1996年10月号Vol.1

【特集】パソコンの普及と情報社会の変化

マイクロソフト株式会社 ビジネスソリューション事業部 インダストリーマーケティング部 部長 永久 茂

ユーザーにとってより快適な情報システムを目指して、クライアント/サーバー(C/S)システムが登場した。その背景にはパソコンの高機能・低価格化に加え、OS(基本ソフト)が格段に進歩したことが挙げられる。そこで、C/Sシステム時代をリードするマイクロソフトの考え方と先進ユーザー事例を紹介する。

 インターネットは個人・法人によらず、誰もが平等にネットワークを活用できるという意味で革命的なインフラである。米国ではすでにインターネットを利用した電話サービスが普及しつつあり、欧米諸国に比べて公衆回線の通話料金が高い日本では、近い将来、この利用方法が急激に拡大していくことが予想される。

 一方、イントラネットはネットワーク・インフラが構築されている企業や団体が、より簡単に情報を利用できる画期的な方式であり、これによって企業内の共同作業(コラボレーション)が推進されるといわれている。

 インターネットとイントラネットに共通しているのは、これらのインフラを利用できる人はそれぞれ直接操作することのできる“個人”であるということだ。したがって部課ごとに1台というような旧来のシステム装備ではほとんど役に立たない。イントラネットは、組織内の情報をすべての人が共有でき、互いに情報発信して全体の情報レベルを高めていくような導入のされ方でなければ導入効果は得られないのである。

C/Sを支えるOSの進化

 現在、日本のパソコン市場は急速に拡大している。92年度には年間約200万台強しか販売されていなかったパソコンが、95年度には530万台、さらに今年度は800万台を超える勢いで急速に社会に浸透しているのである。

 このパソコン大躍進の原因は、①OSをはじめとするソフトウェアの高機能化、②CPUや記憶装置(RAM/HDD)の急激な技術革新とコストダウン、③ハードウェアメーカーのコンポーネント調達などによるコストダウン、④市場規模の拡大に伴う流通システムの効率化・多様化によるコストダウン、⑤円高による海外調達機器のプライスダウン、の5つが挙げられる。

 これらの相乗効果で、メーカーの利益率はともかくとしてパソコンの市場はかつてないほどの好況を迎えているのである。

 これをOSの進化の観点から見てみると、93年6月のWindows3.1(日本語版)の出荷開始によりユーザーインタフェースが一段と優れたものになったこと、94年12月のWindowsNT3.5(日本語版)の出荷開始によりネットワーク機能を標準装備したセキュリティレベルの高いOSをプラットフォームとして選択できるようになったこと、95年11月のWindows95(日本語版)の登場によりプラグ・アンド・プレイ(各種設定を自動化する機能)やネットワーク機能を標準装備したパーソナルOSが実現できたこと..。

 このようにマイクロソフトOSが毎年のように提供されたことで、パソコンの高機能化が進み、あわせてここ数年のインターネットの急速な普及もあって、ユーザーは20万円を切る金額で購入できるパソコンで数年前には想像もできなかったことが、当たり前のようにできる時代になったのである。

より豊かな操作環境を目指して

 さて、これからのマイクロソフトの製品展開について簡単に説明しよう。今後の製品展開のポイントは、①WindowsNTを中核とする『BackOffice』製品群の機能拡張による企業情報システムへの展開とWindows95等のパーソナルOSの充実、②インターネット利用技術の充実によるインターネット/イントラネット対応製品の幅広い展開、③『Microsoft Office』を柱とするOAデスクトップアプリケーション製品の普及、④パーソナルユーザーを対象とした『Microsoft Home』製品の品揃え、の4点である。

 WindowsNTに関して言えば、今年1月にWindowsNT3.51(日本語版)の出荷を開始したが、年内にもバージョン4.0(日本語版)を供給する予定で、4.0ではGUI(グラフィカル・ユーザー・インタフェース)をWindows95と統一し、現在対応が望まれているインターネットやイントラネット関係のさまざまな機能も搭載する。高度なセキュリティ機能、OS内部の最適化による必要リソースの削減、Unicode対応によるマルチリンガル対応への柔軟性..などを実現したハイパフォーマンスなOSが、サーバーおよびクライアントで利用できるようになるのだ。

 さらに、これら全製品群に共通して「Win32」による32ビットアプリケーション開発プラットフォーム、および「ActiveX,OLE,COM」によるオブジェクトサービス技術が利用でき、これらの基本技術は将来にわたってサポートされる。このオブジェクトサービス技術を利用することで、これまでは企業情報システムやオフィスオートメーションの世界を中心に普及してきたWindowsパソコンが、金融端末、ATM、流通POS、プロセス制御システムなどといった幅広い分野に普及していくことになる。

 OSが進化するのは、「あらゆるデータをデジタル化し、ネットワークを活用して、高度なデータの再利用を実現する」ためである。書類の再記載や、書庫からの検索・転記などといった非人間的な単純作業を極小化することで、より豊かで効率的な業務環境が実現できる。

 このためによりよい製品とサービスをユーザーへ提供し続けていくことが、マイクロソフトの企業使命のひとつであると考えている。

C/Sシステムの基本的な考え方
TKC地方公共団体事業部・取締役システム開発本部長 杉山 宏

 ネットワーク上に、さまざまなサービスを提供するコンピュータ(サーバーと呼ぶ)と、そのサービスを利用して仕事をこなすコンピュータ(クライアントと呼ぶ)が存在し、ネットワーク(通常はLAN)が全体として業務をこなす..クライアント/サーバー(C/S)システムをひとことで説明するとこうなります。

 TKCのC/Sシステムは、開発当初からWindowsNTがベースでした。最初のシステムは戸籍事務で、平成6年5月に開発をスタートしました。いまでこそC/SシステムといえばNTが主流ですが、当時のNTの評価は芳しくなく、同年1月に登場したNT3.1は問題も多く随分と苦労しました。ではなぜNTを採用したのか? それはNTが完全な32ビットOSであり、マイクロカーネルベースのオープンな性格を持ち、何より高度なセキュリティ機能を持っていたからです。

 TKCは、市町村業務のコンピュータ化で最も重要なことは、①法制度に完全に準拠していること、②取り扱う情報がプライバシィに関わるため十分なセキュリティ対策を講じること、③行政サービスという観点から安定して稼働すること、だと考えています。そしてこれを実現するために、NTをクライアントにも採用したのです。

 ではC/Sシステムは万能でしょうか? 残念ながら現時点での答えはノウです。技術的な課題であり、いずれ解決される問題ですが、現状では大量一括のバッチ処理と大量のアウトプット処理には不向きといわざるをえません。

 TKCは、従来から分散処理という考え方を提唱してきました。市町村に設置したC/Sシステムでは、窓口など即時性が要求される業務や、特にセキュリティ対策が重要な業務を中心に運用し、当初賦課など特定の日を定めて行われる大量のバッチ処理やアウトプットはTKCのホストサポートが受け持つ。パソコンと大型コンピュータが得意な分野を分担し、相互に補完し合いコストパフォーマンスに優れた総合行政情報システムを構築する.これがTKCの考える分散処理です。

 もちろんクライアントパソコンは、データベースから情報を取り出してワープロや表計算で加工する、あるいはグループウェアで電子メールを送る、回覧板や会議室の予約、そしていま話題のインターネットも利用できるなどパーソナルユースにも、ネットワーク端末としても使えます。

 C/Sシステムは「行政を支えるインフラとなりうる」といえるのではないでしょうか。

※掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、取材当時のものです。

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