1996年10月号Vol.1

【巻頭言】ネットワーク社会における市町村行政事務の課題

自治大臣官房情報管理室理事官 相川一夫

 近年の情報処理・通信技術の発達は、産業・経済への影響はもとより行政に対しても大きな変革をもたらしつつあります。特にパソコンやワークステーションを中心とするハードウェアおよびソフトウェアの飛躍的な進歩により、これまでは行政情報システム部門の職員や計算センターへ処理を依頼することで対応していたことが、職員個人でできるようになり、さらにパソコン等を活用してさまざまな通信ができるようになってきました。

 まさに本格的な高度情報化社会の一部が現実のものとなりつつあり、ネットワーク社会の兆しの現れであります。

 ネットワークとは、網の目のような組織のことであり、交通ネットワーク、郵便ネットワークをはじめ電話ネットワークなど現代社会に組み込まれた社会システムで、格別目新しいものではありません。しかし、これに対して新しいネットワーク社会とは、有線、無線、アナログ、ディジタルなどの通信を活用した社会組織であり、通信技術・情報技術の目覚ましい発展により、その技術革新の成果が大都市をはじめとした地域社会の中に活かされてきている社会のことであります。このような情報化社会の進展を踏まえ、市町村の行政も、お役所仕事といわれることのないように、より効率的で総合力・対応力に富んだ行政の実現、住民ニーズに即した行政事務・行政サービス体系の確立および情報共有を基盤とした住民と行政との円滑な関係作りに向けて、行政の事務・事業および組織に関わるシステムを改革するための手段である行政情報化を積極的に推進することが、住民の立場での行政の効率化、迅速化のために求められています。

 政府においては、「情報通信技術の成果を財政状況等を勘案しつつ行政のあらゆる分野に積極的に導入し、情報システムの利用を行政の組織活動に不可欠なものとして定着させ、行政内部のコミュニケーションの円滑化、情報の共有化による政策決定の迅速化、高度化等行政運営の質的向上と、国民への情報提供の高度化、行政手続の効率化等の行政サービスの質的向上を図るため、セキュリティの確保等に留意しつつ、紙による情報の処理から通信ネットワークを駆使した電子化された情報の処理への移行を実現する」こととしています。

 パソコンやコンピュータと聞いただけで嫌な顔をする人がいますが、これだけ自動車社会が進んだ中で、自動車の運転を極端に嫌がる人もいるわけであり、パソコンの好き嫌いに関係無く情報化社会は進展していくものと思われます。自動車が大都市では交通渋滞のため十分機能していないのに対して、地方に行けば行くほど生活に不可欠なものとなっているように、ネットワーク化された社会では、情報機器が地方ほど不可欠なものとなっていくものと考えられます。

 このような前提に立って市町村の行政について考えてみると、少なくとも社会全体の流れに遅れないようにするためには、情報化の現状を正確に認識しておくことだけは必要なことであります。

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