1996年10月号Vol.1

【特集:CASE1】戸籍事務が効率アップ住民からも見やすいと好評

栃木県塩谷町

民生課 小野崎義勝課長 / 民生課住民係 若目田時枝係長

所在地
栃木県塩谷郡塩谷町大字玉生741
電話
0287-45-1111
人口
1万5,071人(平成8年4月1日現在)
面積
176.95平方キロメートル

全国16番目、栃木県内では初めて
戸籍事務をコンピュータ化

──戸籍事務に関してOA化をされた経緯を教えて下さい。

小野崎 昭和57年度に除籍・改製原戸籍のマイクロフィルム化を実施したのが最初です。その後、平成4年10月に住民基本台帳事務を、平成5年7月に印鑑登録事務をそれぞれ電算化し、業務の省力化・効率化を図りました。また、平成6年に除改籍の光ディスクへの入力作業を実施し、平成7年6月には認容申請を提出して、現在は光ディスクによる証明発行を行っています。

──なるほど。そして今年、現在戸籍をコンピュータ化されたわけですね。

小野崎 はい。ご存知の通り、平成6年末の戸籍法及び住民基本台帳法の一部改正によって、戸籍法117条の2第1項で法務大臣の指定を受けた市町村では戸籍事務のコンピュータ処理ができるようになりました。塩谷町は栃木県内でも初めてのケースということで、管内の宇都宮地方法務局および今市支局からいろいろご指導いただきながら、システム審査の準備を進めました。お陰さまで、今年1月に法務省から指定を受けることができ2月より戸籍事務システムが稼働し、また3月には平成原戸籍の光ディスクによる再製申報を提出し、5日後に訓令を受けることができました。C/Sシステムを導入したのは、塩谷町には本庁のほか大宮と船生の2ヵ所に支所があり、住民がどこでも同じサービスを受けられるようにするためです。本庁のサーバーで集中管理することで支所の事務も軽減できました。また、執務環境の向上や人的・物的の両面で費用対効果がアップされたと思います。

──導入段階で大変苦労されたとうかがいましたが。

若目田 最も大変だったのは戸籍簿の照合確認作業でした。これは、すべての戸籍簿と附票についてひと文字ずつ“そこに記載されている筆文字が誤字なのか、俗字なのか、あるいは書きぐせなのか”を判断し、間違っていれば訂正する作業なのですが、少人数ではとても対応しきれず、民生課の全職員と2支所の職員にも応援を頼んでやっと乗り切りました。戸籍簿の照合は、本当は業者の方を信用すれば不必要な作業なのかもしれませんが、戸籍は住民の身分を証明するもので、間違えたままコンピュータ化するのは不安です。逆にシステム化を機に誤ったデータを訂正しておけば後が楽ですから。大変な作業でしたが、システムが稼働した現在では安心していられます。

小野崎 そうですね。読み合わせといっても1人が読んで1人が見るということではなく、ひと文字ずつ照合していく作業でした。“誤字か、書きぐせか”という判断も見る人によってだいぶ違いますから、みんな休日返上で作業しましたよ。また、苦労とは違いますが戸籍データのプライバシー保護にも大変気をつかいました。

──戸籍事務をコンピュータ化する場合、すべての戸籍簿を照合する市町村は少なく、業者に任せて何かあれば対応するところがほとんどですが、塩谷町さんは誠実にすべての戸籍を照合されました。その作業は本当に大変だったろうと思います。システムを導入されて、住民の方の反応はいかがですか。

小野崎 法改正によって従来の紙による保管から磁気ディスクでの戸籍原本の保管が認められたわけですが、同時に用紙が〈B4判・縦書き〉から〈A4判・横書き〉のスタイルになり、また従来の『戸籍謄抄本』が『記録事項証明書』に変わったため、かなりイメージが違うようです。証明書を受け取って「従来に比べて軽薄になった気がする」という住民がいるのは当然で、やはり筆文字でびっしりと書かれている方が重みがあった気がするのでしょう。逆に「必要事項だけ印刷されているので見やすくなった」という意見も少なくありませんし、いまは違和感がある人もいずれは見慣れて気にならなくなるでしょう。

コンピュータ化は十分な計画と
戸籍簿の事前確認がポイント

──C/Sシステムを導入されて、具体的な効果はありましたでしょうか。

小野崎 まず、住民の身分関係を速やかに、かつ正確に公示できるようになりました。また、従来は謄抄本を発行するたびにコピーしていたわけですが、画面入力だけで記録事項証明書が印刷できるようになったので発行にかかる時間が大幅に短縮されましたね。これは住民サービスの面では大きな成果といえます。さらに新戸籍ができれば自動的に附票が作成されるため、附票作成にかかっていた事務作業も軽減されました。加えて、届書の審査機能により、戸籍の記載が正確で迅速になったことも挙げられると思います。例えば、これまでは簿柵を拡げてタイプ入力していたわけですが、これも画面入力するだけで、婚姻記載の場合などは本籍人であれば画面上で必要事項を入力するだけで新しい戸籍ができます。この他にも、届書送付用はがきや統計報告事務、人口動態、身上照会書など、関連業務と連携させることで事務作業の効率化が図れました。

若目田 戸籍事務をコンピュータ化される市町村が増えてきましたが、稀に「これは戸籍ではない」と電話が来ることがあります。先日、看護婦さんが免許更新のため、記録事項証明書を取って東京都のある区の保健所へ持っていったところ、受け付けてくれなかったことがありました。「戸籍とは縦書きで書かれているもので、また朱印が押印されているもの。これは単なるメモです」と返されたのだそうです。特に塩谷町では電子公印を使っているため、余計にそう考えたのでしょう。役場からその担当者へ電話しても信用してもらえないので、「新宿区などでも同じシステムが導入されており、これは全国共通のもので大丈夫だから確認してほしい」と伝えましたが、保健所の担当者も初めて見た証明書に驚いたでしょうね(笑)。もっと多くの市町村に普及すれば、こんな笑い話もなくなるのでしょうが、いろいろ意見交換をするためにも早く導入団体が増えてほしいと思います。

──最後に今後、戸籍情報をコンピュータ化されるところにアドバイスをいただけますか。

小野崎 十分な計画を立てて、事前に戸籍簿の書きぐせや誤字などをチェックしておくことが重要でしょう。この部分をきちんと訂正した上でコンピュータ化されることが望ましいですね。(井村 薫)

栃木県塩谷町 大島藤吾町長

 塩谷町は高原山の裾野、ちょうど荒川と鬼怒川に挟まれる場所に位置し、北部には全国名水百選に選ばれた尚仁沢湧水を有するなど大自然の恩恵あふれる町です。町の総面積の58.3%を山林が占め、古くは山林の町として知られていましたが、最近では菊の産地として全国屈指の生産量を誇っています。現在、尚仁沢湧水を町おこしに生かすプランが進行中で、計画では尚仁沢の1万トンを町全体に配るほか遊水公園(仮称)や水の資料館を造る予定です。先頃、公園の一部として一般の方が湧水を汲む場所が完成しました。

 さて、塩谷町では戸籍事務の合理化のため昭和57年からマイクロフィルム化を進めてきましたが、今年1月、法務省から戸籍法117条の2第1項による指定を受け、2月より戸籍事務システムが稼働しました。全国で16番目、栃木県内では初めてということですが、平成6年の法律改正で他の市町村もすでに手がけているものと思っていたので意外でした。住民からは「発行時間が早くなり、見やすくなった」と概ね好評のようです。また、従来の筆文字では誤字やクセ字などがありましたが、システムを導入して、これが解消されたのは大変喜ばしいことです。休日返上で作業にあたった職員、および関係各位に感謝しております。(談)

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