注目の判例

労働法

2020.03.17
債務確認請求本訴、求償金請求反訴事件 
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LEX/DB25564902/最高裁判所第二小法廷 令和 2年 2月28日 判決 (上告審)/平成30年(受)第1429号
本件本訴請求は、被上告人の被用者であった上告人が、被上告人の事業の執行としてトラックを運転中に起こした交通事故に関し、第三者に加えた損害を賠償したことにより被上告人に対する求償権を取得したなどと主張して、被上告人に対し、求償金等の支払を求め、原審は、上告人の本訴請求を棄却したため、上告人が上告した事案において、被用者が使用者の事業の執行について第三者に損害を加え、その損害を賠償した場合には、被用者は、損害の公平な分担という見地から相当と認められる額について、使用者に対して求償することができるものと解すべきであるとしたうえで、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決中、上告人の本訴請求に関する部分を破棄し、上告人が被上告人に対して求償することができる額について更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻した事例(補足意見がある)。
2020.02.25
解雇無効確認等請求事件 
LEX/DB25564694/佐賀地方裁判所武雄支部 令和 1年11月 8日 判決 (第一審)/平成31年(ワ)第32号
新興宗教の信者であった原告が、同じ新興宗教の信者である被告らに対し、被告らが原告にした排斥の処分は無効であると主張して、その排斥が無効であることの確認を求めるとともに、そのような無効な排斥をしたことなどは不法行為に該当すると主張して、共同不法行為に基づき、各自慰謝料及び遅延損害金の支払を求めた事案で、不法行為の成否は、実質において法令の適用による終局的解決に適しないといえ、本件訴えは、いずれも、法律上の争訟に該当せず、不適法であるから、却下した事例。
2020.02.18
労災保険遺族補償給付等不支給処分取消請求控訴事件
LEX/DB25564683/福岡高等裁判所 令和 1年12月 5日 判決 (控訴審)/令和1年(行コ)第28号
被控訴人(原告)が、その夫であり養殖業者に対する魚薬の営業販売等の業務に従事していたDが心室細動を原因とする急性心不全を発症し、これにより死亡したのは、取引先からのストレスにさらされながらの長時間の過重労働や海上での過酷な消毒作業に従事したことによるものであるとして、労働者災害補償保険法に基づく遺族補償給付等の請求をしたところ、処分行政庁がいずれも不支給とする決定をしたため、同決定は違法である旨主張して、控訴人(被告、国)に対し、同不支給決定の取消しを求め、原審は、被控訴人の請求を認めて、処分行政庁による不支給決定をいずれも取り消したため、控訴人が、これを不服として控訴した事案において、亡Dの業務と急性心不全の発症との間に相当因果関係があると認めることはできないとして、控訴人の控訴を棄却した事例。
2020.02.12
行政措置要求判定取消請求事件(第1事件)、国家賠償請求事件(第2事件) 
(性同一性障害訴訟:トイレ使用制限は「違法」)
LEX/DB25580421/東京地方裁判所 令和 1年12月12日 判決 (第一審)/平成27年(行ウ)第667号 等
トランスジェンダーで国家公務員の原告が、その所属する経済産業省で女性用トイレの使用に関する制限を設けないこと等を要求事項として国家公務員法86条の規定に基づいて人事院に対してした勤務条件に関する行政措置の各要求に関し、本件各措置要求がいずれも認められない旨の判定を受けたことから、本件判定がいずれも違法である旨を主張して、被告国に対し、本件判定に係る処分の取消しを求めた事案(第1事件)、また、上記の原告が、経済産業省において女性用トイレの使用についての制限を受けていること等に関し、経済産業省の職員らがその職務上尽くすべき注意義務を怠ったものであり、これによって損害を被った旨を主張して、国家賠償法1条1項の規定に基づく損害賠償請求として、被告国に対し、慰謝料等の支払を求めた事案(第2事件)において、第1事件に係る本件判定のうち原告が女性トイレを使用するためには性同一性障害者である旨を女性職員に告知して理解を求める必要があるとの経済産業省当局による条件を撤廃し、原告に職場の女性トイレを自由に使用させることとの要求を認めないとした部分を取り消す内容で一部認容し、第2事件に係る慰謝料等の支払を一部認容した事例。
2020.01.21
地位確認等請求事件
LEX/DB25564433/東京地方裁判所 令和 1年 8月 7日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第23597号
被告の入社試験を受け、採用内定を得た原告が、その後、被告から内定を取り消されたが、本件内定取消しは、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないようなものであって、取り消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として是認することができない事実に基づきなされたものであるから無効であり、被告との労働契約は成立しているとして、被告に対する労働契約上の地位確認及び賃金の支払を求めた事案で、「本件採用内定が被告の錯誤により無効といえるか」について、本件全証拠に照らしても、原告が被告に対し、その経歴や能力を詐称したこと(原告による欺罔行為)を認定することはできず、また被告において、これらの事情が本件採用内定の判断の基礎とした事情となったことや、これらの事情に関する認識が真実に反すること等についての主張及び的確な立証はなされていないから、被告の主張を採用することはできないとする一方、遅くとも、試用期間満了後の時点では、原告の雇用状況は一応安定していたと認められ、原告の被告における就労意思は失われたと評価するのが相当であるところ、本件訴えのうち、原告の被告に対する労働契約上の地位確認を求める部分(請求1)については、もはや訴えの利益がなく、却下を免れないが、本件採用内定通知に定められた労働契約の始期(平成29年1月1日)から同年7月9日までの賃金(バックペイ)請求については、使用者たる被告の責めに帰すべき事由により、原告が労務の提供ができなかった期間に当たり、原告はその間の賃金請求権を失わないから(民法536条2項)、その限度において理由があるというべきであるとして、原告の確認請求を却下し、賃金請求を一部認容した事例。
2020.01.14
懲戒処分無効確認等請求控訴事件 
LEX/DB25564423/東京高等裁判所 令和 1年 6月27日 判決 (控訴審)/平成31年(ネ)第630号
被控訴人(被告。放送法に基づく基幹放送事業及び一般放送事業等を目的とする株式会社)の従業員である控訴人(原告)が、被控訴人に対し、控訴人の受けたけん責処分が懲戒権の濫用に当たり無効であって、違法な懲戒処分により精神的苦痛を被ったと主張して、けん責処分の無効確認とともに、不法行為に基づく損害賠償金の支払等を求め、原審は、控訴人の請求について、けん責処分の無効確認請求に係る訴えを却下し、その余の請求を棄却し、控訴人が控訴した事案で、当審における当事者の補充主張についても、控訴人の主張は採用することができないとし、本件控訴を棄却した事例。
2019.12.03
地位確認等請求事件
LEX/DB25564170/横浜地方裁判所 令和 1年10月10日 判決 (第一審)/平成30年(ワ)第3828号
被告が経営するスーパーマーケットで勤務していた原告が、商品を会計せずに持ち帰ったことを理由になされた懲戒解雇について、これが無効であると主張して、〔1〕労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、〔2〕懲戒解雇後の未払賃金、未払賞与の支払等を求め、被告が経営する店舗で、原告の氏名を明記し懲戒解雇の事実を公表したことが名誉棄損の不法行為に該当すると主張し、〔3〕慰謝料及び弁護士費用相当損害金の支払、〔4〕就労期間中の未払残業代、〔5〕付加金の支払等を求めた事案で、本件懲戒解雇の有効性については、本件懲戒解雇及び予備的に行った本件予備的解雇意思表示は、いずれも、客観的合理的理由を欠き、社会通念上相当であると認められず無効であるとし、未払賃金等については、被告が、原告に対し、未払賃金及び未払賞与の支払義務を負うとし、被告行為の名誉毀損該当性については、本件掲示は、原告の社会的評価を低下させる事実を摘示するものであり、違法性が阻却されるとは認められないため、不法行為に該当するなどとして、原告の請求を一部認容した事例。
2019.11.19
地位確認等請求事件 
LEX/DB25570540/最高裁判所第一小法廷 令和 1年11月 7日 判決 (上告審)/平成30年(受)第755号
上告人(控訴人・被告)との間で有期労働契約を締結して就労していた被上告人(被控訴人・原告)が、上告人による解雇は無効であると主張して、上告人に対し、労働契約上の地位の確認及び解雇の日以降の賃金の支払を求めたところ、第1審判決は、被上告人の請求を全部認容したため、上告人が控訴し、控訴審も第1審判決を維持し控訴棄却したため、上告人が上告した事案で、原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決中、労働契約上の地位の確認請求及び平成27年4月1日以降の賃金の支払請求を認容した部分を破棄し、被上告人が契約期間の満了後も本件労働契約が継続する旨主張していたことを踏まえ、これが更新されたか否か等について更に審理を尽くさせるため、同部分につき本件を原審に差し戻すこととした事例。
2019.06.04
配転命令無効による地位確認等請求事件
LEX/DB25562769/津地方裁判所 平成31年 4月12日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第273号
原告は、被告会社(レンタカー会社)との間で、反復継続して労働契約を更新してきており、被告会社のD店に勤務してきたが、雇止めがされたことから、雇止めが合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められないとして、〔1〕労働者の地位確認及びそれに伴う賃金の支払を求めるとともに、〔2〕被告会社には、社会保険の加入手続を取っていなかった不法行為責任があるとして、それに基づく損害の支払、〔3〕未払割増賃金の支払並びに〔4〕付加金の支払を求める訴訟を提起したところ、控訴審において、〔1〕を認容し、〔2〕ないし〔4〕を一部認容する判決(〔2〕については,以上に加え,控訴審における拡張請求を一部認容する判決)がなされ,同判決は,平成29年6月3日確定した。被告会社は、原告に対し、同月26日付けで就業場所をC店とする旨の配転命令(本件配転命令)を出したが、原告は、本件配転命令が無効であると主張して、被告会社に対し、C店において勤労する労働契約上の義務がないことの確認を求めるとともに、被告会社が社会保険の加入手続をとっていなかったことが債務不履行に当たるとして、被告会社に対しては債務不履行に基づき、被告Bに対しては会社法429条1項に基づき、連帯して損害賠償金の支払等を求めた事案で、原告が、被告会社に対し、原告がC店において勤労する労働契約上の義務がないことの確認を求めること、損害賠償の金員の支払については、請求を認容したが、被告Bに対しては、請求を棄却した事例。
2019.05.14
未払賃金等、地位確認等請求事件
LEX/DB25570206/最高裁判所第一小法廷 平成31年 4月25日 判決 (上告審)/平成29年(受)第1889号
被上告人(貨物自動車運送等を業とする株式会社)に雇用され、全日本建設交運一般労働組合関西支部(建交労組)に所属していた上告人が、被上告人に対し、労働協約により減額して支払うものとされていた賃金につき,当該減額分の賃金(平成25年8月から同26年11月までの支給分のもの)及びこれに対する遅延損害金の支払等を求めたところ、原審は、上告人の本件各未払賃金に係る請求を棄却したため、上告人が上告した事案で、被上告人と建交労組との間でされた本件合意により上告人の賃金債権が放棄されたというためには、本件合意の効果が上告人に帰属することを基礎付ける事情を要するところ、本件においては、この点について何ら主張立証はなく、建交労組が上告人を代理して具体的に発生した賃金債権を放棄する旨の本件合意をしたなど、本件合意の効果が上告人に帰属することを基礎付ける事情はうかがわれないため、本件合意によって上告人の本件各未払賃金に係る債権が放棄されたものということはできないとし、原判決中、本件各未払賃金に係る請求及びこれに対する遅延損害金の請求に関する部分を破棄し、当該賃金の請求に関する部分に係る第1審判決を取り消し、上告人の請求のうち、本件各未払賃金の元本221万2720円を請求する部分を認容した。また、上告人の請求のうち、本件各未払賃金に対する遅延損害金を請求する部分については、その遅延損害金の起算日について更に審理を尽くさせるため、同部分につき本件を原審に差し戻しを命じ、上告人のその余の上告を棄却した事例。
2019.03.26
報酬支払債務不存在確認請求事件 
LEX/DB25562303/立川簡易裁判所 平成31年 1月24日 判決 (第一審)/平成30年(ハ)第360号
原告(風俗店勤務女性)が、司法書士である被告との間で交わした「風俗店の退職トラブル交渉代理」委任契約中、被告による交渉代理業務なるものは、法律上許されておらず、本件委任契約は無効であり、また仮に有効であるにしても、契約書中にある他言禁止条項は、消費者契約法10条により契約が無効であるとして、原告の交渉代理人である司法書士である被告の要求する成功報酬支払義務のないことを求めた事案で、被告の行為は、もはや法律及び司法書士倫理規定に反する行為に該当し無効であると言わざるを得ないとして、原告の請求を認容した事例。
2019.03.12
損害賠償等請求控訴事件(契約社員にも退職金認める 高裁逆転認定)
LEX/DB25562230/東京高等裁判所 平成31年 2月20日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第1842号
第1審被告の契約社員として有期労働契約を締結して東京メトロ駅構内の売店で販売業務に従事している第1審原告P1並びに同業務にかつて従事していた控訴人P2、同P3及び同P4が、無期労働契約を第1審被告と締結している労働者(正社員)のうち上記売店業務に従事している者と第1審原告らとの間で、本件諸手当に相違があることは労働契約法20条又は公序良俗に違反していると主張して、第1審被告に対し、不法行為又は債務不履行に基づき、平成23年5月20日から各退職日と同期間に第1審原告らに支給された本件諸手当との差額に相当する損害金、慰謝料及び弁護士費用の合計額並びに本件諸手当のうち褒賞を除く部分に対応する損害金に対する各支払期日から、慰謝料の支払等を求め、原審は、第1審原告P1の請求のうち不法行為に基づく損害賠償請求の一部を認容したが、その余の請求及び控訴人らの各請求をいずれも棄却したところ、双方が敗訴部分を不服として控訴した事案(第1審原告らは、当審で、選択的に上記有期労働契約に基づき、上記と同額の金員の支払を求める訴えを追加し、第1審原告P1は、請求する差額又は差額に相当する損害金の発生する時期を平成30年4月20日までとし、控訴人P2は、本給の計算に誤りがあったとして、それぞれ請求を拡張する訴えの変更をした。)において、〔1〕第1審原告P1の請求は、66万3793円及び各金員に対する「年月日」欄記載の各日から、うち6万0344円に対する平成26年5月1日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で、〔2〕控訴人P2の請求は、87万8783円及び各金員に対する各日から、うち49万8094円に対する平成27年4月7日から、うち7万9889円に対する平成26年5月1日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で、〔3〕控訴人P3の請求は、67万1935円及び各金員に対する各日から、うち45万0450円に対する平成26年4月7日から、うち6万1085円に対する同年5月1日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度でそれぞれ理由があるが、第1審原告P1、控訴人P2及び同P3のその余の請求はいずれも理由がなく、原判決はこれと異なる限度で失当であるから、第1審原告P1、控訴人P2及び同P3の各請求に係る部分を変更するとともに、第1審被告の控訴を棄却することとし、また、原判決中控訴人P4の請求を棄却した部分は相当であるから、控訴人P4の控訴を棄却し、控訴人P4が当審において追加した選択的請求も棄却した事例。
2019.03.05
職務上義務不存在確認等請求事件
LEX/DB25562168/大阪地方裁判所 平成31年 1月16日 判決 (第一審)/平成28年(行ウ)第74号
被告(大阪市)が設置していた地方公営企業である大阪市交通局の職員として地下鉄運転業務に従事していた原告らが、被告に対し、原告らは、ひげを剃って業務に従事する旨の被告の職務命令又は指導に従わなかったために、平成25年度及び平成26年度の各人事考課において低評価の査定を受けたが、上記職務命令等及び査定は、原告らの人格権としてのひげを生やす自由を侵害するものであって違法であるなどと主張して、〔1〕任用関係に基づく賞与請求として、上記査定を前提に支給された各賞与(勤勉手当)に係る本来支給されるべき適正な額との差額及び遅延損害金、〔2〕国家賠償法1条1項に基づく損害賠償として、それぞれ慰謝料及び弁護士費用の合計220万円及び遅延損害金の各支払を求めた事案において、平成25年度及び平成26年度に係る原告らに対する本件各人事考課は、いずれも裁量権を逸脱・濫用したものであると認められるところ、本件身だしなみ基準の趣旨目的、本件各考課の内容及びひげを生やすか否かは個人的自由に関する事項であることに鑑みると、本件各考課の内容については、原告らの人格的な利益を侵害するものであり、適正かつ公平に人事評価を受けることができなかったものであって、国家賠償法上違法であると評価するのが相当であるとし、原告らの請求額を減額し一部認容した事例。
2019.02.12
懲戒処分無効確認等請求事件
LEX/DB25562112/東京地方裁判所 平成30年12月26日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第4880号
被告(放送法に基づく基幹放送事業及び一般放送事業等を目的とする株式会社)の従業員である原告が、被告が原告に対して行ったけん責処分が懲戒権の濫用に当たり無効であると主張して、被告に対し、上記のけん責処分が無効であることの確認を求めるとともに、違法な懲戒処分により精神的苦痛を被ったと主張して、不法行為に基づく損害賠償請求権に基づき、慰謝料及び弁護士費用の合計220万円の支払等を求めた事案において、本件懲戒処分は、懲戒権を濫用又はその範囲を逸脱したものとは認められないから、社会通念上相当であるとし、原告の訴えのうち、本件懲戒処分の無効確認を求める部分は不適法であるから却下し、その余の原告の請求を棄却した事例。
2019.01.22
地位確認等請求事件
LEX/DB25561833/大阪地方裁判所 平成30年11月14日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第8491号
被告西日本電信電話株式会社との間で期間の定めのない雇用契約を締結し、60歳を迎えて同被告を定年退職となった原告らが、被告NTT西日本の就業規則には、定年退職前にグループ会社に転籍した場合には、定年退職後、当該グループ会社において再雇用される旨の定めがあるところ、同就業規則のうち、定年後再雇用の要件を定年前転籍の場合に限定する部分は、高齢者等の雇用の安定等に関する法律9条1項2号に違反し、合理性を欠くから労働契約法7条により無効であり、その結果、原告らにおいて、就業規則の定年後再雇用の規定が適用され、定年退職した後も雇用が継続されるものと期待することに合理的な理由が認められるから、被告M社ないし被告N社との間で、上記再雇用の規定に基づいて再雇用されたのと同様の労働契約が成立していると主張して、原告P1は被告M社に対し、原告P2及び原告P3は被告N社に対し、それぞれ〔1〕労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、〔2〕労働契約に基づき、定年退職以後の月から満65歳に達した後の3月までの賃金及び遅延損害金の支払を求めるとともに、〔3〕被告NTT西日本が継続雇用制度その他の雇用確保措置を設けず、継続雇用を希望する原告らを自社又はグループ会社において雇用しなかったことは、故意に原告らの上記期待権を侵害するものであり不法行為に当たるとして、被告NTT西日本に対し、不法行為に基づく損害賠償請求金の支払を求めた事案で、原告らは、60歳の定年退職後、被告らのいずれかに雇用されるという法的保護に値する期待権を有しているとは認められず、また、被告NTT西日本について、原告らが主張するような同権利侵害に関する故意又は過失があるとも認められないとして、原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2019.01.22
地位確認等、不当利得返還等反訴請求控訴事件
LEX/DB25561832/東京高等裁判所 平成30年11月 8日 判決 (控訴審)/平成30年(ネ)第3244号
本件本訴は、一審被告会社に雇用されていた一審原告が、一審被告から懲戒解雇され退職金の支払を受けられなかったことについて、一審被告に対し、〔1〕主位的に、懲戒解雇は無効であると主張して、雇用契約に基づき、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認及び賃金の支払を、〔2〕予備的に、仮に懲戒解雇が有効であるとしても、退職金を不支給とすることは許されないと主張して、雇用契約上の退職金規程に基づき、退職金の支払を求め、本件反訴は、一審被告が、一審原告は単身赴任手当等の各種手当を不正に受給し、入居資格を有していないにもかかわらず借上社宅に居住し続けていると主張して、一審原告に対し、不当利得に基づき、利得額等の支払を求めたところ、原審が、本件本訴の主位的請求については、懲戒解雇は有効であるとして棄却し、予備的請求については、決定退職金は、給付主体がKDDI企業年金基金であり一審被告ではないとして棄却し、一時金(加算金)は、一部支払を認容し、その余を棄却し、本件反訴については、不当利得返還請求は認容し、明渡請求等は、既に明渡し済みであるとし、また賃料相当損害金等の一部を認容したため、双方が控訴した事案で、一審原告は、3年以上の期間において、一審原告と一審被告が雇用関係を継続していく前提となる信頼関係を回復困難な程に毀損する背信行為を複数回にわたり行い、著しく信義に反する行為に当たるといわざるを得ないから、一時金を全額不支給とすることに合理性があるなどとして、一部支払を命じた原判決部分を取り消し、一審原告の控訴を棄却した事例。
2018.12.11
賃金等請求事件(中国人実習生に「残業代未払い」 雇用農家に残業代支払い命令)
LEX/DB25561578/水戸地方裁判所 平成30年11月 9日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第390号
原告P1の請求に係る部分は、中華人民共和国の国籍を有する女性の技能実習生である同原告が、監理団体である被告組合を介して、実習実施機関であり大葉の栽培を営む被告P3との間で雇用契約を締結していたところ、〔1〕雇用契約に基づき、大葉巻き作業を行ったとして、被告P3に対し、同作業に係る未払の残業代の支払等を求め、〔2〕被告P3に対し、主位的に、被告P3の責めに帰すべき事由により原告P1の労務提供が不能になったとして、雇用契約に基づき、各月の賃金の支払等を、予備的に、被告P3の不正行為により原告P1の就労継続が不可能となったとして、不法行為に基づき、上記の期間の賃金相当額の支払等を求め、〔3〕被告P4から原告P1がセクハラを受け、同セクハラについて被告組合に対応を求めたにもかかわらず何らの措置もとらなかったなどとして、被告P4に対しては不法行為に基づき、被告P4の使用者である被告P3に対しては被用者に対する安全配慮義務違反の債務不履行、被告P4との共同不法行為又は使用者責任に基づき、被告組合に対しては被告P3及び被告P4との共同不法行為に基づき、連帯して慰謝料及び弁護士費用の支払等を求めた事案、及び、原告P2の請求に係る部分は、同原告は被告組合との間で雇用契約を締結していたところ、被告組合が平成26年12月15日付けでした原告P2の解雇が無効であるとして、被告組合に対し、雇用契約上の地位の確認を求めるとともに、雇用契約に基づき、解雇日以後本判決確定の日までの各月分の賃金並びに賞与の支払等を求めた事案で、原告P1の未払残業代請求につき一部認容し、原告P2の請求については棄却した事例。
2018.11.20
停職処分取消請求事件
LEX/DB25449793/最高裁判所第三小法廷 平成30年11月 6日 判決 (上告審)/平成29年(行ヒ)第320号
上告人(加古川市)の男性職員である被上告人は、勤務時間中に訪れた店舗においてその女性従業員に対してわいせつな行為等をしたことを理由に、停職6月の懲戒処分を受けたことにつき、被上告人が本件処分は重きに失するものとして違法であるなどと主張して、上告人を相手に、その取消しを求め、原審は、被上告人の請求を認容すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、本件処分が重きに失するものとして社会観念上著しく妥当を欠くものであるとまではいえず、市長の判断が、懲戒権者に与えられた裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものということはできないとし、これに反する原判決を破棄し、第1審判決を取消し、被上告人の請求を棄却した事例。
2018.10.02
地位確認等請求事件
LEX/DB25449676/最高裁判所第二小法廷 平成30年 9月14日 判決 (上告審)/平成29年(受)第347号
被上告人(被控訴人・被告。日本郵便株式会社)との間で、有期雇用契約を締結して就労していたが、雇止めがされた上告人(控訴人・原告)らが、被上告人に対し、各雇止めは、解雇権濫用法理が類推適用されることにより無効であると主張し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認と、未払賃金及び遅延損害金の支払いを求めるとともに、不法行為に基づき慰謝料の支払いを求めたところ、原判決は、上告人らの労働契約上の地位の確認及び本件各雇止め後の賃金の支払を求める請求をいずれも棄却すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、上告人らと被上告人との間の各有期労働契約が実質的に無期労働契約と同視し得るとして、本件各雇止めが解雇に関する法理の類推によれば無効になるとしながら、本件上限条項によって根拠付けられた適法なものであるとした原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があるとしたが、加齢による影響の有無や程度を労働者ごとに検討して有期労働契約の更新の可否を個別に判断するのではなく、一定の年齢に達した場合には契約を更新しない旨をあらかじめ就業規則に定めておくことには相応の合理性があり、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律に抵触しないとした上で、本件各雇止めは適法であり、本件各有期労働契約は期間満了によって終了したものというべきであるとし、上告人らの労働契約上の地位の確認及び本件各雇止め後の賃金の支払を求める請求をいずれも棄却すべきものとした原審の判断は、結論において是認することができるとし、本件上告を棄却した事例。
2018.09.04
損害賠償請求控訴事件 
LEX/DB25560858/東京高等裁判所 平成30年 6月28日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第3038号
第1審原告(貨物自動車運送事業等を営む株式会社)が、本件土地及び建物を所有していた第1審被告(風水力機械等の製造及び販売等を目的とする株式会社)に対し、第1審被告から物流ターミナル等の建設を目的として本件土地及び本件建物を代金848億円で売買契約を締結し買い受けたが、本件土地から広範囲にわたって発見されたスレート片が石綿を含有していたと主張して、本件売買契約に基づく瑕疵除去義務の不履行又は本件売買契約上の瑕疵担保責任に基づく損害賠償として、本件スレート片の撤去及び処分費用、物流ターミナルの建設工事が遅れたことに伴う追加費用、逸失利益、弁護士費用の支払等を求めたところ、原判決は、第1審原告の請求額を減額したうえで一部認容したため、第1審原告及び第1審被告の双方が、それぞれ原判決のうち敗訴部分を不服として、本件各控訴した事案において、約56億1000万円の支払いを命じた原判決に続き契約上の過失を認め、賠償額を約59億5000万円に増額した内容で変更した事例。