注目の判例

刑事訴訟法

2017.03.14
覚せい剤取締法違反被告事件  
LEX/DB25545018/大阪地方裁判所 平成29年 2月13日 判決 (第一審)/平成28年(わ)第863号
路上での職務質問の後、最終的に警察署において被告人に捜索差押許可状が示され、採取された被告人の尿から覚せい剤が検出された事案において、証拠上被告人に覚せい剤の使用の確定的故意があったとまではいえないが、大麻取締法違反により猶予歴のある被告人が、未必的故意をもって覚せい剤を使用したといえる事案であるからその刑事責任は軽くはないし、窃盗罪による累犯前科もあるから、覚せい剤事犯の前科がないことも考慮した上での実刑判決が相当であるとし、懲役1年8か月に処した事例。
2017.03.14
詐欺、詐欺未遂被告事件 
LEX/DB25545030/大阪地方裁判所 平成29年 2月 7日 判決 (第一審)/平成27年(わ)第4441号
詐欺グループの一員として稼働していたとする被告人が、その役割のうち、上位者の指示を受取役へ連絡等すること、受取役から詐取金を受け取り、被告人を含む上位者に渡すこと、受取役に報酬を渡すことの各役割については、共犯者に引き継いだが、〔1〕共犯者から報告を受け、その内容を上位者に伝えること、〔2〕共犯者から詐取金を受け取り、上位者に渡すこと、〔3〕共犯者を含む受取役に対する報酬を用意し、共犯者に渡すこと、〔4〕犯行に使用する携帯電話を用意し、共犯者に渡したりすることについての役割を担っていたとして、詐欺の共同正犯として起訴された事案において、検察官の主張事実の柱となる各供述は、関係者の供述と矛盾したり、供述内容が一貫せず、供述内容自体に不自然、不合理な点が含まれるなど、信用できないとし、被告人に対し、無罪を言い渡した事例。
2017.02.28
各窃盗被告事件(令状なしのGPS捜査は違法 証拠採用は認める) 
LEX/DB25544851/東京地方裁判所立川支部 平成28年12月22日 決定 (第一審)/平成27年(わ)第470号 等
検察官請求証拠に関して、〔1〕本件各窃盗被告事件の捜査機関が、被告人らの使用車両にGPS端末を取り付け、その位置情報を取得する捜査を行っているところ、本件GPS捜査は、被告人らのプライバシー権等を侵害するから強制処分であるにもかかわらず無令状で行われていること、もしくは仮に強制処分ではないとしても任意捜査の限界を超えていることから違法であり、〔2〕犯罪予防のための警察官の権限や職責に関する警察法2条、警察官職務執行法2条、5条の規定等に照らすと、被告人らが犯行に着手する前に制止せずに泳がせていた捜査は、被告人らの弁解の機会を奪ったことや被害者救済の観点等から違法であるとして、いずれも令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、本件各証拠は,上記違法捜査によって得られた証拠及び派生的証拠であって、これらを証拠として許容することは将来における違法捜査抑制の見地からして相当でないから、証拠能力がなく、証拠として採用すべきではない旨を被告人両名の弁護人が主張した事案において、本件GPS捜査に令状主義の精神を没却するような重大な違法はないから、弁護人ら指摘の本件各証拠の証拠能力は否定されないとして、証拠の採用を決定した事例。
2017.01.31
各刑の執行猶予の言渡し取消し決定に対する各即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件 
LEX/DB25448397/最高裁判所第二小法廷 平成29年 1月16日 決定 (特別抗告審)/平成29年(し)第8号
申立人(被請求人)が、(1)平成26年1月28日、窃盗罪により懲役2年・執行猶予3年を言い渡され、(2)平成27年5月14日、窃盗未遂罪により懲役1年・保護観察付き執行猶予4年を言い渡され、さらに、(3)平成28年6月から7月の間、3件の窃盗罪で、平成28年11月21日、懲役6月を言い渡された(控訴審係属中)中で、検察官が、前記(1)(2)の各刑の執行猶予の言渡し取消しを請求したところ、原々審は、前記(3)の窃盗3件と同一の事実を認定し、保護観察に付せられた者が遵守すべき事項を遵守せず、その情状が重いと認め、前記(2)の刑の執行猶予の言渡しを取消し、前記(1)の刑の執行猶予の言渡しを取り消す各原々決定をしたが、各原々決定の謄本を、いずれも検察官と原々審で申立人が選任した弁護人2名のうち主任弁護人に対して送達したものの、申立人に対して送達しなかったことにより、申立人が、前記弁護人2名を原審の弁護人として改めて選任し、各原々決定に対してそれぞれ即時抗告を申し立てたが、原審が、本件各即時抗告をいずれも棄却したため、申立人が特別抗告した事案において、刑事訴訟規則34条は、「裁判の告知は、公判廷においては、宣告によつてこれをし、その他の場合には、裁判書の謄本を送達してこれをしなければならない。但し、特別の定のある場合は、この限りでない。」と規定しているところ、刑の執行猶予の言渡し取消し請求において、同条により刑の執行猶予の言渡し取消し決定の謄本の送達を受けるべき者は、検察官及び猶予の言渡しを受けた者(被請求人)であり、また、同謄本が、被請求人の選任した弁護人に対して送達されたからといって、被請求人に対する送達が行われたものと同じ法的な効果は生じないと解するのが相当であるとし、原決定を取り消し、各原々決定の謄本が申立人に対して送達された後、各即時抗告に対する判断が行われるのが相当であるから、各事件を原裁判所である高等裁判所に差し戻しを命じた事例。
2017.01.17
損害賠償請求事件 
LEX/DB25544474/大阪地方裁判所 平成28年12月 9日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第363号
原告が、大阪府警察署の留置施設に収容されていた際、警察官が原告を違法に留置保護室に収容しようとしたこと、警察官から暴行を受けたこと、防衛のために警察官に暴力を振るったにもかかわらず、警察官が内容虚偽の調書を作成し、公務執行妨害、傷害の事実で起訴された上、警察官が刑事裁判の公判期日において偽証をしたことによって精神的損害を被ったと主張し、被告大阪府に対し、国家賠償法1条に基づき、慰謝料等の支払を求めるとともに、上記公務執行妨害、傷害の捜査を担当していた検察官が故意に警察官に内容虚偽の供述調書を作成させたか又は必要な捜査を怠り、公判を担当していた検察官が故意に警察官に偽証させたか又は必要な注意義務を怠り、それによって精神的損害を被ったと主張し、被告国に対し、国家賠償法1条に基づき、被告大阪府と連帯して、慰謝料等の支払を求めた事案において、巡査長による違法な暴行があったとは認めらず、巡査長が原告を留置保護室に収容しようとしたことが違法であったとはいえないとし、また、副検事及び検事の行為が国家賠償法上違法ではないとしたが、大阪府警察の警察官が、巡査長及び巡査に働きかけるなどして両名の供述とは一部異なる内容が記載された供述調書を作成したことについては、被告大阪府は、原告に対し、慰謝料を支払う義務を負うとし、請求額を減額したうえで、認容した事例。
2016.12.27
殺人,銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件  
LEX/DB25448338/最高裁判所第一小法廷 平成28年12月19日 判決 (上告審)/平成27年(あ)第1856号
殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反の事実により、第1審裁判所は、第1回公判期日で、弁護人により、被告人が精神疾患に罹患していることを理由に公判手続の停止の申立てがされ、第2回公判期日以降、公判手続の停止に関する審理が行われ、第7回公判期日で、被告人が心神喪失の状態にあると認め、刑事訴訟法314条1項により、その状態の続いている間、公判手続を停止する旨決定した後、被告人の勾留の執行を停止する旨決定し、被告人は、措置入院を受け、被告人の入院治療はその後も続けられ、第1審判決まで約17年間にわたり公判手続が停止された審理経過を経て、第1審判決は、被告人について、非可逆的な慢性化した統合失調症の症状に脳萎縮による認知機能の障害が重なっており、訴訟能力はなく、その回復の見込みがないとし、公訴棄却の判決を言い渡したが、検察官が控訴し、原判決も、第1審判決と同様、被告人が訴訟能力が欠けており、その回復の見込みがないとしたいと判断した上で、公訴を取り消さない判断をした検察官の裁量を合理的でないと断定することはできず、検察官が公訴を取り消さないことが明らかに不合理であると認められる極限的な場合に当たるとはいえないとし、本件公訴を棄却した第1審判決は、刑事訴訟法338条4号の解釈適用を誤り、不法に公訴を棄却したもので、第1審判決を破棄し、第1審裁判所に差し戻しを言い渡したため、弁護人が上告した事案において、被告人に訴訟能力がないために公判手続が停止された後、訴訟能力の回復の見込みがなく公判手続の再開の可能性がないと判断される場合、裁判所は、刑事訴訟法338条4号に準じて、判決で公訴を棄却することができると判断し、これと異なる解釈に基づいて、公訴棄却を言い渡した第1審判決を破棄した原判決には、刑事訴訟法338条4号の解釈適用を誤った違法があり、この違法は判決に影響を及ぼすことが明らかであるとして、原判決を破棄し、本件公訴を棄却した第1審判決は正当であり,第1審判決には不法に公訴を棄却した誤りがある旨主張する検察官の控訴も理由がないとし、控訴を棄却した事例(補足意見がある)。
2016.12.20
覚せい剤取締法違反,関税法違反被告事件 
LEX/DB25448314/最高裁判所第三小法廷 平成28年12月 9日 判決 (上告審)/平成27年(あ)第416号
税関職員が行った郵便物の各検査等は、郵便物を破壊し、その内容物を消費する行為であり、プライバシー権及び財産権を侵害するものであるところ、捜査を目的として、郵便物の発送人又は名宛人の同意なく、裁判官の発する令状もなく行われたもので、関税法上許容されていない検査であり、憲法35条が許容しない強制処分に当たり、郵便物検査によって取得された証拠である郵便物内の覚せい剤及びその鑑定書等の証拠能力は否定されるべきであるのに、これらの証拠能力を認めた第1審判決及びこれを是認した原判決の判断は、関税法、刑事訴訟法の解釈を誤り、憲法35条に違反するとして弁護人が上告した事案において、上記郵便物検査等が、犯則事件の調査あるいは捜査のための手段として行われたものでないことも明らかであるから、これによって得られた証拠である郵便物内の覚せい剤及びその鑑定書等の証拠能力を認めた第1審判決及びこれを是認した原判決の判断は正当であるとして、上告を棄却した事例。
2016.12.13
国家賠償請求控訴事件
「新・判例解説Watch」H28.12月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25544237/福岡高等裁判所 平成28年11月11日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第335号
死刑確定者として拘置所に拘置されている1審原告P1及び、同人による再審請求に係る弁護人として同人あてに冊子を郵送した弁護士である1審原告P2が、拘置所の職員において上記冊子の内容を検査した上、最終的に同拘置所長が1審原告P1に対し同冊子の閲覧を不許とする処分をしたことにより、1審原告ら相互間における秘密交通権等を侵害された旨主張して、1審被告(国)に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償としてそれぞれ330万円(慰謝料300万円と弁護士費用30万円の合計)及びこれに対する延損害金の支払を求め、原判決は、それぞれ2万2000円(慰謝料2万円と弁護士費用2000円の合計)及びこれに係る遅延損害金の支払を求める限度において1審原告らの請求を認容し、その余の請求を棄却したところ、1審原告らと1審被告の双方が、上記各敗訴部分を不服として控訴した事案において、原判決は相当であるとして、本件各控訴をいずれも棄却した事例。
2016.11.29
LEX/DB25544206/大阪地方裁判所 平成27年 1月14日 決定 /平成26年(た)第22号
強制わいせつ、強姦被告事件につき、地方裁判所の有罪確定判決に対し、再審の開始を始めた請求人の弁護人が、検察官に対して、本件捜査の開始から再審請求後の補充捜査に至るまでに収集された証拠の全てを開示する旨の証拠開示命令を発せられたいとの申立てをした事案において、本件は、当時中学生であったA及び高校生であったBが、養父である請求人を強姦等の犯人とする供述をし、その後一転してこれが虚偽の供述であったと述べたという特異な事件であり、このような中で弁護人が開示を求める証拠を具体的に特定することは、相当な困難が伴い、ひいては,本件再審請求事件の迅速な判断が阻害されるおそれがあるとし、本件の審理を円滑に進行させるため、訴訟指揮権に基づき、検察官に対し、弁護人に、捜査機関の保管する一切の証拠の一覧表を交付することを命じた事例。
2016.11.08
保釈請求却下の裁判に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件 
LEX/DB25448235/最高裁判所第一小法廷 平成28年10月25日 決定 (特別抗告審)/平成28年(し)第607号
公訴提起後の第1回公判期日前に弁護人が申請した保釈請求却下の裁判に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告審において、原々審の裁判官が、検察官の意見書について弁護人に謄写を許可しなかった点は是認できないとした事例。
2016.08.16
管轄移転の請求事件(沖縄の女性殺害 東京地裁への移管認めず) 
LEX/DB25448102/最高裁判所第二小法廷 平成28年 8月 1日 決定 /平成28年(す)第398号
米軍属である申立人が那覇地方裁判所に起訴されている強姦致死、殺人、死体遺棄被告事件について、沖縄県内で、米軍基地やいわゆる日米地位協定の問題と絡めて、大々的に報道され、また、広範な抗議活動が行われたことから、沖縄県民にあっては、被告人の自白内容、自白を補強する物証等の存在を知り、被告人が有罪との心証を有しているだけでなく、被告人を厳罰に処すべきとの予断を持つに至っているところ、そのような県民の中から裁判員を選任しなくてはならないことなどからすると、那覇地方裁判所において公平な裁判を行うことは不可能であるなどとして、東京地方裁判所への管轄の移転を請求した事案において、刑事訴訟法17条1項2号にいう「裁判の公平を維持することができない虞があるとき」に当たらないとし、本件請求を棄却した事例(補足意見がある)。
2016.08.16
(東住吉事件執行停止異議申立決定) 
LEX/DB25543253/大阪高等裁判所 平成27年10月26日 決定 (異議審)/平成27年(け)第35号
再審請求人両名からの各再審請求について大阪地方裁判所がした各再審開始決定に対する各即時抗告申立事件に関して、平成27年10月23日大阪高等裁判所がした各刑の執行停止決定に対し、検察官からそれぞれ異議の申立てがあった事案で、原決定の判断手法は、再審の裁判において無罪判決が言い渡される蓋然性に加え、特別抗告審での抗告理由の制限や、身柄保全の必要性、早期釈放の必要性等をも総合考慮した相当なものであり、各事情の評価にも誤りはなく、本件について各刑の執行を停止しないことが正義に反するとの判断も、即時抗告審を自ら担当した原裁判所による合理的な裁量の範囲内として、首肯することができ、さらに、原決定が、各刑の執行を停止するに当たり、各請求人について、指定された住居に居住し、住居変更時には裁判所の許可を受け、海外渡航はせず、逃亡や証拠隠滅はしないことを指定条件としたことも相当であるとして、検察官の各異議の申立てをいずれも棄却した事例。
2016.08.16
(東住吉事件刑の停止決定) 
LEX/DB25543252/大阪高等裁判所 平成27年10月23日 決定 (抗告審)/平成24年(く)第144号
受刑中両名からの各再審請求について、平成24年3月7日大阪地方裁判所がした各再審開始決定に対する各即時抗告申立事件につき、請求人B主任弁護人及び請求人C主任弁護人から、請求人両名についてそれぞれ刑の執行停止を求める申出があった事案において、刑事訴訟法435条6号該当事由があるとした地方裁判所の再審開始決定を高等裁判所が更に事実取調べをした上で維持しており、請求人両名に対して無罪を言い渡すべき蓋然性がより高くなっているといえること、高等裁判所の即時抗告棄却決定に対する不服申立の方法は特別抗告であって、抗告理由が限られていること、請求人らの逮捕以来の身柄拘束期間が約20年と非常に長期に及んでいることに照らすと、請求人両名に対する確定判決に基づく刑の執行を今後も継続することが正義に反する場合に当たるとして、請求人両名に刑の執行停止を決定した事例。
2016.08.16
(東住吉事件再審開始決定に対する即時抗告審) 
LEX/DB25543255/大阪高等裁判所 平成27年10月23日 決定 (抗告審(即時抗告))/平成24年(く)第144号
各現住建造物放火、殺人、詐欺未遂被告事件につき大阪地方裁判所が請求人Z1に対し平成11年3月30日、請求人Z2に対し同年5月18日、それぞれ言い渡した有罪の確定判決に対する請求人両名からの各再審請求について、平成24年3月7日大阪地方裁判所がした各再審開始決定に対し、検察官が各即時抗告を申し立てた事案において、新証拠が確定審に提出されていれば、各確定判決においてなされたような事実認定には到達しなかったと考えられ、各確定判決の有罪認定には合理的な疑いが生じているというべきであり、原決定の検討判断に不十分な点はあるものの、請求人両名に対し、無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したとき(刑事訴訟法435条6号)に該当するとして、請求人両名について、それぞれ再審を開始した原決定の判断は、当審の事実取調べの結果により、正当として是認できることが明らかになったといえるとし、本件各即時抗告をいずれも棄却した事例。
2016.08.09
覚せい剤取締法違反被告事件 
LEX/DB25448089/最高裁判所第一小法廷 平成28年 7月27日 決定 (上告審)/平成28年(あ)第456号
本件覚せい剤取締法違反の被告人の弁護人が、原判決の事実誤認、量刑不当を主張し上告した事案において、刑法等の一部を改正する法律(平成25年法律第49号)による刑の一部の執行猶予に関する各規定(刑法27条の2ないし刑法27条の7)の新設は、被告人の再犯防止と改善更生を図るため、宣告刑の一部についてその執行を猶予するという新たな選択肢を裁判所に与える趣旨と解され、特定の犯罪に対して科される刑の種類又は量を変更するものではなく、刑の一部の執行猶予に関する前記各規定の新設は、刑事訴訟法411条5号にいう「刑の変更」に当たらないとして、上告を棄却した事例。
2016.08.09
殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反、火薬類取締法違反被告事件(松橋事件再審開始決定) 
「新・判例解説Watch」H28.9下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25543182/熊本地方裁判所 平成28年 6月30日 決定 (再審請求審)/平成24年(た)第3号 等
昭和61年12月22日熊本地方裁判所が言い渡した殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反、火薬類取締法違反被告事件の有罪確定判決について、被告人の法定代理人成年後見人である弁護士P1(請求人)及び被告人の長男であるP2(請求人)が、上記有罪の言渡しを受けた事件のうち殺人被告事件について無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したと主張して、それぞれ再審請求をした事案において、確定判決の有罪認定に合理的な疑いが生じたものと認められるから、本件再審請求は、刑事訴訟法435条6号所定の有罪の言渡しを受けた者に対して無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したときに該当するとし、本件再審請求は理由があることになるが、確定判決は、P3に対し、本件事件と別事件とを併合罪として、1個の刑を言い渡しているから、その全部について再審開始の決定をすべきであると解するので、刑事訴訟法448条1項により本件について再審を開始することとした事例。
2016.08.09
(恵庭OL殺人事件特別抗告審) 
LEX/DB25543233/最高裁判所第一小法廷 平成28年 6月13日 決定 (特別抗告審)/平成27年(し)第422号
殺人、死体損壊被告事件(申立人が、北海道千歳市、恵庭市又はそれらの周辺で、被害女性(当時24歳)に対し、殺意をもって、その頸部を何らかの方法で圧迫し、同女を窒息死させて殺害し、路上で、同女の死体に灯油をかけた上、それに火を放って焼損し、死体を損壊したという)について、札幌高高等裁判所がした即時抗告棄却決定に対し、特別抗告の申立てがあった事案(特別抗告審)において、申立人の抗告趣意は、単なる法令違反、事実誤認の主張であって、刑事訴訟法433条の抗告理由に当たらないとし、抗告を棄却した事例。
2016.07.12
損害賠償請求事件(接見妨害訴訟 国に11万円 賠償命令) 
LEX/DB25542966/佐賀地方裁判所 平成28年 5月13日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第365号
(1)弁護士の原告P1が少年刑務所で被疑者との接見中に被疑者の写真撮影を行っていたところ、刑務所の職員によって写真撮影を制止され接見を一時停止させられた等と主張するとともに、刑務所の面会室には面会内容が常時外部に漏出しているという瑕疵が存在する旨主張し、国家賠償法1条1項又は国家賠償法2条に基づき、慰謝料等を求めた事案、及び、(2)弁護士の原告P2が少年刑務所で被疑者との接見を申し出たところ、刑務所の職員により原告らが面会の際に写真撮影を行おうとしていることを理由に接見を拒絶された旨主張し、慰謝料等を求めた事案において、原告P1に生じた損害額11万円とするのが相当であるとし、原告P1の請求を一部認容し、その余の原告P1の請求及び原告P2の請求を棄却した事例。
2016.06.21
損害賠償請求控訴事件(拘置所での手紙押収 二審も違法) 
LEX/DB25542789/大阪高等裁判所 平成28年 4月22日 判決 (控訴審)/平成27年(ネ)第1333号
原告a(控訴人。窃盗、強盗、覚せい剤取締法違反及び大麻取締法違反被告事件の被告人で、捜索差押え当時、大阪拘置所に勾留されていた者)が、捜索差押許可状の請求、捜索差押え及びe検事が本件押収品を精査し、かつ還付しなかった行為、並びに裁判官らの捜索差押許可状の各発付は、いずれも故意又は過失により被告人の秘密交通権、秘匿権、防御権を侵害して違法であるとして、また原告b(控訴人。aの前記刑事事件の第一審の国選弁護人であった者)は前記各行為が故意又は過失により弁護人の弁護権を侵害して適法であるとして、それぞれ被告(国)に対し、国家賠償法1条1項に基づき各1650万円の損害賠償及び遅延損害金を求め、原審は、捜索差押許可状の請求は違法で、違法な捜索差押許可状に基づく捜索差押えは違法であり、e検事が本件押収物を精査し、かつ刑事事件が終結するまで還付しなかった行為は違法であるとし、原告a、原告bに各々50万円と弁護士費用5万円の限度で認容したが、裁判官らの捜索差押許可状の各発付は、違法であると認めることはできないとして、原告らの請求を棄却したため、原告らが控訴した事案において、原判決は相当であるとし、原告らの控訴を棄却した事例。
2016.05.17
処分取消請求訴訟事件(氷見冤罪情報公開訴訟判決) 
LEX/DB25542307/富山地方裁判所 平成28年 3月 9日 判決 (第一審)/平成26年(行ウ)第2号
原告が、被告(富山県)に対し、原告が、富山県情報公開条例に基づき、富山県氷見市で発生した2件の強姦及び同未遂事件に関する捜査指揮簿等の開示を請求したところ、富山県警察本部長が原告の開示請求に係る公文書の一部を同条例7条2号又は4号の非公開情報に該当するなどの理由で非開示とし、その余を開示する旨の部分開示決定をしたことについて、行政事件訴訟法に基づく処分取消しの訴え及びいわゆる申請型義務付けの訴えとして、非開示とされた部分の取消し及び同取消しに係る部分について開示決定の義務付けを求めた事案において、取消請求を一部認容し、義務付け請求を却下した事例。