注目の判例

民法(家族法)

2015.03.03
市町村長処分不服申立事件(裁判所ウェブサイト掲載事件の原審)
LEX/DB25505583/津家庭裁判所松坂支部 平成26年 3月24日 審判 (第一審)/平成25年(家)第911号
申立人らが、申立人夫婦の間に出生した申立人娘の出生届を松阪市に提出したところ、娘の名に「巫」の字があるが、戸籍法50条、戸籍法施行規則60条に定める文字ではないので、子の名に使用することはできないといわれたため、名を未定として出生届を提出し、その後、出生届の追完届を提出したが、同じ理由で不受理処分を受けたことから、相手方松阪市長に対し、出生届の追完届を受理するよう求めた市町村長処分不服申立ての事案において、「巫」の字をこの名前に使用したとしても、戸籍法50条が防止しようとする弊害を生じる事態を想定することは困難であり、同字は、社会通念上明らかに常用平易な文字に該当するとして、申立てを認め、市長に追完届の受理を命じた事例。
2015.02.03
(婚外子の相続格差規定合憲-00年5月時点)
LEX/DB25505524/最高裁判所第三小法廷 平成26年12月 2日 判決 (上告審)/平成26年(オ)第994号
亡αの相続人の1人である原告(控訴人・上告人)が、他の相続人被告(被控訴人・被上告人)Yが代表を務める被告会社(被控訴人会社・被上告人会社)に対し、亡αと被告会社との間の土地賃貸借契約に基づく未払賃料及び確定遅延損害金につき未払賃料、確定遅延損害金、不当利得返還請求権に基づき、被告会社において受領した固定資産税等の還付金及び還付加算金の支払を求め、また、被告Yに対し、不当利得返還請求権に基づき、亡αの預貯金から払い戻しを受けた金員の支払を求め、さらに被告会社に対し、不当利得返還請求権に基づき、被告会社において亡αの預貯金から払い戻しを受けて預かっている金員及び亡αの立て替えた被告会社に係る経費、亡αと被告会社との間の金銭消費貸借契約に基づく貸金の支払を求めたところ、第一審は原告の請求を一部認容したが、原告は敗訴部分を不服として控訴し、被告Yは、前記預貯金払戻金の不当利得返還請求に関する部分を不服として附帯控訴した控訴審では、原告の控訴を棄却し、当審における原告の請求の減縮により、被告Yの原告に対する請求額を変更し、当審における原告の拡張請求を棄却し、被告の附帯控訴を棄却したところ、原告が上告した事案において、平成12年5月当時、嫡出でない子の相続分を嫡出である子の相続分の2分の1と定めた平成25年法律第94号による改正前の民法900条4号ただし書前段の規定が憲法14条1項に違反するものではいとし、本件上告を棄却した事例。
2015.01.13
遺言書真正確認等(第1事件)、求償金等(第2事件)請求控訴事件(遺言書の手書きのサイン「花押」有効(控訴審))
LEX/DB25505300/福岡高等裁判所那覇支部 平成26年10月23日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第62号
第1事件は、被相続人亡αの次男である原告(被控訴人)が、αの長男である被告(控訴人)Y1及び三男である被告(控訴人)Y2に対し、αの遺言(遺言書1)により、αが所有していた本件土地の遺贈を受けたとして、本件土地の所有権に基づき、本件土地の所有権移転登記手続を求め、第2事件は、被告(控訴人)らが、原告(被控訴人)に対し、αの妻であったβの遺言(遺言書2)が、βが作成したものではないか原告の強迫又は欺罔行為によって作成したものであるとして、当該遺言が無効であることの確認を求めたところ、原審は、第1事件に係る原告の請求を認容し、第2事件に係る被告らの請求を棄却したため、被告らが控訴した事案において、被告らの控訴は理由がないとして、本件控訴を棄却した事例。
2015.01.13
遺言書真正確認等請求事件(第1事件)、求償金等請求事件(第2事件)(遺言書の手書きのサイン「花押」有効(第一審))
LEX/DB25505301/那覇地方裁判所 平成26年3月27日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第342号等
第1事件は、被相続人亡αの次男である原告が、αの長男である被告Y1及び三男である被告Y2に対し、αの遺言(遺言書1)により、αが所有していた本件土地の遺贈を受けたとして、本件土地の所有権に基づき、本件土地の所有権移転登記手続を求めた事案で、第2事件は、被告らが、原告に対し、αの妻であったβの遺言(遺言書2)が、βが作成したものではないか原告の強迫又は欺罔行為によって作成したものであるとして、当該遺言が無効であることの確認を求めた事案において、第1事件では、遺言書1はαの意思で作成し、遺言書1のαの花押は自筆証書遺言における押印と認められ、本件土地につき所有権移転登記手続を求めた原告の第1事件の請求を認容した。第2事件では、遺言書2はβが自筆して作成したものであると認めるのが相当であり、偽造によるものではないとし、遺言書2は有効であるとして、第2事件における被告らの請求を棄却した事例。
2014.09.22
親子関係不存在確認請求控訴事件(嫡出否認の訴えの出訴期間の違憲性(原審))
LEX/DB25504548/高松高等裁判所 平成25年11月21日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第270号
控訴人(一審原告)が、妻Aとの婚姻中に出生した被控訴人(一審被告)両名に対し、控訴人と被控訴人両名との間には生物学上の父子関係が存在しないから、嫡出否認の訴えによることなく親子関係不存在確認の訴えにより戸籍上の父子関係を否定できるとして、親子関係不存在確認を求めた事案の控訴審において、被控訴人らは、控訴人の嫡出子であるとの推定が及ばない子であるとは認められず、本件訴えは嫡出否認の訴えの出訴期間経過後に提起された不適法な訴えであるとして、控訴を棄却した事例。
2014.07.29
親子関係不存在確認請求事件
LEX/DB25446513/最高裁判所第一小法廷 平成26年7月17日 判決 (上告審)/平成26年(オ)第226号
嫡出の推定を受ける子につき、夫がその嫡出子であることを否認するためには、どのような訴訟手続によるべきかは、立法政策に属する事項であり、民法777条が嫡出否認の訴えにつき1年の出訴期間を定めたことは、身分関係の法的安定を保持する上から合理性を持つ制度であって、憲法13条、憲法14条1項に違反しないとして、上告を棄却した事例。
2014.07.29
親子関係不存在確認請求事件
LEX/DB25446514/最高裁判所第一小法廷 平成26年7月17日 判決 (上告審)/平成25年(受)第233号
戸籍上上告人の嫡出子とされている被上告人が、上告人に対して提起した親子関係不存在の確認を訴えで、原審は、被上告人側で私的に行ったDNA検査の結果によれば、被上告人が上告人の生物学上の子でないことは明白であり、また、上告人も被上告人の生物学上の父が乙であること自体について積極的に争っていないことや、現在、被上告人が、甲と乙に育てられ、順調に成長していることに照らせば、被上告人には民法772条の嫡出推定が及ばない特段の事情があるものと認められるとして、本件訴えの適法性を肯定し、被上告人の請求を認容したため、上告人が上告した事案において、夫と子との間に生物学上の父子関係が認められないことが科学的証拠により明らかであり、かつ、子が、現時点において夫の下で監護されておらず、妻及び生物学上の父の下で順調に成長しているという事情があっても、子の身分関係の法的安定を保持する必要が当然になくなるものではないから、民法772条による嫡出の推定が及ばなくなるものとはいえず、親子関係不存在確認の訴えをもって当該父子関係の存否を争うことはできないものとして解され、法律上の父子関係が生物学上の父子関係と一致しない場合が生ずることになるが、民法772条及び民法774条から民法778条までの規定はこのような不一致が生ずることをも容認しているものとし、また、甲が被上告人を懐胎した時期に、既に夫婦が事実上の離婚をして夫婦の実態が失われ、又は遠隔地に居住して、夫婦間に性的関係を持つ機会がなかったことが明らかであるなどの事情があったとは認められないとして、本件訴えは不適法なものであるとし、原判決を破棄し、第一審判決を取消し、本件訴えを却下した事例(補足意見及び反対意見あり)。
2014.07.29
親子関係不存在確認請求事件
LEX/DB25446515/最高裁判所第一小法廷 平成26年7月17日 判決 (上告審)/平成24年(受)第1402号
戸籍上上告人の嫡出子とされている被上告人が上告人に対して提起した親子関係不存在の確認の訴えで、原審は、嫡出推定が排除される場合を妻が夫の子を懐胎する可能性がないことが外観上明白な場合に限定することは相当でなく、民法が婚姻関係にある母が出産した子について父子関係を争うことを厳格に制限しようとした趣旨は、家庭内の秘密や平穏を保護するとともに、平穏な家庭で養育を受けるべき子の利益が不当に害されることを防止することにあると解されるから、このような趣旨が損なわれないような特段の事情が認められ、かつ、生物学上の親子関係の不存在が客観的に明らかな場合においては、嫡出推定が排除されるべきであり、上告人と被上告人との間の生物学上の親子関係の不存在は科学的証拠により客観的かつ明白に証明されており、また、上告人と甲は既に離婚して別居し、被上告人が親権者である甲の下で監護されているなどの事情が認められるのであるから、嫡出推定が排除されると解され、本件訴えは適法としたため、上告人が上告した事案において、夫と子との間に生物学上の父子関係が認められないことが科学的証拠により明らかであり、かつ、子が、現時点において夫の下で監護されておらず、妻及び生物学上の父の下で順調に成長しているという事情があっても、子の身分関係の法的安定を保持する必要が当然になくなるものではないから、民法772条による嫡出の推定が及ばなくなるものとはいえず、親子関係不存在確認の訴えをもって当該父子関係の存否を争うことはできないものとして解され、法律上の父子関係が生物学上の父子関係と一致しない場合が生ずることになるが、民法772条及び民法774条から民法778条までの規定はこのような不一致が生ずることをも容認しているものとし、また、甲が被上告人を懐胎した時期に、既に夫婦が事実上の離婚をして夫婦の実態が失われ、又は遠隔地に居住して、夫婦間に性的関係を持つ機会がなかったことが明らかであるなどの事情があったとは認められないとして、本件訴えは不適法なものであるとし、原判決を破棄し、第一審判決を取消し、本件訴えを却下した事例(補足意見及び反対意見あり)。
2014.05.27
間接強制申立却下決定に対する執行抗告事件
LEX/DB25503725/東京高等裁判所 平成26年3月13日 決定 (抗告審(執行抗告))/平成25年(ラ)第2284号
離婚裁判の確定により、長男及び長女の未成年者らの親権者である相手方として離婚した夫婦の元夫(抗告人)が、元妻(相手方)に対し、元夫と未成年者らとの面会交流を命じた本件審判の内容を元妻が全く履行しないとして、面会交流の不履行1回につき25万円の支払を求める間接強制の申立てをしたところ、原審は、本件審判の主文で、面会交流の日時、頻度及び面会交流の長さについて明示されているが、未成年者らの引き渡し方法については具体的な引渡しの日時、場所等が明示されていないから、相手方のなすべき未成年者らの引渡しの内容が特定されていないとして、抗告人の申立てを却下したため、抗告人が抗告した事案で、本件審判の主文については、その前提となった当事者間の黙示の了解事項をも含めて考えれば、監護親である相手方がなすべき給付の特定に欠けるところがないとして、原決定を取消し、本件申立てを認容した事例。
2014.05.07
市町村長処分不服申立ての審判に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25446367/最高裁判所第一小法廷 平成26年4月14日 決定 (許可抗告審)/平成25年(許)第26号
Aの実父である抗告人が、Aの親権者をその実母であるB及び養親であるCから抗告人に変更する別件審判に基づき、親権者変更の届出をしたところ,戸籍事務管掌者である相手方が本件届出を不受理とする処分をしたが不当であるとして、戸籍法121条に基づき、相手方に本件届出の受理を命ずることを申し立てたところ、原審は、離婚して親権者となった実親の一方が再婚し、子がその再婚相手と養子縁組をして当該実親と養親の共同親権に服する場合、民法819条6項に基づく親権者の変更をすることはできないから、B及びCから抗告人への親権者の変更を認めた別件審判は同項の解釈を誤った違法なものであるとして、本件申立てを認容した原々審判を取消し、本件申立てを却下したため、抗告人が抗告した事案において、戸籍事務管掌者は、親権者変更の確定審判に基づく戸籍の届出について、当該審判が無効であるためその判断内容に係る効力が生じない場合を除き、当該審判の法令違反を理由に上記届出を不受理とする処分をすることができないというべきであり、相手方は、本件届出を不受理とすることができないにもかかわらず、これを不受理とする処分をしたのであるから、相手方による上記処分は違法というべきであるとし、原審は、上記処分に違法はないとして本件申立てを却下したのであるから、原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原決定を破棄し、原々審判に対する抗告を棄却した事例。
2014.04.15
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25503188/東京高等裁判所 平成26年3月28日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第3821号
控訴人らが、婚姻に際して夫婦の一方に氏の変更を強いる民法750条は、憲法13条及び憲法24条1項2項により保障されている権利を侵害し、また女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約16条1項に違反することが明白であるから、国会は民法750条を改正し、夫婦同氏制度に加えて夫婦別氏制度という選択を新たに設けることが必要不可欠であるにもかかわらず、何ら正当な理由なく長期にわたって立法措置を怠ってきたことから、当該立法不作為は国家賠償法1条1項上の違法な行為に該当すると主張して、慰謝料の支払いを求めた事案の控訴審において、「氏を変更されない権利」は憲法13条によって保障された具体的な権利であるとはいえず、また、控訴人が主張するような何らの制約を受けない「婚姻の自由」が憲法24条によって保障されているとはいえないとして、本件控訴をいずれも棄却した事例。
2014.04.08
認知無効確認請求事件
LEX/DB25446328/最高裁判所第二小法廷 平成26年3月28日 判決 (上告審)/平成25年(受)第442号
血縁上の父子関係がないことを知りながら上告人の母であるAと婚姻し、上告人を認知した被上告人が、上告人に対し、認知の無効確認を求めたところ、原審は、血縁上の父子関係がない場合において、認知者による認知の無効の主張を認めても、民法785条の趣旨に反するものとはいえず、また、認知者も民法786条の利害関係人に当たるとして、被上告人による本件認知の無効の主張を認め、被上告人の請求を認容すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、認知者が血縁上の父子関係がないことを知りながら認知をした場合においても異ならないとし、被上告人は本件認知の無効を主張することができるとして、被上告人の請求を認容すべきものとした原審の判断は、正当として是認することができるとし、本件上告を棄却した事例。
2014.04.08
損害賠償、民訴260条2項に基づく仮執行の原状回復及び損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25503098/大阪高等裁判所 平成26年2月27日 判決 (差戻控訴審)/平成25年(ネ)第2334号
亡Aの相続人である第一審原告(控訴人・被控訴人)らにおいて、Aが鉄道高架下に設置された貸建物内で稼働中、建物内部に吹き付けられたアスベストの粉じんに曝露したため、悪性胸膜中皮腫に罹患し、自殺を余儀なくされたと主張して、第一審被告(被控訴人・控訴人)に対して、債務不履行、不法行為又は土地の工作物の設置、保存上の瑕疵に係る責任に基づく損害賠償及び遅延損害金の支払を求めた事案の差戻控訴審において、第一審被告の責任期間内のAの石綿粉じん曝露とAの悪性胸膜中皮腫発症との間の相当因果関係、Aの悪性胸膜中皮腫と自殺による死亡との間の相当因果関係はいずれも認められるから、本件建物の設置又は保存上の瑕疵とAの死亡との間には、相当因果関係が認められるとして、第一審原告らの控訴に基づき、原判決中、第一審被告に関する部分を変更し、第一審被告の控訴をいずれも棄却した事例。
2014.04.01
遺留分減殺請求事件
LEX/DB25446288/最高裁判所第二小法廷 平成26年3月14日 判決 (上告審)/平成25年(受)第1420号
亡Bの妻である上告人が、Bがその遺産の全てを長男である被上告人に相続させる旨の遺言をしたことにより遺留分が侵害されたと主張して、被上告人に対し、遺留分減殺を原因として、不動産の所有権及び共有持分の各一部移転登記手続等を求めたところ、原審は、上告人が相続の開始等を知った時を平成20年10月22日とする上告人の遺留分減殺請求権の消滅時効について、時効の期間の満了前に後見開始の審判を受けていない者に民法158条1項は類推適用されないとして時効の停止の主張を排斥し、同請求権の時効消滅を認め、上告人の請求を棄却すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、上告人についての後見開始の審判の申立ては、1年の遺留分減殺請求権の時効の期間の満了前にされているのであるから、上告人が上記時効の期間の満了前6箇月以内の間に精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあったことが認められるのであれば、民法158条1項を類推適用して、A弁護士が成年後見人に就職した平成22年4月24日から6箇月を経過するまでの間は、上告人に対して、遺留分減殺請求権の消滅時効は、完成しないことになり、上告人の遺留分減殺請求権の時効消滅を認めた原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決は破棄し、原審に差し戻した事例。
2014.04.01
面会禁止等仮処分命令申立却下決定に対する即時抗告事件
LEX/DB25446282/名古屋高等裁判所 平成26年2月7日 決定 (抗告審(即時抗告))/平成25年(ラ)第392号
債権者(抗告人)の任意後見人が、債権者を代理して弁護士を委任して、債権者の人格権に基づく妨害排除請求権を被保全債権権利として、債務者(相手方)に対し、債権者との面会等を禁止する仮処分命令の申立てをしたところ、申立てが却下されたため、債権者が即時抗告した事案において、債権者の任意後見人に授与されている代理権限には、債権者の人格権に基づく妨害排除請求権は含まれていないため、本件仮処分命令申立ては、代理権限のない者が提起した仮処分命令申立てとして不適法であるとし、抗告を棄却した事例。
2014.02.24
遺産確認,建物明渡等請求事件
LEX/DB25446212/最高裁判所第二小法廷 平成26年2月14日 判決 (上告審)/平成23年(受)第603号
亡Aの共同相続人(代襲相続人又は共同相続人の権利義務を相続した者を含む。)である被上告人(原告)らが、同じくAの共同相続人である上告人(被告)らとの間で、本件不動産がAの遺産であることの確認を求めた事件(第1事件)と、上告人Y1が、建物の一部を占有している被上告人X1に対し、所有権に基づき、上記占有部分の明渡し等を求めた事件(第2事件)が併合審理された訴訟で、第一審は、第1事件につき、原告らの訴えの取下げによりEらが当事者ではなくなったことを前提に、原告らの請求を棄却する旨の判決をし、第2事件につき、上告人Y1の請求を棄却する旨の判決をしたが、原審は、固有必要的共同訴訟である遺産確認の訴えの係属中にした共同被告に対する訴えの取下げは効力を生じないと解されるところ、自己の相続分の全部を譲渡したEらも共同相続人として遺産確認の訴えの当事者適格を失うものではないから、第1事件につき、Eらに対する訴えの取下げが効力を生じないことを看過してされた第一審の訴訟手続には違法があり、第2事件は、第1事件と整合的・統一的に解決すべきであるとして、第一審判決を取り消し、被告らに関する部分につき本件を第一審に差し戻しを命じたため、上告人らが、本件上告をした事案において、Eらは、いずれも自己の相続分の全部を譲渡しており、第1事件の訴えの当事者適格を有しないことになるから、原告らのEらに対する訴えの取下げは有効にされたことになり、第1事件につき第一審の訴訟手続には違法があるとし、また、第2事件につき本案の審理をせず第1事件と整合的・統一的に解決すべきであるとして、第一審判決を取消した原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決中上告人らに関する部分は破棄を免れないとし、本案の審理をさせるため、原審に差し戻すのが相当であるとした事例。
2014.02.10
 
LEX/DB25502568/最高裁判所第二小法廷 平成25年11月20日 決定 (上告審)/平成22年(オ)第1943号
(1)Aの法定相続人一審原告B及び一審原告Cが、Aの法定相続人一審被告らに対し、土地の持分72分の3がAの遺産であることの確認を求めると共に、(2)一審原告らが一審被告らに対し、前記土地の共有物分割として、Aの遺産である持分を一審原告Dに取得させて、その価格をその余の一審原告ら及び一審被告らに賠償させる全面的価格賠償を求めたところ、(1)の訴えは確認の利益がないとして却下し、(2)の請求は形式的競売による分割が相当であるとしたため、双方がいずれも控訴し、(3)一審被告らが一審原告らに対し、前記土地の持分72分の21がAの遺産であることの確認を求め附帯控訴(反訴)した事案で、(2)については原判決を一審原告の請求のとおり変更し、一審被告らの控訴を棄却し、(3)については請求を却下・棄却したため、一審被告らが上告した事案において、一審被告らの本件上告を棄却した事例。
2014.01.21
認知無効,離婚等請求本訴,損害賠償請求反訴事件
LEX/DB25446147/最高裁判所第三小法廷 平成26年1月14日 判決 (上告審)/平成23年(受)第1561号
一審被告(上告人)Y2の夫である一審原告(被上告人)が、一審被告Y2の子で一審原告が認知した一審被告Y1に対し、認知の無効を求めるとともに、妻である一審被告Y2に対し、離婚とこれによる慰謝料の支払を求めた事件で、原々審では、民法785条の規定から認知者による認知無効が許されないとはいえず、一審原告による認知無効請求が権利の濫用に該当するとはいえないなどとして、一審原告の認知無効請求及び離婚請求を認容したため、一審被告が控訴し、原審でも、民法785条及び民法786条は、血縁上の父子関係がない場合であっても認知者による認知の無効の主張を許さないという趣旨まで含むものではないなどとして、一審原告による本件認知の無効の主張を認め、一審原告の請求を認容すべきものとしたため、一審被告が上告した事案で、認知者は、民法786条に規定する利害関係人に当たり、自らした認知の無効を主張することができるというべきで、この理は、認知者が血縁上の父子関係がないことを知りながら認知をした場合においても異なるところはないとし、一審原告は本件認知の無効を主張することができるとして、一審原告の請求を認容すべきものとした原審の判断は、是認することができるとした事例(補足意見、意見及び反対意見あり)。
2014.01.14
 
LEX/DB25501705/最高裁判所大法廷 平成25年9月18日 決定 (特別抗告審)/平成25年(ク)第132号等
平成3年3月に死亡した男性Aの被相続人とする遺産の分割に係る事件及びAの子で平成15年3月に死亡したBを被相続人とする遺産の分割に係る事件において、抗告人はBの嫡出子でない子であり、相手方はBの嫡出子であるところ、原審が、民法900条4号ただし書きの規定のうち嫡出子でない子の相続分の2分の1とする部分(本件規定)を適用し、A及びBの遺産を分割すべきものとしたため、抗告人が特別抗告した事案において、本件規定は、平成15年3月当時、憲法14条1項に違反して無効であり、本件においてこれを適用することはできない(最高裁平成24年(ク)第984号、第985号平成25年9月4日大法廷決定・裁判所時報1587号参照)とし、原決定を破棄し、本件を原審に差し戻すこととした事例。
2014.01.14
面会交流審判に対する抗告申立事件
LEX/DB25502284/東京高等裁判所 平成25年7月3日 決定 (抗告審)/平成25年(ラ)第1205号
相手方(父)が、新潟家庭裁判所に対し、未成年者(子)との面会交流を求める調停事件を申し立てたが、本件調停は不調となり、審判に移行したところ、同裁判所は、抗告人に対し、未成年者と相手方との面会交流をさせる義務があることを定め、同義務を履行することを命じる原審判をしたため、抗告人(母)が、原審判を取り消し、相手方の面会交流の申立てを却下することを求めて抗告した事案において、原審判が定めた面会要領のうち、頻度等(実施日)や受渡場所、未成年者の受渡しの方法は、その根拠となる情報等が一件記録からは窺えず、その相当性について判断することができないばかりか、これらについて当事者間で主張を交わす等して検討がされた形跡も認められない等として、原審判を審理不尽といわざるを得ないなどとして、原審判を取り消し、本件を新潟家庭裁判所に差し戻すとした事例。