注目の判例

民事訴訟法

2015.01.27
出資金返還請求控訴事件(MRIインターナショナル事件(控訴審))
LEX/DB25505266/東京高等裁判所 平成26年11月17日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第623号
被告(被控訴人)と金融商品取引契約書により金融商品を購入する旨の契約を締結して、被告に出資した原告(控訴人)らが、被告に対し、約定の満期が到来したとして、その出資金の返還を求めたところ、原判決が、アメリカ合衆国ネヴァダ州裁判所を専属的合意管轄とする管轄合意の存在を認め、日本の裁判所には本訴えの管轄権はないとして、原告らの訴えを却下したため、原告らが控訴した事案において、被告の本案前の抗弁は理由がなく、これを認めて原告らの訴えを却下した原判決は相当でないとし、原判決を取消し、原審に差し戻した事例。
2014.12.16
訴訟費用額確定処分異議申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25446797/最高裁判所第一小法廷 平成26年11月27日 決定 (許可抗告審)/平成26年(許)第19号
抗告人の相手方に対する立替金請求訴訟について裁判所書記官が行った訴訟費用の負担の額を定める処分について、抗告人が異議の申立てをし、抗告人が準備書面の直送をするために支出した郵便料金が、訴訟費用に含まれるかが争われた事案において、抗告人が支出した本件郵便料金は、民事訴訟費用等に関する法律2条2号の類推適用により費用に当たると解することはできず、訴訟費用には含まれないことになるとして、本件抗告を棄却した事例。
2014.11.25
産業廃棄物処理施設設置許可処分取消請求控訴事件
LEX/DB25504811/東京高等裁判所 平成26年9月25日 判決 (控訴審)/平成25年(行コ)第147号
茨城県知事が補助参加人に対して産業廃棄物処理施設の設置の許可処分につき、原告(控訴人)らを含む周辺住民等442名が、被告(被控訴人)である茨城県を相手に、許可要件を満たさないのにされた違法なものであると主張して、その取消しを求めたところ、原判決は、上記処理施設から2キロメートルの範囲内に居住地又は勤務先がある原告らについては、原告適格を認めた上で請求をいずれも棄却し、その余の原告らについては原告適格が認められないとして訴えをいずれも却下したところ、原告らが控訴した事案において、控訴を棄却した事例。
2014.11.18
売却許可決定に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件
「新・判例解説Watch」H27.1月中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25446742/最高裁判所第三小法廷 平成26年11月4日 決定 (許可抗告審)/平成26年(許)第15号
当該不動産につき、債権者をA、債務者を抗告人として、強制競売の開始決定をした本件競売事件において、Cに対する売却不許可決定が確定した後、当初の入札までの手続を前提に再度の開札期日を開くこととした執行裁判所の判断に違法があるといえず、原審の判断は是認することができるとして、本件抗告を棄却した事例。
2014.11.11
文書提出命令に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
「新・判例解説Watch」H27.1月中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25446727/最高裁判所第二小法廷 平成26年10月29日 決定 (許可抗告審)/平成26年(行フ)第3号
抗告人(特定非営利活動法人)が、相手方らの所持する平成22年度分の政務調査費の支出に係る1万円以下の支出に係る領収書その他の証拠書類等及び会計帳簿である本件各文書について、文書提出命令の申立てをしたところ、原審では、相手方らが主張した本件各文書は民事訴訟法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たると判断し、本件各文書の提出を命じた原々決定を取消し、本件申立てを却下したため、抗告人が最高裁へ抗告した事案で、本件各文書は、「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たらないとして、これと異なる原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原決定を破棄し、相手方らに対し本件各文書の提出を命じた原々決定は正当であるから、原々決定に対する抗告を棄却した事例。
2014.11.04
再審請求棄却決定に対する抗告事件(裁判所ウェブサイト掲載判例の原審)
LEX/DB25504505/東京高等裁判所 平成26年9月27日 決定 (抗告審)/平成25年(ラ)第1112号
再審被告(相手方)らは、再審被告会社(相手方)の株主であるが、再審被告会社を被告として、会社法833条1項1号に基づき再審被告会社の解散を求める訴えを提起した本案事件において、再審被告会社の解散を命ずる判決を言い渡し、これが確定したことから、再審被告会社の株主である再審原告(抗告人)が、前記判決には民事訴訟法338条1項1号及び3号所定の再審事由があるとして、原審に再審を求める訴えを提起したところ、原審は、再審事由があるとは認められないとして、請求を棄却する決定をしたため、再審原告が抗告した事案において、原決定は相当であるとして、抗告を棄却した事例。
2014.10.14
建物賃料増額確認請求事件
「新・判例解説Watch」H26.12月頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25446634/最高裁判所第一小法廷 平成26年9月25日 判決 (上告審)/平成25年(受)第1649号
上告人X1及び平成23年4月28日に同上告人から本件賃貸借契約の賃貸人の地位を承継した上告人X2が、承継前被上告人に対し、本件賃料増額請求により増額された本件賃料の額の確認等を求め、本件賃料増額請求が前件口頭弁論終結時以前にされていることから、本件訴訟において本件賃料増額請求による本件賃料の増額を主張することが、前訴判決の既判力に抵触し許されないか否かが争われ、(なお、被上告人は、原審の口頭弁論終結後である平成25年3月21日、承継前被上告人を吸収合併し、本件訴訟の訴訟手続を承継した。)原審は、賃料増減請求により増減された賃料額の確認を求める訴訟の訴訟物は、当事者が請求の趣旨において特に期間を限定しない限り、形成権である賃料増減請求権の行使により賃料の増額又は減額がされた日から事実審の口頭弁論終結時までの期間の賃料額であると解されるところ、前件訴訟において、承継前被上告人は、基準時1(平成16年3月29日、当時の賃貸人Bに対し、本件賃料を同年4月1日から月額240万円に意思表示した時点)から前件口頭弁論終結時までの賃料額の確認を求め、上告人X1は、基準時2(平成17年7月27日、承継前被上告人に対し、本件賃料を同年8月1日から月額320万2200円に増額する旨の意思表示した時点)から前件口頭弁論終結時まで(ただし、終期については基準時3と解する余地がある。)の賃料額の確認を求めたものと解されるから、本件訴訟において、上告人らが,本件賃料増額請求により本件賃料が前件口頭弁論終結時以前の基準時3(前件訴訟が第1審の係属中の平成19年6月30日、承継前被上告人に対し、本件賃料を同年7月1日から月額360万円に増額する旨の意思表示をした時点)において増額された旨主張することは、前訴判決の既判力に抵触し許されないとし、上告人らの請求を棄却したため、上告人らが上告した事案において、前件本訴及び前件反訴とも、請求の趣旨において賃料額の確認を求める期間の特定はなく、前訴判決の前件本訴の請求認容部分においても同様であり、前件訴訟の訴訟経過をも考慮すれば、前件訴訟につき承継前被上告人及び上告人X1が特定の期間の賃料額について確認を求めていたとみるべき特段の事情はないといえ、前訴判決の既判力は、基準時1及び基準時2の各賃料額に係る判断について生じているにすぎないから、本件訴訟において本件賃料増額請求により基準時3において本件賃料が増額された旨を主張することは、前訴判決の既判力に抵触するものではないとして、原審に差し戻した事例(補足意見あり)。
2014.07.29
再審請求棄却決定に対する抗告棄却決定に対する特別抗告及び許可抗告事件
LEX/DB25446512/最高裁判所第一小法廷 平成26年7月10日 決定 (特別抗告・許可抗告審)/平成25年(ク)第1158号等
相手方Y1、同Y2、同Y3を原告とし、相手方会社Y4を被告として提起された株式会社の解散の訴えに係る請求を認容する確定判決につき、相手方会社の株主である抗告人が、上記訴えに係る訴訟の係属を知らされずその審理に関与する機会を奪われたから、上記確定判決につき民事訴訟法338条1項3号の再審事由があるなどと主張して、上記訴訟について独立当事者参加の申出をするとともに、再審の訴えを提起したところ、原々審は、株式会社の解散は当該株式会社の株主に重大な影響を及ぼす事項であるから、株式会社の解散の訴えが提起される前から当該株式会社の株主である抗告人は、上記訴えに係る請求を認容する確定判決を取り消す固有の利益を有する第三者に当たり、上記確定判決につき再審の訴えの原告適格を有するというべきであると判断した上で、本件再審請求には理由がないとしてこれを棄却し、原審は、この原々決定を維持して、抗告人の抗告を棄却したため、抗告人が特別抗告及び許可抗告した事案において、抗告人は、相手方Y1らと相手方会社との間の訴訟について独立当事者参加の申出をするとともに本件再審の訴えを提起したが、相手方Y1らの相手方会社に対する請求に対して請求棄却の判決を求めただけであって、相手方Y1ら又は相手方会社に対し何らの請求も提出していないことは記録上明らかであり、抗告人の上記独立当事者参加の申出は不適法であるとし、なお、記録によれば、再審訴状の「再審の理由」欄には、相手方会社との関係で解散の事由が存在しないことの確認を求める旨の記載があることが認められるが、仮に抗告人が上記独立当事者参加の申出につきこのような確認の請求を提出していたと解したとしても、このような事実の確認を求める訴えは確認の利益を欠くものというべきであり,上記独立当事者参加の申出が不適法であることに変わりはないとして、抗告人が本件再審の訴えの原告適格を有しているということはできず,本件再審の訴えは不適法であるとして、本件再審の訴えを適法なものであるとした原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原決定を破棄し、原々決定を取り消し、本件再審の訴えを却下した事例(意見及び反対意見がある)。
2014.05.27
出資金返還請求事件
LEX/DB25517356/東京地方裁判所 平成26年1月14日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第15015号
原告らが、アメリカ合衆国ネヴァダ州法人である被告に対し、被告の販売した金融商品への出資につき、約定の満期が到来したとして、出資金の返還を請求した事案において、我が国の裁判所には本件訴訟に係る管轄はないとして、訴えいずれも不適法として却下した事例。
2014.05.20
執行判決請求事件
LEX/DB25446379/最高裁判所第一小法廷 平成26年4月24日 判決 (上告審)/平成23年(受)第1781号
上告人が、営業秘密(米国カリフォルニア州の法律におけるもの)の不正な開示及び使用を理由に損害賠償及び差止めを命じた米国の裁判所の判決のうち懲罰的損害賠償を命じた部分を除く部分について、民事執行法24条に基づいて提起した執行判決を求める訴えをした事案で、原審の高裁は、被上告人らの行為地は日本国内にあるため、これによる上告人の損害が米国内で発生したことを証明できなければならないところ、その証明がないから、本件米国判決のうち損害賠償を命じた部分及び差止めを命じた部分のいずれについても間接管轄を認める余地はないとして、上告人の請求を棄却したが、上告審において、本件規定は、違法行為により権利利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者が提起する差止請求についても定めたものと解され、本件米国判決が日本国内だけでなく米国内においても被上告人らの不正行為の差止めを命じていることも併せ考えると、本件の場合、被上告人らが上告人の権利利益を侵害する行為を米国内で行うおそれがあるか、上告人の権利利益が米国内で侵害されるおそれがあるとの客観的事実関係が証明された場合には、本件米国判決のうち差止めを命じた部分については、民事訴訟法3条の3第8号に準拠しつつ、条理に照らして間接管轄を認める余地もあり、また、そうであれば、本件米国判決のうち損害賠償を命じた部分についても、民事訴訟法3条の6に準拠しつつ、条理に照らして間接管轄を認める余地も出てくることになるとして、被上告人らが上告人の権利利益を侵害する行為を米国内で行うおそれの有無等について何ら判断しないまま間接管轄を否定した原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、高裁に差し戻しを命じた事例。
2014.04.15
再審請求事件
LEX/DB25503209/静岡地方裁判所 平成26年3月27日 決定 (再審請求審)/平成20年(た)第1号
有罪の言渡を受けた者に対する住居侵入、被害者4名の強盗殺人、放火被告事件について、同人は死刑に処する旨の有罪判決を受け、控訴及び上告はいずれも棄却され、一審判決が確定したため、地裁へ第二次再審請求した事案において、弁護人が提出したDNA鑑定等の新証拠を前提とすると、同人の犯人性を根拠付ける最も有力な証拠である5点の衣類が、犯行着衣でも同人のものでもないという疑いは十分合理的なものであり、他の証拠については、同人の犯人性を認定できるものはないことが検証されたとして、再審を開始し、有罪の言渡を受けた者に対する死刑及び拘置の執行を停止すると決定した事例。
2014.04.08
農地転用許可取消請求事件
LEX/DB25446273/名古屋地方裁判所 平成25年7月18日 判決 (第一審)/平成24年(行ウ)第146号
県知事が本件農地についてした農地法5条1項に基づく転用許可処分に関して、本件農地の近隣に居住する原告が、本件処分の取消しを求めた事案において、原告が、本件農地の転用によって土砂の流出又は崩壊その他の災害の発生や、農業用用排水施設の機能上の障害等の被害が直接的に及ぶことが想定される周辺地域において農地を所有、耕作しているということはできないから、農地法5条2項4号を根拠として本件処分の取消訴訟における原告適格を肯認することはできないとして、本件訴えを却下した事例。
2014.03.25
 
LEX/DB25503010/最高裁判所第三小法廷 平成26年2月18日 決定 (上告審)/平成25年(オ)第1618号等
原告(控訴人、上告人)の妻Aが、本件病院において胃癌に対する胃切除等の手術を受けた後、被告(被控訴人、被上告人)による定期的な診察・検査等を受けていたところ、被告が、ALP値が上昇したことを確認した時点で、検査を実施すべき注意義務を怠り、骨転移の発見が遅れて、Aを延命させることができなかったと主張して、原告が被告に対し、損害賠償を請求したところ、請求が棄却されたため、原告が上告した事案において、民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは、民事訴訟法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、本件上告理由は、理由の不備をいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに上記各項に規定する事由に該当しないとし、上告を棄却した事例。
2014.03.25
損害賠償請求事件
LEX/DB25502982/神戸地方裁判所尼崎支部 平成26年1月30日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第947号等
原告が、甲子園球場でプロ野球の試合を3塁側内野席で観戦中に、投手の投げた球を打者が打った際にバットが折れ、折れたバットがフェンスを越えて飛来して内野席に飛び込んで原告の顔面右頬部に突き刺さったことから、同球場を管理・運営している被告会社に対し、フェンス設置義務等を怠ったなどとして、不法行為に基づく損害賠償金の支払いを求め、被告球団(球団を運営する会社であり試合の主催者)に対し、観客に注意を喚起する義務を怠ったなどと主張して、不法行為に基づく損害賠償金の支払いを求めた事案において、球場のバックネットないし内野フェンスに民法717条1項の設置の瑕疵が存在するとは認められず、折れたバットが観客席に飛び込んでくる可能性について注意を喚起する義務を、被告が怠った過失があったとは認められないなどとして、原告の請求をいずれも棄却した事例。
2014.03.18
慰謝料等請求事件
LEX/DB25502941/長野地方裁判所飯田支部 平成26年1月30日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第54号
原告が、別件訴訟において被告であった際に、被告長野地方裁判所の裁判官であった被告Yの法廷における発言を非常に怖く感じ、屈辱や威圧感を受けたと主張して、被告Yに対しては、民法上の不法行為に基づき、被告国及び被告長野地裁については国家賠償法1条1項に基づき、それぞれ損害金の支払を求めた事案において、まず、官署としての被告長野地裁は権利義務の帰属主体となり得る資格を有しないから、民事訴訟において当事者能力を有しないものとし、また、被告Yについては、原告は、別件訴訟の事件担当の裁判官であった被告Yが職務を行うについて違法行為を行ったとして損害賠償を請求するものであるから、職務の執行に当たった公務員である被告Yは、行政機関としての地位においても、個人としても、被害者に対し、その責任を負担するものでなく、被告Yを相手方とする請求は理由がないとして、被告国に対する請求を一部認容した事例。
2014.03.18
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25502738/大阪高等裁判所 平成25年10月18日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第1935号
一審被告から本件仕組債を購入する旨の売買契約を締結した一審原告が、一審被告において一審原告に対して本件仕組債の売買代金の支払を求める本案訴訟を提起する前に、売買代金請求権を被保全権利として、一審原告名義の預金に係る預金債権並びに預託株券に係る共有持分につき仮差押命令を申し立て、仮差押命令が執行されたところ、先行事件の第一審判決、控訴審判決とも、請求を同様の理由で棄却したことから、本件仮差押えによって損害を被ったと主張して、損害賠償を求めた事案において、損害額の算定について、本件各株式の客観的な評価額が同日当時の本件各株式の市場価格と本件仮差押えの執行解放日に近接する某日時点の本件各株式の市場価格の平均を下回ることはないものとして運用利益相当額を算定することをもって損害と評価することは、民事訴訟法248条によって与えられた裁量の範囲を逸脱することはない等と示して、控訴を棄却した事例。
2014.02.10
損害賠償等請求事件
LEX/DB25502655/東京地方裁判所 平成25年12月11日 判決 (第一審)/平成21年(ワ)第47912号等
被告証券会社(被告銀行の子会社)の従業員であった原告らが、被告証券会社に対しては、主位的に労働契約に基づく賞与の支払いを、予備的に賞与請求権侵害の不法行為に基づく損害賠償金の支払いを、被告銀行(ドイツ連邦共和国内に本店を有する会社)に対しては、賞与請求権侵害の不法行為に基づく損害賠償金の支払いを求めた事案において、原告らの被告銀行に対する訴えについて、我が国に国際裁判管轄権があると認めた上で、被告らが原告らの本件裁量賞与の請求権を侵害した事実を認めることはできないから、原告の主張の不法行為の成立を認めることはできないとして、原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2014.01.28
文書提出命令申立て却下決定に対する抗告審の一部変更決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25446108/最高裁判所第一小法廷 平成25年12月19日 決定 (許可抗告審)/平成25年(許)第6号
抗告人の設置するY大学の人文学部教授である相手方らが、それぞれ同学部長等からハラスメントを受けたとして抗告人に苦情を申し立てたところ、同大学に置かれたハラスメントの防止、対策又は調査に係る委員会の運営及び調査の方法が不当であったために不利益を被ったなどと主張して、抗告人に対し、再調査の実施、損害賠償の支払等を求める本案事件において、抗告人が所持する本件各文書について文書提出命令を申し立てた事案の許可抗告審で、国立大学法人が所持し、その役員又は職員が組織的に用いる文書についての文書提出命令の申立てには、民事訴訟法220条4号ニ括弧書部分が類推適用されるとした事例。
2014.01.14
担保取消申立却下決定に対する抗告事件
LEX/DB25502118/東京高等裁判所 平成25年7月19日 決定 (抗告審)/平成25年(ラ)第1260号
抗告人を被告、相手方を原告とする本案損害賠償請求事件の仮執行宣言付判決に対する控訴の提起に伴い、抗告人に担保を立てさせて強制執行の停止の裁判が行なわれた後、担保提供者である抗告人が、担保の事由が消滅したとして担保取消を求めた事案の抗告審において、控訴の提起に伴う強制執行停止決定がされた場合において、担保を立てた者が「担保の事由が消滅したことを証明したとき」は、当該担保を決定により取り消し得る(民事訴訟法405条2項による民事訴訟法79条1項の準用)ところ、抗告人は、本件控訴審判決後に、同判決により支払を命じられた損害賠償金等の全額について弁済をし、本件控訴審判決が確定したのであるから、本件控訴審判決に基づく損害賠償請求権を行使する余地がなくなったことは明らかであるとして、原決定を取り消し、担保を取り消した事例。
2013.12.16
再審請求棄却決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25446040/最高裁判所第一小法廷 平成25年11月21日 決定 (許可抗告審)/平成24年(許)第43号
株式会社の成立後における株式の発行の無効の訴えに係る請求を認容する確定判決の効力を受ける抗告人が、上記確定判決につき、民事訴訟法338条1項3号の再審事由があるとして再審を申し立てた事案において、新株発行の無効の訴えに係る請求を認容する確定判決の効力を受ける第三者は、上記確定判決に係る訴訟について独立当事者参加の申出をすることによって、上記確定判決に対する再審の訴えの原告適格を有することになるとした事例。