日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第5233号
被控訴人(原審原告)が、家具家電付き賃貸物件に入居し、控訴人(原審被告。NHK)との間で放送の受信契約を締結して受信料を支払ったものの、被控訴人は放送法64条1項の「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」に当たらないから、本件受信契約は公序に反して無効であると主張して、1か月分の受信料1310円を請求したところ、請求が一部認容されたため、控訴人が控訴した事案において、放送法64条1項の「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」とは、受信設備を物理的に設置した者だけでなく、その者から権利の譲渡を受けたり承諾を得たりして、受信設備を占有使用して放送を受信することができる状態にある者も含まれると解されるとし、原判決中控訴人敗訴部分を取り消し、被控訴人の請求を棄却した事例。
2017.07.11
不当利得返還請求控訴事件(共通錯誤に基づく無効を認める判例) 
「新・判例解説Watch」H29.8月中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25545767/大阪高等裁判所 平成29年 4月27日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第57号
原告(控訴人)が、被告(被控訴人)から購入したゴルフ会員権の退会手続をとったところ、同ゴルフ場運営者から被告に同会員権の預託金が送金され、被告がこれを不当に利得したと主張して、被告に対し、不当利得返還請求権に基づき金員の返還を求めたところ、原審が請求を棄却したため、原告が控訴した事案において、原判決は相当であるとして、控訴を棄却した事例。
2017.07.11
不当利得返還請求事件
(平成29年4月27日大阪高等裁判所(平成29年(ネ)第57号)の原審) 
LEX/DB25545766/大阪地方裁判所 平成28年11月29日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第7286号
原告が、被告から購入したゴルフ会員権の退会手続をとったところ、同ゴルフ場運営者から被告に同会員権の預託金が送金され、被告がこれを不当に利得したと主張して、被告に対し、不当利得返還請求権に基づき金員の返還を求めた事案において、請求を棄却した事例。
2017.06.27
損害賠償請求事件  
LEX/DB25545773/静岡地方裁判所浜松支部 平成29年 4月24日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第403号
歯科医師として歯科医院を開業している原告が、被告会社で行っていた信用取引は、適合性原則違反、実質一任売買又は過当取引に当たる違法なものであったと主張して、被告らに対し、被告会社の従業員である被告担当者については民法709条及び719条に基づき、被告会社については民法715条に基づき、連帯して、損害賠償金の支払を求めた事案において、被告担当者は、本件信用取引全体に対して共同不法行為責任を負い、被告会社は、被告担当者の使用者として使用者責任を負うとして、請求額を減額したうえで、一部認容した事例。
2017.05.30
債権差押命令取消及び申立て却下決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件 
LEX/DB25448653/最高裁判所第二小法廷 平成29年 5月10日 決定 (許可抗告審)/平成28年(許)第26号
輸入業者である抗告人から依頼を受けてその輸入商品に関する信用状を発行した銀行である相手方が、抗告人につき再生手続開始の決定がされた後、上記輸入商品に対する譲渡担保権に基づく物上代位権の行使として、抗告人が転売した上記輸入商品の売買代金債権の差押えを申し立てた事案の上告審において、本件商品の輸入について信用状を発行した銀行である相手方は、抗告人から占有改定の方法により本件商品の引渡しを受けたものと解するのが相当であるとした上で、相手方は、抗告人につき再生手続が開始した場合に本件譲渡担保権を別除権として行使することができるというべきであるから、譲渡担保権に基づく物上代位権の行使として、本件転売代金債権を差し押さえることができるとし、原審の判断を是認することができるとして抗告を棄却した事例。
2017.05.30
損害賠償請求控訴事件 
LEX/DB25545520/東京高等裁判所 平成29年 3月23日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第2387号
被控訴人(原審原告)が、控訴人(原審被告)に対し、控訴人が運営する病院で、看護師が、甲状腺右葉半切除手術の準備として被控訴人の左前腕に点滴ルートを確保するために、被控訴人の左手関節から4ないし5センチメートル付近に末梢静脈留置針を穿刺した際、同看護師が十分な注意を払わなかったなどの過失があり、被控訴人は、橈骨神経浅枝の損傷を受け、複合性局所疼痛症候群(CRPS)を発症し、後遺障害を負ったなどと主張して、不法行為又は債務不履行に基づき、損害賠償金等を請求したところ、原審は、穿刺行為を行った看護師の過失を認め、これにより被控訴人はCRPSに罹患したなどとして、被控訴人の請求を一部認容したため、控訴人がこれを不服として控訴した事案において、原判決が判断した損害賠償金を減額することで変更し、その余の被控訴人の請求を棄却した事例。
2017.05.09
損害賠償請求事件、同反訴事件 
LEX/DB25545412/広島地方裁判所 平成29年 2月28日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第936号 等
原告が、被告に対し、被告運転の自動車によって交通事故に遭ったとの理由で、不法行為による損害賠償金等の支払を求め(本訴請求)、被告が、原告に対し、同事故から2週間程度後以降に原告が負ったとする治療費、施術費は、不要な支出であり、原告が損害拡大防止義務に違反して被告に損害賠償させたものであって、不法行為による損害賠償請求権又は不当利得返還請求権に基づき(選択的請求)既払額の一部金の支払等を求めた(反訴請求)事案において、過失割合は、原告が5%、被告が95%であるとし、原告の本訴請求は、被告に対し、請求額を減額したうえで一部認容し、被告の反訴請求は、原告が信義則上の義務に違反し、被告に賠償させたことについて不法行為責任を負うというべきであるとして、全部認容した事例。
2017.04.04
損害賠償等請求事件 
「新・判例解説Watch」H29.6月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448466/神戸地方裁判所 平成29年 2月 9日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第1195号
被告の運営する保育園の近隣に居住する原告が、園児が園庭で遊ぶ際に発する声等の騒音が受忍限度を超えているなどと主張し、被告に対し、不法行為による損害賠償を求めるとともに、人格権に基づき、保育園の敷地境界線上において保育園からの騒音が50dB(LA5)以下となるような防音設備の設置を求めた事案において、原告が保育園からの騒音により精神的・心理的不快を被っていることはうかがえるものの、原告宅で測定される保育園の園庭で遊戯する園児の声等の騒音レベルが、未だ社会生活上受忍すべき限度を超えているものとは認められず、不法行為を基礎づける程度の違法があるということはできないとして、原告の請求を棄却した事例。