注目の判例

会社法

2021.06.29
保全異議申立事件の決定に対する保全抗告事件(日邦産業事件)
LEX/DB25569526/名古屋高等裁判所 令和 3年 4月22日 決定 (抗告審)/令和3年(ラ)第138号
相手方の株主である抗告人が、相手方の取締役会決議に基づく新株予約権無償割当ては、株主平等の原則(会社法109条1項)に違反し、著しく不公正な方法によるものであるとして、相手方に対し、会社法247条(類推適用)により、当該新株予約権無償割当てを仮に差し止めることを求め、保全裁判所が、抗告人の上記仮処分の申立てを認容する決定をしたので、相手方が保全異議を申し立てたところ、原審が原々決定を取り消し、基本事件に係る抗告人の申立てを却下する旨の原決定をしたことから、これを不服とする抗告人が本件抗告をした事案で、抗告人の本件仮処分の申立てについては、被保全権利の疎明がないから、原々決定を取り消し、基本事件に係る抗告人の申立てを却下するのが相当であると判断するとして、本件抗告を棄却した事例。
2021.03.09
新株発行差止等仮処分命令申立事件、独立当事者参加申出事件
LEX/DB25568614/名古屋地方裁判所一宮支部 令和 2年12月24日 決定 (第一審)/令和2年(ヨ)第12号 等
債務者・会社が、当該取締役会決議に基づいて、本件新株予約権及び本件新株予約権付社債を第三者割当ての方法により発行したことについて、債務者の株主である債権者が、被保全権利(差止事由)につき、本件新株予約権等の行使に応じてする債務者の新株発行を仮に差し止めるよう求めたのに対し、本件新株予約権等の引受人である各参加人が、それぞれ債権者の本件各申立手続の結果によりその権利が害されると主張して独立当事者参加の申出をし、参加人らの債務者に対する本件新株予約権等に基づき新株予約権を行使して、債務者の株式の発行を受ける地位にあることを被保全権利として、〔1〕債権者及び債務者との間で、本件新株予約権等の新株予約権を行使して債務者から普通株式の発行を受けることができる地位にあることを仮に定めること、〔2〕債務者は、参加人らが本件新株予約権等の新株予約権を行使した場合に、参加人らに対して、それぞれ普通株式を発行しなければならないこと、〔3〕債権者の本件各申立ての却下を求める旨の各申立てをした事案で、新株予約権発行の無効原因については、取引の安全、法的安定性の見地から限定的に解すべきであることからすれば、本件有価証券届出書において、払込金額の算定理由の記載や市場流動性の制約に関する記載がないことを理由に公示義務違反に当たるとして、新株予約権発行の無効原因があると解することはできず、また、本件新株予約権等の発行について、有利発行や不公正発行をその無効原因と解することはできないなどから、債権者の申立てはいずれも理由がないとして却下し、参加人らの本件各申立ては、いずれも保全の必要性があるとは認められないとして却下した事例。
2021.01.19
株主総会開催禁止仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件
LEX/DB25567503/東京高等裁判所 令和 2年11月 2日 決定 (抗告審)/令和2年(ラ)第1851号
P社の監査役である抗告人(原審債権者)が、P社の株主である相手方(原審債務者)が裁判所の招集許可決定に基づいて総会開催日時を令和2年11月6日午前11時からとして招集した臨時株主総会の開催には違法があるなどと主張して、会社法385条類推適用による監査役の招集株主に対する違法行為差止請求権に基づき、本件臨時株主総会の開催の禁止を求める旨の訴えを本案として、本件臨時株主総会の開催を禁止する旨の仮処分命令を求めたところ、原審は、本件臨時株主総会の招集の手続や決議の方法について、法令若しくは定款に違反し、又はそのおそれがあるものとは認められず、被保全権利を認めることができないとして、抗告人の申立てを却下する旨の決定をしたため、抗告人は、これを不服として抗告した事案において、委任状による議決権行使をする株主に対する相手方のクオカードの贈与の表明を理由として、保全処分として本件臨時株主総会の開催禁止を求める旨の抗告人の申立てについては、保全の必要性を認めることはできないとし、本件申立てを却下した原決定は、その結論において正当であるとして、本件抗告を棄却した事例。
2021.01.05
損害賠償請求事件
「新・判例解説Watch」会社法分野 令和3年3月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25571218/最高裁判所第三小法廷 令和 2年12月22日 判決 (上告審)/平成30年(受)第1961号
東京証券取引所マザーズに上場された本件会社の株式を取得した者又はその承継人である上告人らが、本件会社が上場に当たり提出した有価証券届出書に架空売上げの計上による虚偽の記載があったなどと主張して、本件会社等と元引受契約を締結していた金融商品取引業者のうち主幹事会社であったM証券株式会社を吸収合併した被上告人に対し、当該株式のうち募集又は売出しに応じて取得したものにつき金融商品取引法21条1項4号に基づく損害賠償を請求し、原審は、本件有価証券届出書には、金商法193条の2第1項に規定する「財務計算に関する書類」に係る部分(財務計算部分)に、重要な事項について本件虚偽記載が存在したところ、被上告人は本件虚偽記載の事実を知らなかったなどとして、被上告人の金商法21条1項4号の損害賠償責任につき同条2項3号による免責を認め、募集又は売出しに応じて取得した本件会社の株式についての被上告人に対する同条1項4号に基づく損害賠償請求を棄却したため、上告人が上告した事案で、被上告人は、金商法21条1項4号の損害賠償責任につき、同条2項3号による免責を受けることはできないとして、募集又は売出しに応じて取得した本件会社の株式についての被上告人に対する損害賠償請求を棄却した原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決中、上記請求を棄却した部分は破棄を免れないとし、上告人らの損害額について更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻すこととした事例。
2020.12.15
損害賠償請求、共同訴訟参加控訴事件(ユニバーサルエンターテインメント元代表取締役に対する損害賠償請求事件控訴審)
LEX/DB25567119/東京高等裁判所 令和 2年 9月16日 判決 (控訴審)/令和2年(ネ)第1081号
パチスロ機及びパチンコ機並びにその周辺機器の開発、製造、販売等を行い、東京証券取引所ジャスダック市場に上場している被控訴人会社(原告)が、海外事業統括の業務を委嘱された取締役であり、かつ、海外子会社の代表者であった控訴人(被告)に対し、これらの役職に在任していた当時、控訴人が、〔1〕控訴人及び控訴人の親族の資産管理会社であり、被控訴人会社の親会社でもある香港法人の第三者に対する貸金債権を回収する目的等で、被控訴人会社の海外子会社の代表者として、当該第三者が関与する会社に対して1億3500万香港ドルを貸し付け(本件行為〔1〕)、〔2〕自己の利益を図る目的で、被控訴人会社の海外子会社の代表者として、受取人白地の額面金額1600万香港ドルの小切手を振り出し(本件行為〔2〕)、〔3〕上記資産管理会社が金融機関から借入れを行う際に、被控訴人会社の海外孫会社の取締役に指示をして、当該会社の預金を担保に供させた上で、同資産管理会社が負担すべき利息相当額等を当該会社に支払わせたが(本件行為〔3〕)、控訴人の上記各行為は、被控訴人会社の取締役としての善管注意義務及び忠実義務に反するものであり、被控訴人会社はその調査のために調査委員会を設置してその費用を支払ったところ、控訴人の任務懈怠と被控訴人会社の上記費用の支払との間には相当因果関係が認められるとして、会社法423条1項に基づき、同費用相当額の損害金及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、被控訴人会社の株主である被控訴人X2が共同訴訟参加をし、原審は、被控訴人会社の請求を認容したので、これを不服として、控訴人が控訴した事案において、控訴審も被控訴人会社の請求を認容すべきものと判断し、原判決は正当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2020.09.15
総会決議無効確認等請求事件
LEX/DB25571033/最高裁判所第一小法廷 令和 2年 9月 3日 判決 (上告審)/平成31年(受)第558号
上告人(事業協同組合)が、被上告人(組合員)に対し、〔1〕平成28年5月16日に行われた被上告人の役員選挙について、中小企業等協同組合法54条において準用する会社法831条1項1号に基づき、その取消しを求めるとともに、〔2〕上記選挙中の理事の選出に関する部分を取り消す旨の判決の確定を条件に、平成30年5月28日に行われた被上告人の役員選挙の不存在確認を求め、原審は、本件各取消請求及び本件各不存在確認請求に係る訴えを却下したため、上告人が上告した事案で、事業協同組合の理事を選出する選挙の取消しを求める訴えに、同選挙が取り消されるべきものであることを理由として後任理事又は監事を選出する後行の選挙の効力を争う訴えが併合されている場合には、特段の事情がない限り、先行の選挙の取消しを求める訴えの利益は消滅しないと判示し、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、本件選挙の取消事由の存否等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例。
2020.06.30
LEX/DB25565727/大阪地方裁判所 令和 2年 4月22日 決定 (第一審)/令和2年(ヨ)第30016号
S社の発行する株式を6箇月以上引き続き保有する株主である債権者(S社の取締役でもある。)が、債務者(S社の取締役兼代表取締役)に対し、定時株主総会を招集する旨取締役会で決議し、令和2年4月6日、株主に対し招集通知等を発送した後、債務者は、令和2年4月15日、S社の代表取締役として、本件定時総会の場所をホテル大宴会場からその北隣にある本社入居ビルの35階空きフロアにした変更は、招集手続に関する法令に違反した債務者の違法行為であり、本件変更を前提に35階空きフロアで本件定時総会を開催することは債務者のS社に対する善管注意義務違反の違法行為であるとして、会社法360条3項において読み替えて適用する同条1項に基づく差止請求権を被保全権利として、本件定時総会の開催禁止を求める仮の地位に基づく仮処分命令の申立てをした事案において、本件仮処分命令申立ては、被保全権利の疎明を欠くものとし、却下した事例。
2020.06.02
損害賠償請求(株主代表訴訟)事件、共同訴訟参加事件
(みずほフィナンシャルグループ元取締役らに対する株主代表訴訟事件)
LEX/DB25565315/東京地方裁判所 令和 2年 2月27日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第7784号 等
株式会社Mフィナンシャルグループ(MFG)の株主である原告及び原告共同訴訟参加人が、MFGの取締役であった被告らに対し、MFGの完全子会社である株式会社M銀行(MBK)と株式会社O社との提携ローンにおいて、融資先に、MFGの内部の基準によれば反社会的勢力に該当する者が含まれていることを認識したにもかかわらず、MFGの取締役として、〔1〕新たに反社会的勢力との取引が発生することを防止するための体制を構築する義務及び〔2〕MBKに対し、認識した当該反社会的勢力との取引を解消するために具体的な措置を講じるよう求める義務を負っていたにもかかわらず、これを怠ったという善管注意義務違反によって、MFGが業務停止や信用毀損等の合計24億1419万3419円の損害を被ったなどと主張して、会社法423条1項、同法847条3項に基づき、被告らに対し、連帯して、MFGに同損害に相当する額の損害賠償及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、本件提携ローンにおける取引先に反社会的勢力が結果的に入っていたとしても、MFGやMBKが政策的な観点から非難され、あるいは改善を求められることは格別、そのような結果のみをもって、MFGの取締役であった被告らについて、法的義務違反として責任追及をすることができるものでもないとして、原告及び原告共同訴訟参加人の請求をいずれも棄却した事例。
2020.04.14
損害賠償請求事件、共同訴訟参加事件
LEX/DB25565089/東京地方裁判所 令和 2年 2月13日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第40038号等
パチスロ機及びパチンコ機並びにその周辺機器の開発、製造、販売等を行い、東京証券取引所ジャスダック市場に上場している原告が、海外事業統括の業務を委嘱された取締役であり、かつ、海外子会社の代表者であった被告に対し、これらの役職に在任していた当時、被告が、〔1〕被告及び被告の親族の資産管理会社であり、原告の親会社でもある香港法人の第三者に対する貸金債権を回収する目的等で、原告の海外子会社の代表者として、当該第三者が関与する会社に対して1億3500万香港ドルを貸し付けた行為、〔2〕自己の個人的な利益を図る目的で、原告の海外子会社の代表者として、受取人白地の1600万香港ドルの小切手を振り出した行為、〔3〕上記資産管理会社が金融機関から借入れを行う際に、原告の海外孫会社の取締役に指示をし、当該会社の預金を担保に供させた上で、同資産管理会社が負担すべき利息相当額等を当該会社に支払わせたとして、被告の上記各行為は、原告の取締役としての善管注意義務、忠実義務に反するものであり、原告はその調査のために調査委員会を設置してその費用を支払ったところ、被告の任務懈怠と原告の同費用の支払との間には相当因果関係が認められるとして、会社法423条1項に基づき、同費用相当額の損害金の支払等を求めた事案で、被告の任務懈怠と原告が支払った調査費用との間に相当因果関係を認め、原告の請求を認容した事例。
2019.10.01
株主提案議題等記載仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件
(ヨロズ株主提案議題等記載仮処分申立事件)
「新・判例解説Watch」会社法分野 11月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25563564/東京高等裁判所 令和 1年 5月27日 決定 (抗告審)/令和1年(ラ)第986号
抗告人(原審債権者)が、相手方(原審債務者)に対し、令和元年6月17日に開催予定の相手方の定時株主総会に関し、会社法303条2項に基づく本件議題に係る議題提案権及び会社法305条1項に基づく本件議題に係る議案要領通知請求権を被保全権利として、本件株主総会の招集通知及び株主総会参考書類に別紙記載の本件議題並びに本件議題に係る議案の要領及び提案の理由の全文を記載することを命じる旨の満足的仮処分を申し立てたところ、原審は、本件申立てについては保全の必要性を認めることができないなどとして、これを却下する旨の決定をしたため、抗告人が、これを不服として抗告した事案で、原決定は結論において相当であるとし、本件抗告を棄却した事例。
2019.08.27
各取締役に対する損害賠償請求控訴事件、同附帯控訴事件
LEX/DB25570365/東京高等裁判所 令和 1年 5月16日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第2968号 等
一審原告会社及び一審原告株主が、巨額の金融資産の損失の計上を避けるために、ファンド等に金融資産を買い取らせるなどして損失を分離した上、それを解消するために企業を買収するなどした結果、金利及びファンド運用手数料等の支払を余儀なくされ、虚偽の記載のある有価証券報告書等の提出により、罰金の納付を余儀なくされたなどとして、取締役らに対し損害賠償を請求するなどした事案の控訴審において、本件罰則等が科されたのは、一審被告A5らが取締役として判断、意思決定をして虚偽記載がある本件有価証券報告書等を提出した結果であって、承継前一審被告A1及び一審被告A2による本件善管注意義務違反と本件罰則等の損害との間に相当因果関係を認めることはできないとし、請求を一部認容した原判決を一部取り消し、一部変更した事例。
2018.06.26
各損害賠償請求控訴事件(みずほ証券等に対する粉飾決算損害賠償請求控訴事件)
LEX/DB25560345/東京高等裁判所 平成30年 3月23日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第1110号
半導体製造装置の製作販売会社であるF社が、大規模な架空の売上げを計上して粉飾決算を繰り返した上、虚偽記載のある有価証券届出書を提出してマザーズ市場への上場を行ったところ、その後、証券取引等監視委員会の強制調査により上記粉飾決算の事実が明らかになり上記有価証券届出書等の虚偽記載が判明したことから、上場時の募集若しくは売出しに応じ、又は上場後の取引所市場においてF社株式を取得した第1審原告らが、F社の役員、F社株式の募集又は売出しを行った元引受証券会社、販売を受託した証券会社、当該売出しに係る株式の所有者(売出所有者)、第1審被告東証及び上場審査を担当する第1審被告自主規制法人に対し、それぞれ損害賠償を求め、原審は、第1審原告らの請求のうち、F社の役員に対する請求の全部及び元引受証券会社のうち主幹事証券会社であった第1審被告M証券に対する請求の一部を認容し、その余の請求をいずれも棄却したため、第1審原告らが棄却部分の認容を求め、F社の監査役であった第1審被告P1及び第1審被告M証券が認容部分の棄却を求めてそれぞれ控訴した事案において、第1審被告M証券の本件控訴に基づき、原判決主文2項を取消し、第1審原告ら(ただし、別紙損害一覧表の「A類型損害」欄の記載が0円である者を除く。)の第1審被告M証券に対する請求をいずれも棄却し、第1審原告ら及び第1審被告P1の本件各控訴を、いずれも棄却した。なお、訴訟承継前第1審原告らは、いずれも原審の訴訟提起後に死亡し、第1審原告訴訟承継人らが、当審で訴訟手続を承継したので、民事訴訟法257条により、原判決主文1項の第1審被告P1に関する部分のうち訴訟承継前第1審原告らに関する部分を更正した事例。
2018.06.12
損害賠償請求控訴、仮執行の原状回復等申立事件
LEX/DB25560211/東京高等裁判所 平成30年 5月 9日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第5411号 等
JASDAQ上場の株式会社である第1審原告(被控訴人)において激しい株主の多数派形成工作や支配権争いが繰り広げられていたところ、支配権争いに勝利した取締役らが経営する現在の第1審原告が、支配権争いに敗れた第1審被告(控訴人。第1審原告のかつての代表取締役)に対し、「第1審被告が株主提案による取締役解任等を求められている状況の下、自己保身のための対抗策を模索し、第1審原告の当時の代表取締役として、弁護士に法律事務を委任し第1審原告の費用負担で報酬を支払ったのは、取締役としての善管注意義務、忠実義務に違反する。」と主張して、会社法423条に基づき、弁護士報酬相当額2682万8392円の損害賠償の支払等を求め、原判決は、仮執行宣言を付して請求を全部認容したため、これに対し、第1審被告が控訴するとともに、民事訴訟法260条2項に基づき仮執行の原状回復等の申立てをした事案において、第1審原告の請求を理由がないから全部棄却すべきところ、これを認容した原判決は失当であり、本件控訴は理由があり,原判決を取消した上,第1審原告の請求を棄却するとともに、仮執行の原状回復等の申立てを一部認容した事例。
2018.05.08
株式差押命令取消決定に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25449418/最高裁判所第二小法廷 平成30年 4月18日 決定 (許可抗告審)/平成29年(許)第13号
株券が発行されていない株式である債務者保有の株式に対する差押命令を得て、上記株式につき売却命令による売却がされた後、配当表記載の抗告人外1名の配当額について配当異議の訴えが提起され、そのため、上記配当額に相当する金銭の供託がされたが、その供託の事由が消滅する前に債務者が破産手続開始の決定を受け、その破産管財人が執行裁判所に本件差押命令の取消しを求める旨の上申書を提出したところ、執行裁判所が、本件差押命令に係る強制執行の手続が破産法42条2項本文により破産財団に対してはその効力を失うことを前提として、職権により本件差押命令を取り消す旨の決定をしたため、本件強制執行手続に同項本文の適用があるか否かが争われた事案の許可抗告審において、本件強制執行手続には破産法42条2項本文の適用があるとし、これと同旨の見解に基づき、執行裁判所が職権により本件差押命令を取り消すことができるとした原審の判断は、正当として是認できるとし、本件抗告を棄却した事例。
2017.11.07
新株発行差止仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件 
「新・判例解説Watch」H30.1月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448950/東京高等裁判所 平成29年 7月19日 決定 (抗告審)/平成29年(ラ)第1332号
相手方(債務者。石油精製及び油脂製造業等を目的とする一部上場会社)の株主である抗告人(債権者)らが、相手方が取締役会決議に基づいて公募増資の方法で行う4800万株の普通株式の発行は「株式の発行(中略)が著しく不公正な方法により行われる場合」(会社法210条2号)に該当し、これによって抗告人らが「不利益を受けるおそれがある」(同条柱書き)として、本件新株発行を仮に差止めるよう求める申立てをしたところ、原審が本件申立てをいずれも却下したため、抗告人らが、これを不服として抗告をした事案において、原決定は相当であるとし、抗告を棄却した事例。
2017.10.17
決定取消請求控訴事件 
LEX/DB25546970/東京高等裁判所 平成29年 6月29日 判決 (控訴審)/平成28年(行コ)第334号
原告(被控訴人)は、N証券のキャピタル・マーケット部従業員らがT社との間の引受契約の締結の交渉に関し知り、その後N証券の機関投資家営業二部営業員がその職務に関し知った、T社が株式の募集を行うことについての決定をした旨の事実について、同営業員から伝達を受けながら、上記事実が公表される前に,自己の計算においてT社の株式200株を売り付けたとして、金融商品取引法175条1項1号、同法166条3項に基づき、処分行政庁から、課徴金6万円を納付すべき旨の決定を受けたのに対し、原告が、本件決定は、法の解釈適用を誤り事実を誤認した違法があるなどと主張して、本件決定の取消しを求めたのに対し、原審は、N証券の営業員が、T社が株式の募集を行うと決定したことや、それが平成22年9月29日に公表されることを知ったとは認められないとして、原告の本件請求を認容し、本件決定を取消したため、被告(控訴人。国)が、これを不服として控訴した事案において、原告について金融商品取引法166条3項に該当する事実はなく、これがあるとしてされた本件決定は違法であるから、被告の本件請求を認容した原判決は結論において相当であるとして、控訴を棄却した事例。
2017.09.12
売渡株式等の売買価格決定申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件 
LEX/DB25448880/最高裁判所第二小法廷 平成29年 8月30日 決定 (許可抗告審)/平成29年(許)第7号
会社法179条の4第1項1号の通知又は同号及び社債、株式等の振替に関する法律161条2項の公告後に会社法179条の2第1項2号に規定する売渡株式を譲り受けた抗告人が、売渡株式等の売買価格決定申立てをしたが、これに対して出された却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告をした事案において、抗告人は、本件公告後に本件株式を譲り受けた者であるから、売買価格決定の申立てをすることができないとし、原審の判断は、正当として是認することができるとして、抗告を棄却した事例。
2017.06.27
損害賠償請求事件  
LEX/DB25545773/静岡地方裁判所浜松支部 平成29年 4月24日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第403号
歯科医師として歯科医院を開業している原告が、被告会社で行っていた信用取引は、適合性原則違反、実質一任売買又は過当取引に当たる違法なものであったと主張して、被告らに対し、被告会社の従業員である被告担当者については民法709条及び719条に基づき、被告会社については民法715条に基づき、連帯して、損害賠償金の支払を求めた事案において、被告担当者は、本件信用取引全体に対して共同不法行為責任を負い、被告会社は、被告担当者の使用者として使用者責任を負うとして、請求額を減額したうえで、一部認容した事例。
2017.06.20
損害賠償請求事件(第1事件、第2事件、第3事件、第4事件、第5事件)
(みずほ証券等に対する粉飾決算損害賠償請求事件) 
LEX/DB25545277/東京地方裁判所 平成28年12月20日 判決 (第一審)/平成22年(ワ)第36767号 等
半導体製造装置の制作販売会社であるF社が、架空の売上げを計上して粉飾決算を行い、虚偽記載のある有価証券届出書を提出して東京証券取引所の市場であるマザーズへの上場を行ったところ、その後上記粉飾決算の事実が明らかになったことから、上場時の募集若しくは売出しに応じ、又は上場後の取引所市場においてF社株式を取得した原告らが、F社の役員、同社株式の募集又は売出しを行った元引受証券会社及び販売を受託した証券会社、当該売出しに係る株式の所有者並びに東京証券取引所等を被告として、金融商品取引法21条1項1号、2号、4号、22条1項及び17条、会社法429条2項又は民法上の不法行為に基づき、損害賠償を求めた事案において、被告役員らの金商法上の責任を認めたほか、本件上場手続に関与した被告M証券について、A類型原告らの金商法21条1項4号に基づく請求及び同法17条に基づく請求はいずれも理由があるなどとした事例。
2017.03.07
株式価格決定に対する抗告事件 
LEX/DB25544950/東京高等裁判所 平成29年 1月30日 決定 (抗告審)/平成28年(ラ)第1890号
抗告人らが保有する対象会社の普通株式の売買価格を1株につき370円と定めた原決定は相当であるとして、本件各抗告を棄却した事例。