注目の判例

民法(財産法)

2016.11.01
放送受信料請求事件 
LEX/DB25543802/奈良地方裁判所 平成28年 9月23日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第3号
原告(NHK)が、被告との間の放送受信契約に基づき、被告に対し、平成24年12月1日から平成27年9月30日までの放送受信料4万3980円及びこれに対する約定遅延損害金の支払を求めた事案において、放送法4条1項に定める放送内容に関する義務は、原告が個々の契約者との関係で放送受信契約に基づき負担する義務ではなく、放送に際して一般的抽象的に負担する義務であるというべきであり、上記義務は、被告が負担する放送受信料支払義務と牽連関係にないものと解するのが相当であるなどとして、原告の請求を認容した事例。
2016.11.01
損害賠償請求事件 
LEX/DB25543808/福島地方裁判所 平成28年 5月24日 判決 (第一審)/平成22年(ワ)第17号
福島県知事から産業廃棄物処理施設の設置許可を受けた原告(産業廃棄物処理会社)が、被告水利組合、被告A、被告B、被告Cに対し、被告らが福島地方裁判所相馬支部に対して原告を債務者とする上記産業廃棄物処理施設の建設工事の続行差止めを求める仮処分の申立てを違法に行い、上記建設工事の続行を禁止する仮処分命令が発令されたため、原告が1518日間にわたって事業の停滞を余儀なくされ、事業停滞期間の借地料、一般経費及び利益金の運用収益の合計4億3404万8616円の損害を被ったと主張して、被告らの共同不法行為に基づき、連帯して上記損害及び内金3159万3510円につき平成20年3月26日から、内金917万8705円につき平成20年3月26日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに、被告B以外の被告に対し、処分場設置につき同意をしたにもかかわらず、これを撤回し反対運動を行ったことが債務不履行に該当するとして、同額の支払を求めた事案において、被告らが上記仮処分申立てを行ったことに過失があると認めることはできず、また、被告ら(被告Bを除く。)が本件同意に反して仮処分申立てを行ったとしても、それにより債務不履行責任が生じるとも認めることができないこととし、原告の請求をいずれも棄却した事例。
2016.09.27
放送受信契約締結義務不存在確認請求事件(ワンセグ携帯 NHK受信料巡る判決) 
LEX/DB25543507/さいたま地方裁判所 平成28年 8月26日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第1802号
原告は、自己の所有するワンセグ機能付き携帯電話を一定の場所に設置しておらず、携帯しているにすぎないから、原告は放送法64条1項本文の「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」に該当しない、仮に、該当するとしても、原告は本件携帯電話を被告の放送を視聴する目的で所有してはいないから、本件携帯電話は同項ただし書きの「放送の受信を目的としない受信設備」に該当すると主張して、原告が、被告(NHK)に対し、被告の放送の受信契約を締結する義務が存在しないことの確認を求めた事案において、放送法64条1項の「設置」を受信設備を使用できる状態に置くことと解することはできず、本件携帯電話を携帯するにすぎない原告は「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」に該当しないというべきであるとして、原告の請求を認容した事例。
2016.09.20
損害賠償請求事件 
LEX/DB25448140/最高裁判所第三小法廷 平成28年 9月 6日 判決 (上告審)/平成27年(受)第766号
上告人(不動産賃貸業等を目的とする株式会社)は、被上告人Y1社(総合コンサルティング業等を目的とする会社)との間で、被上告人Y1社の営業のために出資をする旨の匿名組合契約を締結し、被上告人Y2(被上告人Y1社の代表取締役)、被上告人Y3(Y2の弟)で、上告人が、被上告人Y1社への出資金が被上告人Y2及び被上告人Y3と上告人との利益が相反する取引に充てられて損害を被ったなどと主張して、被上告人ら各自に対し、不法行為に基づき、1億6500万円の損害賠償金及び遅延損害金の支払を求めるとともに、選択的に、被上告人Y1社に対しては債務不履行に基づき、被上告人Y2に対しては会社法429条1項に基づき、上記と同額の損害賠償金及び遅延損害金の支払を求め、原審は、上告人の被上告人ら各自に対する1億6500万円の損害賠償金及び遅延損害金の支払請求をいずれも棄却したため、上告人が上告した事案において、原判決中、上告人の被上告人ら各自に対する1億6500万円及びこれに対する金員の支払請求に関する部分を破棄し、承諾の有無等について更に審理を尽くさせるため、前記部分につき本件を原審に差し戻しを命じた事例(補足意見がある)。
2016.09.20
損害賠償請求控訴事件(道陥没賠償訴訟 津市の責任否定 逆転判決)
LEX/DB25543480/名古屋高等裁判所 平成28年 7月28日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第329号
訴外P4が所有する原判決別紙物件目録記載1及び2の土地陥没事故が発生し、P4がP4土地上に所有する建物に居住できなくなったところ、原告(被控訴人。建築工事請負会社)が、土地陥没事故は、P4土地を含む区域の開発許可に係る被告(控訴人。津市)の過失又は土地陥没事故を誘引した付近の道路の陥没事故に関する道路の設置又は管理の瑕疵によるものであるから、P4は控訴人に対して国家賠償法1条1項又は国家賠償法2条1項に基づく損害賠償請求権を有するとして、P4から譲り受けた同請求権を行使し、被告に対し、建物の建築請負代金等相当額及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、原判決は、津市長等が、都市計画法33条1項7号所定の「安全上必要な措置」が講ぜられるように設計されているか否かを審査すべき職務上の注意義務に反し、実質的な審査を行うことなく漫然と開発許可を行い、都市計画法36条に基づく工事完了検査の際にも、上記措置が講ぜられたものであることを確認すべき義務を怠って漫然と検査済証を交付した結果、同法が要請する宅地の安全性の水準に達しない開発行為が行われ、各陥没事故の発生を招いたというべきである旨判示するとともに、原告の権利濫用又は過失相殺の抗弁を排斥して、被告に対し、建物の建築請負代金等相当額及びこれに対する遅延損害金の支払を命じたため、被告が控訴した事案において、津市長等が道路陥没事故を予見することができないとして、津市長等の職務上の注意義務違反はないとし、また、被告には、道路の設置・管理に瑕疵があったとも認められないとして、原判決を取り消し、原告の請求を棄却した事例。
2016.09.20
損害賠償請求控訴事件(医療訴訟 遺族逆転勝訴) 
LEX/DB25543338/東京高等裁判所 平成28年 5月26日 判決 (控訴審)/平成27年(ネ)第3174号
分娩のために病院を受診し、治療中に死亡した亡Aの相続人(夫及び母)である控訴人らが、亡Aの死は、同病院の担当医師の治療行為上の過失に基づくものである旨を主張して、同病院を運営する被控訴人厚生農業協同組合連合会に対しては診療契約上の債務不履行又は不法行為(使用者責任)に基づき、同病院の担当医師である被控訴人らに対しては不法行為に基づき、損害賠償の支払を求めた事案の控訴審において、亡Aは常位胎盤早期剥離を契機とする産科DICが主たる原因となって死亡したものと認めるのが相当であるところ、担当医師らの過失(常位胎盤早期剥離発症時における産科DIC防止に関する過失、ショックに対する治療に関する過失、出血量チェック及び輸血に関する過失)がなかったならば、亡Aは適時に輸血等の抗ショック治療受け、産科DIC対策が行われて救命できたものであり、上記過失と亡Aの死亡結果との間には因果関係があるとして、原告らの請求を一部認容した事例。
2016.09.13
損害賠償請求事件(安愚楽牧場 元役員らに賠償命令) 
LEX/DB25543254/大阪地方裁判所 平成28年 5月30日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第11451号
原告らが、Aとの間で、Aが所有又は管理する黒毛和種の繁殖牛を購入すると同時にその飼養を委託するという黒毛和種牛・飼養委託契約を締結し、一定期間後にAが原告らから同繁殖牛を再売買するという合意のもと、購入及び委託代金を支払ったところ、Aが破綻したために再売買をして代金の支払を受けることができなかったことにつき、本件契約は特定商品預託法4条1項及び出資法2条1項に違反して違法である、又はAが原告らに対し、本件契約締結時にAが債務超過であることやAが所有又は管理する繁殖牛が本件契約頭数を大幅に下回ること等を説明しなかったことが説明義務違反に当たり、いずれも不法行為に該当するところ、被告らには、Aの経営に必要不可欠な関連会社として、又はA若しくはその関連会社の役員として、Aの前記不法行為に積極的に加担し、又は援助助長した点に注意義務違反及び任務懈怠があったとして、被告らに対し、共同不法行為(民法719条1項)及び会社法429条1項に基づき損害賠償金の支払を求めた事案において、Aの監査役及び取締役に対する請求を一部認容し、その余の請求を棄却した事例。
2016.09.06
損害賠償請求事件(日本振興銀行元会長に5億円賠償命令) 
LEX/DB25543331/東京地方裁判所 平成28年 5月19日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第23844号
整理回収業務を行う原告が、破綻したN銀行の取締役であった被告に対しN銀行が平成22年3月に実行したSMEGへの融資について,被告がそれを承認し実行させたことには善管注意義務違反、忠実義務違反があり、当該義務違反行為にN銀行には10億5009万2056円の損害が発生したが、原告は、かかる損害賠償請求債権をN銀行から譲り受けたとして、会社法423条に基づき、上記損害金の一部である5億円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、被告は、SMEGの経営状況、資産状態等について十分な調査、検討を行うことなく、その安全性について十分な確認をしないまま本件融資を承認したものであり、この点からしても、被告には善管注意義務違反,忠実義務違反が認められるとして、原告の請求を認容した事例。
2016.08.23
損害賠償請求事件(第1事件、第2事件)(野外ライブで落雷死亡 主催者に責任認めず) 
LEX/DB25543324/大阪地方裁判所 平成28年 5月16日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第7807号 等
原告らが、コンサートの企画等を業とする被告らに対し、実質的に被告らが主催する音楽イベントの会場付近で、原告らの娘であるP6が落雷により死亡した事故について、被告らには亡P6を落雷の危険から保護すべき義務の違反ないし債務の不履行等があったと主張して、共同不法行為又は債務不履行に基づき、原告らそれぞれにつき4089万1265円及びこれに対する遅延損害金の支払(被告らは連帯)を求めた事案において、被告らに、上記落雷事故につき亡P6に対する注意義務違反又は債務不履行があったとは認められないとして、原告らの請求を棄却した事例。
2016.08.23
発信者情報開示請求事件(「他人に成り済まされない権利」 アイデンティティー権 認定) 
LEX/DB25543323/大阪地方裁判所 平成28年 2月 8日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第10086号
第三者が原告になりすましてインターネット上の掲示板に投稿したことによりアイデンティティ権、プライバシー権ないし肖像権を侵害され、又は、名誉を毀損されたとする原告が、上記投稿をした者(発信者)に対する損害賠償請求権の行使のために、発信者にインターネットサービスを提供した被告に対し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づき、発信者の氏名又は名称、住所及び電子メールアドレスの開示を求めた事案において、上記投稿により原告の権利が侵害されたことが明らかであると認めることはできないとして、原告の請求を棄却した事例。
2016.08.09
保証債務履行請求控訴事件(融資後に反社会的勢力と判明 信用保証協会に保証命令) 
LEX/DB25543072/東京高等裁判所 平成28年 5月26日 判決 (差戻控訴審)/平成28年(ネ)第464号
控訴人(H信用金庫)が、A社及びB社に貸し付けた金銭債権について信用保証をした被控訴人(K協会)に対し、主位的請求として保証契約に基づき、貸金残元金、未払利息及び未払遅延損害金等の支払を求め、予備的に被控訴人において反社会的勢力を主債務者とする保証契約を締結しないように注意すべき義務を怠ったことにより、控訴人は回収不能となった貸金相当額について不法行為に基づく損害賠償を請求した事案の控訴審において、本件各保証の締結当時において、反社会的勢力対応部署を整備して一元的な管理態勢を構築すること、融資に伴う審査等の通常業務の中で、主債務者及びその関係者について反社会的勢力でないかどうかを調査、確認すること等が金融機関において求められていたといえるから、これらの方法を用いて反社会的勢力か否かの調査を行うことは一般的に行われている調査方法に含まれていたとして、原判決を取り消し、控訴人の主位的請求を認容した事例。
2016.08.09
請負代金等請求本訴事件(本訴事件)、違約金請求反訴事件(反訴事件)
(F15戦闘機契約解除を巡り 違約金支払い命令) 
LEX/DB25543078/東京地方裁判所 平成28年 3月18日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第24885号 等
原告(T社)が、被告(国)に対し、F-15戦闘機を母体とする偵察機を用いた偵察システムを構成する装置等を調達することを内容とする請負契約に基づきDBRP(光学・赤外線偵察ポッド)を製造して被告に納入する義務が被告の帰責事由により履行不能になったと主張して、危険負担の債権者主義に基づき、DBRPの代金の支払を求めた(本訴請求)事案と、被告が、原告に対し、上記偵察システム等契約は、原告が同意内容どおりのDBRPを製造しなかったため、原告の帰責事由によりその全部が履行不能により解除されたと主張して、違約金の支払を求めた(反訴請求)事案において、DBRPを被告に納入する義務が履行不能になったことにつき、原告に帰責事由があり、当該債務不履行を理由に、上記偵察システム等契約は解除されたとして、本訴請求を棄却し、反訴請求を認容した事例。
2016.08.02
損害賠償請求控訴、同附帯控訴事件 
LEX/DB25543016/高松高等裁判所 平成28年 4月25日 判決 (控訴審)/平成27年(ネ)第144号 等
1審被告在特会の会員らである1審被告らが、1審原告らを抗議対象者とする街頭宣伝活動を行った際、1審原告組合の事務所内に住居侵入の上、1審原告bらの執務する事務所内において、拡声器を用いて大音量による示威活動を行い、1審被告fにおいてその映像をインターネットを通じて公開したことなどについて、1審原告組合が、上記示威活動等やその映像をインターネットで公開する行為は、業務を妨害し、名誉を毀損する不法行為に該当すると主張して、1審被告在特会に対しては民法715条1項に基づき、1審被告dらに対しては民法709条、民法719条1項に基づき、損害賠償を求めた等の事案において、1審原告bは、本件各示威行動等やその映像をインターネット上で公開するという不法行為により、私生活の平穏・人格権を侵害されるとともにその名誉を毀損され、外傷後ストレス障害に罹患した等として、1審原告らの控訴に基づき、原判決を変更した事例。
2016.07.19
清算金請求事件(民事再生手続開始後の3者間相殺無効) 
LEX/DB25448048/最高裁判所第二小法廷 平成28年 7月 8日 判決 (上告審)/平成26年(受)第865号
再生手続開始の決定を受けた上告人(原告・控訴人。証券会社)が、被上告人(被告・被控訴人。信託銀行)との間で基本契約を締結して行っていた通貨オプション取引等が平成20年9月15日に終了したとして、上記基本契約に基づき,清算金11億0811万1192円及び約定遅延損害金の支払を求め、被上告人は、上記再生手続開始の決定後、自らと完全親会社を同じくする他の株式会社が上告人に対して有する債権(再生債権)を自働債権とし、上告人が被上告人に対して有する上記清算金の支払請求権を受働債権として上記基本契約に基づく相殺をしたことにより、上記清算金の支払請求権は消滅したなどと主張し、原審が本件清算金債権は本件相殺によりその全額が消滅したと認め、原告の請求を棄却したため、上告人が上告した事案において、本件相殺が民事再生法92条により許容されるとした原審の判断には法令違反があるとして、原判決を変更し、上告人の請求は、被上告人に対し、清算金4億3150万8744円並びに期限前終了日である平成20年9月15日から同年10月1日までの確定約定遅延損害金16万6841円及び上記清算金に対する同月2日から支払済みの前日まで2%を365で除した割合を日利とする各日複利の割合による約定遅延損害金の支払を求める限度で認容し、その余の請求は棄却した事例(補足意見がある)。
2016.07.05
共有物分割請求控訴事件 
LEX/DB25542989/東京高等裁判所 平成27年 1月28日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第4929号
原告(控訴人)らが、被告(被控訴人)に対して、原告ら及び被告3名の共有に係る土地建物(原告Aの持分60分の43、原告Bの持分60分の15、被告の持分60分の2)について、被告の持分を原告らに取得させて、その価格を原告らに賠償させる全面的価格賠償の方法による分割を求めたところ、原判決は、共有物分割の方法として形式的競売の方法による分割を命じたことから、原告らがこれを不服として控訴した事案において、上記土地建物に係る被告の持分30分の1を原告らにそれぞれ60分の1ずつ取得させ、原告らが被告に対してそれぞれ59万5834円ずつの価格賠償をするという全面的価格賠償の方法によることが相当であるとし、これと異なる原判決を変更し、原告らの控訴を認容した事例。
2016.06.14
損害賠償等本訴請求事件、請負代金反訴請求事件
(ゴミ焼却施設訴訟 京都市VS住友重機械工業(株)) 
「新・判例解説Watch」H28.8下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25542802/京都地方裁判所 平成28年 5月27日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第802号 等
原告と被告との間で締結された焼却灰溶融施設のプラント設備に関する工事請負契約について、請負人である被告が、期限までにプラントの工事を完成させ、注文者である原告に引き渡すことが不可能となり、原告が、被告に対し、請負契約を解除するとの意思表示をするとともに、原告及び被告の間では、プラント全体の解体撤去、損害賠償に関する合意が成立したと主張して、主位的に〔1〕解体撤去合意に基づく解体撤去請求又は請負契約の解除に基づく原状回復請求とし、プラント全体の解体撤去を求め、〔2〕賠償合意又は債務不履行(履行不能)に基づき、損害賠償金の支払を求め、〔3〕賠償合意に基づく損害賠償請求、請負契約の解除に基づく原状回復請求又は債務不履行(履行不能)に基づく損害賠償請求として既払請負代金の支払を求め、〔4〕前記〔1〕のプラント全体の解体撤去請求について、予備的に、請負契約の解除に基づく現状回復請求又は債務不履行に基づく損害賠償請求として、プラント全体の解体撤去費用相当額の損害賠償金をそれぞれ請求(本訴)した事案、また、原告による請負契約の解除は無効であり、原告は、被告のプラントの工事の進捗を妨害し、そのために被告の債務の履行ができなくなったと主張し、被告が原告に対し、民法536条2項に基づき、請負残代金の支払を請求(反訴)した事案において、原告の被告に対する本訴請求及び被告の原告に対する反訴請求は、いずれも理由がないとして、原告の本訴請求及び被告の反訴請求を棄却した事例。
2016.06.07
損害賠償等請求事件 
LEX/DB25447929/東京地方裁判所 平成28年 4月28日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第18469号
原告が、新聞社である被告に対し、被告が発行する新聞の記事に原告の執筆したブログの一部を引用したことが原告の複製権及び同一性保持権の侵害に当たるとともに、原告を取材せずに記事を掲載した行為が不法行為に当たると主張して、損害賠償等を求めた事案において、上記原告記事と被告記載1及び2が表現上共通するのは「重力波と想定される」「波動による(もの)」との部分のみであるが、この部分はEMの効果に関する原告の学術的見解を簡潔に示したものであり、原告の思想そのものということができるから、著作権法において保護の対象となる著作物に当たらないと解するのが相当であるとし、請求を棄却した事例。
2016.06.07
保証債務請求控訴、同附帯控訴事件
(反社会勢力的勢力への融資が後で判明 差し戻し審も保証有効) 
LEX/DB25542672/東京高等裁判所 平成28年 4月14日 判決 (差戻控訴審)/平成28年(ネ)第465号
主債務者(E建設)から信用保証の委託を受けた控訴人と保証契約を締結していた被控訴人が、控訴人に対し、同契約に基づき、保証債務の履行を求め、被控訴人の融資の主債務者は反社会的勢力であり、控訴人は、〔1〕このような場合には保証契約を締結しないにもかかわらず、そのことを知らずに同契約を締結したものであるから、同契約は要素の錯誤により無効である、〔2〕被控訴人が保証契約に違反したから、控訴人と被控訴人との間の信用保証に関する基本契約の定める免責事由に該当し、控訴人は、上記保証契約に基づく債務の履行を免れると主張して,被控訴人の請求を争い、原判決は、上記〔1〕につき要素の錯誤は認められない、上記〔2〕につき免責事由に該当するとは認められないとして、被控訴人の請求を認容したので、控訴人がこれを不服として控訴し、被控訴人が附帯控訴して請求を拡張したところ、差戻し前の控訴審は、控訴を棄却するとともに、附帯控訴に基づき、上記の請求拡張部分を認容したため、控訴人が上告受理申立てをし、最高裁判所は、上告審として本件を受理し、上記〔1〕につき要素の錯誤はないが、上記〔2〕は、被控訴人及び控訴人は、上記基本契約上の付随義務として、個々の保証契約を締結して融資を実行するのに先立ち、相互に主債務者が反社会的勢力であるか否かについてその時点において一般的に行われている調査方法等に鑑みて相当と認められる調査をすべき義務を負い、被控訴人がこの義務に違反して、その結果、反社会的勢力を主債務者とする融資について保証契約が締結された場合には、本件免責条項にいう被控訴人が「保証契約に違反したとき」に当たるとして、この点について更に審理を尽くさせるため、差戻し前の控訴審判決を破棄し、高等裁判所に差戻した事案において、被控訴人の本訴請求は、附帯控訴による請求拡張分も含め理由があるとし、控訴を棄却し、附帯控訴を認容した事例。
2016.06.07
損害賠償請求控訴事件(認知症の男性転落死 施設に賠償命令 遺族側逆転勝訴) 
「新・判例解説Watch」H28.7下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25542671/東京高等裁判所 平成28年 3月23日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第5371号
原告(控訴人)らの父P5が、被告(被控訴人)が開設する介護老人保健施設の認知症専門棟に短期入所していたところ、2階食堂の窓から雨どい伝いに降りようとして地面に落下して死亡した事故で、原告らが、父P5の死亡は上記施設における安全配慮義務違反又は上記食堂の窓に係る瑕疵によるものである旨主張し、被告に対し、債務不履行又は不法行為(使用者責任若しくは工作物責任)に基づき、父P5に生じた損害のうち控訴人らの相続分に係る各1177万3741円及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、原審は、父P5が上記窓から外に出ることの予見は不可能であったなどとして、被告の責任を否定して原告らの請求を棄却したため、原告らが控訴した事案において、上記2階食堂の窓は、その設置又は保存に瑕疵があったというべきであり、ストッパーによる開放制限措置が通常有すべき安全性を欠いていたことと父P5の死亡との間に相当因果関係があることも認められ、原告らの請求を全て棄却した原判決は一部失当であるとして、原判決を変更した事例。
2016.05.31
損害賠償請求事件  
「新・判例解説Watch」H28.7下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25447956/札幌地方裁判所 平成28年 3月18日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第2188号
東日本大震災に伴い福島第一原子力発電所から放射性物質が放出される事故により福島県内における5店舗の閉店等を余儀なくされた原告が。福島第一原発を設置、運転していた被告に対し、原子力損害の賠償に関する法律3条1項本文に基づき、原子力損害として、〔1〕休業損害7077万3163円、〔2〕9年分(上記事故の10年後まで)の逸失利益10億0608万2962円、〔3〕違約金損害7195万1734円、〔4〕有形固定資産の損害4808万1616円及び弁護士費用5000万円の合計12億4688万9475円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、原告の請求は、〔1〕損害金元本1億8590万9472円と、〔2〕上記〔1〕に対する平成23年3月11日から平成26年5月16日までの確定遅延損害金の残額1648万5888円(〔1〕と〔2〕の合計は2億0239万5360円)、〔3〕上記〔1〕に対する平成26年5月17日から支払済みまでの遅延損害金の支払を求める限度で理由があるとして、請求を一部認容した事例。