1996年10月号Vol.1

【特集:CASE2】システムの柔軟性と拡張性がC/S選択の理由

新潟県小出町

企画調整室 桑原和義企画課長

所在地
新潟県北魚沼郡小出町大字小出島130-1
電話
02579-2-1111
人口
約1万3,000人(平成8年4月1日現在)
面積
30.04平方キロメートル

──まず、町の概要から教えて下さい。

桑原 小出町は新潟県の南部、湯之谷温泉郷や奥只見、尾瀬、越後三山の玄関口に位置し、古くは魚野川の船運物資の集散地として栄えました。この辺りは全国有数の豪雪地ですが、そのお陰で国土庁の『全国水の郷百選』に選ばれるほど一年を通していい水に恵まれています。降雪量は多いのですが小出町は“流雪溝の発祥の地”で、町の中に網の目のように整備された流雪溝で住宅のまわりの雪を処理しています。これが全国水の郷百選に選ばれた理由のひとつになったとも聞いています。また小出町は“雪合戦の発祥の地”でもあるんですよ。毎年2月に『国際雪合戦大会』を開催しています。近くに国際大学があることから大会には外国の方も大勢参加し、熱戦を繰り広げています。

若手メンバーで検討会発足
用語の壁に試行錯誤も

──今年、町制100周年とうかがいましたが、小出町がコンピュータを導入されたのはいつ頃ですか。

桑原 昭和59年度(60年2月)に住民記録の電算処理を手がけたのが始まりです。その後、各種の事務処理を電算化し、財務会計システムは平成6年度の初頭から検討を始め、システム検討にあたり関係各課の若手でプロジェクトチームを発足しました。当時はちょうどC/Sシステムが注目されはじめた頃で、勉強会でオフコンと比較した結果、システムの柔軟性と将来的な拡張性を考えてC/Sシステムを導入することにしましたが、正直いって発足当時は“C/S”という言葉も知りませんでした。プロジェクトには主に実務的なメンバーを集めたため、コンピュータに詳しくない人ばかりで試行錯誤を重ねましたが、結果的には実務に即したいいシステムが完成したと思っています。

──今年4月1日に本稼働したわけですが、独自システムを開発することは考えなかったのですか。

桑原 基本的に「経費やアフターフォローのことを考えると、独自システムを開発するよりはパッケージを手直しして使っていくのが一番いいだろう」というスタンスで検討をしました。各社から提供されているパッケージ商品を比較検討した結果、最終的に『TASK財務マスター』に決めたわけですが、決定理由の1つは、やはりC/S対応だったことですね。決定した時には、まだ開発中でしたが、説明を受けた感触として「間違いないものができそうだ」と実感できました。また、2つ目はC/Sを採用するからには、将来的に住民記録や税務情報など全庁的なシステム計画を考えており、その時にいろいろな業務に対応できるトータルシステム志向であったことが決め手となりました。実は導入後、市町村からの問い合わせが多いのですが、一番聞かれるのは意外にも「業者選定は何が決め手となったのか」ということなんです。私としては情報交換のためにも同じシステムを導入する仲間を増やしたいので、TKCが持つ行政事務に関する深い専門性を宣伝していますよ(笑)。

──ありがとうございます。ところで導入の課程で苦労された点はありましたか。

桑原 やはり、小出町が第1号ユーザーということで参考例がなく、何ごとも手探りで進めなければならなかったことですね。総務課財政係と出納室が中心になり導入準備を進めてきましたが、最初は“仕事に合わせてシステム側を変更する部分”と“システムに合わせて我われの仕事を変更する部分”のすり合わせが、なかなかスムーズに行きませんでした。打ち合わせを重ねるうちに、そのあたりの配分は段々と分かるようになりましたが。

──導入後、職員の方の反応はいかがですか。

桑原 住民記録・税務情報の場合であれば操作をする人は数人に限定できますが、財務会計の場合は90人もの人が業務に関わっていますし、パソコンを使うのは初めてという人がほとんどで、導入前は「自分にできるだろうか」と心配だったようですが、最近ではパソコンの操作にもだいぶ慣れて楽しんでやっている様子です。パソコンに慣れるという点では、職員の自信につながったのではないでしょうか。ただ多くの職員が関わるため、プライバシー保護については細心の注意をはらう必要があり、この点はシステム的に十分な対応がとられていますね。最近では逆に許可業務をシステム側で厳しく設定しすぎたかなという感じで、一部については許可範囲を拡げて処理しています。

伝票1日120枚の手作業が大幅に軽減
また出先機関でも即時処理が可能に

──システム導入にあたり職員研修はどうされたのですか。

桑原 本来ならばパソコンの知識を身につけた上で業務処理の研修をするのがベストなのですが、今回はシステムの本稼働に先立ち、取り合えず財務システムの操作研修を2週間行い、後は実際に使いながら覚えてもらいました。財務システムを導入して5ヵ月たち、やっと操作にも慣れてきたようなので、順序は逆になりましたが8月と9月に延べ60名程度のパソコン研修会を実施しました。この研修は業務処理以外にもパソコンを活用するため、一般的なワープロソフトや表計算の使い方を身につけようというもので、まずは庁内で先駆者となる人をターゲットに研修を進める計画です。ただ、1回に研修できるのは7~8人程度で、時間も1人に1日はかけないと十分とはいえませんし、自治体の場合は人事異動があるので定期的な研修も必要でしょう。そこで今後、財務会計システムを導入される市町村では、業務知識とパソコン知識の両面から、計画的な職員研修を定期的に継続して開催することをお勧めします。

──システムを導入された効果はありましたか。

桑原 事務の効率化という点では出納室の業務、特に集計転記の手間が省力化されました。これまでは歳入歳出を合わせて1日に120枚ほど手作業で処理していたので、月次ですと大変な作業量でした。また、予算書原稿の作成が不要になり、この部分でも3分の1程度は省力化されたのではないでしょうか。さらに、小・中学校を含めた出先機関5ヵ所をLANで結んだことで、事務の即時性が大きく改善されました。総合効果はまだこれからの期待といえますが、今後は細かなデータ項目を統計的にチェックしたり、汎用ソフトでデータを加工して意志決定する際の支援資料を作りたいですね。この他、口座振替依頼書のフロッピー化も進めており、銀行さんと打ち合わせている段階です。

──最後に今後のシステム計画を教えて下さい。

桑原 現在、戸籍事務と土地情報について検討しています。最近は電子メールなどもずいぶんと使い勝手のいいものが出てきていますが、まだパソコンの台数が十分ではないため、まずは個別業務でパソコンを増やし環境を整えた上で考えたいと思います。また将来的には庁内ネットワーク・システムに止まらず住民サービスにも使っていきたいですね。例えば住民票の自動交付機や、今後、ICカードに健康管理データを持たせるなどいろいろな使い方が登場しそうなので、時代に合わせてシステムの活用範囲を拡げたいと考えています。(井村 薫)

新潟県小出町 登阪謙吉町長

 自治体に求められる行政サービスが複雑多様化してきている今日、日常の定型事務を省力化し、より高度な課題により多くの時間を費やすことがますます重要になってきています。

 一方、最近のパソコンの進歩はめざましいものがあり、非定型少量事務の処理にも利用しやすくなってまいりました。今後は、今まで台帳等で管理していた少量の情報も電算化することにより、職場の情報化、省力化を進めていくことが必要であり、それが組織や地域の活性化につながっていくものと思います。

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